【第1部完結】勇者参上!!~東方一の武芸の名門から破門された俺は西方で勇者になって究極奥義無双する!~

Bonzaebon

文字の大きさ
307 / 401
第5章 完成!究極の超次元殺法!!

第307話 見えない刃

しおりを挟む

「まずは手始めに……、」


 俺はつばぜり合いから逃れ、奇襲攻撃を仕掛けることにした。相手のペースに飲み込まれるわけにはいかないからだ。侍の強みは息もつかせないほどの怒濤の連撃であることが多い。こっちから攻め込んで、向こうに攻める機会を与えないようにしてやる!


「空隙の陣!!」


 つばぜり合いをすり抜け、横に回り込んだ俺は素早い一撃を見舞った。だが、当然のように侍は向きを変え、刀で受け止める。


「そちらから攻めてくるとは良い心がけだ。しかも、以前より攻撃が重くなっておる。新たな剣の手にした故か?」


 確かに自分専用の剣を手にしたことで、思うとおりの攻撃がやりやすくなった。力が入りやすいということが影響しているんだろう。相手からしてみれば、攻撃が重く感じたり、速かったりするんだろう。


「だが、拙者も鍛錬を怠っていたわけではない。迷宮を出てから、更なる力を求めたのだ!」


 剣を引き更なる攻撃を……と思ったが、剣が動かない。侍の刀から離せない。ピッタリとくっ付いているのだ。またか!マグネットなんとやらか!


「その力が磁石パワーってことか!」

「お主が逃れようとも、拙者の術中からは容易には抜けられぬ。」


 俺の作戦を早速封じてきた。だけど、俺だってそのまま術中にはまってやるわけにはいかない。


「霽月……、」

「剣を合わせたままで、剣を振るえるものか!」


 普通ならそうだろう。生憎、俺の剣は普通の剣じゃない。普通に振ってるだけだと、剣の形をした槌矛…メイスとかいう武器と大差ない。基本、刃が出るのは技の発動時のみ。やろうと思えば剣が動かせない状況でも可能なはずだ!


「……八刃!」

(バツン!!)

「ぬうう!?」


 技を発動させ、磁石の力から引き剥がす。刃が当たる状態なら、魔力とかのエネルギーが相手なら、霽月八刃で斬ることが出来る。さっきの槍にくっ付いたときは、剣の側面からくっ付いたので、引き剥がせなかったのだ。


「そうであった。お主の技は実体のない活力であろうと切断できるのであったな。忘れておったわ。しかも刃が見えぬ。やっかいな事よ!」


 基本的に一0八計を使うときは刃が見えない。いや、見えにくいと言った方が正しい。刃の部分を見ようとすると、蜃気楼みたいに視界が揺らめいているのが見えるのだ。よく見ないとわからないレベルだ。自分でも何回も試して、ようやくわかったくらいだ。普通は見えないだろう。


「勇者の技を行使した折りには刃が見えておったのにな。摩訶不思議なものよ。」


 その通り。どういう訳か、シャイニング・イレイザーを使うときは白い光の刃が見える。理屈はよくわからんけど。話している間にある程度の間合いをとる。また、磁石の技を使われたら困るからな。


「拙者も雷の力を存分に使わねば、お主に斬られるのは時間の問題であるな。」


 侍は刀をかざし、何らかの集中を始めた。すると次第に辺りが暗くなった。いきなり曇り始めた?天候が急変するとは何事だ?


「雷は魔力でも生み出せるが、雷雲を呼び寄せ自然の力も取り込めばより強くなる!」

(ガガァァァァァァン!!!!!!!)


 巨大な雷が侍を直撃した。でも何事もなかったかのようにピンピンしている。それどころか刀が大きく光り輝いていた。


「雷の魔術は屋外にて更なる力を発揮する。迷宮では本領を発揮出来ていなかったということだ。」


 侍は前傾の構えをとり、技の体勢に入った。これは雷の力で加速力を上げて、急速に間合いをを詰めるヤツだ!


「雷破滑走術!!」


 瞬時に俺の近くまで迫ってきた。どうやって切り抜ける?これは下手に迎撃すると、逆に押し通される!


「雷炎爆光覇!!!」


 極光を帯びた刀が俺に振り下ろされようとしていた。とんでもない速さのはずだが、動きは何故かスローモーションになっていた。


【……それはお主が考えることじゃ。いや……考えてもいかん。まあ、そういうことじゃ。】


 こんなときにジジイのあの一言が頭に浮かんだ。この技を切り抜けるには、そうするのが最善とでも言うのだろうか……。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

