【第1部完結】勇者参上!!~東方一の武芸の名門から破門された俺は西方で勇者になって究極奥義無双する!~

Bonzaebon

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第4章 勇者の剣と剣の巫女

第203話 伝説のインフルエンサー

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「ごめんなさい!ちょっと遅れちゃいました!」


 待ち合わせの場所は剣の丘の神殿付近。ウチはある人に会うためにソード・ランにやってきた。偶然、知ってる人に会っちゃったから、少し時間に遅れてしまったんだ。


「いいわよ、ミャーコちゃん。ほんの少しだけだから。」


 ウチの憧れの人、エシャロットさん。今大人気のインフルエンサーでウチの師匠で恩人だ。


「むしろ、わざわざ来てもらってありがたいわ。故郷とはいえ、あまり来たくはなかったでしょうに。」

「いえ、大丈夫です!エシャロットさんのためならなんでもしますから!」

「ありがとう。そこまでしてもらえて、光栄だわ。」


 恩人のためなら、いくらでも体を張れる。悩んでいたウチを救い出してくれた。その恩に報いるためなら、なんだってやる。


「なんでこんなところにしたんですか?都会二比べたら、古臭くて何も魅力がないところですよ?」

「そんなことないわ。伝説の遺物があるというだけでも十分値打ちがあるわ。本当に何もないところには価値はないもの。」


 エシャロットさんは剣の丘の裏側に迫る、という名目で今回取材をすることにしたそう。一見、魅力に欠ける物でも、この人の手にかかれば、大いにバズること間違いなし!なにか魔法がかかったように魅力的になるんだ。ウチもそんなところに魅力を感じて、弟子にしてもらった。


「じゃあ、早速案内して貰おうかしら?一晩とはいえ、色々やることはあるからね。」

「はい!ウチに任せてください!」


 有名な遺物があるということで、夜間の警備体制もかなり厳重になってる。勇者王の剣は大きいから盗まれることはないだろうし、盗もうなんて考える人もいない。それなのに無駄に人工を割いている。昔からウチはずっと疑問に感じてた。こんな価値のない物に無駄なことをして何になるんだろう。


「ふふ。噂通りの厳重さね。これで捕まっても別の意味でバズるわね。」

「それ、バズるんじゃなくて、炎上するっていうのでは?」


 エシャロットさんはただのインフルエンサーじゃない。いわゆる義賊的なこともやっていて、悪いセレブや汚職してる役人達を暴くなんて事もやってる。影のヒーローで必要悪的な存在だ。


「ではいいかしら?手筈はこの前説明したとおり。アナタは中に入るための手伝いをしてくれるだけでいいから。」

「はい。でも本当に大丈夫ですか?ウチに出来ることがあれば、何でも言ってください。」


 ウチは神殿の身内だから、中には容易に入ることが出来る。関係者というか一族の人間じゃないと開かない扉がある。でもそういうのは一カ所しかない。要はそこさえ突破できれば、誰でも入れる。関係者じゃないエシャロットさんでも入れるようになる。


「気持ちだけでも頂いておくわ。私一人でも大丈夫。信じていて。必ず成功させてみせるわ。」

「じゃあ行きます。扉を開けますよ。」


 厳重にしてはいても隙がある。この扉は特定の人間にしか開けることは出来ないから。そのため、ここだけ手薄になっている。エシャロットさんが裏側を暴けば、警備の無駄とかが知れ渡ることになると思う。この行為は大きな一歩なんだ。世界にとっても、自分にとっても……。
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