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第八章
第54話 馬鹿じゃねーの?
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『――神納木ほたるが我らと共にあるべきだ』
話が大きすぎてついていけない。自分の育った環境のことを知って混乱しているところなのに、そんなこと言われたって理解できるはずがない。それに――。
「ノエは……? ノエだってスヴァインの子かもしれないって……!」
私が言うと、クラトスは嘲るように口角を上げた。
「確証がない。それにもしノエがスヴァインの子だとしても、ノストノクス側でもあることには変わりない。そんな奴に我らの主は務まらないだろう」
「確証がないって……じゃあ、嘘だったの……? ノエがスヴァインの子かもしれないって……ノストノクスのためじゃなくて、スヴァインのために動いてて……ラミア様達を……仲間を殺してしまうかもしれないって……」
「嘘じゃないさ。私は可能性の話をしただけなのだから」
嘘だ――クラトスの言葉を否定したくて、必死に記憶を辿る。
『私は、ノエはスヴァインの子だと考えている』
『今はノエがスヴァインの子だったら、という話をしているんだ』
『ノエが本当にスヴァインの子なら――』
ああ、駄目だ。どれだけ頭の中を漁っても、クラトスがノエをスヴァインの子だと断定せずに話していたことしか思い出せない。
『ノエにスヴァインの子であって欲しいと思うか?』
そうだ、ノエがスヴァインの子かもしれないと強く思い込んでしまったのは私だ。ノストノクスにとって私の価値はなくなってしまったかもしれないけれど、ノエがスヴァインの指示で私を守ってくれていたなら、私にはまだ価値がある――そう、思いたかったから。
ああ、どうしよう。これじゃあ私は何のために人間を辞めたんだろう。ノエに悲しい顔までさせて、なんて意味のないことをしてしまったんだろう。
「そういうことか」
ノエの低い声で思考の沼から引き上げられる。けれどその言葉は、私に向けられたものではなかった。
「なんでほたるが急に吸血鬼になる気になったのかいまいち分からなかったけど、アンタがこの子を追い詰めたのか」
「人聞きが悪いな。考えうる可能性を並べてやっただけだ」
「アンタにとって都合が良いものだけを、だろ? 俺がスヴァインの子? 馬鹿じゃねーの?」
ノエの声がどんどん強くなっていく。明らかに怒気を孕んで、クラトスの言葉を否定していく。
「だがお前の行動はその可能性を示唆するものばかりだ。ソロモンを殺したのもそうだろう。あれはどうやったんだ?」
「んなもん関係ねぇよ。俺がスヴァインにどれだけ腹立ててるか教えてやろうか? ――いや、今はアンタの方が腹立つわ。ほたるに適当なこと吹き込んで、人間辞めさせて、その上自分達と共にあるべきだ? 自分が権力握るためのお飾りにしたいだけだろうが!」
ノエの怒声が狭い空間に轟いた。紫色に染まった目は、彼が本気で怒っていることを表しているようで。「ノエ!」、エルシーさんがノエを宥めるように呼んだけれど、先に声を出したのはクラトスだった。
「それだけじゃないさ。お前が本当にスヴァインの子だとしても――神納木ほたるならお前を殺せる。スヴァイン本人は親殺しにあたるから無理だとしても、邪魔なお前を消すことができる」
「私が、ノエを……?」
何を言っているの――理解したくなくて思考が止まる。
「いい加減にしろ、クラトス! お前の都合にほたるを巻き込むな!」
「私の都合? 違う、この事態を招いたのはお前達だ! 同胞を殺すお前も、我々を裏切ったスヴァインも! このノクステルナには必要ない!」
クラトスの大きな声が部屋の壁を打ち付けた。肌に感じるびりびりとした振動は、反響した彼の声。
思わず身が竦んでしまうような怒声だったけれど、ノエの背中から感じた寒気が私をはっとさせる。静かに聞こえてきた「違うだろ」というノエの声は、それまでとは違ってずっと冷たかった。
「ノクステルナを先に裏切ったのはお前らだろ。罪人であるスヴァインに加担した時点で、お前は法を破ってる。法を破る裏切り者は全員始末する――それが俺の役割だ」
