65 / 331
第2章 はぐれ梁山泊極端派【燃えよ、十字剣!!】
第65話 震えるぞハート! 燃え尽きるほどヒート!!
しおりを挟む「おっ、出てきた、出てきた!」
ゆーしゃ達が飛び入り参加することになったハンバーグ・コンテスト。ウチら、女の子二人は不参加で観戦だ。エルるんはともかくウチは料理なんてやらない! 出来ないんじゃない。やらないだけだぞ!
「まさかタニシさんまで出るなんて思ってなかった。」
「ワンちゃん? ああ、ワンちゃんは参加賞のゴッツン限定版が欲しかっただけだよ。」
「まさかの参加賞目的? じゃあ、あの新人さんはどうなんだろう?」
エルるんが出場者の中に見覚えのある巨体を見つけて指差している。ゴリマッチョがいつの間にかいなくなっていたと思ったら、参加していたようだ。何故かマスクを被ってる。しかもタマネギ型の。何アレ? 変装のつもり?
「なんでいるの? もうホントにワケわかんないよ! かといって、ウチらの横で観戦してても、むさ苦しそうだから、イヤだけど。」
「そんな邪険にしなくても……。」
「でも実際、エルるんもアイツのこと、苦手なんでしょ?」
「う、うーん……。」
それにしてもアイツ、なんでタマネギにこだわってんだろ? 意味分かんない。まあ、いいや。それよりもタマネギを見て思い出したことがある。せっかくだし、エルるんに聞いてみよう。
「あのさあ、タマネギ見てて思い出したんだけど、エピオンだっけ? エルるんの弟。アイツ何でタマネギ嫌いだったの?」
「どうしてそれを?」
「いや、ちょっと気になってた。なんか、“オレ強えんだよ”って態度してるクセにさ、タマネギが弱点なんて、結構子供っぽくて笑えるよね、って思ってさ。」
エルるんは初め、「どうしてそんなことを聞くの?」っていう感じで、不思議そうな顔してた。しばらくウチが理由を話すと、優しそうにニコニコしながら聞いてくれるようになった。やっぱ、アイツのことを大切に思ってるんだな、と思う。クソ生意気なヤツなのに。
「あの子はね、とても貧しい環境で、しかも、迫害されて育ってきたから、食べる物にいつも困ってたらしいの。」
アイツ……。エルるん並みに悲惨な過去があるんだろうなとは思っていたけど、もっと悲惨だった。迫害される上に貧乏だったのか。
「そんなときによく食べてたのが、タマネギよ。安く手に入るし、時には盗んできたこともあったらしいのよ。小さい頃から好き嫌い関係無しにそれしか食べる物がなかった。毎日毎日、そればっかり食べてたから嫌いになったんだって。タマネギを見ると昔のことを思い出して悲しくなるから、というのもあるかもしれない。」
いわゆるトラウマってヤツ? トラウマか。あの異常な怒りっぷりの原因はそこにあったんだ。それなら、ちょっと悪いことしたかな。少しからかってやるだけのつもりだったんだけどな。
「ミヤコちゃん、もしかして、あの子のこと気になる?」
「……え!?」
……!? 突然、思いがけない質問が来た! 一瞬、思考が止まったような気がする。それよりもなんか、顔の温度が急に高くなってきているような……。
「いやいやいや! べ、べ、べ、別に気になってないから! なんとも思ってないから!」
「ホントに?」
エルるんがこれ以上ないくらいに、すっごいニコニコしてる! ウチを微笑み殺そうとするくらいの勢いだ! ちょっとやめてよ、そういうの! ウチに限ってそういう展開とかありえないから!
「ミヤコちゃんならあの子のこと、幸せにしてあげられると思うの。大切にしてあげてね。あの子素直じゃないから、大変だと思うけど。」
「うわああああ! やめてぇ! 別になんともないからぁぁ!」
このままだと顔面がオーバーヒートするぅぅっ! こんなになる前に熱防護対策魔法使っとくんだったぁ!
「それでは皆さん、調理を開始して下さい! クッキングスタートです!」
「あっ、始まったみたいね。」
「は、はえっ!?」
た、助かった! コンテストに救われた。顔面の温度も徐々にクールダウンしていく。ホントに熱暴走で死ぬとこだったよ。まいったな、もう!
0
あなたにおすすめの小説
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
【超速爆速レベルアップ】~俺だけ入れるダンジョンはゴールドメタルスライムの狩り場でした~
シオヤマ琴@『最強最速』発売中
ファンタジー
ダンジョンが出現し20年。
木崎賢吾、22歳は子どもの頃からダンジョンに憧れていた。
しかし、ダンジョンは最初に足を踏み入れた者の所有物となるため、もうこの世界にはどこを探しても未発見のダンジョンなどないと思われていた。
そんな矢先、バイト帰りに彼が目にしたものは――。
【自分だけのダンジョンを夢見ていた青年のレベリング冒険譚が今幕を開ける!】
収納魔法を極めた魔術師ですが、勇者パーティを追放されました。ところで俺の追放理由って “どれ” ですか?
