【第4部】勇者参上!!~勇者マストダイ! 不適格勇者を直ちに排除せよ!!~

Bonzaebon

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第1章 勇者マストダイ!!【勇者なのに……〇〇されました。】

第4話 粉砕の貴婦人《マダム・スマッシャー》

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「口答えだけではなく、暴力沙汰で私を押さえ込もうとでも?」

「当たり前だ! もう我慢がならねぇ! アンタとの主従関係もこれまでだ!」


 ブレンダンは武器を持っていない。今は自慢の巨大な剣を持っていない。魔王討伐の前に戟覇と戦い互いの武器を壊してしまったようだし、その後も代わりの武器を持っていたようだが、またしても壊されていたみたいだった。とはいえ、あくまで手持ちの武器がないというだけの話だ。この男には標準で凶悪な武器が体の一部となっているのだ!


「武器なしで私に歯向かおうなどと無謀な真似はおよしなさい。今の段階で止めれば、数日の謹慎処分で手を打ってもよろしいのよ?」

「今更やめるかよ! たった今から決別を覚悟した俺が手を止めると思うかぁ!!」


 反逆の意思を示すかのように、その右腕を大きく振り上げた。その物々しい右腕……金属製のカラクリ仕掛けの義手、狂殺の鉤爪フェイタル・ギアがこの男にはある! ある意味手持ちの剣なんかよりもよっぽど凶悪な戦闘用義手があるかぎり、ブレンダンは戦いを止めないだろう。


「その体をバラバラに粉砕してやる!」

「あらあら、不躾なこと。婦人に対してそのような野蛮な武器を向けるなんて相変わらずマナーというものが理解できていませんわね。」

(ブンッ……!!)


 その鋼鉄の豪腕が振るわれようとしたとき、奇妙な事が起きた! 鉤爪がオードリーの体の手前で寸止めされたのだ。ブレンダンがただの脅しで止めたんだろうか? いや、違う! 明らかにブレンダンの体は力んだままでこわばったままである! その顔も歯を食い縛り、今まさに目の前の人物を打ち砕こうと力を込めている用にしか見えない。何か見えない障壁に阻まれているかのようにそれ以上は動かなくなっているのだ!


「クソッ!? なんだこれは!? ピクリとも動かねぇ!!」

「ワタクシの恩を忘れるからそのような事になるのですよ。大体、その義手を工房に作らせ、貴方に与えたのは誰だと思っているのですか?」

「貰いはしたが、こんなことが起きるのは説明が付かねぇ! ただの鉄の固まりに細工なぞ出来るはずがないんだ。」

「甘いわね。そのような物言いではその義手のメカニズムを理解していないにも等しいですわね。工房の職人マイスター達にも失礼に当たりましてよ。」

「クソッ! 製造の段階でセイフティ・ロックでも施しやがったのか!」


 あの義手はオードリーがブレンダンに与えた物だったのか! それによく考えたら、あの義手ってゴーレムの技術が応用されてるんだっけ? タルカスの新型ボディと同じ製造元なら外部からのコントロールが可能になっているのにも納得がいく。タルカスも他のゴーレムに対して強制的に従わせるような細工を施してたくらいだ。それと同じことをオードリーが施していたから、急にブレンダンの言うことを効かなくしたんだろう。


「これで貴方は何も出来ない。私に拾われる前の憐れな姿に逆戻り。腕なしのブレンダンに戻ったのですよ。」

「クソッ! こんなことで……、」


 ブレンダンはどうにかして動かそうと体を捩ったりしているが義手は動きを止めたままだった。義手だけでなく右腕の、まだ残っている部分にまで影響を及ぼしているのか、肩の部分も動かせないみたいだった。ブレンダンが四苦八苦しているうちに義手の接続が外れて体と分離し、義手が石畳に落下する事態にまで発展した。


「これは貴方の物ではないのよ。あくまで私が、異端審問会が貴方に貸し出していただけなのよ。私に歯向かった以上はこれを返して頂くわね。」

「まだだ! こんなところで俺が終わると思うなよ!!」


 最早、武器もなく義手をも失ったブレンダンには為す術がないように見えた。ここが戦場だったなら、絶体絶命の危機とも言える事態だが、生憎、ここは戦場じゃない。とはいえ、例え戦場であったとしても、命有る限り戦いを止めなさそうなのが、この男だ。義手を失いつつも、オードリーに対して襲いかかろうと床に落ちた義手をその手で持ち上げた。その闘志を奪わない限りはいつまでも戦い続けそうな勢いだ!


「コントロールが利かずとも、これ自体を武器にすることは出来らぁ!!」

(ブンッ……!!)


 体から外れ、利き腕として機能しなくたったとしても、それは鋼鉄の塊であることに違いはない。それ自体を武器にしてしまえば、外部コントロールなんか関係ないことにヤツは気付いたんだ! これはオードリーも想像できなかったに違いない。


(グワッシャアアアン!!!!)


 バラバラに砕け散ったのは義手の方だった! このままオードリーが肉片と化してしまうのかと思いきや……その手には黒い戦槌がいつの間にか握られていたのだ! 義手が振り下ろされるタイミングに合わせて、戦槌をぶつけたのだ。しかも、軽く義手の軌道の上に置いておいたみたいな感じで使われている。


「そんなものを使ったところで貴方には勝ち目はないのよ。ワタクシの手に、このゴッドフリート・オブシディアンが有る限りはね。」
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