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第5章 完成!究極の超次元殺法!!
第307話 見えない刃
しおりを挟む「まずは手始めに……、」
俺はつばぜり合いから逃れ、奇襲攻撃を仕掛けることにした。相手のペースに飲み込まれるわけにはいかないからだ。侍の強みは息もつかせないほどの怒濤の連撃であることが多い。こっちから攻め込んで、向こうに攻める機会を与えないようにしてやる!
「空隙の陣!!」
つばぜり合いをすり抜け、横に回り込んだ俺は素早い一撃を見舞った。だが、当然のように侍は向きを変え、刀で受け止める。
「そちらから攻めてくるとは良い心がけだ。しかも、以前より攻撃が重くなっておる。新たな剣の手にした故か?」
確かに自分専用の剣を手にしたことで、思うとおりの攻撃がやりやすくなった。力が入りやすいということが影響しているんだろう。相手からしてみれば、攻撃が重く感じたり、速かったりするんだろう。
「だが、拙者も鍛錬を怠っていたわけではない。迷宮を出てから、更なる力を求めたのだ!」
剣を引き更なる攻撃を……と思ったが、剣が動かない。侍の刀から離せない。ピッタリとくっ付いているのだ。またか!マグネットなんとやらか!
「その力が磁石パワーってことか!」
「お主が逃れようとも、拙者の術中からは容易には抜けられぬ。」
俺の作戦を早速封じてきた。だけど、俺だってそのまま術中にはまってやるわけにはいかない。
「霽月……、」
「剣を合わせたままで、剣を振るえるものか!」
普通ならそうだろう。生憎、俺の剣は普通の剣じゃない。普通に振ってるだけだと、剣の形をした槌矛…メイスとかいう武器と大差ない。基本、刃が出るのは技の発動時のみ。やろうと思えば剣が動かせない状況でも可能なはずだ!
「……八刃!」
(バツン!!)
「ぬうう!?」
技を発動させ、磁石の力から引き剥がす。刃が当たる状態なら、魔力とかのエネルギーが相手なら、霽月八刃で斬ることが出来る。さっきの槍にくっ付いたときは、剣の側面からくっ付いたので、引き剥がせなかったのだ。
「そうであった。お主の技は実体のない活力であろうと切断できるのであったな。忘れておったわ。しかも刃が見えぬ。やっかいな事よ!」
基本的に一0八計を使うときは刃が見えない。いや、見えにくいと言った方が正しい。刃の部分を見ようとすると、蜃気楼みたいに視界が揺らめいているのが見えるのだ。よく見ないとわからないレベルだ。自分でも何回も試して、ようやくわかったくらいだ。普通は見えないだろう。
「勇者の技を行使した折りには刃が見えておったのにな。摩訶不思議なものよ。」
その通り。どういう訳か、シャイニング・イレイザーを使うときは白い光の刃が見える。理屈はよくわからんけど。話している間にある程度の間合いをとる。また、磁石の技を使われたら困るからな。
「拙者も雷の力を存分に使わねば、お主に斬られるのは時間の問題であるな。」
侍は刀をかざし、何らかの集中を始めた。すると次第に辺りが暗くなった。いきなり曇り始めた?天候が急変するとは何事だ?
「雷は魔力でも生み出せるが、雷雲を呼び寄せ自然の力も取り込めばより強くなる!」
(ガガァァァァァァン!!!!!!!)
巨大な雷が侍を直撃した。でも何事もなかったかのようにピンピンしている。それどころか刀が大きく光り輝いていた。
「雷の魔術は屋外にて更なる力を発揮する。迷宮では本領を発揮出来ていなかったということだ。」
侍は前傾の構えをとり、技の体勢に入った。これは雷の力で加速力を上げて、急速に間合いをを詰めるヤツだ!
「雷破滑走術!!」
瞬時に俺の近くまで迫ってきた。どうやって切り抜ける?これは下手に迎撃すると、逆に押し通される!
「雷炎爆光覇!!!」
極光を帯びた刀が俺に振り下ろされようとしていた。とんでもない速さのはずだが、動きは何故かスローモーションになっていた。
【……それはお主が考えることじゃ。いや……考えてもいかん。まあ、そういうことじゃ。】
こんなときにジジイのあの一言が頭に浮かんだ。この技を切り抜けるには、そうするのが最善とでも言うのだろうか……。
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