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第4章 勇者の剣と剣の巫女
第227話 さぁ、盛り上がって参りました!
しおりを挟む「あーあ。三人も犠牲者が出たぜ。おっと!わすれちゃいけねえ、神殿のオッサンもいれりゃあ、四人だぜ。四人も犠牲を出した、勇者も大変だなあ、オイ!」
魔王というのはこんなにも嫌らしいヤツなのか?物理的な攻撃だけじゃなくて、精神的にも巧妙に追い詰めようとしてくる。本当に嫌な相手だ。
「霽月八刃!」
まだ無事な猫たちは魔王の行動に動揺している。その隙を見て全員斬り伏せた。そういう意味では都合は良かった。彼らの仲間の死が皮肉にも本人たちが救われる結果になった。俺がもっと早く倒せていたなら、こんな惨事を防げたのかもしれない。
「ちっ!使えねえ奴らだな!全滅しやがった。それじゃ、とっておきのヤツを使うしかねえなあ!」
とっておきがまだあるっていうのか!コイツのことだから、嫌がらせの類いに違いない。実力的に本気を出せば俺一人ぐらい余裕で倒せるはずなのに、そういうことをしない。魔王というのはどこまでも邪悪なのか?
「来い!おめぇの出番だ!」
「ニャゴァッ!!」
魔王の前に小さな人影が出てきた。誰だ?こんな小さなヤツはドラ猫一味にはいなかったはず?何者なんだ?
「人質ってのはよう、こういう使い方もあるんだぜ?こんなことを思いついちまうなんて、やっぱ俺様は天才だぜ!」
人質?……まさか!子猫なのか!信じられない。まるで人相が変わってしまっている。風貌が子供とは思えないほど凶悪になってしまっている。筋肉が盛り上がり、身長が少し伸びてさえいる。
「素質で言ったら、さっきのドラ猫どもよりよっぽど強いぜ、コイツぁ!ちょっと闇パワーを与えてやったら、この通り!結構、いい拾いモノをしてしまったぜ。まったく、ついてるな、俺ァ!」
前も同じことを目にした。邪悪な闇の力で恐ろしい姿に変貌してしまった人を!エルちゃんのときと同じだ!あのことを思い出すと心が痛む。
「ど、ど、ど、どうするでヤスかぁ!?」
タニシも動揺している。助ける対象から攻撃されるかもしれない。しかも、今の子猫ならタニシくらい軽く倒してしまうだろう。このままだとタニシには子猫の相手をしてもらうしかない。おそらく魔王は俺を全力で倒しに来るだろうから。
「さあ、最高潮の盛り上がりになってきたな!そろそろ、俺様の出番がやってきそうだからな。魔族界の大スター様のお出ましだ!」
魔王はボキボキと両拳の関節をならしながら、舌なめずりしている。予想通りやる気だ。
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