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第3章 第1幕 はぐれ梁山泊極端派【愛と勇気と学園モノ!!】
第174話 オラは見てはいけねぇものを見てしまったぜよ!?
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「あたしは孤児院出身なの。設立者が割と教育熱心な人だったから、頻繁に色んな分野の専門家を招いて孤児を教育していた。神官、騎士、実業家、魔術師とか。そこであたしはとある魔術師の先生に才能を認められたの。」
俺と似たような身の上だな。俺は戦災孤児で師父に拾われ、梁山泊へ入ることになった。もっとも俺の場合はどこの才能を見込まれたのかがよくわからないのが、この人と違うところなんだが……。
「先生の名前はトープス・フォスフィルド。幻術や空間制御の魔術が得意な人で魔術の基礎を彼から教わったの。」
「ああ、それでこの場所を巧妙に魔法で隠せてるのか。師匠からの受け売りってことね。」
「そういうこと。それに先生は趣味でダンジョンのトラップについて研究していたから、ああいうのはまだまだ序の口よ。この学院の教習用ダンジョンの設計にも携わってる。その内、実習で入ることになると思うから、楽しみにしておくといいわ。」
趣味でダンジョンの罠の研究か。ゲンコツのおっちゃんと気が合いそうな人だな。あの人の場合は機械式の罠は大の得意だったから、解除の仕方とかを色々教えてもらった。しかし、学院にもダンジョンが存在するとは。タニシが聞いたら喜びそうな話だ。
「勉強して次第に実力を身に付けていったあたしは、先生の推薦で学院に入学したの。もちろん、出自が出自だったから扱いが悪くて苦労したけど。」
「入学当初は俺らと同じで最下級クラスだったそうだ。実力はあったのにな。だが、早い内に実力が認められて中級クラスに格上げになったらしいけどな。」
「トープス先生以外に学長やラヴァン先生の助力があったからなんだけどね。特にラヴァン先生とトープス先生は親交があったから、あたしの噂を聞いて黙っていられなくなったらしいわ。」
ラヴァンと繋がりがあったのか。空間制御系の魔術師同士だから、ある意味当然か? アイツの一門はそういうのばっかりだし。大武会でエルと対戦した双子のヤツらとか。
「その後は順調に学院で生活は出来ていたけど、ある時、先生の様子がおかしいことに気が付いたの。夜な夜な学院内のダンジョンに出入りしてた。これだけなら、研究のために出入りしているだけにも見えたかもしれない。」
「でも、そうではなかったと?」
「ええ。あたしも先生の研究には興味があったから、こっそり後を付いていって、何をしているか見に行ったのよ。それがいけなかったかもしれない。あたしは見てはいけない物を見てしまったのよ。」
何を見てしまったのか? 興味本位でのぞき見してしまった結果、大変な目にあってしまったのか。悪気はなかっただろうから、やりきれない話だな。
「何重にも巧妙に隠された通路の先に大勢の人が集まっていた。でも、みんな、恐ろしいほど表情がなかった。」
「それってまさか……?」
「その時は何事かわからなかった。精神系の魔術で操られているのかとも思った。何回も侵入して様子を見ることにしたの。」
夜な夜な開催される謎の夜会。しかも学内のダンジョンの隠し部屋で。不可解にも程がある。そりゃ気になるわな。正体を確かめないと、気になって夜も寝られなくなるだろう。少なくとも俺ならそうなる。
「見ているうちに、彼らはゴーレムと人を置き換えるために活動している事がわかってきた。彼らの理念は愚かな人類を排除し、生物であることを超越した自分たちが覇権を握ること。夜な夜な集まっている人達はみんな、ゴーレムに置き換えられた人達だったのよ。」
「ひえーっ!? 恐い!」
使われる物から使う側へと成り代わる。人間の愚かさに気付いたヤツらは、下剋上を企ててるってワケか。そこまでのことを考えるからにはそれなりの理由があるのかもしれないな。あまりにもこき使いすぎているとか……。
「でもさ、なんで先生がゴーレムに置き換わっていると思ったの?」
「ダンジョンに集まっている時に見たの。足の不調部分だけ付け替えているところを見た。夢だと思いたかったけど、そうじゃなかった……。」
決定的だな。特定の部分だけとはいえ、人じゃない所を見ちゃったらなぁ……。置き換わっているのはわかった。入れ替えたなら、当然、問題が出てくる。
「さっきから疑問だったんだけど、入れ替えた本物の人間はどこへ行ったの?」
「そこも巧妙で、入れ替わった人間は大体、事故で大怪我をしていたり、病気になったり、行方不明になったりしてる。ある日奇跡的に回復したり、発見されたりしてる記録が残ってる。」
切っ掛けがあったから、そこですり替えるのか。ヘタしたら入れ替えるために切っ掛けを作っているのかも……。
「その時点で入れ替わっているんでしょうね。先生も大分前に大怪我をした記録があった。ご本人達は多分、亡くなっていると思う。遺体も処理するだけなら魔術でなんとでもなるし。」
知ることになった経緯はわかった。あとはどうやってヤツらに察知され、学院を追われるはめになったかだな。ココまでの段階ではイマイチ繋がりがわからない。真相はどうなんだろう?