そう言うと、ノエがゆっくりと立ち上がった。
「ノエ、今回は全員殺す必要は――」
「『仲間割れを引き起こす原因となりうる者は全て消せ』っていうのがうちのボスの命令なんだよ」
「――……そうか」
エルシーさんはそれだけ言うと、悲しそうに目を伏せた。それが意味するものに気が付いて、私は思わずノエを見上げる。
ノエは、クラトスを殺そうとしている。
待って、そんなことしちゃ駄目だよ――そう言いたいのに言葉が出ない。ノエがエルシーさんに言った言葉が頭から離れない。
『仲間割れを引き起こす原因となりうる者は全て消せ』
それが、ノエの仕事。
だからノエは仲間を殺めていたんだ。仕事だから、あんなことができたんだ。そう思うと安心できるのに、なんだかやるせない。
ノエを見るエルシーさんの悲しげな顔は、彼女もまたノエが仕事で仲間を殺してしまうのは嫌だと思っているのだろうと感じさせるもので。私だって同じ気持ちだ。いくら仕事だからって、ノエにはこれ以上手を汚して欲しくない。
クラトスには騙されたけれど、それでも彼を殺していいとは思えない――そう伝えたいのに。
身体が、動かない。
「クラトス、お前はここで――ッ!?」
ノエの言葉が不自然に途切れる。驚いたように振り返った彼の顔は、私を見て更に驚愕に染まった。
「ほたる……!?」
ノエが信じられないとでも言いたげな顔をしている。
なんで? どうして? ――その答えは、すぐに分かった。
「よせ、ほたる!」
そう大声を上げるノエに伸ばした私の手は、見覚えのある凶暴な形をしていた。その手は私の意思から独立してしまったかのようにノエを狙う。
違う、手だけじゃない。全身がノエを傷つけようと狙っている。私の身体が、勝手に動く。
止めたいのに、止められない。
「スヴァイン……! ほたるに気付いたか……!」
忌々しげに吐き出したノエの目に映った私の瞳もまた、紫色に染まっていた。
「ノエ、ほたるは……!」
「多分スヴァインに操られてる! お前は早く逃げろ、エルシー!」
「だが……!」
「ほたるにお前を殺させるな!」
ノエが言うと、エルシーさんは悔しそうな顔をしてその場から姿を消した。
その間も私はノエに何度も何度も爪を振りかぶって、彼を傷つけようとしている。けれどその全てをノエが避けてしまうからなかなか当たらない。
振り下ろした右腕がノエに捕まれば、身体を無理矢理捻って左腕を。左腕も避けられれば、また右腕を。何度か頭の中に響いてきた嫌な音は、私の骨の軋む音。まるで太い木の枝を踏み折った時のような、何かが折れる感覚。
そのたびに、ノエが辛そうに顔を歪める。
「聞こえてるんだろ、スヴァイン! ほたるに無茶させるな! 嘘でも娘として育ててたんじゃないのか!?」
もう耐えきれないと言わんばかりに、ノエが悲痛な声を上げる。そんな想いさせたくないのに――頭の片隅で思うけれど、すぐにその思考は霧散した。
「『ほたるがこうなったのはお前のせいだろう?』」
私の口から、私の声が出た。当たり前のことなのに、けれどそれは私の言葉じゃなくて。
「何言って……!?」
「『ほたるの中の種子は休眠状態だった。澪の腹の中にいた時から、この年まで。このまま一生目覚めるはずはなかった』」
私の――スヴァインの言葉に、いつの間にか私の両腕を掴んでいたノエの顔が一層歪んだ。
「『それなのに急に目覚めたのはお前が刺激したからだ。他でもないお前が、俺に対抗しうる力で。なあ――』」
ぐっと顔をノエに近付けて、問う。
「『――お前は誰だ?』」
見開かれたノエの瞳に映る私は、感情のない顔をしていた。
「……知りたいのはそれだけか」
ノエが呟くと、私の口角がにぃっと上がる感覚がした。それを見たノエは顔を顰めて小さく悪態を吐いたかと思うと、紫色の瞳で私の目を射抜く。
「眠れ、ほたる」
途端、思考が停止する。身体の力が抜ける。元々私の意思では動いていなかったけれど、それすらも途切れてしまったように崩れ落ちた。
けれどノエが受け止めてくれたお陰で地面までは落ちなくて、ふわりと浮いた身体は彼の腕の中。
「ノエ……お前……」
クラトスの声が聞こえる。顔を向けたいのに、視線すら動かせない。頭もぼんやりとしていて、意識がどんどん遠のいていくのを感じた。
