【第4部】勇者参上!!~勇者マストダイ! 不適格勇者を直ちに排除せよ!!~

Bonzaebon

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第1章 勇者マストダイ!!【勇者なのに……〇〇されました。】

第54話 間一髪、助かりました!

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「フム、間一髪というところだったようだな。」

「ふはひ? なんか間に合ったみたいでヤンスな!」


 聞き覚えのある男の声と特徴的な語尾のしゃべり方をする人影! その二人の人影の正体は見えなくてもわかる! 師父とタニシだ! ていっても師父ではないので、恐らく師父に扮したレンファさんなのは間違いないが、どうしてまた、あの仮面をつけているのかは謎だった。徐々に煙幕が晴れ、姿が明らかになってきた。


「むむう!? 何者ですか? 公務執行妨害で逮捕しますよ!」

「私の名は黒狐ヘイフゥ。勇者ロアを影ながら守護する者だ。」

「何が守護ですか! 死刑囚を助けるなんて、同罪に等しいですよ!」

「私を裁きたければ、そうすればいい。だが容易にはいかないぞ。」


 やっぱりレンファさんとして来た訳ではないようだ。例の声を変声させる機能を持った狐の面、それを着けて俺の前に現れたのだ。正体がわかった以上は着けている意味はないはずだが、助けに来てくれたのは事実。感謝すべきだろう。


「では! 遠慮なくやらせていただきますよ! ……おあっ?」

「グオゴゴゴ!!!」

(ジャラ、ジャラ!!!)


 スミスがヘイフゥに対峙しようとしたとき、後ろから押し退けるようにしてカボチャ兜が進み出てきた。手には鎖を持っている。そう、鎖だけだ。先端に付いていたはずの鉄駕籠は後ろにある。やはり煙幕が立ち込めた瞬間に鎖を断ち切られたのは間違いなさそうだ。”鶴刺一閃”の一撃で破壊されたのだ!


「ジャック? アナタ、怒っていますね? わかりました。あの人物の相手はアナタに譲ります。」

「グオゴゴ!!!」

「その間に私は勇者達への刑の執行を行います!」


 カボチャ兜は明らかに荒ぶっていた。邪魔されたことに腹を立て、その仕返しをしようとヘイフゥに向かっていく。その様子を見ているうちに、俺の拘束が解かれたような感触があった。タニシがナイフで縄を断ち切ってくれたようだ。


「アニキ、もうだいじょうびでヤンス!」

「ああ、ありがとう、助かったぜ!」

「さて、これで俺らも自由になった! ここからは仕返しの時間だ!!」

「むううっ!? あの男に気を取られているうちに! 許しませんよ! 特にそこの茶色の人!!」

「わひーっ!? あっしがロックオンされてるでヤンス!!」


 俺とイツキが自由になったこととで、スミスはそれを解放したタニシに敵意を向け始めた。だからといってそんなことはさせはしない。今は三対一。こっちが有利だ。さっきまでのような素手のデスマッチとも違うんだ。それに俺の拘束が解かれたということは……、


「拘束が解かれたからといってアナタ方は素手に違いありません! 勝ち目はないのです!」

「それはどうかな? ジャキーン……なんてな!」

「おわぁ!? どこから武器を!? どこに隠し持ってたんですかぁ!?」

「隠し持ってるっていうか、義手の中に仕込まれてるんだからいつも持ち歩いてる様なもんだ。忘れたのか?」


 ちょっと剣を取り出してみただけでこれだ。ていうか白々しい。俺の義手の秘密はある程度知っているクセに! 得意の諜報活動で仕入れている情報なのは間違いない。だからこそ”神の縛鎖”とか処刑台で額冠ごと力を封じてたんじゃないのか?


「き、危険物所持の容疑で逮捕しますぅ!!」

「……霽月八刃!!」

「はうっ!?」


 反則だ、と言われても容赦はしない。とはいえ、殺すのはなんか違うと思ったので、しばらく気を失っていてもらうことにした。相手の意識だけを斬った。峰打ちでも良かったが、さっきの絞め技でも復帰するまでが早かったので確実に意識を失わせるしかないので、そんなやり方をした。


「斬った? あの一瞬だけ刃が見えた……。」

「ああ、この剣は技を使用した時だけ実態のない刃が展開されるのさ。勇者の奥義を使うときは光の刃が展開されっぱなしになるけどな。」

「どういう原理かは知らんが、アンタを相手にするのは避けた方が賢明だな。」

「いや、別にお前とは敵対しないだろ。」

「というか、スミスを殺らなかったのは何故だ? 殺した方がいいだろ?」

「殺さんでもいいさ。特に極悪ってわけでもなかったしな。」

「ケッ! 甘ちゃんかよ!」


 確かに甘いのかもしれない。相手は俺たちの命を奪おうとして来た連中だ。普通に考えたらそのままにしておく方がおかしいと思うだろう。でも、なんというか、それほど憎いと思える相手ではなかった。割りと傍目で見ていたら愉快な連中だったし、あのブレンダンの部下だ。処刑人とはいえ常軌を逸する程の殺人狂でないと思えたのだ。


「なあ、タニシ、その武器はなんだ? そんな物騒な物、どこから持ってきた?」

「ああ! 話せば長くなるんでヤンスが……これはある人に渡すように頼まれたんでヤンス! 多分、あの人の持ち物でヤンス!」

「アイツの……?」


 ヘイフゥがカボチャ兜の動きを翻弄しているのを横目で見ながら、タニシが指差す鉄駕籠の方を見た。鎖を切られたので安心していたが、アイツの事を心配してやらなくちゃいけない。怪我もしているはず。少し動いている様子も見られるのでまだ生きているようだ。

 しかし、タニシが預かったという物……。例の噂で聞いていた物と特徴が一致しているじゃないか。実物を見たら更に不可解な物の様に思えた。何か嫌な寒気がするような……。
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