29 / 59
第1章 勇者マストダイ!!【勇者なのに……〇〇されました。】
第29話 慰問? お花畑? タワシ……??
しおりを挟む「慰問かぁ……。まあ、どのみち最後だから、少しは気が紛れるか。」
刑がいつ執行されるのかわからないまま、2、3日が経過した。その間に他の受刑者からある噂を聞きつけた。何か旅芸人の一座が慰問にやって来るのだと言う。しかも、滅多にそういう催しが行われないこの場所では異例の事態であるらしく、受刑者達も心が弾んでいる様だ。そして、とうとうその当日がやってきたのである。
「まあ、見てな。それなりに面白い事が起きるぜ。」
「えぇ? なんでさ? なんか旅芸人の一座に心当たりがあるのか?」
俺達囚人一同はこの刑務所の野外集会場のような所に集められていた。なにかイベント事などが行われる場合に使われる場所であるらしい。俺達は何列かに連なって規則正しく整列されるような形で全て同じ向きで座らされている。その先には舞台のように一段高くなったところがある。おそらくそこで芸などの興行が行われるのだろう。
「あるっちゃあ、ある。詳しいことは言えないがな。」
「何それ?」
周りは浮かれているが、俺達、”洗濯不要”トリオは特にテンション自体は普段と変わりなかった。俺はげんなりしていたし、名無し男も相変わらず謎の単語を呟いているだけだった。
しかし、イツキだけはふてぶてしさが一段と増しているような気が……? なんか、慰問の話を聞いたときから不適な笑みを浮かべるようになったのだ。そんな態度取ってるけど、実は……楽しみで仕方ないんじゃないか? だとしたら以外とかわいい一面を持ってるんだなと思うが、果たして?
『皆さん、こんにちは!! 皆さんの元へエンターテイメントをお届けしに来た、”テッパン芸雑技団”でーす!』
「おっ? とうとう始まったな?」
イツキのリアクションについて考察している間に講演が始まったようだ。進行役なのかどうかわからないが、一人の東洋人風の女の子が出てきた。白色の上着と朱色の下履きといった如何にも東洋風の着物を着ている。アレって侍の国では聖職者の衣装なのでは? なんかタニシがそういう話をしていたので知っているのだが、どうなのだろう?
「ヒュー、ヒュー! いいぜ、ねえちゃん!」
「服でも脱いでストリップ・ショーとかしてくれんの?」
『しません!! 絶対にそんなことやりませんよ!! そんなこと言うんなら、セクハラの罪で処刑隊の方々に言いつけて、その場で処刑してもらいますよ!!』
「固ぇこと言うなよ~!」
なんか服を脱げとか要求する囚人がいた! 欲求不満が溜まっているからってあんまりな要求である。旅芸人を名乗ってるのにそんなセクシーな催しが行われるわけないだろ! ホントに刑務所だからなんでも無法に行えると思ってるのが怖い。そりゃ、あの娘もキレるわ。というか、むしろそのまま処しちゃってもいいと思うんです。
『セクハラの罪を犯した人はもれなくお花畑になってもらいます! それっ!!』
「どぅわ!?」
白赤着物の女の子はどこからともなく竹で出来ていると思われるホウキを取り出し、気合いの声を出しつつ観客席の囚人達をなぎ払うような仕草をした。すると、どうだろう……一斉に花が出現した! しかも囚人達の頭の上にだ! 完全に席の前の連中は頭がお花畑になってしまったのである!
