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1章 可愛いは無敵
13、自分勝手な男
しおりを挟む翌日は雲一つないお天気だった。
お城へ向かうのは憂鬱だったけど、ピカピカの空に少しだけ励まされる。
「今日、私とシロの処分が決まるのよね。
シロはともかく、私は被害者なのにどーして罰を受けるのかわからないけど」
「あの時のヒョイ様はすぐにでもシロを処刑しそうな勢いだったけど、きっと今は落ち着いているはずよ。
シロは無罪放免になる。たぶん……。
約束どおりマリーがヒョイ様をなだめてくれているだろうし。
たぶん……」
やや左に傾いたテーブルで簡単な朝食をとりながら、ブツブツと不安を吐く。
これじゃあ、マリーの言う通りイタイ女だ。
「クヨクヨするのはやめた、やめた!」
自慢の野菜スープを一気に飲みほすと、両手で自分の頬をパンパンとたたいて気合をいれる。
「ここにいても落ち着かないから、少し早いけどお城へ行きましょう」
テーブルの下をのぞいて、尻尾をふりふりパンをかじっているシロに声をかけた。
すると即
「ワン!」
と弾んだ声がかえってくる。
「やっぱり私達って息ピッタリよね」
向かった邸の玄関にはすでにお城からの馬車が待機していたので、勢いよく飛び乗った。
まるでレディーらしくない行動だけど、前からやってみたかった事の一つなのだ。
少しすると馬車はお城に到着する。
何本もの尖塔がそびえる姿はまるで変わってないけれど、私の目にはよそよそしく映ってしまう。
「あんな風に婚約破棄されたから、そう感じてしまうのかもね」
けど応接室で私を待っていた王様と王妃様はさらによそよそしくて、とても悲しくなってしまったのだ。
部屋にはヒョイ様とマリーと私の両親がすでにソファーに着席していた。
「オリビア。よくもまあ、ぬけぬけと私の前に顔をだせたな」
王様は私の顔を見るなりギュッと眉をひそめる。
「それはどういう意味ですか?
私は王様に呼ばれたから、ここに来ただけです」
シロを胸に抱き立ったままで、不思議そうに首を傾けた。
とたんに今度は王様の隣に座る王妃様が、ヒステリックな声をあげる。
「厚顔無恥にもほどがあるわ。
ヒョイがいながら、王宮中の男に色目を使っていたくせに」
「王宮中の男に色目、ってそれはご自分の事じゃないですか」
と言いかけたけど、さすがに途中で口をつぐみ王様に真剣な眼差しをむけた。
「王様も私がそんな娘だとお思いなのですか?」
「うー。
えー。
そ、それは皆がそう言うからそうかなと……」
気の弱い王様は顔を青くして、シドロモドロになる。
なんだかその姿が哀れで深追いするをやめた。
(人の事を心配してる場合じゃないのにね)
「伯父様は王だからこの国の王太子の名誉を守る為、仕方なく私を悪者にするんですよね。
わかりました。
婚約解消の原因は私の男遊びという事で、かまいませんわ。
ではこれで失礼いたします」
と扉の外に出ようとした時だった。
「待て!
まだシロの件が残っているだろう」
とヒョイ様に呼び止められたのは。
ちょっとまってよ。
私は汚名を着てあげるのよ。
シロの事はチャラになって当然でしょ。
まったく。
どこまで自分勝手なバカ男なんだろう。
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