【第2部完結】勇者参上!!~究極奥義を取得した俺は来た技全部跳ね返す!究極術式?十字剣?最強魔王?全部まとめてかかってこいや!!~

Bonzaebon

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第3章 第3幕 はぐれ梁山泊極端派【絶望と憎しみと学園モノ……と大戦争!?】

第253話 テメエはそのクソに群がる銀バエって事だ!

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「ハハハ! 学長のドラ息子がお出迎えとはどういう風の吹き回しかな?」

「そっちこそ、クリーニング屋だか、カルメ焼き屋だか知らないが、こんな所で遊んでいていいのか?」

「その様な冗談紛いの呼び方はやめてもらおうか? 私は掃除屋シルヴァン。やめなければ貴様の存在を綺麗サッパリ掃除しなくてはならなくなる!」


 相棒の手術には時間がかかる。命に別状があるわけではないが、ちょいと面倒な事をしてるから時間が長くなる。要するにその間は無防備って事だ。当然、その隙を狙って虫が湧く事もある。目の前にいる銀バエみたいなヤツがな。


「お互い様だ。俺のことをドラ息子呼ばわりするんじゃねえ! あのクソ親父の方がよっぽど人間的にクソなんだぜ? ……ああ、そうか。テメエはそのクソに群がる銀バエって事だな! ヤツにはお似合いだぜ!」

「き、貴様!?」


 相棒はいくつかの勢力から狙われてるって話を聞いた。相変わらず媚びを売るのが下手なヤツだ。中でも、“破壊”とかいう術式を使う面白いヤツがいると聞いたから。一度顔を見てやろうと思った。まあ、仮面を被ってるがな。仮面を引っぺがして素顔を拝んでやるのが楽しみだ。正体は女らしいしな。


「魔術師でありながら、クルセイダーズの軍門に下ったそうだな? 次期の学長候補という身でありながら。」


 俺は魔術師協会、魔術学院、そして何よりクソ親父の有り様に疑問を感じたから袂を分かった。クルセイダーズも褒められた組織ではなかったが、まだマシだ。特に騎士団側は旧体制に反旗を翻す方針を取っていたから、力を貸してやろうと思った。


「次期の学長? 勘違いすんじゃねえよ。テメエは知らないんだな。ヤツという存在の本質を。」

「何の話をしているのだ?」

「ヤツは見た目、というか肉体が代々変わっているだけだ。俺もヤツのスペアボディでしかないって事だ。トンズラして候補からは外れさせたがな。」


 肉親、特にアルファの一族はその第一候補に選ばれる確率が高い。ベータ以下の血族もほとんど魔術師協会の構成員として一生を歩むことになる。そんな体制が何百年もずっと続いている。ヤツらはずっと何も変わろうとしていない。正直、吐き気がする。これが袂を分かった理由の半分だ。


「学長の長寿の秘密を知っているのだな? 私は疑心暗鬼で信じてはいなかったが。信憑性はありそうだな。」

「だろ? これで心置きなく、くたばれるんじゃないか?」

(シュバンッ!!!)

「……くっ!?」


 挨拶代わりにソニック・レイザーを放った。超音速の風の刃。威力を絞り小型にしたが、手指を切り落とすほどの威力はある。それを難なくヤツは防いで見せた。噂に聞く“破壊”の術式を使ったのか?


「不意打ちとはやってくれる! だが、早撃ちなら私も自信がある。容易に通じるとは思わぬ事だ!」


 ヤツが手に持っているのは弓と弦のないクロスボウのようなデバイス魔動器。アレが術式の発動を補助する触媒なのだろう。見たところ魔力を貯蔵する能力を持っている可能性がある。複数の魔力の気配を感じる。 


「勇者と再戦できないのは残念だが、貴様となら楽しめそうだ。貴様は勇者の仲間の中でも実力№1とも目されている人間だ。相手にとって不足無しだ。」

「逆はどうかな? 額冠無しの俺の相棒に負けたそうじゃないか? そんなヤツが俺に勝てんのかよ?」

「身を以て思い知るがいい! “破壊デストラクション”!!」

(バシュン!!)

「クッ!? 早いな!」

「“破壊デストラクション”!! “破壊デストラクション”!! “破壊デストラクション”!!」


 休む間もなく、次々と惜しげもなく、自慢の術式を連射している。あれほど高精度で連発できるのは発動寸前の魔術を、あのデバイス魔動器に貯蔵しているのだろう。そうすれば最小限の魔力で発動可能なはずだ。以前、そういう技術を開発した魔術師トルミノスキーがいると聞いたことがある。


「私の攻撃が遠距離の物だけとは思うなよ!」


 ヤツは急激に間合いを詰めてきた。その拳には針のような爪を生やしている。小手に仕込んだ武器のようだ。


(ギギィィン!!!)


 俺もすかさず風刃剣ふうじんけんを展開し、爪を受け止めた。俺自身も接近戦に持ち込もうとしていたから、手早く反応できた。


「お互い様だ! 俺を魔術師だと思って甘く見るなよ!」

「こ、これはアストラル・ブレイドか? しかも実体化するほど強力なものとは!」


 俺の風刃剣を見て驚くヤツは多い。この手の魔術を極める者は少ないからだ。いたとしても、弓くらいがせいぜいだろう。弓術も嗜む魔術師は割といるからな。俺のように接近戦用の武器を錬成するヤツは少ない。剣術と魔術、両方を極めようとするヤツはもっと少ない。とはいえ世界は広い。双方を人間離れしたレベルまで極めた異国の剣士サムライを俺は知っている。出来ることなら、あの男を超えてやりたいと思っている。


「ハハハ! ならば見せてやろう! この“銀の魔骸布シルバー・シュラウド”の真価をお見せしようじゃないか。」


 鍔迫り合いの体勢から、俺を大きく弾き飛ばした。まるで巨漢の戦士に押されたかのような感触だ! 爪の攻撃を繰り出したときとは比較にならない腕力! しかも弾き飛ばした後は高速の動きで俺の目を攪乱している。

「どうだ? 私の動きが見えないだろう? この鎧は魔力で筋力を増強することが出来るのだ!」


 魔力で筋力を増強するだと? 普通のヤツならピンとこないだろうが、俺らクルセイダーズならこの能力に既視感を憶えるはずだ。まるでヤツらと似ている。そう……魔族と似ている。あの鎧は“アクセレイション身体強化”を使えるというのか?
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