39 / 401
第2章 黒騎士と魔王
第39話 黒騎士、勇者に興味を持つ
しおりを挟む
「何?勇者殿が亡くなられた?」
その日、クルセイダーズのイーストウッド支所へ訪れた彼、黒曜の貴公子は驚くべき知らせを聞いた。
黒曜の貴公子……クルセイダーズの六光の騎士の一人である。
常に全身を黒い甲冑で身を包んでおり、それゆえ黒曜の貴公子と呼ばれている。
兜のフェイスガードを常に下ろしているため、その素顔を見たものは誰一人としていない。
本人の弁によれば、顔に醜い傷跡があるのでかくしているのだという。
「何でも、風刃の魔術師殿によれば、竜食いの英雄に暗殺されたと言う話です。」
彼と同じく六光の騎士である風刃の魔術師、ファル・A・シオンは勇者と共に竜食いの英雄の、とある疑惑について調査の任務についているという情報は、彼が他の支所を訪れた際に耳に入れていた。
「なるほど、あの英雄はとうとう馬脚を露わにしたという訳か。」
彼自身もファル同様、竜食いの英雄に疑いを持っていた。元々並外れた実力を持つ人物であることは彼も認識していた。しかし、度の過ぎた竜の討伐はクルセイダーズでも賛否両論あった。彼自身はその行為に対してはどちらかと言えば賛成していた。
彼自身も脅威は事前に摘み取ることを理念において活動している。その一方で急激に力を増大させたことに対しては懸念を持っていた。
「その竜食いの英雄なのですが……、新しい勇者殿によって倒されたというのです。」
「何と!早くも継承者が現れたというのか!しかも、竜食いの英雄を倒しただと!」
勇者が代替わりしただけではなく、竜食いの英雄が倒されてしまうとは、彼の予想を遙かに超えていた。
「何者なのだ、新しい勇者殿とは?」
「魔術師殿によれば、異国の人間だそうで、本人が言うには東の大国から出身だそうです。」
「東洋人だというのか、前代未聞だな。」
クルセイダーズの人間ならば、歴代の勇者のことはよく知っている。入団試験、昇進試験の問題としても出題されるほどだ。長い歴史の中で、老若男女、様々な人物が勇者なったとされていて、エルフや獣人が勇者になったことさえある。
しかし、それは同じ文化圏の中での話であって、他文化圏の人間が勇者になったのは前例がない。東の大国とは交流がずっとあったわけではなく、歴史の所々で交流が途絶えたりしている。
そういうわけもあってか、彼らの国では東国の人間を見かけることは滅多にない。例外はこの交易都市ぐらいだろう。それもまだ最近の三,四〇年ぐらいの実績でしかない。
「……会ってみたいものだな。その新世代の勇者殿に。」
その日、クルセイダーズのイーストウッド支所へ訪れた彼、黒曜の貴公子は驚くべき知らせを聞いた。
黒曜の貴公子……クルセイダーズの六光の騎士の一人である。
常に全身を黒い甲冑で身を包んでおり、それゆえ黒曜の貴公子と呼ばれている。
兜のフェイスガードを常に下ろしているため、その素顔を見たものは誰一人としていない。
本人の弁によれば、顔に醜い傷跡があるのでかくしているのだという。
「何でも、風刃の魔術師殿によれば、竜食いの英雄に暗殺されたと言う話です。」
彼と同じく六光の騎士である風刃の魔術師、ファル・A・シオンは勇者と共に竜食いの英雄の、とある疑惑について調査の任務についているという情報は、彼が他の支所を訪れた際に耳に入れていた。
「なるほど、あの英雄はとうとう馬脚を露わにしたという訳か。」
彼自身もファル同様、竜食いの英雄に疑いを持っていた。元々並外れた実力を持つ人物であることは彼も認識していた。しかし、度の過ぎた竜の討伐はクルセイダーズでも賛否両論あった。彼自身はその行為に対してはどちらかと言えば賛成していた。
彼自身も脅威は事前に摘み取ることを理念において活動している。その一方で急激に力を増大させたことに対しては懸念を持っていた。
「その竜食いの英雄なのですが……、新しい勇者殿によって倒されたというのです。」
「何と!早くも継承者が現れたというのか!しかも、竜食いの英雄を倒しただと!」
勇者が代替わりしただけではなく、竜食いの英雄が倒されてしまうとは、彼の予想を遙かに超えていた。
「何者なのだ、新しい勇者殿とは?」
