【第1部完結】勇者参上!!~東方一の武芸の名門から破門された俺は西方で勇者になって究極奥義無双する!~

Bonzaebon

文字の大きさ
291 / 401
第5章 完成!究極の超次元殺法!!

第291話 五覇奥義、絶影百歩!!

しおりを挟む
(ギィン!!)


 二人の嵐のような攻撃が始まった。それぞれの長所を生かし、巧みに私を攻め立ててくる。外面的には憤っていたようだが、戦い自体は冷静そのものだ。相手を言葉で翻弄することにも長けている分、自らも翻弄されぬよう訓練されているようだな。


「フフ、いつまでもボク達の攻撃を凌げるとは思わない方がいいよ、オッサン!」


 小柄な方が私の気を引いている内に、長身な方が何やら細工を仕掛けてきていたようだ。気配を背後に感じる。


「ムウっ!?こ、これは?」


 私は突如動きを封じられた。体中に絡みつき、何か引っ張られているような感覚がある。これは……糸か?


「かかったね。アタイの蜘蛛の糸に!」

「糸とは言っても、良く切れるナイフ以上に鋭いからね!下手に動くと細切れになっちゃうよ!」


 やれやれ、もう勝ったつもりでいるようだ。暗殺者にあるまじき行為だ。普段とは違う場面なことで、油断したか?ここは一つ熱い灸を据えてやろう。


「貴様達は暗殺の裏技に長けているようだが、まだまだ知識が浅いようだ。世界には様々な流派がある。裏技もしかり、私の出身地、東洋にも独自の裏技があるという事を教えてやろう。」


 私は片腕だけ、糸から抜け出し自由に動かせるようにした。事前に警戒していた私は抜けやすいように細工をしておいたのだ。体の柔軟性も亡ければ出来ない芸当だが、縄抜けの応用でいくらでもやりようがある。すぐさま、背後にいる相手の死角を利用し、腿に指を突き刺した。


「ぎゃああああっ!」

「どうした!?何が起きた!」


 相手が動揺して糸を緩めたため、それを利用し完全に糸の束縛から逃れた。


「血管切り。東洋に伝わる裏技だ。しばらくは激痛でまともには動けまい。」

「クソッ!ふざけたことをっ!」


 小柄な方は瞬時に私から間合いを離し、身構えた。両手それぞれで自らの衣服の中に手を入れ、何かの準備をしている。


「これで死んじゃいなっ!!」


 瞬時に多数の飛刀を放ってきた。おそらく全てに毒でも仕込んであるに違いない。だが、こんなものは私の前では意味を成さない。


「一0八計が一つ!燕雀連攻!!」

(ピン!ピッ、ピッ、ピッ、ピッ、ピッ、ピッ、ピッ!)


 槍捌きで全ての飛刀を払い落とす。落下した飛刀の渇いた金属音が鳴り響く。全てが落ちる間もなく、私は次の行動に移った!


「五覇奥義、絶影百歩!!」

「き、消えた!?」


 私は彼女の前から姿を消した。瞬時に背後へと回ったのだ。絶影百歩……影を残さぬほどの速度で、遠い間合いからでも瞬時に間合いを詰める技だ。五覇奥義の修得は五覇の称号を持つ者には必須の技だ。例え一つであったとしても、習得は難しい。それ故、これらの奥義を知る者は流派内でもごく少数の人間しかいない。


