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第三章
第13話 人間なんだから当然だろう
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目的地判明から体感で一、二時間。
ノエは荷台の脇にあった箱をごそごそして、「ほれ」と小さな包を私に差し出した。
「これなあに?」
「メシ」
「おおう! ありがとう!」
ノエ、準備が良い。もらった包を開けば中からサンドイッチが現れた。これはたまごサンドかな。鮮度は大丈夫か気になったけれど、要加熱ななまものは入っていないから大丈夫だろう。
「ラミア様のとこ着くまでは、極力ここから出ないようにするから」
「どのくらいで着くの?」
「うーん……馬だから明日の夜とかになるんじゃないかな」
「……トイレは?」
「……ああ、そういえば必要ね」
そう言ったノエは完全に忘れていたと言いたげな顔をしていた。え、吸血鬼ってトイレしないの?
と思ったけれど、食事量が極端に少なくて済むのだから回数だって少ないだろう。もしかしたら一日二日は余裕で我慢できるのかもしれない。
でもさあ、それをうら若き乙女に当てはめないでほしい。この荷台が馬で動いているっていうのが判明したわけだけど、馬だってトイレするじゃん。まさか馬まで吸血鬼的な何かだなんてことはないだろう。という前提で考えると、やっぱり生物とトイレを切り離して考えるってどうなのって思うわけですよ。
「まァ草むらでしてもらうってことで」
「待って、私女の子! そんなの無理無理無理!」
「そうでもなくない?」
「何百年前の話をしてるの!? 昔は平気だったかもしれないけど、私令和に生きてるの! しかも日本だよ! 日本のトイレは快適すぎることで世界的に有名なんだよ!」
「そんな自慢げに適応能力のなさを語るなよ」
ノエは呆れたように眉根を寄せると、「んー、極力どうにかする」と言って考えるように上を見上げた。その先にあるのは低い天井だけだから、特に何か見たいわけではないのだろう。
でもまあとりあえずトイレ事情はどうにかなりそうだ。極力、という言葉に引っかかりは覚えるものの、全く気を遣ってもらえないよりはいい。
急に訪れた変な沈黙の中、私はやっとたまごサンドに齧りついた。
§ § §
「――腰痛いよぉ」
荷台の中で過ごすこと一日とちょっと、私の腰は悲鳴を上げていた。
「寝っ転がってればいいだろ」
「……でもノエずっと起きてるじゃん」
「何、気ィ遣ってんの? 俺は大丈夫だよ、慣れてるから」
だから寝なさいというノエの言葉に甘えて、ずずずっと床に身体を預ける。ああ、ちょっと楽になった。
ノエはブランケットも用意してくれていたけれど、この薄さじゃ腰への負担軽減にはならない。ないよりマシだから文句を言うつもりはないけどね。ただ快適生活に慣れすぎた現代っ子にはこういう生活が厳しいだけで。
食事も二回目以降はパンがメインになった。傷まないものでないといけないからしょうがないだろう。レトルトなんてないだろうし、飲み物も水を必要最低限の量だけ。水はたくさん用意できないというよりはほら、そんな頻繁にお花摘みに行けないっていう事情がね。
その問題のトイレは、民家っぽいところのものをノエが借りてくれた。家主らしい吸血鬼の人がぼやーっとした顔をしていた理由は考えないようにしよう。なんかまた催眠とか洗脳とかっていう言葉が聞こえてきそうだし。
「多分あと二、三時間くらいで着くから、それまで寝ときな」
「今って夜?」
