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4章ミスキャンパス決勝戦
9、アランの登場
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髪の毛を振り乱してキャアキャアと騒ぎたてるマリー。
幼い時から、気にくわない事があるとすぐに癇癪をおこしていたが、この年になっても変わっていないようだ。
ネーネは成長するにつれ、前妻そっくりになる私にイラついていた。
マリーは容姿だけが取り柄のバカだと嘲笑われ、私は天才の評判をたてられていたからだ。
やはり娼婦が産んだ娘は公爵令嬢が産んだ娘には勝てない。
ネーネはそう言われるのを怖れていたのだろう。
だから「女の子は賢いより可愛い方が価値がある」と必死に私達に言い含めていたのだ。
幼い時は何もわからなくて、自分の可愛げのなさが大嫌いだった。
けれど家を出て、アランと巡り会い私は変わったのだ。
「お黙りなさい。マリー」
声をはるとマリーのかぶっていたマントを勢いよくはぎとり、マリーの耳元に唇をよせる。
「それ以上言うと、名誉棄損で訴えてやるわ」
「こら! オリビア。
妹に向かってなんて事を言うんだ」
いつのまにか、私の隣にシャシャリでていた元お父様ががなりたてた。
なんてウザイんでしょう。
「もう私はシロトン公爵家の人間ではないのでしょ。
さっき、アナタからはっきりそう聞きましたわ。
だから、マリーは私の妹ではありません」
「父親に向かってその口の利き方はなんだ!」
「あら、元お父様でしょ」
ギリギリと音をたてて歯ぎしりをする元お父様に、私はおもいっきり優雅な微笑みを披露した。
「そっちこそ、私がバーネットに指示したという証拠を見せなさいよ。
もしそれができないなら、それこそ元お姉様を名誉棄損で訴えてやるわ」
マリーが顎をグイとあげた時だ。
「なんだかんだと言ってもオリビアの元妹だ。
穏便にすませようと考えていたが、そこまで言うのならわかった。
動かね証拠を披露してやる」
ツカツカと靴音をたてて、アランがこちらに近寄ってきたのは。
怒りのせいで潤んだアランの瞳は宝石以上に美しく、歩くと揺れる髪は絹糸のようにしなやかだ。
気品あふるアランの登場に、会場が息をのんだように静まりかえる。
「いきなりやってきて、ずいぶん偉そうじゃない。
大口をたたく前に先に名前をなのりなさいよ」
アランにしばらく見とれていたマリーがやっと声をだすと、ヒョイ様がマリーの口を大きな手でふさぎながら焦った声をだす。
「やめろ。
あの方はハミルトン王国の第2王子アラン様だ」
「あの大国の王子ですって?」
そう言うとマリーはずる賢そうな笑いを浮かべて、アランに向かって子猫もびっくりの甘ったるい声をだした。
「そんな怖い顔でマリーを見ないで欲しいの。
マリー泣いちゃうからね」
「悪いが、泣くのはこれを聞いてからにして欲しい。
ここにこれまでのマリー嬢とバーネット嬢の会話が録音されている」
アランは自身が開発した小型マイクを掲げながら、マリーを見据える。
さすがアランだわ。
マリーの行動を先読みして、バーネットにマイクを隠し持たせていたとは。
「ヒョイ様あ。マリーの為になんとか言ってくださいー」
「あー。そうだな。
申し訳ないがアラン王子。
私の婚約者への盗聴とは、えーと、そのう」
あきらかに格上に見えるアランを前にして、ヒョイ様はシドロモドロする。
「確かに少しやりすぎたようだ。
すまなかった。
この学園にいる妹がイジメられていると聞いて、犯人探しに躍起になっていたんだ」
「え? アラン様の妹?
それってどういう事ですか?」
頭のめぐりの悪いヒョイ様は額に指をおしあててしばらく悩んでいたが、突然ハッとしたように目を見開いた。
「まさか! ルネがアラン様の妹なのですか!」
「ああ。
ルネは私の大事な妹で、ここにいるオリビアは私の大事な婚約者なんだ。
先ほどの話だが、ここに録音された内容を再生してもいいだろうか。
怪しい会話でなければ、ヒョイ様の婚約者の無実の証明にもなるだろうし」
「なるほど。
私はマリーを信じている。
今すぐ再生して欲しい」
「わかった」
アランがマイクのスイッチに指をおいた瞬間、
「やめて!