「終わりだ。あまり長引かせると、貴様らを本当に殺してしまいかねんからな。」

「なっ!?」


 槍の石突きで殴打し、彼女の相棒の近くへと弾き飛ばした。すぐさま二人の元へと移動する。勝敗は決したとはいえ、まだやることがあるのだ。


「クソッ、負けた。たった一人のオッサン相手に!」

「もう、アタイらは終わりだ。こうなれば後は……むぐっ!?」


 私は彼女らの口へ手を入れた。あることを防ぐためだ。二人を同じ場所へ移動させたのはそのためだ。


「早まるな、若者よ!」

「……!?」


 双方とも驚きと戸惑いの表情を浮かべている。私の狙いに気付いたようだ。


「貴様らは暗殺者だ。しくじれば当然、生き延びたとしても、死を選ばなくてはいけない。私にはそうすることくらいは安易に予測できた。私も似たような身の上なのでな。」


 二人は歯に仕込んだ毒で自決を試みようとするのは予測していた。わかった上で阻止をしたかったのだ。私自身もそうだが、同じような若者が同様の理由で命を絶つ現状をいくつも見てきたから何としてでも、止めたかったのだ。


「死ぬな。貴様らはまだ死ぬには早すぎる。死ぬのならば、一度私にその命を預けてはくれないか?」


 彼女らの毒を手で取り除き、手を口から離した。その上で返答を待つ。


「当然、貴様らの命は必ず守ってみせる。組織の手が及ぶであろうことはわかっているからな。」

「うわあああぁん!!!!」


 小柄な方が泣き出した。ようやく年相応の顔を見せてくれた。やはり辛く、苦しかったのだろう。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

ギャルい女神と超絶チート同盟〜女神に贔屓されまくった結果、主人公クラスなチート持ち達の同盟リーダーとなってしまったんだが〜

平明神
ファンタジー
 ユーゴ・タカトー。  それは、女神の「推し」になった男。  見た目ギャルな女神ユーラウリアの色仕掛けに負け、何度も異世界を救ってきた彼に新たに下った女神のお願いは、転生や転移した者達を探すこと。  彼が出会っていく者たちは、アニメやラノベの主人公を張れるほど強くて魅力的。だけど、みんなチート的な能力や武器を持つ濃いキャラで、なかなか一筋縄ではいかない者ばかり。  彼らと仲間になって同盟を組んだユーゴは、やがて彼らと共に様々な異世界を巻き込む大きな事件に関わっていく。  その過程で、彼はリーダーシップを発揮し、新たな力を開花させていくのだった!  女神から貰ったバラエティー豊かなチート能力とチートアイテムを駆使するユーゴは、どこへ行ってもみんなの度肝を抜きまくる!  さらに、彼にはもともと特殊な能力があるようで……?  英雄、聖女、魔王、人魚、侍、巫女、お嬢様、変身ヒーロー、巨大ロボット、歌姫、メイド、追放、ざまあ───  なんでもありの異世界アベンジャーズ!  女神の使徒と異世界チートな英雄たちとの絆が紡ぐ、運命の物語、ここに開幕! ※不定期更新。最低週1回は投稿出来るように頑張ります。 ※感想やお気に入り登録をして頂けますと、作者のモチベーションがあがり、エタることなくもっと面白い話が作れます。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

捨て子の僕が公爵家の跡取り⁉~喋る聖剣とモフモフに助けられて波乱の人生を生きてます~

伽羅
ファンタジー
 物心がついた頃から孤児院で育った僕は高熱を出して寝込んだ後で自分が転生者だと思い出した。そして10歳の時に孤児院で火事に遭遇する。もう駄目だ! と思った時に助けてくれたのは、不思議な聖剣だった。その聖剣が言うにはどうやら僕は公爵家の跡取りらしい。孤児院を逃げ出した僕は聖剣とモフモフに助けられながら生家を目指す。

魔王を倒した勇者を迫害した人間様方の末路はなかなか悲惨なようです。

カモミール
ファンタジー
勇者ロキは長い冒険の末魔王を討伐する。 だが、人間の王エスカダルはそんな英雄であるロキをなぜか認めず、 ロキに身の覚えのない罪をなすりつけて投獄してしまう。 国民たちもその罪を信じ勇者を迫害した。 そして、処刑場される間際、勇者は驚きの発言をするのだった。

Sランク昇進を記念して追放された俺は、追放サイドの令嬢を助けたことがきっかけで、彼女が押しかけ女房のようになって困る!

