【第4部】勇者参上!!~勇者マストダイ! 不適格勇者を直ちに排除せよ!!~

Bonzaebon

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第1章 勇者マストダイ!!【勇者なのに……〇〇されました。】

第16話 そう呼んじゃマズいんですかね……?

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「あのー、とりあえず、お義父さん、って呼ばせてもらってもいいですかね?」

「許可致しかねます。あなたにそのような呼ばれ方をする筋合いはありませんので。」

 な・ん・で? だってアナタの娘さんと一緒になったんですよ? いつの日かそう呼べるのを楽しみに生きていたこともありました。実際対面した途端に却下されるなんて思ってませんでしたよ! 確かに事前に親御さんへ挨拶に行かなかった俺も悪いと思うんです? 

 でも、住所不明、消息不明な人に会いに来いとか言われても、それは無理ゲーだと思うんですよね。 それとも、アレ? 「お前などに娘はやらん!」的な対応を凄く理性的に冷静にやったような感じなんですかね? それならそうと……、


「いやいや、それでもあなたの娘のエレオノーラさんと添い遂げようと思ってるので、あなたをお義父さんと呼ばないといけなくなるんですが?」

「私には娘などいませんよ。私は未婚ですし、今現在も家族と呼べる人など誰一人として存在しませんよ。」

「な、何を言って……、」

(カンカン!!)

「被告人、参考人共に裁判に関係ない個人的な話題は謹んで下さい!」

「おぅ……!?」


 またまた裁判官に怒られてしまった。ちょっとどうしても筋は通したかったんで、構わず続けてしまったのだ。なんか、エルの存在が否定されているかのような振る舞いに違和感を覚えてしまったからだ。お義母さんのエルフリーデさんの過去話でもシャルルが彼女に冷たくしている様子だったが、今も変わっていないということか? 娘が生まれても変化することはなかったのか?

  誰だって子供が生まれたら流石に情が湧くってのが筋なんじゃないですかい? でもここで何を考えても、話が脱線してしまうのでこれ以上は追求できないのが残念だ。


「裁判官、話が脱線したことをお詫びいたします。話を本題に戻しますが、彼には勇者の座を簒奪した疑惑があります。」

「なっ!? そんなはずない! 俺はカレルから正当に勇者の使命を引き継いだんだ!」

「それはあなたの主観でしかありませんよ? それを証明出来ますか? その場に立ち会った方、証人はいるのですか?」

「あっ……!?」


 俺はハッとした。法廷も騒然としてざわついている! 確かに……今まで考えもしなかった視点だ。俺としては正当に引き継げたと思うし、カレルも納得して俺で良かったとさえ言っていた。でもあの場には俺とカレル、そして彼を狙っていた暗殺者の計三人しかいなかった。しかも、そのうち二人はもう既にこの世にはいない。確かにこれでは証明のしようがない。


(カンカン!!)

「皆さん静粛に!」

「……続けます。あの場にいた人間は今はもう彼しかいません。だと言うのに誰もが彼を疑わず、何処の馬の骨とも知れない異国の出身者が勇者の座についてしまったのです。この状況からもう一つの可能性を誰も疑わなかったのは何故なのでしょうか?」

「そ、その可能性とは……?」

「彼が勇者カレルを殺害した可能性があります。当時の現場の目撃者が他に誰もいないのであれば、この事実を払拭できないと言えるのではないでしょうか?」

「ううっ!?」


 またここで法廷がざわめいた。だって俺がカレルを殺害しただなんて言うんだからなぁ。確かに言われてみれば俺の話を聞いただけで、みんな誰一人として疑った人なんていなかったんだからな。せいぜい、カレルから俺に切り替わったことをファル達に疑われたくらいだ。

 奇跡的に疑われなかったのもおかしな話だ。額冠の力だ、と思えば納得の出来ることだが、現実的に言えば疑わしいとしか言えない”密室”状態だったと言えるのだ。誰も俺の潔白を証明出来る人はいないんだ……。


「よって、彼はカレルを殺害した後、勇者の座を簒奪した可能性を疑わざるを得ません。この事実を元に考えれば、今現在に至るまでの間に他の勇者の候補者にその座を譲らず、勇者の座にしがみついていた事にも説明が付くのではないでしょうか?」

「ちょっと待ってよ! 額冠は? 額冠の意思が俺を後継者として認めたから、俺は勇者になれたんじゃないの? それに剣の里ソード・ランで勇者王をはじめとした歴代勇者とも対面して認められたはずなんだけど……?」

「それを証明する事は出来ますか?」

「額冠がある以上、それは事実なんじゃないの?」

「そのようなあやふやな事象が認められると思うのですか? それはあくまで言い伝えでしか語られない話です。勇者以外の者には知り得ない迷信を証拠として言い張るのですか?」


 額冠はその資格に値しない者には決して力を与えたりしない。邪悪な意思を持つ者が付けようとすれば、その着用すら許さないはずだからだ。でもそれは勇者しか見ていない事象だ。他の人は、勇者でない人には見えないのだから、証明のしようがない。だからといって否定していい事実なんだろうか? 勇者の存在意義にも手を入れる事態に発展しているんじゃないか?
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