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第5章 完成!究極の超次元殺法!!

第260話 控え室にて

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「とうとう本番になってしまいましたね。」


 予選会も終わり、本戦進出者が揃ったことで、本戦が行われる段階になった。今日は本戦進出者のお披露目とAブロック第一回戦が行われる予定になっている。今は控え室で呼び出されるのを待っているところだ。


「エレオノーラ?緊張しているのかね?……それとも怖くなってきたか?」


 出場者お披露目の後は対戦者組み合わせ抽選会が行われる。つまり、今後どんな相手と戦うのかはまだ確定してない。相手がわからないもどかしさもあるけど、組み合わせ次第では今日は試合に出ないといけなくなる、ということで緊張も不安も両方あった。


「正直言うと恐いです。こんな大勢の人の前で戦うことになるので……。」


 控え室にいるとはいえ、大勢の人が集まっている事が良くわかる。なぜなら、大音響の歓声が地響きのようにここまで伝わってくるからだ。今まで自分は家に籠もっていたり、監禁されていたということもあって、全く経験したことのない世界だった。だから恐い。


「恐いか。もし少しでも無理だと思ったら、君だけ離脱してもらっても構わない。私は君をなし崩し的に参加させた責任がある。無理をさせるわけにもいかない。離脱したことで君が負い目を感じる必要はない。それに私は一人でも戦える。」

「でも……、」


 言いかけたところで、控え室のドアが開く気配がした。とうとう、呼び出しがかかったのかもしれない。私は恐る恐る扉の方に振り返った。


「これから本戦出場者様の紹介が始まります。ブラック・ロータスのお二人は一番手となります。」


 ブラック・ロータスとは私たちのチーム名。先生が蓮の花がお好きだということで、黒い蓮の花という意味を込めて、それをチーム名にしたのだそうだ。かっこいいので私は凄く気に入っている。


「行こうか?エレオノーラ。」

「はい!」


 大会運営の方に案内され、闘技場へと向かう。出口が近付くにつれ、歓声と自分の心臓の鼓動が大きくなる。


「我々が先頭を切ることになるとは縁起が良い。観客達の印象にも残りやすいだろう。その方が応援してもらう切っ掛けにもなるかもしれん。こういう場では状況さえも味方に付けることが重要だ。」


 自分の力だけじゃなくて、周りの人の力も借りる。でも、自分が知らない人からそんなことが出来るかどうかはわからない。他の人よりもやっぱり……彼の力を借りたいと思うのは我が儘なのかな?
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