「いんや、昼間」
「……夜寝れなくなっちゃうよー」
寝て過ごせばすぐ着くのだろうけれど、生活リズムが狂うのはあまりよろしくない。ただでさえノクステルナは昼も夜も暗いのだ。うっかりすれば一日中夜だと思ってしまう。
「でもほたる、いつも昼寝してんのに夜寝てるだろ?」
「……なんで知ってんの?」
そんなことノエに話した覚えはないぞ。まさか隠しカメラでも仕掛けられていたんじゃないかと思って聞いてみれば、そういうわけではなかった。
ノストノクスにいた時のノエは、ラミア様のところと行ったり来たりしていたから忙しく、中々私と一緒にいる時間が取れなかった。なので時間ができたら昼夜問わず私の様子を見に来ていたらしいのだけど、部屋の中の気配で寝ていると分かった時は声をかけずに帰っていたらしい。
「声掛けてくれていいのに。ノエ忙しかったじゃん、私の都合なんてそこまで考えなくてもよかったんだよ?」
「そう思ったんだけど、吸血鬼ってあんま寝なくて平気なのよ。その感覚に慣れちゃってるから、どのくらいほたるの睡眠を妨げても大丈夫か分かんなくてさ」
「変なとこ気ぃ遣うんだね」
そっちを気遣えるならどうしてトイレは頭からすっぽ抜けていたのだろう。……でもノエだしな。結果的に配慮してもらえているのでまあいいや。
その後もノエとどうでもいい話をして、私は瞼が重くなっていくのを感じながら意識を手放した。
§ § §
お母さんが呼んでいる。低く屈んで、両手を広げて待ってくれている。
私は一生懸命走るけれど、なんだか凄く遅い。バランスが取りにくいし、地面もいつもより近い気がする。
やっとのことでお母さんの元に辿り着けば、ひょいっと軽々抱き上げられた。
『ほたる、すごいねー!』
何が凄いんだろう、ただ走ってきただけなのに。
でも不思議と私はとても嬉しくなって、口からはきゃっきゃっと高い声が零れた。
『ねぇ見て、ほたるってばもうこの距離を走れるのよ』
お母さんが動くと、抱っこされている私も動く。
お母さんが身体を向けた先には背の高い男の人がいて、私は自分の身体がきゅっと縮こまるのを感じた。
『人間なんだから当然だろう』
低い、懐かしい声。その人は無表情で私を見ている。
『そんなこと言わないの!』
お母さんが話しかければ、男の人はふっと表情を和らげた。
『ほら、あなたも抱っこしてあげて』
ああ、嫌だな。行きたくない。
それでもお母さんがずいと私を差し出すものだから、その人は言われたとおりに抱っこをする。お母さんよりも幾分か体温が低いのか、それとも思い込みか、触れたところがひんやりとした。
『……随分似ているな』
『そうでしょう、たまにこの子と私の子供の頃の写真並べてみるけど、そっくりすぎてびっくりしちゃう』
『それならまあいいか』
男の人の手が私の頭を撫でる。するとそれまで強張っていた身体がふっと緩んで、凄く安心するような気がした。
『見た目は私そっくりだけど、ふとした表情があなたそっくりよ』
『……へえ』
男の人はおかしそうに笑う。と言っても声を上げることはしないけれど。
『あら、ほたる眠そう』
『ならそっちに――』
『だめよ、たまにしか家にいないんだからパパの抱っこで寝させてあげて』
『……落としそうだ』
『落とさないでね。そうっと、守ってあげるの』
冷たい身体に包まれているのに、とても心地良い。もっとお母さんとお父さんの声を聞いていたいのに、自分の意識がどんどんそこから遠ざかっていく気がした。
§ § §
「――さっむ」
もぞもぞしながら目を開けると、見慣れない木製の床が目に入る。あれ、ここはどこだ?
