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第4章 勇者の剣と剣の巫女
第192話 めぐり会う運命
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「な、なんで、サヨちゃんの事を……?」
「ホッホッホッ!知っておるとも。」
ちょっと考えてみれば、別におかしい話ではないのだ。例え目の前にいる人物が歴史上の人物だったとしても。サヨちゃんは古竜だ。年齢も大体二千歳と言っていた。そんな長い時を生きていたのなら、この人と知り合いだったとしても矛盾はない。
「相変わらず、食い意地が張っておるのではないか?あの娘の舌が肥えてしまったのは、ある意味、儂の影響じゃ。儂自身食べることが趣味でな。あの娘も儂の真似事をし始めたというわけじゃ。」
「そういう関係なんすか?」
「儂を兄のように慕っておったぞ。お兄ちゃん、なんて儂を呼んでおったわ。かわいいもんじゃったぞ。ホッホッホッ!」
「お兄ちゃん!?」
俺の知っているサヨちゃんからは想像の出来ないセリフだ。サヨちゃんにもそういう可愛い時期があったなんて衝撃だ。
「儂に甘えっぱなしじゃったあの娘が、儂の後継者を教育するような立場になるとは。時代も変わるもんじゃのう。」
「はは……。俺はサヨちゃんに救われたようなもんですから、会ってなかったら、今頃どうなってたかわかんないっす。」
実際、会ってなかったら、八刃を使うことすら出来なかっただろう。下手すりゃ、すぐさま代替わりする羽目になっていたはず。
「お主が勇者になったこと、サヨに会ったことも決して偶然ではない。必然だったのじゃ。」
「必然……?」
これまでのことが偶然ではないと?とにかく勇者になってからは偶然の積み重ねばっかりだったようにも思える。それが必然だったとは思えない。いつもいつも分の悪い賭け事をしてギリギリなんとかなっているような気分なのだ。
「お主が一生懸命、誠実に生きてきた証拠じゃ。それ故、何が起きようと乗り越えられる。これまでも、これからも。」
「これからも?」
「今後、お主の前に更なる困難が待ち受けているじゃろう。詳しいことは言えぬが、魔王や宿敵の英雄、それ以外の者達と戦うことになる。」
「未来がわかるんすか?」
未来がわかるのか?それなら今後のことを教えて欲しい気もするが、ちょっと恐い。特に「それ以外の者達」というのが。一体何と戦うことになるのだろう?
「いずれお主も出来るようになる。特にお主自身の奥義を究める上で重要な意味を持つ。覚えておくがよい。」
八刃にはまだ伸び代があるっていうのか?それと未来予知がどういうつながりがあるんだろう。次は一体何を斬ることになるんだろう。
「自分自身の剣を手にすることが出来れば、お主はこれまで以上に強くなれるじゃろう。だが、その前にお主はまた大きな試練に立ち向かうことになる。」
「試練……?」
「だからといって、決して臆するではないぞ。自らの全てを持って立ち向かうのじゃ。さすれば、必ず道は開けるじゃろう。」
勇者王には未来が見えるようだが、なんで俺の、俺が元いた流派の奥義を知っているんだろう?これから来る未来よりもそこが気になった。
「アドバイスはこれくらいにしておこうか。これから起きる試練は“外からの脅威”、“剣の喪失”。特に剣については困難な事実に直面する事になる。鍵となるのは……ある娘の魂を救済してやる事じゃ。これ以上言うのは野暮じゃからやめておこう。」
“外からの脅威”に“剣の喪失”なんて不吉な物しか感じない。ヤバイ事だらけじゃないか。
「そろそろ、お別れじゃ。機会があればまた会うことになるじゃろう。さらばじゃ!」
途端に周りの景色が、人の姿が薄れていく。元の世界に戻ろうとしている。
「まさか、我が友の弟子筋が儂の後継者となるとは……これも運命か……?」
勇者王が消える直前に気になる一言を言った。我が友とは一体……?サヨちゃんの件といい、色んな因縁がありそうだ。
「ホッホッホッ!知っておるとも。」
ちょっと考えてみれば、別におかしい話ではないのだ。例え目の前にいる人物が歴史上の人物だったとしても。サヨちゃんは古竜だ。年齢も大体二千歳と言っていた。そんな長い時を生きていたのなら、この人と知り合いだったとしても矛盾はない。
「相変わらず、食い意地が張っておるのではないか?あの娘の舌が肥えてしまったのは、ある意味、儂の影響じゃ。儂自身食べることが趣味でな。あの娘も儂の真似事をし始めたというわけじゃ。」
「そういう関係なんすか?」
「儂を兄のように慕っておったぞ。お兄ちゃん、なんて儂を呼んでおったわ。かわいいもんじゃったぞ。ホッホッホッ!」
「お兄ちゃん!?」
俺の知っているサヨちゃんからは想像の出来ないセリフだ。サヨちゃんにもそういう可愛い時期があったなんて衝撃だ。
「儂に甘えっぱなしじゃったあの娘が、儂の後継者を教育するような立場になるとは。時代も変わるもんじゃのう。」
「はは……。俺はサヨちゃんに救われたようなもんですから、会ってなかったら、今頃どうなってたかわかんないっす。」
実際、会ってなかったら、八刃を使うことすら出来なかっただろう。下手すりゃ、すぐさま代替わりする羽目になっていたはず。
「お主が勇者になったこと、サヨに会ったことも決して偶然ではない。必然だったのじゃ。」
「必然……?」
これまでのことが偶然ではないと?とにかく勇者になってからは偶然の積み重ねばっかりだったようにも思える。それが必然だったとは思えない。いつもいつも分の悪い賭け事をしてギリギリなんとかなっているような気分なのだ。
「お主が一生懸命、誠実に生きてきた証拠じゃ。それ故、何が起きようと乗り越えられる。これまでも、これからも。」
「これからも?」
「今後、お主の前に更なる困難が待ち受けているじゃろう。詳しいことは言えぬが、魔王や宿敵の英雄、それ以外の者達と戦うことになる。」
「未来がわかるんすか?」
未来がわかるのか?それなら今後のことを教えて欲しい気もするが、ちょっと恐い。特に「それ以外の者達」というのが。一体何と戦うことになるのだろう?
「いずれお主も出来るようになる。特にお主自身の奥義を究める上で重要な意味を持つ。覚えておくがよい。」
八刃にはまだ伸び代があるっていうのか?それと未来予知がどういうつながりがあるんだろう。次は一体何を斬ることになるんだろう。
「自分自身の剣を手にすることが出来れば、お主はこれまで以上に強くなれるじゃろう。だが、その前にお主はまた大きな試練に立ち向かうことになる。」
「試練……?」
「だからといって、決して臆するではないぞ。自らの全てを持って立ち向かうのじゃ。さすれば、必ず道は開けるじゃろう。」
勇者王には未来が見えるようだが、なんで俺の、俺が元いた流派の奥義を知っているんだろう?これから来る未来よりもそこが気になった。
「アドバイスはこれくらいにしておこうか。これから起きる試練は“外からの脅威”、“剣の喪失”。特に剣については困難な事実に直面する事になる。鍵となるのは……ある娘の魂を救済してやる事じゃ。これ以上言うのは野暮じゃからやめておこう。」
“外からの脅威”に“剣の喪失”なんて不吉な物しか感じない。ヤバイ事だらけじゃないか。
「そろそろ、お別れじゃ。機会があればまた会うことになるじゃろう。さらばじゃ!」
途端に周りの景色が、人の姿が薄れていく。元の世界に戻ろうとしている。
「まさか、我が友の弟子筋が儂の後継者となるとは……これも運命か……?」
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