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第1章 勇者マストダイ!!【勇者なのに……〇〇されました。】
第3話 反逆のつもりですか?
しおりを挟む「よくもまあ、そんな強気な発言が出来ますね? 先の任務では何一つとして戦果を上げられていないというのに。」
「こっちにも色々事情はあったんだ! 現場を知らないアンタにとやかく言われる筋合いはない!」
ブレンダンはオードリーの行いについて文句がある様だが、先の任務で結果を出せなかった事を引き合いに出されて牽制を受けている。魔王討伐で特に誰を倒したという訳でもなかったからなんだろうけど、それを理由に口出しが出来ないのもあんまりだよなあと思った。
「魔王のうち3人も倒すチャンスがあったのにも関わらず、その中の一人も倒せていないなんてねぇ……貴方は何をしていたのですか? 恥を知りなさい。貴方は異端審問会の名誉を傷付けたのですよ?」
「他にも競合相手がいれば果たせないこともあるってことだ! それを口実にアンタに口出しされる言われなんてないんだよ!」
「そもそもワタクシが直々にここまで出向いたのは貴方が勇者の捕縛に失敗したからなのですよ? 貴方が任務を果たしていればこのようなことにはならなかったのです。」
えぇ? こんなところで新事実が発覚! 魔王討伐だけじゃなくて、俺も捕まえる予定だったのか? それはいくらなんでもやりすぎなんじゃないの? 魔王を倒すために一致団結ってなってるときにそんなことをするのは場違いなのでは? 犬の魔王ですら今回は味方についてたくらいなんだから、それはどうなの……? まあ実際には行われなかった模様。
「魔王討伐に成功した直後を狙わなかったのはどうしてなのです? そのタイミングが絶好の機会だったのではありませんか?」
「あ? 何言ってやがるんだ? そんな汚い手段を俺らが使うとでも? 俺は強さに自信があるんだ。勇者は真正面から戦ってぶちのめすつもりだ。弱りきった獲物を楽に倒すのは性に合わないんだよ。」
「以前から言っているでしょう? 聖なる目的の前では手段を選んではならないと。教団に仇為す存在はいかなる手段を以てでも、抹殺するのが異端審問会の使命なのです!」
魔王とか魔族を倒すのに情け無用の手段を用いることも辞さないっていうのか? しかも敵と判断した場合は例え勇者であっても、罰を与えるようだ。しかも、宗教関係者が漁夫の利みたいな手段を使うっていうのはどうなんだろう? そら、方々から嫌われてるわけだわ。悪の組織に片足突っ込んでるのが普通に存在してるのが信じられない。
「この場はコイツを見逃せ! 俺が後日、日を改めて決着を付ける。それまではコイツの首はお預けだ。」
「何を流暢な事を言っているのです! 勇者はこの場で捕えます!」
「そんなことはさせねえ! 俺の獲物には手出しなんてさせないからな!」
「待てよ! その前に俺たちだって手出しはさせないからな! 異端審問会の一存で勇者を捕えるなんて暴挙を見逃すものか!」
ブレンダンは断固として上司の行いに反旗を翻すつもりのようだ。やっぱりこの男は乱暴そうに見えても卑怯な真似は許しておけない質らしい。その一方でファルをはじめてとしたクルセイダーズのメンバーも異議を唱えている。勇者捕縛には応じないつもりのようだ。
「貴殿方は立場をわかっていないようですね? 今回の勇者捕縛は法王聖下の勅命なのですよ! これに背けば貴殿方の立場も悪くなるのをお忘れなく? 我々法王庁と全面戦争でもするつもりですか? そのような事態になれば、神殿騎士団や天翼騎士も黙っていないでしょうね?」
「クッ!?」
クルセイダーズというか騎士団サイドと法王直下の法王庁が教団内で対立しているのは俺も知っている。百年だか二百年まえだか忘れたが、とある騎士の処遇で揉めた末に袂を別ったらしいな?
ことある毎に揉め事は起きているようだが、さすがに大規模な武力衝突までは起こしていなかったらしい。いつもギリギリで食い止められていたと言うが……今回ばっかりは俺が原因で紛争が起きてしまうのか……? それだけは絶対に避けないといけない!
「もういい! 俺がおとなしく捕まれば良いんだろう?」
「何を言ってんだ! お前を引き渡したら終わりだ! お前は勇者の座から強制的に降ろされるかもしれんし、命の保証だってないんだぞ!」
「それでも……大勢の人達が傷付いたり死んだりするよりはいい。俺だけの被害で済むんだからな。」
「愚かな行為を繰り返したとはいえ、身の振り方を心得ているようね? 貴方がこちらの要求に大人しく従っていれば良いのですよ。」
周りのみんなは納得しきれないようだが、俺が従えば被害は出ないんだ。そのためなら体を張らなくてはいけない。それが勇者の使命だと言えるし、先代のカレルや歴代の勇者だって同じ決断を下したはずだ。これで勇者としての役割は終わりかもしれないが、行く当てのなかった俺がここまで世界に貢献できたんだから、文句はない。
「待てよ! 俺は認めないぞ!」
「ブレンダン、往生際が悪いですよ!」
「俺がここでアンタを倒す! 俺だけが動いたのであれば、大した騒動にもならんだろうよ!」
オードリーが法王の勅命であると宣言してもブレンダンは断固として従うつもりはないらしい。確かに異端審問会の人間同士の揉め事だから、組織同士の紛争には発展しないが……彼の立場は相当危ういものとなるだろう。上司への反逆に加えて、法王への反逆とも取られかねない。果たしてブレンダンに勝ち目はあるんだろうか?
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