「寝冷えってやつ?」
安心する声。ごしごし目をこすって声の方を見れば、そこにはノエがいた。
……ああ、そうか。移動中だった。
「そうかも。なんか小さい頃の夢見ちゃった……――寝言言ってなかったよね?」
「寝言は言ってないけど、顔が凄く緩んでた」
「いい夢だったんだよう」
いい夢、だったよね? 既に忘れかけている夢の内容を必死に思い出す。
多分あれは、まだ私が小さい頃。お父さんが珍しく家にいる時の夢だったんじゃないかな。ほとんど会えないからいつも最初は緊張しちゃって。でも頭を撫でてもらうと、ああお父さんだ、って思って凄く嬉しくなるんだ。
夢の中でひんやりしたのは実際に身体が冷えちゃったからだろうな。ぶるっと震えながら腕を擦ると、床と同じくらい冷たかった。
「寒いならこれも着てな」
そう言って、ノエは自分が着ていたジャケットを私に差し出す。男の人の服ってなんだか緊張するけれど、どきどきしながら肩にかけたらなんだか安心感があった。
「ノエってお父さんみたい」
「は!?」
お、珍しい顔。ノエがこんなに顔を歪めるのは初めて見る。
「なんかノエって安心するんだよね」
「……それは褒め言葉だよな?」
ノエはうーんと唸りながら、「お父さん……でもいい意味? ……だけどまだそんな歳じゃ……」なんてぶつぶつ言っている。いや、ノエはそんな歳通り越してもはやご先祖さまだよ。
ノエには言わないけれど、お父さんの夢を見たのはきっとこのせいなんだろうな。状況の影響もあるかもだけど、ノエは凄く安心する。子供扱いされるのは嫌なのに、それでも受け入れてしまうのはとても心地良いからだ。
こっそり笑いながらジャケットに顔を埋めると、ノエの匂いがした。不思議だな、確か前に従属種の人と会った時は、もっと嫌な血なまぐさい臭いがしたのに。ノエの匂いは香水とか洗剤とかそういう人工的な匂いではなくて、多分普通の男の人の匂い。でも普通の人と違うのは、この匂いは安心するということ。
やだ私、完全にノエのことお父さんだと思ってる。そんなことを考えていると、「あ、そうだ」といつもどおりの声が聞こえてきた。
「もう着くよ。準備は……特にいらないか」
「うん。私そんな寝てたんだ?」
「すやすやしておりましたとも」
よくよく考えると、私男の人の前で無防備に寝てるんだよね。ノエだって見た目は若いお兄さんなのだからこれは改めた方がいいのだろうか。
「ほれ、水でも飲みな。もうトイレの心配はいらないから」
うーん、これはお母さんだな?
ノエは荷台の脇にあった箱をごそごそして、「ほれ」と小さな包を私に差し出した。
「これなあに?」
「メシ」
「おおう! ありがとう!」
ノエ、準備が良い。もらった包を開けば中からサンドイッチが現れた。これはたまごサンドかな。鮮度は大丈夫か気になったけれど、要加熱ななまものは入っていないから大丈夫だろう。
「ラミア様のとこ着くまでは、極力ここから出ないようにするから」
「どのくらいで着くの?」
「うーん……馬だから明日の夜とかになるんじゃないかな」
「……トイレは?」
「……ああ、そういえば必要ね」
そう言ったノエは完全に忘れていたと言いたげな顔をしていた。え、吸血鬼ってトイレしないの?
と思ったけれど、食事量が極端に少なくて済むのだから回数だって少ないだろう。もしかしたら一日二日は余裕で我慢できるのかもしれない。
でもさあ、それをうら若き乙女に当てはめないでほしい。この荷台が馬で動いているっていうのが判明したわけだけど、馬だってトイレするじゃん。まさか馬まで吸血鬼的な何かだなんてことはないだろう。という前提で考えると、やっぱり生物とトイレを切り離して考えるってどうなのって思うわけですよ。
「まァ草むらでしてもらうってことで」
「待って、私女の子! そんなの無理無理無理!」
「そうでもなくない?」
「何百年前の話をしてるの!? 昔は平気だったかもしれないけど、私令和に生きてるの! しかも日本だよ! 日本のトイレは快適すぎることで世界的に有名なんだよ!」
「そんな自慢げに適応能力のなさを語るなよ」
ノエは呆れたように眉根を寄せると、「んー、極力どうにかする」と言って考えるように上を見上げた。その先にあるのは低い天井だけだから、特に何か見たいわけではないのだろう。
でもまあとりあえずトイレ事情はどうにかなりそうだ。極力、という言葉に引っかかりは覚えるものの、全く気を遣ってもらえないよりはいい。
急に訪れた変な沈黙の中、私はやっとたまごサンドに齧りついた。
§ § §
「――腰痛いよぉ」
荷台の中で過ごすこと一日とちょっと、私の腰は悲鳴を上げていた。
「寝っ転がってればいいだろ」
「……でもノエずっと起きてるじゃん」
「何、気ィ遣ってんの? 俺は大丈夫だよ、慣れてるから」
だから寝なさいというノエの言葉に甘えて、ずずずっと床に身体を預ける。ああ、ちょっと楽になった。
ノエはブランケットも用意してくれていたけれど、この薄さじゃ腰への負担軽減にはならない。ないよりマシだから文句を言うつもりはないけどね。ただ快適生活に慣れすぎた現代っ子にはこういう生活が厳しいだけで。
食事も二回目以降はパンがメインになった。傷まないものでないといけないからしょうがないだろう。レトルトなんてないだろうし、飲み物も水を必要最低限の量だけ。水はたくさん用意できないというよりはほら、そんな頻繁にお花摘みに行けないっていう事情がね。
その問題のトイレは、民家っぽいところのものをノエが借りてくれた。家主らしい吸血鬼の人がぼやーっとした顔をしていた理由は考えないようにしよう。なんかまた催眠とか洗脳とかっていう言葉が聞こえてきそうだし。
「多分あと二、三時間くらいで着くから、それまで寝ときな」
「今って夜?」
「いんや、昼間」
「……夜寝れなくなっちゃうよー」
寝て過ごせばすぐ着くのだろうけれど、生活リズムが狂うのはあまりよろしくない。ただでさえノクステルナは昼も夜も暗いのだ。うっかりすれば一日中夜だと思ってしまう。
「でもほたる、いつも昼寝してんのに夜寝てるだろ?」
「……なんで知ってんの?」
そんなことノエに話した覚えはないぞ。まさか隠しカメラでも仕掛けられていたんじゃないかと思って聞いてみれば、そういうわけではなかった。
ノストノクスにいた時のノエは、ラミア様のところと行ったり来たりしていたから忙しく、中々私と一緒にいる時間が取れなかった。なので時間ができたら昼夜問わず私の様子を見に来ていたらしいのだけど、部屋の中の気配で寝ていると分かった時は声をかけずに帰っていたらしい。
「声掛けてくれていいのに。ノエ忙しかったじゃん、私の都合なんてそこまで考えなくてもよかったんだよ?」
「そう思ったんだけど、吸血鬼ってあんま寝なくて平気なのよ。その感覚に慣れちゃってるから、どのくらいほたるの睡眠を妨げても大丈夫か分かんなくてさ」
「変なとこ気ぃ遣うんだね」
そっちを気遣えるならどうしてトイレは頭からすっぽ抜けていたのだろう。……でもノエだしな。結果的に配慮してもらえているのでまあいいや。
その後もノエとどうでもいい話をして、私は瞼が重くなっていくのを感じながら意識を手放した。
§ § §
お母さんが呼んでいる。低く屈んで、両手を広げて待ってくれている。
私は一生懸命走るけれど、なんだか凄く遅い。バランスが取りにくいし、地面もいつもより近い気がする。
やっとのことでお母さんの元に辿り着けば、ひょいっと軽々抱き上げられた。
『ほたる、すごいねー!』
何が凄いんだろう、ただ走ってきただけなのに。
でも不思議と私はとても嬉しくなって、口からはきゃっきゃっと高い声が零れた。
『ねぇ見て、ほたるってばもうこの距離を走れるのよ』
お母さんが動くと、抱っこされている私も動く。
お母さんが身体を向けた先には背の高い男の人がいて、私は自分の身体がきゅっと縮こまるのを感じた。
『人間なんだから当然だろう』
低い、懐かしい声。その人は無表情で私を見ている。
『そんなこと言わないの!』