「うえへへ! お花がいっぱい~!」
「チョウチョが飛んでいる~!」
なんか囚人の頭の中までお花畑になってしまった様だ。お花畑にされた連中はもれなく酔っ払ったみたいな感じで奇行とか奇声を上げたりし始めた! これは何だ? 魔法なのか? あの女の子は魔法を使えるというのだろうか? 植物とか草木を操る属性の魔法があると聞いたことがある。確か、エルのお友達のローラがその使い手だったな? こうやって実際に見たのは初めてかもしれない。
「なにやってんだ……。あのバカ……。」
「ん? どうした?」
「いや、なんでもない。アイツらのことさ。つまんねえこと言うから、あんな目に遭うんだよ。」
なんだろう? イツキが妙なリアクションをしているな? 今のは誰に向けて言ったんだろう? あの娘に向けて言ったように見えたが、前の方でお花畑にされた連中に言ったのだと弁明している。ホントにそうなんだろうか? 実はあの娘のファンだったりして? 照れ隠しでごまかしたに違いない。
『さーて、お痛はこれくらいにして、お待ちかねのショーが始まりますよ!』
『みなしゅわ~ん! 1番手はこの、たにし回し……じゃなくてタワシ回しのタワシが勤めるでヤーンすぅ!!』
白赤着物の女の子が改めて開始宣言をすると、茶髪の少年が出てきた。少年って言っても背が低めなので、若々しく見えるだけなのかもしれない。俺も低めな方だし人のことは言えない。それよりもともかく、この人を見ていると誰か別の人を思い出さずにはいられない。しかも語尾がヤンス……? いや、他人のそら似だろう。だってあの人、普通に人間だしな……。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
【コミカライズ決定】勇者学園の西園寺オスカー~実力を隠して勇者学園を満喫する俺、美人生徒会長に目をつけられたので最強ムーブをかましたい~
エース皇命
ファンタジー
【HOTランキング2位獲得作品】
【第5回一二三書房Web小説大賞コミカライズ賞】
~ポルカコミックスでの漫画化(コミカライズ)決定!~
ゼルトル勇者学園に通う少年、西園寺オスカーはかなり変わっている。
学園で、教師をも上回るほどの実力を持っておきながらも、その実力を隠し、他の生徒と同様の、平均的な目立たない存在として振る舞うのだ。
何か実力を隠す特別な理由があるのか。
いや、彼はただ、「かっこよさそう」だから実力を隠す。
そんな中、隣の席の美少女セレナや、生徒会長のアリア、剣術教師であるレイヴンなどは、「西園寺オスカーは何かを隠している」というような疑念を抱き始めるのだった。
貴族出身の傲慢なクラスメイトに、彼と対峙することを選ぶ生徒会〈ガーディアンズ・オブ・ゼルトル〉、さらには魔王まで、西園寺オスカーの前に立ちはだかる。
オスカーはどうやって最強の力を手にしたのか。授業や試験ではどんなムーブをかますのか。彼の実力を知る者は現れるのか。
世界を揺るがす、最強中二病主人公の爆誕を見逃すな!
※小説家になろう、カクヨム、pixivにも投稿中。
辺境で静かに暮らしていた俺、実は竜王の末裔だったらしく気づけば国ができていた
平木明日香
ファンタジー
はるか五億四千万年前、この星は六柱の竜王によって治められていた。火・水・風・土・闇・光――それぞれの力が均衡を保ち、世界は一つの大きな生命のように静かに巡っていた。だが星の異変をきっかけに竜の力は揺らぎ、その欠片は“魂”となって新たな生命に宿る。やがて誕生した人類は文明を築き、竜の力を利用し、ついには六大陸そのものを巨大な封印装置へと変えて竜王を眠りにつかせた。
それから幾千年。
現代では六つの大国がそれぞれ封印を管理し、かろうじて世界の均衡を保っている。しかし各地で異常な魔獣が出現し、封印の揺らぎが噂されはじめていた。
そんな世界を気ままに旅する青年がいる。名はブラック・ドラグニル。三年前からハンターとして魔獣を討伐し、その肉を味わいながら各地を渡り歩く放浪者だ。規格外の実力を持ちながら名誉や地位には興味がなく、ただ「世界のうまいものを食べ尽くす」ことを楽しみに生きている。
ある日、光の王国ルミナリア近郊で王女ユリアナが大型魔獣に襲われる事件が起きる。死を覚悟した騎士団の前に現れたブラックは、その怪物をわずか数十秒で討ち倒す。彼にとっては雑魚同然だったが、その圧倒的な強さは王国中に知れ渡る。王女は自由に生きる彼の姿に心を奪われるが、ブラックは次の目的地へ向かう計画を練るばかり。
だが彼自身はまだ知らない。
自らが竜族の末裔であり、世界を再び“統合”へ導く鍵となる存在であることを。
竜の封印が揺らぐとき、自由を愛する青年は世界の命運を左右する選択を迫られる。
これは、竜の記憶と人の魂が交錯する壮大なファンタジー叙事譚である。
借金5億で異世界転移、よりによって金本位制の世界だった
夜明け一葉
ファンタジー
32歳の個人トレーダー・佐藤慧は、5年間の雪辱を賭けたトレードで5億円の借金を抱え、意識を失った。目覚めると、そこは剣と魔法が存在する見知らぬ世界だった。常識が通じない異世界で、金貨を見るだけで嘔吐する「金アレルギー」を抱えながら、若き冒険者リナと出会い、生き延びる術を探し始める。諦めることだけができなかった男が、新たな世界で再び立ち上がる異世界サバイバル譚。
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
無能なので辞めさせていただきます!
