【第1部完結】勇者参上!!~東方一の武芸の名門から破門された俺は西方で勇者になって究極奥義無双する!~

Bonzaebon

文字の大きさ
308 / 401
第5章 完成!究極の超次元殺法!!

第308話 吹けよ嵐

しおりを挟む

(ドガァァァァァァン!!!!!!!!!)

「コタロウ選手の大技が炸裂しましたぁ!正に天からの制裁、多数の巨大な雷が一辺に落ちたかと錯覚するほどです!」


 ちょっとちょっと、司会の人!「天からの制裁」はないんじゃないの。俺、勇者なんだけど?何も悪いことしてないから!……いてて……!とっさに技を繰り出し、ある程度相殺できたものの、肌が露出している部分はちょっとヒリヒリする。軽く火傷をしてしまったみたいだ。


「フム、あの場面で大技を繰り出し、相殺するとは!我が最大の秘技を防がれるとは口惜しいものよ。」


 大技?俺、そんなことしたっけ?雷の魔力を削ぐため、霽月八刃を繰り出そうとしたぐらいの事しか憶えていない。直前まではハッキリしすぎていて、時間が遅くなったような錯覚があったけど……、


(俺が力貸してやったんだよ。)


 俺の心に誰かが語りかけてきた。ぶっきらぼうでふてぶてしい、あの声。


(もしかして、ムーザか?)

(へっ、俺以外に誰がいるってんだ?あまりにもおいしいシチュエーションだったんで、ついつい手が出ちまったわ!)


 つい、って!……まあ、文句は言えない。助けられたのは事実だ。手を出してくれてなかったら、負けていただろう。


「剛撃重斬波……。先程のお主が繰り出した技はあの剣豪勇者のものであるな?」

(バレてるっすよ、先輩!)

(たりめーだ!アイツが気が付かないはずがねえ。散々喰らった技を頭で憶えてなくとも、体が忘れるはずがねえ。)

「返答がないが、正解であると拙者は解釈する。見間違えるはずがない。それに拙者のあの技は剣豪勇者の技に対抗するために編み出したものだ。……それが相殺されようとは、拙者の精進が及ばなかったということか。」

(違うって言ってやれ。実質、俺様だけの力で技を出していたら、負けてただろうよ。お前さんの技が組み合わさったから、何とか相殺できただけだぜ。)


 実質、合わせ技…ツープラトンだったということか?俺の無意識的な攻撃も合わさっていたのか。


「ムーザが言ってるぜ。“俺の負け”だって。さっきのは実質俺ら勇者二人分の技だったみたいだ。だから、引き分けみたいになった。」


 でも俺はちょっと怪我してるから、こっちが分が悪いのは明確だと思う。アイツはそれに気付いているはずなのに……。


「あの男が負けを認めていると?だが、拙者はそうは思っておらぬ。勇者に勝たねば達成したとは言えぬのだ。」

(相変わらずの石頭野郎め!)


 全くだ。ストイック過ぎるな、アイツは。あくまで完全に決着がつくまで試合は続行続けるようだ。俺も止める気はないけど。


(俺が手を貸せるのは、これっきりだ。これ以上やるとお前がぶっ倒れる羽目になる。後はお前だけでやっちまいな。)

(ありがとう。恩に着るぜ。)

(それともう一つ。あの爺さん良い事言うよな。俺も生きてりゃ酒を共に酌み交わせただろう。あの爺さんの“一言”を忘れんなよ。それが勝利への近道だ。)


 近道……果てしなく遠いんだけど?すぐ隣にあったとしても、断崖絶壁の上だったり、底が見えない崖下にあるようなもんだ。そこにあるのはわかっていてもたどり着けない。どうすりゃいいんだ?
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