「魔術師殿によれば、異国の人間だそうで、本人が言うには東の大国から出身だそうです。」
「東洋人だというのか、前代未聞だな。」
クルセイダーズの人間ならば、歴代の勇者のことはよく知っている。入団試験、昇進試験の問題としても出題されるほどだ。長い歴史の中で、老若男女、様々な人物が勇者なったとされていて、エルフや獣人が勇者になったことさえある。
しかし、それは同じ文化圏の中での話であって、他文化圏の人間が勇者になったのは前例がない。東の大国とは交流がずっとあったわけではなく、歴史の所々で交流が途絶えたりしている。
そういうわけもあってか、彼らの国では東国の人間を見かけることは滅多にない。例外はこの交易都市ぐらいだろう。それもまだ最近の三,四〇年ぐらいの実績でしかない。
「……会ってみたいものだな。その新世代の勇者殿に。」
0
あなたにおすすめの小説
ギャルい女神と超絶チート同盟〜女神に贔屓されまくった結果、主人公クラスなチート持ち達の同盟リーダーとなってしまったんだが〜
平明神
ファンタジー
ユーゴ・タカトー。
それは、女神の「推し」になった男。
見た目ギャルな女神ユーラウリアの色仕掛けに負け、何度も異世界を救ってきた彼に新たに下った女神のお願いは、転生や転移した者達を探すこと。
彼が出会っていく者たちは、アニメやラノベの主人公を張れるほど強くて魅力的。だけど、みんなチート的な能力や武器を持つ濃いキャラで、なかなか一筋縄ではいかない者ばかり。
彼らと仲間になって同盟を組んだユーゴは、やがて彼らと共に様々な異世界を巻き込む大きな事件に関わっていく。
その過程で、彼はリーダーシップを発揮し、新たな力を開花させていくのだった!
女神から貰ったバラエティー豊かなチート能力とチートアイテムを駆使するユーゴは、どこへ行ってもみんなの度肝を抜きまくる!
さらに、彼にはもともと特殊な能力があるようで……?
英雄、聖女、魔王、人魚、侍、巫女、お嬢様、変身ヒーロー、巨大ロボット、歌姫、メイド、追放、ざまあ───
なんでもありの異世界アベンジャーズ!
女神の使徒と異世界チートな英雄たちとの絆が紡ぐ、運命の物語、ここに開幕!
※不定期更新。最低週1回は投稿出来るように頑張ります。
※感想やお気に入り登録をして頂けますと、作者のモチベーションがあがり、エタることなくもっと面白い話が作れます。
裏切られ続けた負け犬。25年前に戻ったので人生をやり直す。当然、裏切られた礼はするけどね
竹井ゴールド
ファンタジー
冒険者ギルドの雑用として働く隻腕義足の中年、カーターは裏切られ続ける人生を送っていた。
元々は食堂の息子という人並みの平民だったが、
王族の継承争いに巻き込まれてアドの街の毒茸流布騒動でコックの父親が毒茸の味見で死に。
代わって雇った料理人が裏切って金を持ち逃げ。
父親の親友が融資を持ち掛けるも平然と裏切って借金の返済の為に母親と妹を娼館へと売り。
カーターが冒険者として金を稼ぐも、後輩がカーターの幼馴染に横恋慕してスタンピードの最中に裏切ってカーターは片腕と片足を損失。カーターを持ち上げていたギルマスも裏切り、幼馴染も去って後輩とくっつく。
その後は負け犬人生で冒険者ギルドの雑用として細々と暮らしていたのだが。
ある日、人ならざる存在が話しかけてきた。
「この世界は滅びに進んでいる。是正しなければならない。手を貸すように」
そして気付けは25年前の15歳にカーターは戻っており、二回目の人生をやり直すのだった。
もちろん、裏切ってくれた連中への返礼と共に。
エリクサーは不老不死の薬ではありません。~完成したエリクサーのせいで追放されましたが、隣国で色々助けてたら聖人に……ただの草使いですよ~
シロ鼬
ファンタジー
エリクサー……それは生命あるものすべてを癒し、治す薬――そう、それだけだ。
主人公、リッツはスキル『草』と持ち前の知識でついにエリクサーを完成させるが、なぜか王様に偽物と判断されてしまう。
追放され行く当てもなくなったリッツは、とりあえず大好きな草を集めていると怪我をした神獣の子に出会う。
さらには倒れた少女と出会い、疫病が発生したという隣国へ向かった。
疫病? これ飲めば治りますよ?
