【第4部】勇者参上!!~勇者マストダイ! 不適格勇者を直ちに排除せよ!!~

Bonzaebon

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第1章 勇者マストダイ!!【勇者なのに……〇〇されました。】

第5話 ゴッドフリート・オブシディアン

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「出たぜ、マダム・スマッシャーの異名の所以となったあの武器がよ。」

「あれが異名の由来なのか……?」


 ファルがオードリーの武器について呟いた。頭の先端両側にに黒曜石のような突起がついた戦槌。その姿はジュリアの持つフラクタル・ダイヤモンドと酷似している。あっちは白色を基調としており、こっちは対照的に黒色が基調となった戦槌になっている。形は戦闘用の大型金槌であり、その用途とは不似合いなくらいにきれいな細工が施されているのも共通している。


「なんか、ジュリアの武器に似てるけど関係あんの?」

「似てるも何も、あれを作ったのは同じ職人だから当然だ。どっちも教団の至宝、選ばれた者にしかその使用は許されない逸品だ。」


 教団の至宝か。クルセイダーズの総長が持ってる十字剣ディバイン・クロスとかガンツの大盾とかみたいに有名なお宝扱いの武具なんだな。しかも似たデザインで色違いの物まで用意されてるなんて思いもしなかったな。まるで俺とグレートの関係にも似てるな。それはちょっと違うかな?


「武器の特性も同じ? なんかもっと硬そうなブレンダンの義手をバラバラにしちゃってるけど? 逆に壊されそうなもんだが?」

「あれの恐るべき特性があったからこそあんな現象が起きたんだ。持つ者の精神によって強度、大きさが変化すると言われている。使い手の魔力を消費するけどな。一説には正義の心に反応してその強さが決まるともされているな。」

「ひええ!? そんなの無敵じゃないか!?」

「だからこその粉砕の貴婦人マダム・スマッシャーなんだよ。あの女に逆らえばみんな粉々ってわけだ。」


 使う者の魔力を消費してとんでも破壊力を産み出すっていうのか! 十字剣で追従剣を操ったり、大盾で見えない障壁を作って相手を吹き飛ばしたり、教団の至宝ってのは付加効果もとんでもな物ばっかりだ! いや、よく考えたら勇者の剣も似たようなもんか? 壊れにくかったり、技に応じてオーラの刃が出たり……俺の剣も大概な性能だからとやかく言えないな……。


「じゃあ、ジュリアのも同じ能力付いてんの?」

「あたしのはあんなのと違って無節操じゃないのよ。あっちは義烈の力で、あたしのフラクタル・ダイヤモンドは慈悲の力が与えられてるんだ。あっちとは逆にこちらの手心次第で思いっきり叩いても怪我させないようにも出来る。俗に言う峰打ちみたいにか手加減が出来るようになってるわけ。」

「丁度お前の奥義と似たような効果だ。でもお前は武具の効果なしでやってのけるんだから反則チートなことこの上無いんだが。」

「えぇ~? そんなこと言われても……。」


 付加効果として対照的に義烈と慈悲の力が付与されてるのか。まさかあの戦槌にそんな能力が付いていたとは思わなかった。初めて会った時も飛竜の頭を粉砕してたから、似たように力を増幅してるんだと思っていたら、そうじゃなかったとは……。あれは付加効果なしの馬鹿力で成し遂げていたとは、思い返しただけでも冷や汗が出てきたぞ。


「散々な物言いですね。ワタクシも強く正しい正義感を以て事に当たっているだけでしてよ。」

「クソッ! せめて断裂斬魔刀メガ・スマッシャーが手元にあれば……。」

「隊長!? おば様、これは一体、何があったというのですか?」


 パーティー会場で乱入者同士の乱闘、そんな異常事態に飛び込んできた一人の少女がいた。エルの従妹のヘイゼルだった。そういえばいつの間にやら、処刑隊に加入してたんだっけ? 直属の上司であるブレンダンの後を追って、この場にやってきたのだろうか?


「嬢ちゃん、お前は休んでいろと言ったじゃないか! どうしてここまで来た?」

「隊長がおば様の所へ行くと聞いたので……嫌な予感がしたので来たのです!」

「貴女までやって来てしまったのですね。まあ、来てしまった以上は仕方ないですわね。命令違反を仕出かした者の末路を見ておいきなさい。」

「隊長がそんなことを……、」


 ヘイゼルはまるで信じられないといった感じの様子でオードリーとブレンダンをそれぞれ交互に見ている。今、目にしている事態の状況が飲み込めないのだろう。信頼していた上司がトップに歯向かうなんて想像も出来なかったのだろう。エルフリーデさんの過去話で明らかになったがエルの叔母とオードリーが友人なことが判明していた。それを裏付けるように、ヘイゼルとオードリーの関係性は身内同然なのは見ているだけでも感じ取れた。


「この男は勇者捕縛を阻止しようとしたのです。あろうことかワタクシに危害を加えようともしました。よって、この男を不可視の鎌インビジブル・シックルズの隊長の任から外すことを決定したのです。」

「そんなことって……、」

「へっ、反逆者ってのはこんなにも無様なモンなんだぜ。よくこの光景を目に刻んで、後学にしておきな。まあ、嬢ちゃんが俺の真似事なんてしないだろうがよ……。」

「お黙り! 私の大切な後継者に余計な事を吹き込むのは許しませんよ!」

(ガッ!!)

「グアッ!?」


 オードリーは戦槌でブレンダンを殴り昏倒させた。体格が倍ほど大きいブレンダンを一撃で倒してしまうとは、恐ろしい威力だ。ブレンダンが倒れた今、次のターゲットは俺ということになる。だけど、ブレンダンのように歯向かってしまえば、みんなに危害が及ぶ恐れがある。ここは無抵抗で連行されるしかなさそうだ……。
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