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第4章 勇者の剣と剣の巫女
第209話 嘘か誠か
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「お父さん!」
巫女の捜索へ向かおうと決めた、そのとき、聞き覚えのある声が聞こえてきた。現れたのは意外や意外、遊び人だった。この前会ったときと同じく相変わらず派手で露出度の高い服装をしているので見間違えることはない。この場所には不似合いなコイツがなんでこんな所に来たんだ?
「そなた、今、何と言った?」
コイツは現れるなり耳を疑うような事を言った。まさか、そんなはずはない。さっき見た殺害犯の外見とはあまりにも違っているからだ。
「この人は……ウチの、ウチの……、お父さんだよ!」
うつむきがちな顔には涙が浮かんでいた。未だに信じられないが、ディーゲさんの身内だからこそ見せる表情なんだろう。目の前の現状に対しての正直な感情だろう。
「なあ、何かの間違いじゃないか?コイツと行方不明の巫女とではあまりにも見た目が違いすぎるぜ?」
「間違いではないのであろう。本人がそう言っているのであれば間違いなかろう。」
サヨちゃんは恐ろしく冷たい表情をしていた。こんな顔は見たことがない。さっきのことでまだ怒りが収まっていないのかもしれない。
「そなた、何故、ここへ戻ってきた?」
「何故って……、何か騒ぎがあったって聞いて……。それに何か胸騒ぎがしたから……。」
遊び人はその場に泣き崩れ、涙混じりに答えた。見ていて本当に痛々しい。こちらもつられて泣きそうになってしまう。
「そなた、自らの使命を投げ捨てて何をしておったのじゃ?」
「そんなこと……今はどうだっていいじゃない。」
「そんなこと、じゃと?そなたは巫女の使命をそんなことの一言で済ませるつもりなのか!」
サヨちゃんの感情は高ぶるばかりだった。気持ちはわからなくはないが、やり過ぎだ。
「使命を放棄した挙げ句、父親を殺害するとは、一体どんな了見じゃ!この親不孝者めが!」
「なんで?なんでウチが殺したことになってるの?おかしいよ!ウチは何もしてない!」
「死霊術で調査した故、そなたが犯人であることはわかっておる!魔王と通じておることもな!」
「どうして!そんなのウチは知らないよ!」
遊び人は必至の表情で訴えている。この姿を見る限り、とても嘘を言っているようには思えない。
「待ってくれ、サヨちゃん!やっぱり違うんじゃないのか?もっと詳しく調べてみるべきじゃないか?」
「何を申しておる!そなたは此奴の肩を持つと言うのか?」
「やっぱり、姿が違いすぎだろ!殺害犯はコイツみたいに髪の色は派手じゃなかった。黒髪だったじゃないか!」
「そんなもの、魔法でなんとでもなるわ!魔王と結託しておるならなおさらのことじゃ!」
話は平行線を辿るばかりだった。サヨちゃんは決して引き下がるつもりはないようだ。完全に遊び人を疑っているようだ。でも、その奥に怒り以外の感情もあるような気がする。何か、もっと深い感情があるようにも感じる。
「おうおう!えれえ修羅場になってやがるな!」
突然、周囲にどす黒いオーラが立ちこめた。あの時、エルちゃんを襲ったあのオーラに似ている!
「貴様!“暴虐の破壊者”か?」
「そうともよ!俺様がティーグ・ザカリオンだ!魔王様が直々に勇者をブッ殺しに来てやったぞ!」
そいつは巨大な虎が二本の足で立っているかの様な姿をしていた。虎の姿をした獣人……ディーゲさんの殺害現場にいた奴と同じだ。間違いない!コイツが殺害に関わっているのは間違いなさそうだ!
巫女の捜索へ向かおうと決めた、そのとき、聞き覚えのある声が聞こえてきた。現れたのは意外や意外、遊び人だった。この前会ったときと同じく相変わらず派手で露出度の高い服装をしているので見間違えることはない。この場所には不似合いなコイツがなんでこんな所に来たんだ?
「そなた、今、何と言った?」
コイツは現れるなり耳を疑うような事を言った。まさか、そんなはずはない。さっき見た殺害犯の外見とはあまりにも違っているからだ。
「この人は……ウチの、ウチの……、お父さんだよ!」
うつむきがちな顔には涙が浮かんでいた。未だに信じられないが、ディーゲさんの身内だからこそ見せる表情なんだろう。目の前の現状に対しての正直な感情だろう。
「なあ、何かの間違いじゃないか?コイツと行方不明の巫女とではあまりにも見た目が違いすぎるぜ?」
「間違いではないのであろう。本人がそう言っているのであれば間違いなかろう。」
サヨちゃんは恐ろしく冷たい表情をしていた。こんな顔は見たことがない。さっきのことでまだ怒りが収まっていないのかもしれない。
「そなた、何故、ここへ戻ってきた?」
「何故って……、何か騒ぎがあったって聞いて……。それに何か胸騒ぎがしたから……。」
遊び人はその場に泣き崩れ、涙混じりに答えた。見ていて本当に痛々しい。こちらもつられて泣きそうになってしまう。
「そなた、自らの使命を投げ捨てて何をしておったのじゃ?」
「そんなこと……今はどうだっていいじゃない。」
「そんなこと、じゃと?そなたは巫女の使命をそんなことの一言で済ませるつもりなのか!」
サヨちゃんの感情は高ぶるばかりだった。気持ちはわからなくはないが、やり過ぎだ。
「使命を放棄した挙げ句、父親を殺害するとは、一体どんな了見じゃ!この親不孝者めが!」
「なんで?なんでウチが殺したことになってるの?おかしいよ!ウチは何もしてない!」
「死霊術で調査した故、そなたが犯人であることはわかっておる!魔王と通じておることもな!」
「どうして!そんなのウチは知らないよ!」
遊び人は必至の表情で訴えている。この姿を見る限り、とても嘘を言っているようには思えない。
「待ってくれ、サヨちゃん!やっぱり違うんじゃないのか?もっと詳しく調べてみるべきじゃないか?」
「何を申しておる!そなたは此奴の肩を持つと言うのか?」
「やっぱり、姿が違いすぎだろ!殺害犯はコイツみたいに髪の色は派手じゃなかった。黒髪だったじゃないか!」
「そんなもの、魔法でなんとでもなるわ!魔王と結託しておるならなおさらのことじゃ!」
話は平行線を辿るばかりだった。サヨちゃんは決して引き下がるつもりはないようだ。完全に遊び人を疑っているようだ。でも、その奥に怒り以外の感情もあるような気がする。何か、もっと深い感情があるようにも感じる。
「おうおう!えれえ修羅場になってやがるな!」
突然、周囲にどす黒いオーラが立ちこめた。あの時、エルちゃんを襲ったあのオーラに似ている!
「貴様!“暴虐の破壊者”か?」
「そうともよ!俺様がティーグ・ザカリオンだ!魔王様が直々に勇者をブッ殺しに来てやったぞ!」
そいつは巨大な虎が二本の足で立っているかの様な姿をしていた。虎の姿をした獣人……ディーゲさんの殺害現場にいた奴と同じだ。間違いない!コイツが殺害に関わっているのは間違いなさそうだ!
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