お母さんが話しかければ、男の人はふっと表情を和らげた。
『ほら、あなたも抱っこしてあげて』
ああ、嫌だな。行きたくない。
それでもお母さんがずいと私を差し出すものだから、その人は言われたとおりに抱っこをする。お母さんよりも幾分か体温が低いのか、それとも思い込みか、触れたところがひんやりとした。
『……随分似ているな』
『そうでしょう、たまにこの子と私の子供の頃の写真並べてみるけど、そっくりすぎてびっくりしちゃう』
『それならまあいいか』
男の人の手が私の頭を撫でる。するとそれまで強張っていた身体がふっと緩んで、凄く安心するような気がした。
『見た目は私そっくりだけど、ふとした表情があなたそっくりよ』
『……へえ』
男の人はおかしそうに笑う。と言っても声を上げることはしないけれど。
『あら、ほたる眠そう』
『ならそっちに――』
『だめよ、たまにしか家にいないんだからパパの抱っこで寝させてあげて』
『……落としそうだ』
『落とさないでね。そうっと、守ってあげるの』
冷たい身体に包まれているのに、とても心地良い。もっとお母さんとお父さんの声を聞いていたいのに、自分の意識がどんどんそこから遠ざかっていく気がした。
§ § §
「――さっむ」
もぞもぞしながら目を開けると、見慣れない木製の床が目に入る。あれ、ここはどこだ?
「寝冷えってやつ?」
安心する声。ごしごし目をこすって声の方を見れば、そこにはノエがいた。
……ああ、そうか。移動中だった。
「そうかも。なんか小さい頃の夢見ちゃった……――寝言言ってなかったよね?」
「寝言は言ってないけど、顔が凄く緩んでた」
「いい夢だったんだよう」
いい夢、だったよね? 既に忘れかけている夢の内容を必死に思い出す。
多分あれは、まだ私が小さい頃。お父さんが珍しく家にいる時の夢だったんじゃないかな。ほとんど会えないからいつも最初は緊張しちゃって。でも頭を撫でてもらうと、ああお父さんだ、って思って凄く嬉しくなるんだ。
夢の中でひんやりしたのは実際に身体が冷えちゃったからだろうな。ぶるっと震えながら腕を擦ると、床と同じくらい冷たかった。
「寒いならこれも着てな」
そう言って、ノエは自分が着ていたジャケットを私に差し出す。男の人の服ってなんだか緊張するけれど、どきどきしながら肩にかけたらなんだか安心感があった。
「ノエってお父さんみたい」
「は!?」
お、珍しい顔。ノエがこんなに顔を歪めるのは初めて見る。
「なんかノエって安心するんだよね」
「……それは褒め言葉だよな?」
ノエはうーんと唸りながら、「お父さん……でもいい意味? ……だけどまだそんな歳じゃ……」なんてぶつぶつ言っている。いや、ノエはそんな歳通り越してもはやご先祖さまだよ。
ノエには言わないけれど、お父さんの夢を見たのはきっとこのせいなんだろうな。状況の影響もあるかもだけど、ノエは凄く安心する。子供扱いされるのは嫌なのに、それでも受け入れてしまうのはとても心地良いからだ。
こっそり笑いながらジャケットに顔を埋めると、ノエの匂いがした。不思議だな、確か前に従属種の人と会った時は、もっと嫌な血なまぐさい臭いがしたのに。ノエの匂いは香水とか洗剤とかそういう人工的な匂いではなくて、多分普通の男の人の匂い。でも普通の人と違うのは、この匂いは安心するということ。
やだ私、完全にノエのことお父さんだと思ってる。そんなことを考えていると、「あ、そうだ」といつもどおりの声が聞こえてきた。
「もう着くよ。準備は……特にいらないか」
「うん。私そんな寝てたんだ?」
「すやすやしておりましたとも」
よくよく考えると、私男の人の前で無防備に寝てるんだよね。ノエだって見た目は若いお兄さんなのだからこれは改めた方がいいのだろうか。
「ほれ、水でも飲みな。もうトイレの心配はいらないから」
うーん、これはお母さんだな?
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