木塚麻弥
ファンタジー
収納魔法を活かして勇者パーティーの荷物持ちをしていたケイトはある日、パーティーを追放されてしまった。
追放される理由はよく分からなかった。
彼はパーティーを追放されても文句の言えない理由を無数に抱えていたからだ。
結局どれが本当の追放理由なのかはよく分からなかったが、勇者から追放すると強く言われたのでケイトはそれに従う。
しかし彼は、追放されてもなお仲間たちのことが好きだった。
たった四人で強大な魔王軍に立ち向かおうとするかつての仲間たち。
ケイトは彼らを失いたくなかった。
勇者たちとまた一緒に食事がしたかった。
しばらくひとりで悩んでいたケイトは気づいてしまう。
「追放されたってことは、俺の行動を制限する奴もいないってことだよな?」
これは収納魔法しか使えない魔術師が、仲間のために陰で奮闘する物語。
帰って来た勇者、現代の世界を引っ掻きまわす
黄昏人
ファンタジー
ハヤトは15歳、中学3年生の時に異世界に召喚され、7年の苦労の後、22歳にて魔族と魔王を滅ぼして日本に帰還した。帰還の際には、莫大な財宝を持たされ、さらに身につけた魔法を始めとする能力も保持できたが、マナの濃度の低い地球における能力は限定的なものであった。しかし、それでも圧倒的な体力と戦闘能力、限定的とは言え魔法能力は現代日本を、いや世界を大きく動かすのであった。
4年前に書いたものをリライトして載せてみます。
友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。
石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。
だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった
何故なら、彼は『転生者』だから…
今度は違う切り口からのアプローチ。
追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。
こうご期待。
戦場の英雄、上官の陰謀により死亡扱いにされ、故郷に帰ると許嫁は結婚していた。絶望の中、偶然助けた許嫁の娘に何故か求婚されることに
千石
ファンタジー
「絶対生きて帰ってくる。その時は結婚しよう」
「はい。あなたの帰りをいつまでも待ってます」
許嫁と涙ながらに約束をした20年後、英雄と呼ばれるまでになったルークだったが生還してみると死亡扱いにされていた。
許嫁は既に結婚しており、ルークは絶望の只中に。
上官の陰謀だと知ったルークは激怒し、殴ってしまう。
言い訳をする気もなかったため、全ての功績を抹消され、貰えるはずだった年金もパー。
絶望の中、偶然助けた子が許嫁の娘で、
「ルーク、あなたに惚れたわ。今すぐあたしと結婚しなさい!」
何故か求婚されることに。
困りながらも巻き込まれる騒動を通じて
ルークは失っていた日常を段々と取り戻していく。
こちらは他のウェブ小説にも投稿しております。
死んだはずの貴族、内政スキルでひっくり返す〜辺境村から始める復讐譚〜
のらねこ吟醸
ファンタジー
帝国の粛清で家族を失い、“死んだことにされた”名門貴族の青年は、
偽りの名を与えられ、最果ての辺境村へと送り込まれた。
水も農具も未来もない、限界集落で彼が手にしたのは――
古代遺跡の力と、“俺にだけ見える内政スキル”。
村を立て直し、仲間と絆を築きながら、
やがて帝国の陰謀に迫り、家を滅ぼした仇と対峙する。
辺境から始まる、ちょっぴりほのぼの(?)な村興しと、
静かに進む策略と復讐の物語。
最遅で最強のレベルアップ~経験値1000分の1の大器晩成型探索者は勤続10年目10度目のレベルアップで覚醒しました!~
ある中管理職
ファンタジー
勤続10年目10度目のレベルアップ。
人よりも貰える経験値が極端に少なく、年に1回程度しかレベルアップしない32歳の主人公宮下要は10年掛かりようやくレベル10に到達した。
すると、ハズレスキル【大器晩成】が覚醒。
なんと1回のレベルアップのステータス上昇が通常の1000倍に。
チートスキル【ステータス上昇1000】を得た宮下はこれをきっかけに、今まで出会う事すら想像してこなかったモンスターを討伐。
探索者としての知名度や地位を一気に上げ、勤めていた店は討伐したレアモンスターの肉と素材の販売で大繁盛。
万年Fランクの【永遠の新米おじさん】と言われた宮下の成り上がり劇が今幕を開ける。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる