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第2章 黒騎士と魔王
第69話 進撃!黒の兵団!!~タクティクス№7~
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「すまない。クロエ。」
敵から無様に投げ飛ばされた挙げ句、援護に回っていたクロエを傷つけてしまう結果となってしまった。
「……いえ、わ、わたくしは大したことは…ありませんわ。」
彼女は強がってはいるものの、立ち上がってくるのがやっとのようである。自らの錫杖に寄りかかり、苦痛に喘いでいた。デーモンとの戦いに備えるために神官戦士としての訓練は受けているが、元々華奢な体つきの彼女が、私の全体重を叩きつけられる目にあったのだ。ただでは済むまい。
「無理はせずとも良い。君は自らの回復に専念するのだ。あとは私やウネグ、ジェイで凌いでみせる。」
「ご迷惑を……お掛けします。イグレス様……。」
彼女の体は回復魔法の光に包まれていった。それで良い。私に任せてくれ。
……さて、ここで現在の状況を改めて確認してみる。状況的には最悪の事態だった。私が今まで経験した中でもワーストと言っても良かった。そして……下手をすればこれで最後となる可能性が高い。
「あはははは!」
あの娘……いや、もう魔王と言った方が正しいか?こちらに対して邪悪な笑みを浮かべ、無様な醜態を晒している我々を見て嘲り嗤っている。それぐらいに変質してしまっている。ああなってしまっては元の人格が残っているかは怪しい。
「悪魔退治専門だかなんだか知らないけれど、大したことないのね。これじゃ、お遊びにもならないわ。つまんないなあ!」
まるで本気を出し切れない事を悔しがっているようだな。この言葉が虚仮威しであることを願いたいところだが、そうではない可能性が高い。自分の想像する数倍の強さはあると見ておいたほうが良さそうだ。デーモンは侮ってはいけない。弱いと見せかけておいて、急に実力を見せつけ、絶望する様を楽しむのだ。それがデーモン!それが悪魔の本性なのだ!
「もしかして?怖じ気付いちゃってる?意気地がないねえ。私が本性を出していなかったときはあれだけ強気だったのにねえ!」
手の平を前に出し、黒いオーラを集中し始めている。暗黒波を放つつもりか!
「ウネグ、ジェイ!タクティクス№7だ!」
返事は帰ってこないが、二人が指示通りの体勢に入ろうとしているのがわかった。彼ら二人も私と同じ結論に至ったに違いない。こういう場面では波状攻撃を加え、相手に攻撃の隙を与えないことが肝心だ!
「あはは、無駄よ!」
暗黒波がこちらへ向けて放たれる。構わず相手へ突撃する。
「グロウイング・スラッシュ!」
光のオーラを纏った斬撃で暗黒波を迎撃する。高濃度の暗黒のエネルギーであろうと、剣に収束させた光の力で十分に分断できる。
(バチィ!!)
エネルギー同士がぶつかり合い、けたたましい破裂音が響き渡る!狙い通り暗黒波を無効化した。
「クッ!やるじゃない!」
「これ以上、お前の好きにはさせん!覚悟するがいい!」
私の声に呼応したように、ウネグが放った数本の矢が魔王に元に飛来する。
「このっ!」
魔王が飛来した矢を撥ね除けようとする。急いで矢逸らしの魔術を使ったようだが、二本が魔王の体を掠める。その痛みにわずかだが怯んだ素振りを見せた。この隙を見逃すわけにはいかない。
「覚悟するニャ!」
ジェイが矢継ぎ早にコンビネーションを繰り出す。突きと蹴りが容赦なく魔王を襲う。
「ぐっ……、あうっ……!!」
魔王はまともに攻撃を受けている。如何に力が強くとも、元はごく普通の魔術師の娘だ。格闘に対する対処が全く出来ていない。やはり接近戦は不得手と見える。
「ぐあっ!!」
ジェイは止めの一撃とばかりに、腹に蹴りを入れる。魔王はたまらず後ろへと後退した。だが、それでも容赦しない。この隙に私も攻撃を加える!
「グロウイング・スラッシュ!」
魔王に対し、袈裟懸けに閃光の一撃を加えた。ローブごと彼女の体を切り裂き、切り傷を閃光が焼く音が聞こえる。効果は絶大のようだ。
「悪いが、これで終わりにさせて貰う!」
閃光の一撃で怯んでいるうちに、最後の一撃、勇者の一撃で全てを終わらせる!魔王の力を完全に覚醒させる前に!
