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第4章 勇者の剣と剣の巫女
第206話 This is hopeless!(ノゾミガタタレター!)
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「えーい、起きぬか!このたわけ!」
目を覚ましたと思ったら、怒られている。見るとサヨちゃんが血相を変えて俺の体を布団の上から叩いている。
「えー、何だよ?朝っぱらから?」
こっちは勇者の先輩からありがたい助言を貰っていた所なんだぞ。文句があるならムーザに言って欲しい。
「大変なことになったんじゃ!いつまでも寝ている暇はないぞ!」
大変って何がだよ?もしかして、もう魔王がやってきたのか?その割には、あの独特なドス黒い気配を一切感じない。
「勇者王の剣が……、」
「剣が……?」
「剣が何者かによって破壊されてしまったのじゃ!」
「……!?」
“剣の喪失”ってこのことを言っていたのか、勇者王は。そんなバカな!あんなに大きな剣が壊されたって言うのか。壊そうとしてもビクともしなさそうな代物が壊されたなんて、想像が付かない。何が起きたんだ?
「早う、支度をせぬか!現場へ急行するぞ!」
「ああ、ちょっと待ってくれ。」
慌ただしい俺達を見て、猫親子は困惑していた。ジェイにまだ寝ているタニシのことを頼んで、俺達は神殿に向かった。
「何をしたらこんな風になるんだ……?」
勇者王の剣は見るも無惨な姿に変わり果てていた。昨日見たときは古代から存在している物とは思えないほど綺麗な刀身を保っていたのに、今ではその面影が感じられないほどボロボロに腐食している。何よりも衝撃的なのは剣が折れているということだ。
「今朝、警備の人間がやってきたときにはこのような有様だったそうじゃ。」
金属が経時劣化で錆びたりすることは別におかしいことじゃない。ちょっと錆びたりしたぐらいなら、研ぎ直せば新品のようになる。でも、今の勇者王の剣にはその希望すら見いだせない。折れた断面も全て腐食してしまっている。ずっと長い時間をかけて錆びたかのようだ。地中から発掘された状態がこれならわからなくもないが、昨日俺は綺麗な姿の剣を見た。この目で。
「まさかとは思うけど、これニセモノなんじゃね?本物とすり替えられて盗まれちゃった、とか?」
「それはない。例えそうだとして、どうやって偽物を持ち込み、本物を持ち出すのじゃ?例え魔法を用いても、無理な話じゃ。この区画にはセキュリティの都合で魔封じが施されておる。賊が神殿に入れたとしても、如何なる方法でも持ち出すことは事実上不可能じゃ。」
「そ、そんな!?じゃ、じゃあ……、」
「これは紛れもなく本物。本物が破壊されたと考える方が現実的じゃ。信じたくはないという気持ちもわからなくはないが。」
絶望だ。新しい剣を作るという希望が完全に絶たれてしまった。これからどうすればいいんだろう?
「問題が起きたのは実は剣だけではないんじゃ。」
「それはどういう意味?」
剣以外にも被害が出ているのか?神殿に入って来たときは特に異常は感じられなかったが……?
「神殿長のディーゲ・ヒーラジーロが殺害された。」
「……!?」
ディーゲさんが!あんなに人が良さそうなおじさんが殺されるなんて!そんなバカな。これじゃ泣きっ面にハチだ。
「剣の事もあるが、犯人について手掛かりをこれから探るつもりじゃ。エル坊にも来てもらうつもりじゃ。」
エルちゃんはタニシ達と同様に宿屋で待機して貰っていた。サヨちゃんが呼び寄せるということは死霊術でディーゲさんに直接聞くということなのだろう。
「一体、誰が……?」
もちろん、目星は付いていた。ムーザから聞いた話からすると、おそらく魔王が犯人だ。これからそいつとは勇者の剣なしでやり合うことになる。勝てるのだろうか、本当に?
目を覚ましたと思ったら、怒られている。見るとサヨちゃんが血相を変えて俺の体を布団の上から叩いている。
「えー、何だよ?朝っぱらから?」
こっちは勇者の先輩からありがたい助言を貰っていた所なんだぞ。文句があるならムーザに言って欲しい。
「大変なことになったんじゃ!いつまでも寝ている暇はないぞ!」
大変って何がだよ?もしかして、もう魔王がやってきたのか?その割には、あの独特なドス黒い気配を一切感じない。
「勇者王の剣が……、」
「剣が……?」
「剣が何者かによって破壊されてしまったのじゃ!」
「……!?」
“剣の喪失”ってこのことを言っていたのか、勇者王は。そんなバカな!あんなに大きな剣が壊されたって言うのか。壊そうとしてもビクともしなさそうな代物が壊されたなんて、想像が付かない。何が起きたんだ?
「早う、支度をせぬか!現場へ急行するぞ!」
「ああ、ちょっと待ってくれ。」
慌ただしい俺達を見て、猫親子は困惑していた。ジェイにまだ寝ているタニシのことを頼んで、俺達は神殿に向かった。
「何をしたらこんな風になるんだ……?」
勇者王の剣は見るも無惨な姿に変わり果てていた。昨日見たときは古代から存在している物とは思えないほど綺麗な刀身を保っていたのに、今ではその面影が感じられないほどボロボロに腐食している。何よりも衝撃的なのは剣が折れているということだ。
「今朝、警備の人間がやってきたときにはこのような有様だったそうじゃ。」
金属が経時劣化で錆びたりすることは別におかしいことじゃない。ちょっと錆びたりしたぐらいなら、研ぎ直せば新品のようになる。でも、今の勇者王の剣にはその希望すら見いだせない。折れた断面も全て腐食してしまっている。ずっと長い時間をかけて錆びたかのようだ。地中から発掘された状態がこれならわからなくもないが、昨日俺は綺麗な姿の剣を見た。この目で。
「まさかとは思うけど、これニセモノなんじゃね?本物とすり替えられて盗まれちゃった、とか?」
「それはない。例えそうだとして、どうやって偽物を持ち込み、本物を持ち出すのじゃ?例え魔法を用いても、無理な話じゃ。この区画にはセキュリティの都合で魔封じが施されておる。賊が神殿に入れたとしても、如何なる方法でも持ち出すことは事実上不可能じゃ。」
「そ、そんな!?じゃ、じゃあ……、」
「これは紛れもなく本物。本物が破壊されたと考える方が現実的じゃ。信じたくはないという気持ちもわからなくはないが。」
絶望だ。新しい剣を作るという希望が完全に絶たれてしまった。これからどうすればいいんだろう?
「問題が起きたのは実は剣だけではないんじゃ。」
「それはどういう意味?」
剣以外にも被害が出ているのか?神殿に入って来たときは特に異常は感じられなかったが……?
「神殿長のディーゲ・ヒーラジーロが殺害された。」
「……!?」
ディーゲさんが!あんなに人が良さそうなおじさんが殺されるなんて!そんなバカな。これじゃ泣きっ面にハチだ。
「剣の事もあるが、犯人について手掛かりをこれから探るつもりじゃ。エル坊にも来てもらうつもりじゃ。」
エルちゃんはタニシ達と同様に宿屋で待機して貰っていた。サヨちゃんが呼び寄せるということは死霊術でディーゲさんに直接聞くということなのだろう。
「一体、誰が……?」
もちろん、目星は付いていた。ムーザから聞いた話からすると、おそらく魔王が犯人だ。これからそいつとは勇者の剣なしでやり合うことになる。勝てるのだろうか、本当に?
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