仁徳
ファンタジー
シロウ・オルダーは、Sランク昇進をきっかけに赤いバラという冒険者チームから『スキル非所持の無能』とを侮蔑され、パーティーから追放される。 しかし彼は、異世界の知識を利用して新な魔法を生み出すスキル【魔学者】を使用できるが、彼はそのスキルを隠し、無能を演じていただけだった。 そうとは知らずに、彼を追放した赤いバラは、今までシロウのサポートのお陰で強くなっていたことを知らずに、ダンジョンに挑む。だが、初めての敗北を経験したり、その後借金を背負ったり地位と名声を失っていく。 一方自由になったシロウは、新な町での冒険者活動で活躍し、一目置かれる存在となりながら、追放したマリーを助けたことで惚れられてしまう。手料理を振る舞ったり、背中を流したり、それはまるで押しかけ女房だった! これは、チート能力を手に入れてしまったことで、無能を演じたシロウがパーティーを追放され、その後ソロとして活躍して無双すると、他のパーティーから追放されたエルフや魔族といった様々な追放少女が集まり、いつの間にかハーレムパーティーを結成している物語!

究極妹属性のぼっち少女が神さまから授かった胸キュンアニマルズが最強だった

盛平
ファンタジー
 パティは教会に捨てられた少女。パティは村では珍しい黒い髪と黒い瞳だったため、村人からは忌子といわれ、孤独な生活をおくっていた。この世界では十歳になると、神さまから一つだけ魔法を授かる事ができる。パティは神さまに願った。ずっと側にいてくれる友達をくださいと。  神さまが与えてくれた友達は、犬、猫、インコ、カメだった。友達は魔法でパティのお願いを何でも叶えてくれた。  パティは友達と一緒に冒険の旅に出た。パティの生活環境は激変した。パティは究極の妹属性だったのだ。冒険者協会の美人受付嬢と美女の女剣士が、どっちがパティの姉にふさわしいかケンカするし、永遠の美少女にも気に入られてしまう。  ぼっち少女の愛されまくりな旅が始まる。    

異世界転生したらたくさんスキルもらったけど今まで選ばれなかったものだった~魔王討伐は無理な気がする~

宝者来価
ファンタジー
俺は異世界転生者カドマツ。 転生理由は幼い少女を交通事故からかばったこと。 良いとこなしの日々を送っていたが女神様から異世界に転生すると説明された時にはアニメやゲームのような展開を期待したりもした。 例えばモンスターを倒して国を救いヒロインと結ばれるなど。 けれど与えられた【今まで選ばれなかったスキルが使える】 戦闘はおろか日常の役にも立つ気がしない余りものばかり。 同じ転生者でイケメン王子のレイニーに出迎えられ歓迎される。 彼は【スキル:水】を使う最強で理想的な異世界転生者に思えたのだが―――!? ※小説家になろう様にも掲載しています。

老衰で死んだ僕は異世界に転生して仲間を探す旅に出ます。最初の武器は木の棒ですか!? 絶対にあきらめない心で剣と魔法を使いこなします!

菊池 快晴
ファンタジー
10代という若さで老衰により病気で死んでしまった主人公アイレは 「まだ、死にたくない」という願いの通り異世界転生に成功する。  同じ病気で亡くなった親友のヴェルネルとレムリもこの世界いるはずだと アイレは二人を探す旅に出るが、すぐに魔物に襲われてしまう  最初の武器は木の棒!?  そして謎の人物によって明かされるヴェネルとレムリの転生の真実。  何度も心が折れそうになりながらも、アイレは剣と魔法を使いこなしながら 困難に立ち向かっていく。  チート、ハーレムなしの王道ファンタジー物語!  異世界転生は2話目です! キャラクタ―の魅力を味わってもらえると嬉しいです。  話の終わりのヒキを重要視しているので、そこを注目して下さい! ****** 完結まで必ず続けます ***** ****** 毎日更新もします *****  他サイトへ重複投稿しています!

処理中です...