ギャルい女神と超絶チート同盟〜女神に贔屓されまくった結果、主人公クラスなチート持ち達の同盟リーダーとなってしまったんだが〜

平明神
ファンタジー
 ユーゴ・タカトー。  それは、女神の「推し」になった男。  見た目ギャルな女神ユーラウリアの色仕掛けに負け、何度も異世界を救ってきた彼に新たに下った女神のお願いは、転生や転移した者達を探すこと。  彼が出会っていく者たちは、アニメやラノベの主人公を張れるほど強くて魅力的。だけど、みんなチート的な能力や武器を持つ濃いキャラで、なかなか一筋縄ではいかない者ばかり。  彼らと仲間になって同盟を組んだユーゴは、やがて彼らと共に様々な異世界を巻き込む大きな事件に関わっていく。  その過程で、彼はリーダーシップを発揮し、新たな力を開花させていくのだった!  女神から貰ったバラエティー豊かなチート能力とチートアイテムを駆使するユーゴは、どこへ行ってもみんなの度肝を抜きまくる!  さらに、彼にはもともと特殊な能力があるようで……?  英雄、聖女、魔王、人魚、侍、巫女、お嬢様、変身ヒーロー、巨大ロボット、歌姫、メイド、追放、ざまあ───  なんでもありの異世界アベンジャーズ!  女神の使徒と異世界チートな英雄たちとの絆が紡ぐ、運命の物語、ここに開幕! ※不定期更新。最低週1回は投稿出来るように頑張ります。 ※感想やお気に入り登録をして頂けますと、作者のモチベーションがあがり、エタることなくもっと面白い話が作れます。

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

エリクサーは不老不死の薬ではありません。~完成したエリクサーのせいで追放されましたが、隣国で色々助けてたら聖人に……ただの草使いですよ~

シロ鼬
ファンタジー
エリクサー……それは生命あるものすべてを癒し、治す薬――そう、それだけだ。 主人公、リッツはスキル『草』と持ち前の知識でついにエリクサーを完成させるが、なぜか王様に偽物と判断されてしまう。 追放され行く当てもなくなったリッツは、とりあえず大好きな草を集めていると怪我をした神獣の子に出会う。 さらには倒れた少女と出会い、疫病が発生したという隣国へ向かった。 疫病? これ飲めば治りますよ? これは自前の薬とエリクサーを使い、聖人と呼ばれてしまった男の物語。

少し冷めた村人少年の冒険記

mizuno sei
ファンタジー
 辺境の村に生まれた少年トーマ。実は日本でシステムエンジニアとして働き、過労死した三十前の男の生まれ変わりだった。  トーマの家は貧しい農家で、神から授かった能力も、村の人たちからは「はずれギフト」とさげすまれるわけの分からないものだった。  優しい家族のために、自分の食い扶持を減らそうと家を出る決心をしたトーマは、唯一無二の相棒、「心の声」である〈ナビ〉とともに、未知の世界へと旅立つのであった。

最強無敗の少年は影を従え全てを制す

ユースケ
ファンタジー
不慮の事故により死んでしまった大学生のカズトは、異世界に転生した。 産まれ落ちた家は田舎に位置する辺境伯。 カズトもといリュートはその家系の長男として、日々貴族としての教養と常識を身に付けていく。 しかし彼の力は生まれながらにして最強。 そんな彼が巻き起こす騒動は、常識を越えたものばかりで……。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

みそっかす銀狐(シルバーフォックス)、家族を探す旅に出る

伽羅
ファンタジー
三つ子で生まれた銀狐の獣人シリル。一人だけ体が小さく人型に変化しても赤ん坊のままだった。 それでも親子で仲良く暮らしていた獣人の里が人間に襲撃される。 兄達を助ける為に囮になったシリルは逃げる途中で崖から川に転落して流されてしまう。 何とか一命を取り留めたシリルは家族を探す旅に出るのだった…。

収納魔法を極めた魔術師ですが、勇者パーティを追放されました。ところで俺の追放理由って “どれ” ですか?

木塚麻弥
ファンタジー
収納魔法を活かして勇者パーティーの荷物持ちをしていたケイトはある日、パーティーを追放されてしまった。 追放される理由はよく分からなかった。 彼はパーティーを追放されても文句の言えない理由を無数に抱えていたからだ。 結局どれが本当の追放理由なのかはよく分からなかったが、勇者から追放すると強く言われたのでケイトはそれに従う。 しかし彼は、追放されてもなお仲間たちのことが好きだった。 たった四人で強大な魔王軍に立ち向かおうとするかつての仲間たち。 ケイトは彼らを失いたくなかった。 勇者たちとまた一緒に食事がしたかった。 しばらくひとりで悩んでいたケイトは気づいてしまう。 「追放されたってことは、俺の行動を制限する奴もいないってことだよな?」 これは収納魔法しか使えない魔術師が、仲間のために陰で奮闘する物語。

処理中です...