俺と似たような身の上だな。俺は戦災孤児で師父に拾われ、梁山泊へ入ることになった。もっとも俺の場合はどこの才能を見込まれたのかがよくわからないのが、この人と違うところなんだが……。
「先生の名前はトープス・フォスフィルド。幻術や空間制御の魔術が得意な人で魔術の基礎を彼から教わったの。」
「ああ、それでこの場所を巧妙に魔法で隠せてるのか。師匠からの受け売りってことね。」
「そういうこと。それに先生は趣味でダンジョンのトラップについて研究していたから、ああいうのはまだまだ序の口よ。この学院の教習用ダンジョンの設計にも携わってる。その内、実習で入ることになると思うから、楽しみにしておくといいわ。」
趣味でダンジョンの罠の研究か。ゲンコツのおっちゃんと気が合いそうな人だな。あの人の場合は機械式の罠は大の得意だったから、解除の仕方とかを色々教えてもらった。しかし、学院にもダンジョンが存在するとは。タニシが聞いたら喜びそうな話だ。
「勉強して次第に実力を身に付けていったあたしは、先生の推薦で学院に入学したの。もちろん、出自が出自だったから扱いが悪くて苦労したけど。」
「入学当初は俺らと同じで最下級クラスだったそうだ。実力はあったのにな。だが、早い内に実力が認められて中級クラスに格上げになったらしいけどな。」
「トープス先生以外に学長やラヴァン先生の助力があったからなんだけどね。特にラヴァン先生とトープス先生は親交があったから、あたしの噂を聞いて黙っていられなくなったらしいわ。」
ラヴァンと繋がりがあったのか。空間制御系の魔術師同士だから、ある意味当然か? アイツの一門はそういうのばっかりだし。大武会でエルと対戦した双子のヤツらとか。
「その後は順調に学院で生活は出来ていたけど、ある時、先生の様子がおかしいことに気が付いたの。夜な夜な学院内のダンジョンに出入りしてた。これだけなら、研究のために出入りしているだけにも見えたかもしれない。」
「でも、そうではなかったと?」
「ええ。あたしも先生の研究には興味があったから、こっそり後を付いていって、何をしているか見に行ったのよ。それがいけなかったかもしれない。あたしは見てはいけない物を見てしまったのよ。」
何を見てしまったのか? 興味本位でのぞき見してしまった結果、大変な目にあってしまったのか。悪気はなかっただろうから、やりきれない話だな。
「何重にも巧妙に隠された通路の先に大勢の人が集まっていた。でも、みんな、恐ろしいほど表情がなかった。」
「それってまさか……?」
「その時は何事かわからなかった。精神系の魔術で操られているのかとも思った。何回も侵入して様子を見ることにしたの。」
夜な夜な開催される謎の夜会。しかも学内のダンジョンの隠し部屋で。不可解にも程がある。そりゃ気になるわな。正体を確かめないと、気になって夜も寝られなくなるだろう。少なくとも俺ならそうなる。
「見ているうちに、彼らはゴーレムと人を置き換えるために活動している事がわかってきた。彼らの理念は愚かな人類を排除し、生物であることを超越した自分たちが覇権を握ること。夜な夜な集まっている人達はみんな、ゴーレムに置き換えられた人達だったのよ。」
「ひえーっ!? 恐い!」
使われる物から使う側へと成り代わる。人間の愚かさに気付いたヤツらは、下剋上を企ててるってワケか。そこまでのことを考えるからにはそれなりの理由があるのかもしれないな。あまりにもこき使いすぎているとか……。
「でもさ、なんで先生がゴーレムに置き換わっていると思ったの?」
「ダンジョンに集まっている時に見たの。足の不調部分だけ付け替えているところを見た。夢だと思いたかったけど、そうじゃなかった……。」
決定的だな。特定の部分だけとはいえ、人じゃない所を見ちゃったらなぁ……。置き換わっているのはわかった。入れ替えたなら、当然、問題が出てくる。
「さっきから疑問だったんだけど、入れ替えた本物の人間はどこへ行ったの?」
「そこも巧妙で、入れ替わった人間は大体、事故で大怪我をしていたり、病気になったり、行方不明になったりしてる。ある日奇跡的に回復したり、発見されたりしてる記録が残ってる。」
切っ掛けがあったから、そこですり替えるのか。ヘタしたら入れ替えるために切っ掛けを作っているのかも……。
「その時点で入れ替わっているんでしょうね。先生も大分前に大怪我をした記録があった。ご本人達は多分、亡くなっていると思う。遺体も処理するだけなら魔術でなんとでもなるし。」
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