【完結】可愛くない私に価値はない、でしたよね。なのに今さらなんですか?

りんりん

文字の大きさ
57 / 61
5章 どうやら、可愛いは無敵じゃなかったようね

6、数年後のオリビア

しおりを挟む
 アイコン国へ移ってきてわりとすぐに、アランは小さな会社を立ち上げた。

   一流大学の研究員とはいえ、まだなんの成果もあげていないアランにはまともに研究予算がつかず、それならば自分で捻出しようとしたのがきっかけだ。

 会社の名前は「オリビアキッチン」。

 オリビアキッチンの最初の商品は、自動で生クリームをホイップする調理器具だ。

「以前君が欲しがっていた泡だて器が完成した。
 愛をこめて、オリビアにプレゼントする」

 少し照れたアランから商品を差し出された時は胸がキュンとした。

 泡だて器の底に魔石をはめこんだそれはボタン1つで動きだし、強、中、弱と力調整もできる優れもので、アッというまに人気商品に化ける。

 商品名は「ラブ」。

 アランはしっかり特許もとっていたので、「ラブ」は膨大な利益をオリビアキッチンにもたらせてくれたのだ。

 「ラブ」はマッシャー、掃除機とシリーズ化され、そのどれもが大ヒットをはなつ。

 ある日すっかり凄腕経営者となったアランに、私はファッションブランドを立ち上げる事を勧められたのだ。

「あのハギレファッションをブランド化するですって?」

 初めてその話を聞いた時は首を左右にふった。

 この国の貴婦人達の人気は一流デザイナーがつくる優雅なドレスだから、あれはカジュアル過ぎて売れないと直感したからだ。

「ハギレじゃなくてパッチワークと呼ぶんだ。
 それにルネだって、とても気にいっていただろう。
 そうだ。
 出来上がった商品はすべてルネに贈る事にしよう。
 ハミルトン王国の王女が着用しているなんて、これ以上の宣伝効果はないからな」

「それはルネが気に入ってくれた場合でしょ。
 今のルネは邸にいた時のルネじゃない。
 どんな贅沢なドレスも選り取り見取りなのよ。
 昔のように、継ぎはぎドレスを喜んで着るとは思えないわ。
 けど、アランがどうしてもやりたいなら協力は惜しまないけど」

 こんな風に渋々立ち上げたブランドだったけど、アランの思惑どおりアッというまに国中の女性のハートをつかんだのだ。

 ブランド名は「オリビアクローゼット」。

 洋服だけじゃなく、小物まで大人気となった「オリビアクローゼット」は法人化され、このたび私は
そこの代表取締役に就任した。

 この国初の女性取締役でもある。

「取締役ともなれば、これから危険も増えるだろう。
 もし、オリビアが誰かに襲われでもしたら僕は生きてゆけない。
 頼むから最高のボデイガードをつけてくれ」
 
「わかったわ」

 アランに懇願された私は、今その最終面接会場にいた。

「まさか、こんなに大勢の人が応募してくれるなんて予想外だったわ」

 隣に座る重役のミススミスに驚いてみせる。

「当たり前ですわ。
 今回のボデイーガードの待遇も破格ですから。
 社長が私達社員に優しすぎて、会社が倒産しないか心配ですわ」
と彼女は金髪の巻き毛をゆらせながら、笑顔で応じてくれた。

「そうならないように頑張るわね」

フフフと目を細めたと同時に扉がバタンと開き、その瞬間私は息をのんだ。

「受験番号1番。入ります」
 

 力強い声とともに現れた男がヒョイ様だったからだ。






 

 


 
 

 

 

 
 

 



 
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

矢車菊の花咲く丘で

六道イオリ/剣崎月
ファンタジー
ある日カサンドラは 墓地で怪我をした老人と見知らぬ男に遭遇した その老人から行方不明になった娘を探して欲しいと頼まれる 行方不明になった娘の行方を 墓地で会った見知らぬ男ことトリスタンを手下に加え娘の行方を追うことに―― 「そんなこともあったわね」 「はいはい、ありましたね、姫さま」 二人は小高い丘から青い花が咲く平原を眺める ※重複投稿※

おっさん武闘家、幼女の教え子達と十年後に再会、実はそれぞれ炎・氷・雷の精霊の王女だった彼女達に言い寄られつつ世界を救い英雄になってしまう

お餅ミトコンドリア
ファンタジー
 パーチ、三十五歳。五歳の時から三十年間修行してきた武闘家。  だが、全くの無名。  彼は、とある村で武闘家の道場を経営しており、〝拳を使った戦い方〟を弟子たちに教えている。  若い時には「冒険者になって、有名になるんだ!」などと大きな夢を持っていたものだが、自分の道場に来る若者たちが全員〝天才〟で、自分との才能の差を感じて、もう諦めてしまった。  弟子たちとの、のんびりとした穏やかな日々。  独身の彼は、そんな彼ら彼女らのことを〝家族〟のように感じており、「こんな毎日も悪くない」と思っていた。  が、ある日。 「お久しぶりです、師匠!」  絶世の美少女が家を訪れた。  彼女は、十年前に、他の二人の幼い少女と一緒に山の中で獣(とパーチは思い込んでいるが、実はモンスター)に襲われていたところをパーチが助けて、その場で数時間ほど稽古をつけて、自分たちだけで戦える力をつけさせた、という女の子だった。 「私は今、アイスブラット王国の〝守護精霊〟をやっていまして」  精霊を自称する彼女は、「ちょ、ちょっと待ってくれ」と混乱するパーチに構わず、ニッコリ笑いながら畳み掛ける。 「そこで師匠には、私たちと一緒に〝魔王〟を倒して欲しいんです!」  これは、〝弟子たちがあっと言う間に強くなるのは、師匠である自分の特殊な力ゆえ〟であることに気付かず、〝実は最強の実力を持っている〟ことにも全く気付いていない男が、〝実は精霊だった美少女たち〟と再会し、言い寄られ、弟子たちに愛され、弟子以外の者たちからも尊敬され、世界を救って英雄になってしまう物語。 (※第18回ファンタジー小説大賞に参加しています。 もし宜しければ【お気に入り登録】で応援して頂けましたら嬉しいです! 何卒宜しくお願いいたします!)