裏切られ続けた負け犬。25年前に戻ったので人生をやり直す。当然、裏切られた礼はするけどね

竹井ゴールド
ファンタジー
冒険者ギルドの雑用として働く隻腕義足の中年、カーターは裏切られ続ける人生を送っていた。 元々は食堂の息子という人並みの平民だったが、 王族の継承争いに巻き込まれてアドの街の毒茸流布騒動でコックの父親が毒茸の味見で死に。 代わって雇った料理人が裏切って金を持ち逃げ。 父親の親友が融資を持ち掛けるも平然と裏切って借金の返済の為に母親と妹を娼館へと売り。 カーターが冒険者として金を稼ぐも、後輩がカーターの幼馴染に横恋慕してスタンピードの最中に裏切ってカーターは片腕と片足を損失。カーターを持ち上げていたギルマスも裏切り、幼馴染も去って後輩とくっつく。 その後は負け犬人生で冒険者ギルドの雑用として細々と暮らしていたのだが。 ある日、人ならざる存在が話しかけてきた。 「この世界は滅びに進んでいる。是正しなければならない。手を貸すように」 そして気付けは25年前の15歳にカーターは戻っており、二回目の人生をやり直すのだった。 もちろん、裏切ってくれた連中への返礼と共に。 

エリクサーは不老不死の薬ではありません。~完成したエリクサーのせいで追放されましたが、隣国で色々助けてたら聖人に……ただの草使いですよ~

シロ鼬
ファンタジー
エリクサー……それは生命あるものすべてを癒し、治す薬――そう、それだけだ。 主人公、リッツはスキル『草』と持ち前の知識でついにエリクサーを完成させるが、なぜか王様に偽物と判断されてしまう。 追放され行く当てもなくなったリッツは、とりあえず大好きな草を集めていると怪我をした神獣の子に出会う。 さらには倒れた少女と出会い、疫病が発生したという隣国へ向かった。 疫病? これ飲めば治りますよ? これは自前の薬とエリクサーを使い、聖人と呼ばれてしまった男の物語。

チート魔力はお金のために使うもの~守銭奴転移を果たした俺にはチートな仲間が集まるらしい~

桜桃-サクランボ-
ファンタジー
金さえあれば人生はどうにでもなる――そう信じている二十八歳の守銭奴、鏡谷知里。 交通事故で意識が朦朧とする中、目を覚ますと見知らぬ異世界で、目の前には見たことがないドラゴン。 そして、なぜか“チート魔力持ち”になっていた。 その莫大な魔力は、もともと自分が持っていた付与魔力に、封印されていた冒険者の魔力が重なってしまった結果らしい。 だが、それが不幸の始まりだった。 世界を恐怖で支配する集団――「世界を束ねる管理者」。 彼らに目をつけられてしまった知里は、巻き込まれたくないのに狙われる羽目になってしまう。 さらに、人を疑うことを知らない純粋すぎる二人と行動を共にすることになり、望んでもいないのに“冒険者”として動くことになってしまった。 金を稼ごうとすれば邪魔が入り、巻き込まれたくないのに事件に引きずられる。 面倒ごとから逃げたい守銭奴と、世界の頂点に立つ管理者。 本来交わらないはずの二つが、過去の冒険者の残した魔力によってぶつかり合う、異世界ファンタジー。 ※小説家になろう・カクヨムでも更新中 ※表紙:あニキさん ※ ※がタイトルにある話に挿絵アリ ※月、水、金、更新予定!

少し冷めた村人少年の冒険記

mizuno sei
ファンタジー
 辺境の村に生まれた少年トーマ。実は日本でシステムエンジニアとして働き、過労死した三十前の男の生まれ変わりだった。  トーマの家は貧しい農家で、神から授かった能力も、村の人たちからは「はずれギフト」とさげすまれるわけの分からないものだった。  優しい家族のために、自分の食い扶持を減らそうと家を出る決心をしたトーマは、唯一無二の相棒、「心の声」である〈ナビ〉とともに、未知の世界へと旅立つのであった。

スーパーの店長・結城偉介 〜異世界でスーパーの売れ残りを在庫処分〜

かの
ファンタジー
 世界一周旅行を夢見てコツコツ貯金してきたスーパーの店長、結城偉介32歳。  スーパーのバックヤードで、うたた寝をしていた偉介は、何故か異世界に転移してしまう。  偉介が転移したのは、スーパーでバイトするハル君こと、青柳ハル26歳が書いたファンタジー小説の世界の中。  スーパーの過剰商品(売れ残り)を捌きながら、微妙にズレた世界線で、偉介の異世界一周旅行が始まる!  冒険者じゃない! 勇者じゃない! 俺は商人だーーー! だからハル君、お願い! 俺を戦わせないでください!

(完結)魔王討伐後にパーティー追放されたFランク魔法剣士は、超レア能力【全スキル】を覚えてゲスすぎる勇者達をザマアしつつ世界を救います

しまうま弁当
ファンタジー
魔王討伐直後にクリードは勇者ライオスからパーティーから出て行けといわれるのだった。クリードはパーティー内ではつねにFランクと呼ばれ戦闘にも参加させてもらえず場美雑言は当たり前でクリードはもう勇者パーティーから出て行きたいと常々考えていたので、いい機会だと思って出て行く事にした。だがラストダンジョンから脱出に必要なリアーの羽はライオス達は分けてくれなかったので、仕方なく一階層づつ上っていく事を決めたのだった。だがなぜか後ろから勇者パーティー内で唯一のヒロインであるミリーが追いかけてきて一緒に脱出しようと言ってくれたのだった。切羽詰まっていると感じたクリードはミリーと一緒に脱出を図ろうとするが、後ろから追いかけてきたメンバーに石にされてしまったのだった。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

処理中です...