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第5章 完成!究極の超次元殺法!!
第292話 備わりつつある力……。
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「……ん、ここは?」
気が付くと私は闘技場の医務室のベッドに横たわっていた。私は情けないことに試合中に気を失ってしまった。
「気が付いたようだな。」
声をかけられ、傍らに先生がいることに気が付いた。もしかして、私たちは試合に敗退してしまったのかもしれない!
「先生、ごめんなさい!私のせいで……。」
「何の事かな?」
先生は私が謝ろうとしている事柄に対して、うまくはぐらかそうとしていた。その時、私はあることに気が付いた。
「あなたは……?」
先生の側には小柄な女の子がいた。顔には見覚えがないけれど、服装、背格好には何か似た人を見た気がする。……まさか、この子は対戦相手の……、
「この娘は今日から私の弟子になった。それから、君のとなりのベッドの娘も同様だ。」
思わず後ろを振り向くととなりのベッドにも長身で細身の女性がいた。足に怪我をしているらしく、太ももには包帯が巻かれていた。
「そういう意味では、君の妹弟子ということになる。」
「妹……!?」
私が声を上げたと同時に目の前の子も同じ事を口走っていた。そのことに私はビックリしてしまった。目の前の子は戸惑いの中に少し怒りの感情を持っているように見える。
「こんな甘ちゃんが私の姉なものか!ボクに比べたら、こんなヤツ、素人同然だよ!」
「アタイも同感だね。自分より弱い以上は認めたくない。」
凄い嫌われようだ。仕様が無い。本当にさっきまで敵同士だったんだし……。私は目の前の子に殺されそうになった。彼女とは対照的に、私はこの子に対して、不思議と嫌悪感はなかった。どうしてだろう?でも、妹として見るのは……、私自身の過去のことがあるから、そういう風には見れそうにない。
「そういえば、私の体は大丈夫なのでしょうか?」
はっと我に返った。私は毒の影響で倒れたのだから。でも、影響がなさそうなのは直感でわかる。体には不快な感じや痛みなどは全くなかった。
「結論から言うと、毒の影響はない。賢者殿の見解では君自身の能力で毒が無効化されたようだ。」
「サヨさんが?」
見舞いに来てくれたんだろうか?気を失っていたので、何が起きていたのか全くわからないのは当然だった。
「うむ。賢者殿と回復術士の少女が君の元を訪れたのだ。賢者殿が君の体質について説明をしてくれたのだ。」
回復術士の少女?ジュリアさん?でも、あの方は前の試合で怪我をしているはず。他にいるとしたらメイちゃん?大武会が始まってから会ってはいないけれど、ファルさんの応援に来ているのかもしれない。多分、あの娘だと思う。
「君は闇の力が使える影響で、毒に耐性があるそうだ。普通ならば即死に近い効果を見せる毒が気絶させる程度の効果に弱めていたようだな。君が成長すればいずれは毒は無効化されてしまうだろうとも述べていた。」
「化け物じゃないか。」
先生の側の子が正直な感想を言う。私の心にはそれが深く刺さってしまった。でも、そう思われるのは当然かもしれない。コアがなくなったとはいえ、普通の人に比べると人間離れしているとは思う。
「反面、回復魔法が効かなくなる可能性があるそうだ。実際、回復術士の少女が君の回復を試みた際にそう感じたらしい。」
だんだん私の体が闇の力に浸食されている?それじゃ、まるで魔族のような体質になってるみたい。そうなると私はあの人の側にいるのはふさわしくないのではと思えてしまう。
「心配する必要は無い。君は邪悪な心を持っていないから魔族にはなり得ない。たまたま魔族と同じ体質を持っているだけだ。それに魔族同様、君の体には身体の再生能力が備わりつつあるそうだ。毒の無効化もその片鱗だ。」
再生をする能力?確かに怪我の治りは早くなっている様な気もする。ちょっとした怪我なら、その日中に治ってしまったこともあった。
「この話はこれくらいにしておこう。ゆっくり休んでくれ。それに君に渡さなければいけない物がある。」
先生は懐から一本の瓶を取り出した。何か見覚えがある。……これはサヨさんやタニシさんが好きな飲み物だ!