「お前……まさか……アイ――」
「うるせーよ」
シャラ……――微かに聞こえた細い鎖が揺れる音。視界が暗転する前に一瞬見えたその先には、懐中時計を持つノエの手があった。
話が大きすぎてついていけない。自分の育った環境のことを知って混乱しているところなのに、そんなこと言われたって理解できるはずがない。それに――。
「ノエは……? ノエだってスヴァインの子かもしれないって……!」
私が言うと、クラトスは嘲るように口角を上げた。
「確証がない。それにもしノエがスヴァインの子だとしても、ノストノクス側でもあることには変わりない。そんな奴に我らの主は務まらないだろう」
「確証がないって……じゃあ、嘘だったの……? ノエがスヴァインの子かもしれないって……ノストノクスのためじゃなくて、スヴァインのために動いてて……ラミア様達を……仲間を殺してしまうかもしれないって……」
「嘘じゃないさ。私は可能性の話をしただけなのだから」
嘘だ――クラトスの言葉を否定したくて、必死に記憶を辿る。
『私は、ノエはスヴァインの子だと考えている』
『今はノエがスヴァインの子だったら、という話をしているんだ』
『ノエが本当にスヴァインの子なら――』
ああ、駄目だ。どれだけ頭の中を漁っても、クラトスがノエをスヴァインの子だと断定せずに話していたことしか思い出せない。
『ノエにスヴァインの子であって欲しいと思うか?』
そうだ、ノエがスヴァインの子かもしれないと強く思い込んでしまったのは私だ。ノストノクスにとって私の価値はなくなってしまったかもしれないけれど、ノエがスヴァインの指示で私を守ってくれていたなら、私にはまだ価値がある――そう、思いたかったから。
ああ、どうしよう。これじゃあ私は何のために人間を辞めたんだろう。ノエに悲しい顔までさせて、なんて意味のないことをしてしまったんだろう。
「そういうことか」
ノエの低い声で思考の沼から引き上げられる。けれどその言葉は、私に向けられたものではなかった。
「なんでほたるが急に吸血鬼になる気になったのかいまいち分からなかったけど、アンタがこの子を追い詰めたのか」
「人聞きが悪いな。考えうる可能性を並べてやっただけだ」
「アンタにとって都合が良いものだけを、だろ? 俺がスヴァインの子? 馬鹿じゃねーの?」
ノエの声がどんどん強くなっていく。明らかに怒気を孕んで、クラトスの言葉を否定していく。
「だがお前の行動はその可能性を示唆するものばかりだ。ソロモンを殺したのもそうだろう。あれはどうやったんだ?」
「んなもん関係ねぇよ。俺がスヴァインにどれだけ腹立ててるか教えてやろうか? ――いや、今はアンタの方が腹立つわ。ほたるに適当なこと吹き込んで、人間辞めさせて、その上自分達と共にあるべきだ? 自分が権力握るためのお飾りにしたいだけだろうが!」
ノエの怒声が狭い空間に轟いた。紫色に染まった目は、彼が本気で怒っていることを表しているようで。「ノエ!」、エルシーさんがノエを宥めるように呼んだけれど、先に声を出したのはクラトスだった。
「それだけじゃないさ。お前が本当にスヴァインの子だとしても――神納木ほたるならお前を殺せる。スヴァイン本人は親殺しにあたるから無理だとしても、邪魔なお前を消すことができる」
「私が、ノエを……?」
何を言っているの――理解したくなくて思考が止まる。
「いい加減にしろ、クラトス! お前の都合にほたるを巻き込むな!」
「私の都合? 違う、この事態を招いたのはお前達だ! 同胞を殺すお前も、我々を裏切ったスヴァインも! このノクステルナには必要ない!」
クラトスの大きな声が部屋の壁を打ち付けた。肌に感じるびりびりとした振動は、反響した彼の声。
思わず身が竦んでしまうような怒声だったけれど、ノエの背中から感じた寒気が私をはっとさせる。静かに聞こえてきた「違うだろ」というノエの声は、それまでとは違ってずっと冷たかった。
「ノクステルナを先に裏切ったのはお前らだろ。罪人であるスヴァインに加担した時点で、お前は法を破ってる。法を破る裏切り者は全員始末する――それが俺の役割だ」
そう言うと、ノエがゆっくりと立ち上がった。
「ノエ、今回は全員殺す必要は――」
「『仲間割れを引き起こす原因となりうる者は全て消せ』っていうのがうちのボスの命令なんだよ」
「――……そうか」
エルシーさんはそれだけ言うと、悲しそうに目を伏せた。それが意味するものに気が付いて、私は思わずノエを見上げる。
ノエは、クラトスを殺そうとしている。
待って、そんなことしちゃ駄目だよ――そう言いたいのに言葉が出ない。ノエがエルシーさんに言った言葉が頭から離れない。
『仲間割れを引き起こす原因となりうる者は全て消せ』
それが、ノエの仕事。
だからノエは仲間を殺めていたんだ。仕事だから、あんなことができたんだ。そう思うと安心できるのに、なんだかやるせない。
ノエを見るエルシーさんの悲しげな顔は、彼女もまたノエが仕事で仲間を殺してしまうのは嫌だと思っているのだろうと感じさせるもので。私だって同じ気持ちだ。いくら仕事だからって、ノエにはこれ以上手を汚して欲しくない。
クラトスには騙されたけれど、それでも彼を殺していいとは思えない――そう伝えたいのに。
身体が、動かない。
「クラトス、お前はここで――ッ!?」
ノエの言葉が不自然に途切れる。驚いたように振り返った彼の顔は、私を見て更に驚愕に染まった。
「ほたる……!?」
ノエが信じられないとでも言いたげな顔をしている。
なんで? どうして? ――その答えは、すぐに分かった。
「よせ、ほたる!」
そう大声を上げるノエに伸ばした私の手は、見覚えのある凶暴な形をしていた。その手は私の意思から独立してしまったかのようにノエを狙う。
違う、手だけじゃない。全身がノエを傷つけようと狙っている。私の身体が、勝手に動く。
止めたいのに、止められない。
「スヴァイン……! ほたるに気付いたか……!」
忌々しげに吐き出したノエの目に映った私の瞳もまた、紫色に染まっていた。
「ノエ、ほたるは……!」
「多分スヴァインに操られてる! お前は早く逃げろ、エルシー!」
「だが……!」
「ほたるにお前を殺させるな!」
ノエが言うと、エルシーさんは悔しそうな顔をしてその場から姿を消した。
その間も私はノエに何度も何度も爪を振りかぶって、彼を傷つけようとしている。けれどその全てをノエが避けてしまうからなかなか当たらない。
振り下ろした右腕がノエに捕まれば、身体を無理矢理捻って左腕を。左腕も避けられれば、また右腕を。何度か頭の中に響いてきた嫌な音は、私の骨の軋む音。まるで太い木の枝を踏み折った時のような、何かが折れる感覚。
そのたびに、ノエが辛そうに顔を歪める。
「聞こえてるんだろ、スヴァイン! ほたるに無茶させるな! 嘘でも娘として育ててたんじゃないのか!?」
もう耐えきれないと言わんばかりに、ノエが悲痛な声を上げる。そんな想いさせたくないのに――頭の片隅で思うけれど、すぐにその思考は霧散した。
「『ほたるがこうなったのはお前のせいだろう?』」
私の口から、私の声が出た。当たり前のことなのに、けれどそれは私の言葉じゃなくて。
「何言って……!?」
「『ほたるの中の種子は休眠状態だった。澪の腹の中にいた時から、この年まで。このまま一生目覚めるはずはなかった』」
私の――スヴァインの言葉に、いつの間にか私の両腕を掴んでいたノエの顔が一層歪んだ。
「『それなのに急に目覚めたのはお前が刺激したからだ。他でもないお前が、俺に対抗しうる力で。なあ――』」
ぐっと顔をノエに近付けて、問う。
「『――お前は誰だ?』」
見開かれたノエの瞳に映る私は、感情のない顔をしていた。
「……知りたいのはそれだけか」
ノエが呟くと、私の口角がにぃっと上がる感覚がした。それを見たノエは顔を顰めて小さく悪態を吐いたかと思うと、紫色の瞳で私の目を射抜く。
「眠れ、ほたる」
途端、思考が停止する。身体の力が抜ける。元々私の意思では動いていなかったけれど、それすらも途切れてしまったように崩れ落ちた。
けれどノエが受け止めてくれたお陰で地面までは落ちなくて、ふわりと浮いた身体は彼の腕の中。
「ノエ……お前……」
クラトスの声が聞こえる。顔を向けたいのに、視線すら動かせない。頭もぼんやりとしていて、意識がどんどん遠のいていくのを感じた。
「お前……まさか……アイ――」
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