これは自前の薬とエリクサーを使い、聖人と呼ばれてしまった男の物語。
おっさん武闘家、幼女の教え子達と十年後に再会、実はそれぞれ炎・氷・雷の精霊の王女だった彼女達に言い寄られつつ世界を救い英雄になってしまう
お餅ミトコンドリア
ファンタジー
パーチ、三十五歳。五歳の時から三十年間修行してきた武闘家。
だが、全くの無名。
彼は、とある村で武闘家の道場を経営しており、〝拳を使った戦い方〟を弟子たちに教えている。
若い時には「冒険者になって、有名になるんだ!」などと大きな夢を持っていたものだが、自分の道場に来る若者たちが全員〝天才〟で、自分との才能の差を感じて、もう諦めてしまった。
弟子たちとの、のんびりとした穏やかな日々。
独身の彼は、そんな彼ら彼女らのことを〝家族〟のように感じており、「こんな毎日も悪くない」と思っていた。
が、ある日。
「お久しぶりです、師匠!」
絶世の美少女が家を訪れた。
彼女は、十年前に、他の二人の幼い少女と一緒に山の中で獣(とパーチは思い込んでいるが、実はモンスター)に襲われていたところをパーチが助けて、その場で数時間ほど稽古をつけて、自分たちだけで戦える力をつけさせた、という女の子だった。
「私は今、アイスブラット王国の〝守護精霊〟をやっていまして」
精霊を自称する彼女は、「ちょ、ちょっと待ってくれ」と混乱するパーチに構わず、ニッコリ笑いながら畳み掛ける。
「そこで師匠には、私たちと一緒に〝魔王〟を倒して欲しいんです!」
これは、〝弟子たちがあっと言う間に強くなるのは、師匠である自分の特殊な力ゆえ〟であることに気付かず、〝実は最強の実力を持っている〟ことにも全く気付いていない男が、〝実は精霊だった美少女たち〟と再会し、言い寄られ、弟子たちに愛され、弟子以外の者たちからも尊敬され、世界を救って英雄になってしまう物語。
(※第18回ファンタジー小説大賞に参加しています。
もし宜しければ【お気に入り登録】で応援して頂けましたら嬉しいです!
何卒宜しくお願いいたします!)
転落貴族〜千年に1人の逸材と言われた男が最底辺から成り上がる〜
ぽいづん
ファンタジー
ガレオン帝国の名門貴族ノーベル家の長男にして、容姿端麗、眉目秀麗、剣術は向かうところ敵なし。
アレクシア・ノーベル、人は彼のことを千年に1人の逸材と評し、第3皇女クレアとの婚約も決まり、順風満帆な日々だった
騎士学校の最後の剣術大会、彼は賭けに負け、1年間の期限付きで、辺境の国、ザナビル王国の最底辺ギルドのヘブンズワークスに入らざるおえなくなる。
今までの貴族の生活と正反対の日々を過ごし1年が経った。
しかし、この賭けは罠であった。
アレクシアは、生涯をこのギルドで過ごさなければいけないということを知る。
賭けが罠であり、仕組まれたものと知ったアレクシアは黒幕が誰か確信を得る。
アレクシアは最底辺からの成り上がりを決意し、復讐を誓うのであった。
小説家になろうにも投稿しています。
なろう版改稿中です。改稿終了後こちらも改稿します。
チート魔力はお金のために使うもの~守銭奴転移を果たした俺にはチートな仲間が集まるらしい~
桜桃-サクランボ-
ファンタジー
金さえあれば人生はどうにでもなる――そう信じている二十八歳の守銭奴、鏡谷知里。
交通事故で意識が朦朧とする中、目を覚ますと見知らぬ異世界で、目の前には見たことがないドラゴン。
そして、なぜか“チート魔力持ち”になっていた。
その莫大な魔力は、もともと自分が持っていた付与魔力に、封印されていた冒険者の魔力が重なってしまった結果らしい。
だが、それが不幸の始まりだった。
世界を恐怖で支配する集団――「世界を束ねる管理者」。
彼らに目をつけられてしまった知里は、巻き込まれたくないのに狙われる羽目になってしまう。
さらに、人を疑うことを知らない純粋すぎる二人と行動を共にすることになり、望んでもいないのに“冒険者”として動くことになってしまった。
金を稼ごうとすれば邪魔が入り、巻き込まれたくないのに事件に引きずられる。
面倒ごとから逃げたい守銭奴と、世界の頂点に立つ管理者。
本来交わらないはずの二つが、過去の冒険者の残した魔力によってぶつかり合う、異世界ファンタジー。
※小説家になろう・カクヨムでも更新中
※表紙:あニキさん
※ ※がタイトルにある話に挿絵アリ
※月、水、金、更新予定!
最上級のパーティで最底辺の扱いを受けていたDランク錬金術師は新パーティで成り上がるようです(完)
みかん畑
ファンタジー
最上級のパーティで『荷物持ち』と嘲笑されていた僕は、パーティからクビを宣告されて抜けることにした。
在籍中は僕が色々肩代わりしてたけど、僕を荷物持ち扱いするくらい優秀な仲間たちなので、抜けても問題はないと思ってます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる