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第2章 黒騎士と魔王
第56話 そろそろ、本気出す?
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「グヮバァアアア!」
利き腕を半ばから切り落としたにも関わらず、目の前の屍の戦士の勢いは止まることはなかった。片腕でも大斧を軽々と振り回している。
「しょうがない。あの技を使ってやるか!」
俺はあの日以来使っていなかった大技を使うことにした。今までこれを使うほどの強敵に出くわしていなかっただけだが、たまには使っとかないとコツを忘れちまう。
「奥義!」
腰だめの低姿勢になり、剣を逆手に持ち替える。
「必殺、光裂八刃!」
全身全霊の力を込めて、全身全霊の速さで、相手を切り刻む!
「ガ……!」
決まった!この技なら死体であろうと、不死身の体であろうと関係ない。相手は止まったままで動きを停止していた。
「ゴ……。」
短いうめき声を上げた後、斧の戦士はバラバラと切り口から崩れていった。
「よし!みんなはどうなってる!」
自分の相手が倒れたことを確認し、周囲の状況を確認する。まだ、一進一退の攻防を続けているようだ。そういえば、あの変態魔術師は何をしているんだろう。そう思って探してみると砦の端っこにあの娘が魔術師に追い詰められていた。急いで助けねば!
「くおらあ!待てえ!」
できる限りの大声を上げて、二人がいる場所に突撃した。すると、魔術師がこちらに気付いたようだ。
「むゥ!ト、トマホークはどうしタというのです!まさか、まさか、」
「あのデカブツのことか?バラバラにしてやったよ!」
「な、ナ、な、なんですトお!」
これでもか言わんばかりに、見事な顔芸とリアクションをする変態さん。ざまあみろ!
「よクも私のかわいい部下を!あなたには人の心トいうものがないンですか!」
人の心って!お前が言うなよ。この娘を物扱いしてたじゃないか。やっぱり変態だ。物の考え方が違う。頭の中のボタンが掛け違いになっているに違いない。何かがずれている。
「んんんんー、許るさーん、ですヨ!私の目的ヲ邪魔しちゃっテえ!」
さあ、コイツをどうしてやろうか?……とはいえ、この娘の安全も確保しなきゃ存分に戦えない。どうする?それに魔術師と戦うのは初めてだ。武器を使う戦士ならともかく、魔術師からどんな魔法を食らわされるかわからない。下手すりゃ、ワカラン殺しになるのはこっちのほうだ。
「あなたにハ死んでもらいマす!!」
変態さんが何かまた複雑で良くワカラン印をきりながら、何か集中し始めた。
「……ま、まさか、これはデス・クラウド!」
「へ?何?デス・くろうと?」
この娘は何をしようとしているかわかったようだが、魔法の名前を言われたくらいでは何のことかさっぱりわからない。驚いて青ざめている所を見ると、何かヤバイものであることは察することは出来た。……とはいえどう対処すればいいのかわからない。
「死んデおしまいなさイ!グッバイですヨ、デス・クラウド!」
何やら、黒いモヤモヤが変態の手の平からあふれ始めた。何コレ?
「と、とりあえず、逃げれば良いのか、コレ?」
「はい!その霧には触れたり、吸い込んだりしてはいけません!」
「やべえ、逃げねえと!」
とりあえず、付近に壁の崩れているところがあったので、そこから外へ出ることにした。娘の手を引きそこへ全力でダッシュした。
「いかん!そっちは……、」
何かサヨちゃんが引き留めるかのような声を発したが、もう止まることは出来なかった。止まったら、黒いモヤモヤに捕まってしまう。
「外に出たぞ、次は……、」
と言った瞬間、足下の地面の感覚が無くなった。こ、これは?
「落ちてるぅぅぅう!!!」
「きゃあああああ!!!」
また落ちるのか俺は。この前はヴァルの攻撃で地面が崩れたのだが、今回は自分のミスで落ちてしまった。しかも、あの時とは違い意識はハッキリしているので、絶望感がハンパない。こういうときは走馬灯が浮かぶのだろうが、今の俺は余計な思考が頭を巡っている。
もうだめっぽ
(バッシャアアアン!!!!)