サカキ カリイ
ファンタジー
ブラック商業ギルドにて、休みなく働き詰めだった自分。
マウントとる新人が入って来て、馬鹿にされだした。
えっ上司まで新人に同調してこちらに辞めろだって?
残業は無能の証拠、職務に時間が長くかかる分、
無駄に残業代払わせてるからお前を辞めさせたいって?
はいはいわかりました。
辞めますよ。
退職後、困ったんですかね?さあ、知りませんねえ。
自分無能なんで、なんにもわかりませんから。
カクヨム、なろうにも同内容のものを時差投稿しております。
軽トラの荷台にダンジョンができました★車ごと【非破壊オブジェクト化】して移動要塞になったので快適探索者生活を始めたいと思います
こげ丸
ファンタジー
===運べるプライベートダンジョンで自由気ままな快適最強探索者生活!===
ダンジョンが出来て三〇年。平凡なエンジニアとして過ごしていた主人公だが、ある日突然軽トラの荷台にダンジョンゲートが発生したことをきっかけに、遅咲きながら探索者デビューすることを決意する。
でも別に最強なんて目指さない。
それなりに強くなって、それなりに稼げるようになれれば十分と思っていたのだが……。
フィールドボス化した愛犬(パグ)に非破壊オブジェクト化して移動要塞と化した軽トラ。ユニークスキル「ダンジョンアドミニストレーター」を得てダンジョンの管理者となった主人公が「それなり」ですむわけがなかった。
これは、プライベートダンジョンを利用した快適生活を送りつつ、最強探索者へと駆け上がっていく一人と一匹……とその他大勢の配下たちの物語。
勇者パーティーを追放されたので、張り切ってスローライフをしたら魔王に世界が滅ぼされてました
まりあんぬさま
ファンタジー
かつて、世界を救う希望と称えられた“勇者パーティー”。
その中で地味に、黙々と補助・回復・結界を張り続けていたおっさん――バニッシュ=クラウゼン(38歳)は、ある日、突然追放を言い渡された。
理由は「お荷物」「地味すぎる」「若返くないから」。
……笑えない。
人付き合いに疲れ果てたバニッシュは、「もう人とは関わらん」と北西の“魔の森”に引きこもり、誰も入って来られない結界を張って一人スローライフを開始……したはずだった。
だがその結界、なぜか“迷える者”だけは入れてしまう仕様だった!?
気づけば――
記憶喪失の魔王の娘
迫害された獣人一家
古代魔法を使うエルフの美少女
天然ドジな女神
理想を追いすぎて仲間を失った情熱ドワーフ
などなど、“迷える者たち”がどんどん集まってくる異種族スローライフ村が爆誕!
ところが世界では、バニッシュの支援を失った勇者たちがボロボロに……
魔王軍の侵攻は止まらず、世界滅亡のカウントダウンが始まっていた。
「もう面倒ごとはごめんだ。でも、目の前の誰かを見捨てるのも――もっとごめんだ」
これは、追放された“地味なおっさん”が、
異種族たちとスローライフしながら、
世界を救ってしまう(予定)のお話である。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる