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第3章 迷宮道中膝栗毛!!
第119話 謎の場所?
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「え、えーと。ひとまず落ち着いて、今の状況を把握しましょう。」
「う、うん。」
宝箱の罠でどこか別の場所に転送されてしまった私たちはなんとかこの状況を切り抜けようと足掻こうとしていた。
「私、ファルさん、ジュリアさんと事前調査でこのダンジョン入ったことがあるけど、ここは見覚えがないの。……どうしよう。」
「お、落ち着いて。たまたま足を踏み入れてない場所かもしれないから。……ち、地形探知の魔術を使ってみます。」
地形探知の魔術はあまり使ったことがないけれど、使ってみるしかなかった。魔術が発動して、頭の中に迷宮の立体地図が浮かび上がってきた。
「え、えーと……。」
慣れない感覚に戸惑いながら、今の場所、さっきまでいたところの位置関係を調べてみた。必死に転送前の場所を探してみても、なかなか見つからなかった。ひょっとしたら、大分遠い所へ飛ばされてしまったのかも。
「どう?わかりそう?」
不安げな表情を浮かべるメイちゃんの期待に応えてあげたかった。でも、急いで探知をしてみても、まだわからなかった。次第に自分の心も不安で満たされていく感じがした。
「……!?わかりました。」
見つけた!見つけたけど、これは……、
「どうだったの?」
「落ち着いて聞いてね。……ここはこの迷宮の下層階、地下9Fに当たる場所です。」
「……!?そ、そんな!」
説明しながら、声が震えてしまっていたことが自分でもわかるくらい、不安が心を支配していくのがわかった。
「下層階ということは立ち入り禁止区域……、封印指定エリアに来てしまったの!」
ファルさんから、全階の調査では封印指定エリア以外に立ち入ったという説明を聞いた。危険エリアには勇者様と一緒に行く予定だったみたい。ファルさんのような凄い魔術師でも慎重にならないといけないほど危険な場所らしい。
「しかも、9Fだなんて!」
この迷宮は地下10Fまであるらしい。そして、10Fにはかつて魔王が本拠を構えていた。その階層ではないけれど、今はそこに限りなく近い所にいるんだ……。
「どうしよう!無理だよ!私たちだけじゃ……、」
メイちゃんは泣き出してしまった。絶望的な状況を認識しちゃったんだ。この子もクルセイダーズの神官だから余計に、今どれだけ危険な状況なのかがわかっちゃったんだと思う。
「落ち着いて!メイちゃん!まだ、なんとかなるよ。慎重に行けば、外には必ず出られると思うから。」
自分も不安でしょうがなかったけど、自分を奮い立たせた。多分、勇者様が同じ状況にいたら、こうしていただろうということを思い浮かべて。
「絶対に二人で帰ろうね!約束だよ!」
メイちゃんの手を取って、決意した。帰ろう、必ず勇者様の元へ!
「う、うん。」
宝箱の罠でどこか別の場所に転送されてしまった私たちはなんとかこの状況を切り抜けようと足掻こうとしていた。
「私、ファルさん、ジュリアさんと事前調査でこのダンジョン入ったことがあるけど、ここは見覚えがないの。……どうしよう。」
「お、落ち着いて。たまたま足を踏み入れてない場所かもしれないから。……ち、地形探知の魔術を使ってみます。」
地形探知の魔術はあまり使ったことがないけれど、使ってみるしかなかった。魔術が発動して、頭の中に迷宮の立体地図が浮かび上がってきた。
「え、えーと……。」
慣れない感覚に戸惑いながら、今の場所、さっきまでいたところの位置関係を調べてみた。必死に転送前の場所を探してみても、なかなか見つからなかった。ひょっとしたら、大分遠い所へ飛ばされてしまったのかも。
「どう?わかりそう?」
不安げな表情を浮かべるメイちゃんの期待に応えてあげたかった。でも、急いで探知をしてみても、まだわからなかった。次第に自分の心も不安で満たされていく感じがした。
「……!?わかりました。」
見つけた!見つけたけど、これは……、
「どうだったの?」
「落ち着いて聞いてね。……ここはこの迷宮の下層階、地下9Fに当たる場所です。」
「……!?そ、そんな!」
説明しながら、声が震えてしまっていたことが自分でもわかるくらい、不安が心を支配していくのがわかった。
「下層階ということは立ち入り禁止区域……、封印指定エリアに来てしまったの!」
ファルさんから、全階の調査では封印指定エリア以外に立ち入ったという説明を聞いた。危険エリアには勇者様と一緒に行く予定だったみたい。ファルさんのような凄い魔術師でも慎重にならないといけないほど危険な場所らしい。
「しかも、9Fだなんて!」
この迷宮は地下10Fまであるらしい。そして、10Fにはかつて魔王が本拠を構えていた。その階層ではないけれど、今はそこに限りなく近い所にいるんだ……。
「どうしよう!無理だよ!私たちだけじゃ……、」
メイちゃんは泣き出してしまった。絶望的な状況を認識しちゃったんだ。この子もクルセイダーズの神官だから余計に、今どれだけ危険な状況なのかがわかっちゃったんだと思う。
「落ち着いて!メイちゃん!まだ、なんとかなるよ。慎重に行けば、外には必ず出られると思うから。」
自分も不安でしょうがなかったけど、自分を奮い立たせた。多分、勇者様が同じ状況にいたら、こうしていただろうということを思い浮かべて。
「絶対に二人で帰ろうね!約束だよ!」
メイちゃんの手を取って、決意した。帰ろう、必ず勇者様の元へ!
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