私はただの冗談で言っただけなのに、本気にしたバーネットが悪いのよ」
真っ青な顔をしたマリーがアランにすがりついた。
けど、時はすでに遅し。
2人の会話が再生された。
そして、それはとても冗談ととれるような内容ではなかったのだ。
幼い時から、気にくわない事があるとすぐに癇癪をおこしていたが、この年になっても変わっていないようだ。
ネーネは成長するにつれ、前妻そっくりになる私にイラついていた。
マリーは容姿だけが取り柄のバカだと嘲笑われ、私は天才の評判をたてられていたからだ。
やはり娼婦が産んだ娘は公爵令嬢が産んだ娘には勝てない。
ネーネはそう言われるのを怖れていたのだろう。
だから「女の子は賢いより可愛い方が価値がある」と必死に私達に言い含めていたのだ。
幼い時は何もわからなくて、自分の可愛げのなさが大嫌いだった。
けれど家を出て、アランと巡り会い私は変わったのだ。
「お黙りなさい。マリー」
声をはるとマリーのかぶっていたマントを勢いよくはぎとり、マリーの耳元に唇をよせる。
「それ以上言うと、名誉棄損で訴えてやるわ」
「こら! オリビア。
妹に向かってなんて事を言うんだ」
いつのまにか、私の隣にシャシャリでていた元お父様ががなりたてた。
なんてウザイんでしょう。
「もう私はシロトン公爵家の人間ではないのでしょ。
さっき、アナタからはっきりそう聞きましたわ。
だから、マリーは私の妹ではありません」
「父親に向かってその口の利き方はなんだ!」
「あら、元お父様でしょ」
ギリギリと音をたてて歯ぎしりをする元お父様に、私はおもいっきり優雅な微笑みを披露した。
「そっちこそ、私がバーネットに指示したという証拠を見せなさいよ。
もしそれができないなら、それこそ元お姉様を名誉棄損で訴えてやるわ」
マリーが顎をグイとあげた時だ。
「なんだかんだと言ってもオリビアの元妹だ。
穏便にすませようと考えていたが、そこまで言うのならわかった。
動かね証拠を披露してやる」
ツカツカと靴音をたてて、アランがこちらに近寄ってきたのは。
怒りのせいで潤んだアランの瞳は宝石以上に美しく、歩くと揺れる髪は絹糸のようにしなやかだ。
気品あふるアランの登場に、会場が息をのんだように静まりかえる。
「いきなりやってきて、ずいぶん偉そうじゃない。
大口をたたく前に先に名前をなのりなさいよ」
アランにしばらく見とれていたマリーがやっと声をだすと、ヒョイ様がマリーの口を大きな手でふさぎながら焦った声をだす。
「やめろ。
あの方はハミルトン王国の第2王子アラン様だ」
「あの大国の王子ですって?」
そう言うとマリーはずる賢そうな笑いを浮かべて、アランに向かって子猫もびっくりの甘ったるい声をだした。
「そんな怖い顔でマリーを見ないで欲しいの。
マリー泣いちゃうからね」
「悪いが、泣くのはこれを聞いてからにして欲しい。
ここにこれまでのマリー嬢とバーネット嬢の会話が録音されている」
アランは自身が開発した小型マイクを掲げながら、マリーを見据える。
さすがアランだわ。
マリーの行動を先読みして、バーネットにマイクを隠し持たせていたとは。
「ヒョイ様あ。マリーの為になんとか言ってくださいー」
「あー。そうだな。
申し訳ないがアラン王子。
私の婚約者への盗聴とは、えーと、そのう」
あきらかに格上に見えるアランを前にして、ヒョイ様はシドロモドロする。
「確かに少しやりすぎたようだ。
すまなかった。
この学園にいる妹がイジメられていると聞いて、犯人探しに躍起になっていたんだ」
「え? アラン様の妹?
それってどういう事ですか?」
頭のめぐりの悪いヒョイ様は額に指をおしあててしばらく悩んでいたが、突然ハッとしたように目を見開いた。
「まさか! ルネがアラン様の妹なのですか!」
「ああ。
ルネは私の大事な妹で、ここにいるオリビアは私の大事な婚約者なんだ。
先ほどの話だが、ここに録音された内容を再生してもいいだろうか。
怪しい会話でなければ、ヒョイ様の婚約者の無実の証明にもなるだろうし」
「なるほど。
私はマリーを信じている。
今すぐ再生して欲しい」
「わかった」
アランがマイクのスイッチに指をおいた瞬間、
「やめて!
私はただの冗談で言っただけなのに、本気にしたバーネットが悪いのよ」
真っ青な顔をしたマリーがアランにすがりついた。
けど、時はすでに遅し。
2人の会話が再生された。
そして、それはとても冗談ととれるような内容ではなかったのだ。
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