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第3章 迷宮道中膝栗毛!!

第120話 開けて閉めて、開けて閉めたら入れない。

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「入り口と出口がないってそんなのありえるのかよ!」


 ファルちゃんの言ってることに納得がいかない。というより意味がわからない。入り口がなかったら、このダンジョンはどうやって作ったんだよ。


「あのさあ、卵が先か、鶏が先かみたいな話?」

「違う。別に哲学の話をしてるわけじゃない。」 


 ああそう。ソレでもなかったか。俺の思考がますます暗礁に乗り上げてしまったじゃないか!謎という無人島に漂着してしまいましたよ!


「全くなかったわけじゃない。」

「何が?」

「行き方のわからない謎のダンジョンの噂だ。この噂自体、熟練の冒険者の間でしか知られていない情報なんだがな。」


 行き方がわからないのに何故、噂があるのか?また、さっきの話になってしまう。もう、わけわからん!


「何時の頃からかは知らないが、古代文明の遺跡がそのダンジョンに存在してるって話だ。そこには莫大な金銀財宝が、っていかにもな尾ひれまで付いてくる。」

「お、お宝かよ!」


 やったぜ!レア・ダンジョンに辿り着いたのはラッキーだったのか?


「どこまでもおめでたいヤローだな、お前は。」

「むむう!」

「わすれたか?ここには出口がない。もし財宝を見つけたとしても、脱出が出来ない。財宝の中で溺死するようなもんだ。」


 そ、そんなわけあるか!なにか脱出する方法くらいあるはずだ。ゲンコツのおっちゃんが持ってたようなやつとか……。


「でも転移の魔法とか、脱出アイテムがあれば出られるんじゃないの?」

「できねーよ。あれはここみたいな、空間的に隔離された閉鎖空間からは脱出できない。ここはある意味、異次元空間だ。天界・魔界と似たようなもんだ。」

「い、異次元!?」


 色んな意味でヤベーところに来てしまったのか。みんなとはもう会えないのか?しかし、こんなヤツと運命を共にすることになるとは、ついてない。どうせなら、エルちゃんと一緒に来たかった。


「そうだよ!エルちゃんたちは一緒に来てないのか?」


 同じ転送トラップで飛ばされたので、同じダンジョンに来ている可能性もある。


「少なくとも、ここにはいない。結局の所は何もわからない。探索してみないことにはな。」

「とりあえず、探索するか。それ以外やりようがないし。」


 俺は覚悟を決め、謎のダンジョンの攻略にとりかかった。
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