悪役令嬢の妹は復讐を誓う

影茸
恋愛
王子との婚約を冤罪によって破棄され、何もかも失った少女メイア・ストラード。 そしてその妹、アリアは絶望に嘆き悲しむ姉の姿を見て婚約を破棄した王子に復讐を誓う。

報われなかった姫君に、弔いの白い薔薇の花束を

さくたろう
恋愛
 その国の王妃を決める舞踏会に招かれたロザリー・ベルトレードは、自分が当時の王子、そうして現王アルフォンスの婚約者であり、不遇の死を遂げた姫オフィーリアであったという前世を思い出す。  少しずつ蘇るオフィーリアの記憶に翻弄されながらも、17年前から今世まで続く因縁に、ロザリーは絡め取られていく。一方でアルフォンスもロザリーの存在から目が離せなくなり、やがて二人は再び惹かれ合うようになるが――。 20話です。小説家になろう様でも公開中です。

婚約者はメイドに一目惚れしたようです~悪役になる決意をしたら幼馴染に異変アリ~

たんぽぽ
恋愛
両家の話し合いは円満に終わり、酒を交わし互いの家の繁栄を祈ろうとしていた矢先の出来事。 酒を運んできたメイドを見て小さく息を飲んだのは、たった今婚約が決まった男。 不運なことに、婚約者が一目惚れする瞬間を見てしまったカーテルチアはある日、幼馴染に「わたくし、立派な悪役になります」と宣言した。     

【完結】婚約者?勘違いも程々にして下さいませ

リリス
恋愛
公爵令嬢ヤスミーンには侯爵家三男のエグモントと言う婚約者がいた。 先日不慮の事故によりヤスミーンの両親が他界し女公爵として相続を前にエグモントと結婚式を三ヶ月後に控え前倒しで共に住む事となる。 エグモントが公爵家へ引越しした当日何故か彼の隣で、彼の腕に絡みつく様に引っ付いている女が一匹? 「僕の幼馴染で従妹なんだ。身体も弱くて余り外にも出られないんだ。今度僕が公爵になるって言えばね、是が非とも住んでいる所を見てみたいって言うから連れてきたんだよ。いいよねヤスミーンは僕の妻で公爵夫人なのだもん。公爵夫人ともなれば心は海の様に広い人でなければいけないよ」 はて、そこでヤスミーンは思案する。 何時から私が公爵夫人でエグモンドが公爵なのだろうかと。 また病気がちと言う従妹はヤスミーンの許可も取らず堂々と公爵邸で好き勝手に暮らし始める。 最初の間ヤスミーンは静かにその様子を見守っていた。 するとある変化が……。 ゆるふわ設定ざまああり?です。

【完結】婚約破棄はお受けいたしましょう~踏みにじられた恋を抱えて

ゆうぎり
恋愛
「この子がクラーラの婚約者になるんだよ」 お父様に連れられたお茶会で私は一つ年上のナディオ様に恋をした。 綺麗なお顔のナディオ様。優しく笑うナディオ様。 今はもう、私に微笑みかける事はありません。 貴方の笑顔は別の方のもの。 私には忌々しげな顔で、視線を向けても貰えません。 私は厭われ者の婚約者。社交界では評判ですよね。 ねぇナディオ様、恋は花と同じだと思いませんか? ―――水をやらなければ枯れてしまうのですよ。 ※ゆるゆる設定です。 ※名前変更しました。元「踏みにじられた恋ならば、婚約破棄はお受けいたしましょう」 ※多分誰かの視点から見たらハッピーエンド

【完結】気味が悪い子、と呼ばれた私が嫁ぐ事になりまして

まりぃべる
恋愛
フレイチェ=ボーハールツは両親から気味悪い子、と言われ住まいも別々だ。 それは世間一般の方々とは違う、畏怖なる力を持っているから。だが両親はそんなフレイチェを避け、会えば酷い言葉を浴びせる。 そんなフレイチェが、結婚してお相手の方の侯爵家のゴタゴタを収めるお手伝いをし、幸せを掴むそんなお話です。 ☆まりぃべるの世界観です。現実世界とは似ていますが違う場合が多々あります。その辺りよろしくお願い致します。 ☆現実世界にも似たような名前、場所、などがありますが全く関係ありません。 ☆現実にはない言葉(単語)を何となく意味の分かる感じで作り出している場合もあります。 ☆楽しんでいただけると幸いです。 ☆すみません、ショートショートになっていたので、短編に直しました。 ☆すみません読者様よりご指摘頂きまして少し変更した箇所があります。 話がややこしかったかと思います。教えて下さった方本当にありがとうございました!

処理中です...