「くらえ!シャイニング・ガスト!!」
魔王に対し渾身の一撃を見舞う!そして、彼女の胸、心臓の部分を一気に閃光で貫いた。
「ぐわあああああっ!」
とどめの一撃を食らい、魔王は断末魔の悲鳴を上げる。そして、衝撃があまりにも強すぎたためか、砦の壁まで吹き飛び叩きつけられた。
「これでもう立ち上がることは出来まい。」
敵から無様に投げ飛ばされた挙げ句、援護に回っていたクロエを傷つけてしまう結果となってしまった。
「……いえ、わ、わたくしは大したことは…ありませんわ。」
彼女は強がってはいるものの、立ち上がってくるのがやっとのようである。自らの錫杖に寄りかかり、苦痛に喘いでいた。デーモンとの戦いに備えるために神官戦士としての訓練は受けているが、元々華奢な体つきの彼女が、私の全体重を叩きつけられる目にあったのだ。ただでは済むまい。
「無理はせずとも良い。君は自らの回復に専念するのだ。あとは私やウネグ、ジェイで凌いでみせる。」
「ご迷惑を……お掛けします。イグレス様……。」
彼女の体は回復魔法の光に包まれていった。それで良い。私に任せてくれ。
……さて、ここで現在の状況を改めて確認してみる。状況的には最悪の事態だった。私が今まで経験した中でもワーストと言っても良かった。そして……下手をすればこれで最後となる可能性が高い。
「あはははは!」
あの娘……いや、もう魔王と言った方が正しいか?こちらに対して邪悪な笑みを浮かべ、無様な醜態を晒している我々を見て嘲り嗤っている。それぐらいに変質してしまっている。ああなってしまっては元の人格が残っているかは怪しい。
「悪魔退治専門だかなんだか知らないけれど、大したことないのね。これじゃ、お遊びにもならないわ。つまんないなあ!」
まるで本気を出し切れない事を悔しがっているようだな。この言葉が虚仮威しであることを願いたいところだが、そうではない可能性が高い。自分の想像する数倍の強さはあると見ておいたほうが良さそうだ。デーモンは侮ってはいけない。弱いと見せかけておいて、急に実力を見せつけ、絶望する様を楽しむのだ。それがデーモン!それが悪魔の本性なのだ!
「もしかして?怖じ気付いちゃってる?意気地がないねえ。私が本性を出していなかったときはあれだけ強気だったのにねえ!」
手の平を前に出し、黒いオーラを集中し始めている。暗黒波を放つつもりか!
「ウネグ、ジェイ!タクティクス№7だ!」
返事は帰ってこないが、二人が指示通りの体勢に入ろうとしているのがわかった。彼ら二人も私と同じ結論に至ったに違いない。こういう場面では波状攻撃を加え、相手に攻撃の隙を与えないことが肝心だ!
「あはは、無駄よ!」
暗黒波がこちらへ向けて放たれる。構わず相手へ突撃する。
「グロウイング・スラッシュ!」
光のオーラを纏った斬撃で暗黒波を迎撃する。高濃度の暗黒のエネルギーであろうと、剣に収束させた光の力で十分に分断できる。
(バチィ!!)
エネルギー同士がぶつかり合い、けたたましい破裂音が響き渡る!狙い通り暗黒波を無効化した。
「クッ!やるじゃない!」
「これ以上、お前の好きにはさせん!覚悟するがいい!」
私の声に呼応したように、ウネグが放った数本の矢が魔王に元に飛来する。
「このっ!」
魔王が飛来した矢を撥ね除けようとする。急いで矢逸らしの魔術を使ったようだが、二本が魔王の体を掠める。その痛みにわずかだが怯んだ素振りを見せた。この隙を見逃すわけにはいかない。
「覚悟するニャ!」
ジェイが矢継ぎ早にコンビネーションを繰り出す。突きと蹴りが容赦なく魔王を襲う。
「ぐっ……、あうっ……!!」
魔王はまともに攻撃を受けている。如何に力が強くとも、元はごく普通の魔術師の娘だ。格闘に対する対処が全く出来ていない。やはり接近戦は不得手と見える。
「ぐあっ!!」
ジェイは止めの一撃とばかりに、腹に蹴りを入れる。魔王はたまらず後ろへと後退した。だが、それでも容赦しない。この隙に私も攻撃を加える!
「グロウイング・スラッシュ!」
魔王に対し、袈裟懸けに閃光の一撃を加えた。ローブごと彼女の体を切り裂き、切り傷を閃光が焼く音が聞こえる。効果は絶大のようだ。
「悪いが、これで終わりにさせて貰う!」
閃光の一撃で怯んでいるうちに、最後の一撃、勇者の一撃で全てを終わらせる!魔王の力を完全に覚醒させる前に!
「くらえ!シャイニング・ガスト!!」
魔王に対し渾身の一撃を見舞う!そして、彼女の胸、心臓の部分を一気に閃光で貫いた。
「ぐわあああああっ!」
とどめの一撃を食らい、魔王は断末魔の悲鳴を上げる。そして、衝撃があまりにも強すぎたためか、砦の壁まで吹き飛び叩きつけられた。
「これでもう立ち上がることは出来まい。」
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