「あの男が見舞い代わりにこれを置いていった。薬ではないが、これを飲んで元気を出してくれ、とな。」
彼が持ってきてくれた?相変わらず、女の子に送る物としてはセンスがおかしいと思うけど、彼らしさが出ていた。不器用な彼なりにも気を使ってくれていることが、私には嬉しく思えた。
気が付くと私は闘技場の医務室のベッドに横たわっていた。私は情けないことに試合中に気を失ってしまった。
「気が付いたようだな。」
声をかけられ、傍らに先生がいることに気が付いた。もしかして、私たちは試合に敗退してしまったのかもしれない!
「先生、ごめんなさい!私のせいで……。」
「何の事かな?」
先生は私が謝ろうとしている事柄に対して、うまくはぐらかそうとしていた。その時、私はあることに気が付いた。
「あなたは……?」
先生の側には小柄な女の子がいた。顔には見覚えがないけれど、服装、背格好には何か似た人を見た気がする。……まさか、この子は対戦相手の……、
「この娘は今日から私の弟子になった。それから、君のとなりのベッドの娘も同様だ。」
思わず後ろを振り向くととなりのベッドにも長身で細身の女性がいた。足に怪我をしているらしく、太ももには包帯が巻かれていた。
「そういう意味では、君の妹弟子ということになる。」
「妹……!?」
私が声を上げたと同時に目の前の子も同じ事を口走っていた。そのことに私はビックリしてしまった。目の前の子は戸惑いの中に少し怒りの感情を持っているように見える。
「こんな甘ちゃんが私の姉なものか!ボクに比べたら、こんなヤツ、素人同然だよ!」
「アタイも同感だね。自分より弱い以上は認めたくない。」
凄い嫌われようだ。仕様が無い。本当にさっきまで敵同士だったんだし……。私は目の前の子に殺されそうになった。彼女とは対照的に、私はこの子に対して、不思議と嫌悪感はなかった。どうしてだろう?でも、妹として見るのは……、私自身の過去のことがあるから、そういう風には見れそうにない。
「そういえば、私の体は大丈夫なのでしょうか?」
はっと我に返った。私は毒の影響で倒れたのだから。でも、影響がなさそうなのは直感でわかる。体には不快な感じや痛みなどは全くなかった。
「結論から言うと、毒の影響はない。賢者殿の見解では君自身の能力で毒が無効化されたようだ。」
「サヨさんが?」
見舞いに来てくれたんだろうか?気を失っていたので、何が起きていたのか全くわからないのは当然だった。
「うむ。賢者殿と回復術士の少女が君の元を訪れたのだ。賢者殿が君の体質について説明をしてくれたのだ。」
回復術士の少女?ジュリアさん?でも、あの方は前の試合で怪我をしているはず。他にいるとしたらメイちゃん?大武会が始まってから会ってはいないけれど、ファルさんの応援に来ているのかもしれない。多分、あの娘だと思う。
「君は闇の力が使える影響で、毒に耐性があるそうだ。普通ならば即死に近い効果を見せる毒が気絶させる程度の効果に弱めていたようだな。君が成長すればいずれは毒は無効化されてしまうだろうとも述べていた。」
「化け物じゃないか。」
先生の側の子が正直な感想を言う。私の心にはそれが深く刺さってしまった。でも、そう思われるのは当然かもしれない。コアがなくなったとはいえ、普通の人に比べると人間離れしているとは思う。
「反面、回復魔法が効かなくなる可能性があるそうだ。実際、回復術士の少女が君の回復を試みた際にそう感じたらしい。」
だんだん私の体が闇の力に浸食されている?それじゃ、まるで魔族のような体質になってるみたい。そうなると私はあの人の側にいるのはふさわしくないのではと思えてしまう。
「心配する必要は無い。君は邪悪な心を持っていないから魔族にはなり得ない。たまたま魔族と同じ体質を持っているだけだ。それに魔族同様、君の体には身体の再生能力が備わりつつあるそうだ。毒の無効化もその片鱗だ。」
再生をする能力?確かに怪我の治りは早くなっている様な気もする。ちょっとした怪我なら、その日中に治ってしまったこともあった。
「この話はこれくらいにしておこう。ゆっくり休んでくれ。それに君に渡さなければいけない物がある。」
先生は懐から一本の瓶を取り出した。何か見覚えがある。……これはサヨさんやタニシさんが好きな飲み物だ!
「あの男が見舞い代わりにこれを置いていった。薬ではないが、これを飲んで元気を出してくれ、とな。」
彼が持ってきてくれた?相変わらず、女の子に送る物としてはセンスがおかしいと思うけど、彼らしさが出ていた。不器用な彼なりにも気を使ってくれていることが、私には嬉しく思えた。
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