利き腕を半ばから切り落としたにも関わらず、目の前の屍の戦士の勢いは止まることはなかった。片腕でも大斧を軽々と振り回している。
「しょうがない。あの技を使ってやるか!」
俺はあの日以来使っていなかった大技を使うことにした。今までこれを使うほどの強敵に出くわしていなかっただけだが、たまには使っとかないとコツを忘れちまう。
「奥義!」
腰だめの低姿勢になり、剣を逆手に持ち替える。
「必殺、光裂八刃!」
全身全霊の力を込めて、全身全霊の速さで、相手を切り刻む!
「ガ……!」
決まった!この技なら死体であろうと、不死身の体であろうと関係ない。相手は止まったままで動きを停止していた。
「ゴ……。」
短いうめき声を上げた後、斧の戦士はバラバラと切り口から崩れていった。
「よし!みんなはどうなってる!」
自分の相手が倒れたことを確認し、周囲の状況を確認する。まだ、一進一退の攻防を続けているようだ。そういえば、あの変態魔術師は何をしているんだろう。そう思って探してみると砦の端っこにあの娘が魔術師に追い詰められていた。急いで助けねば!
「くおらあ!待てえ!」
できる限りの大声を上げて、二人がいる場所に突撃した。すると、魔術師がこちらに気付いたようだ。
「むゥ!ト、トマホークはどうしタというのです!まさか、まさか、」
「あのデカブツのことか?バラバラにしてやったよ!」
「な、ナ、な、なんですトお!」
これでもか言わんばかりに、見事な顔芸とリアクションをする変態さん。ざまあみろ!
「よクも私のかわいい部下を!あなたには人の心トいうものがないンですか!」
人の心って!お前が言うなよ。この娘を物扱いしてたじゃないか。やっぱり変態だ。物の考え方が違う。頭の中のボタンが掛け違いになっているに違いない。何かがずれている。
「んんんんー、許るさーん、ですヨ!私の目的ヲ邪魔しちゃっテえ!」
さあ、コイツをどうしてやろうか?……とはいえ、この娘の安全も確保しなきゃ存分に戦えない。どうする?それに魔術師と戦うのは初めてだ。武器を使う戦士ならともかく、魔術師からどんな魔法を食らわされるかわからない。下手すりゃ、ワカラン殺しになるのはこっちのほうだ。
「あなたにハ死んでもらいマす!!」
変態さんが何かまた複雑で良くワカラン印をきりながら、何か集中し始めた。
「……ま、まさか、これはデス・クラウド!」
「へ?何?デス・くろうと?」
この娘は何をしようとしているかわかったようだが、魔法の名前を言われたくらいでは何のことかさっぱりわからない。驚いて青ざめている所を見ると、何かヤバイものであることは察することは出来た。……とはいえどう対処すればいいのかわからない。
「死んデおしまいなさイ!グッバイですヨ、デス・クラウド!」
何やら、黒いモヤモヤが変態の手の平からあふれ始めた。何コレ?
「と、とりあえず、逃げれば良いのか、コレ?」
「はい!その霧には触れたり、吸い込んだりしてはいけません!」
「やべえ、逃げねえと!」
とりあえず、付近に壁の崩れているところがあったので、そこから外へ出ることにした。娘の手を引きそこへ全力でダッシュした。
「いかん!そっちは……、」
何かサヨちゃんが引き留めるかのような声を発したが、もう止まることは出来なかった。止まったら、黒いモヤモヤに捕まってしまう。
「外に出たぞ、次は……、」
と言った瞬間、足下の地面の感覚が無くなった。こ、これは?
「落ちてるぅぅぅう!!!」
「きゃあああああ!!!」
また落ちるのか俺は。この前はヴァルの攻撃で地面が崩れたのだが、今回は自分のミスで落ちてしまった。しかも、あの時とは違い意識はハッキリしているので、絶望感がハンパない。こういうときは走馬灯が浮かぶのだろうが、今の俺は余計な思考が頭を巡っている。
もうだめっぽ
(バッシャアアアン!!!!)
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