12 / 27
二章 ラオルテと第三騎士団(3)下
食堂から、ラビ達以外の人間がいなくなり、あっという間に静かになった。
ユリシスが小さく息を吐き、自分とセドリックの分の珈琲を淹れた。セドリックはラビを気にして「飲みますか」と訊いたが、彼女は片手を振って要らない事を伝えた。
人がほとんどいなくなったタイミングで、ノエルが食堂にやって来た。
『一昨日に氷狼の襲撃があったって、外の猫が噂してたぜ』
彼はそう報告しながら、ラビの近くにきて座りこんだ。慣れない土地だというのに、緊張感もなく大きな欠伸をかみしめ、落ち着いた面持ちで優雅に尻尾を揺らせる。
その時、キッチンの奥から出てきた中年女性が、そのままノエルの方へ向って歩いて来た。
彼の尻尾が踏まれてしまうのではないかと感じて、ラビはギョッとした。しかし、ノエルは女に目も向けないまま、器用に尻尾を上げて回避してしまう。
女性の足は、先程までノエルの尻尾があった場所を踏みつけ、擦れ違いざまセドリックとユリシスに「また昼間に」とにこやかに挨拶をして去って行った。二人は女性の挨拶に応えたあと、ラビを挟んで会話を始めたのだが、ラビは左右を飛び交う話しの内容が耳に入らなかった。
ラビの視線を受けとめたノエルが、途端にニヤリとした。
『なんだ、俺の尻尾が踏まれると思ったのか? だから言ったろ、普通の人間には見えないんだから、そいつらにとって俺達はいないのと同然なんだよ』
でもオレは見えているし、だから心配してしまうんだよ。
そう言い返したかったが、ラビは、セドリックとユリシスの存在もあったので黙っていた。
すると、ノエルが小馬鹿にしたように顔を上げて、得意げに目を細めた。ラビの中でドキドキは苛立ちに変わり、今すぐその偉そうな顔に両手を押し付けて、揉みくちゃにしてやりたくなった。
「ラビ、何を見ているんです?」
前触れもなく、眼前にセドリックの顔が現れて、ラビは驚いて目を丸くした。ノエルの姿が、彼の向こうに隠れて見えなくなる。
こちらを見つめるセドリックは、どこか少し拗ねたような、面白くなさそうな顔をしていた。
「僕が隣にいるのに、無視しているんですか?」
「……オレ、何か話しを振られたの?」
ラビが困惑しつつ尋ね返すと、隣にいたユリシスが、「別に話しは振っていませんが」と珈琲カップを持ち上げた。
というより、まずはこの並びがおかしいのでは、とラビは腹の中で呟いた。
ユリシスとセドリックは、間にラビを挟んで座っている。互いに話したいのであれば、隣同士か、向かい側に座ればいいのにと、この席に案内されてからずっと怪訝には思っていた。
ラビは、ひとまず水を飲んで落ち着く事にした。その間もずっと、何故か横顔にセドリックの視線を感じた。
用もなく見られ続けるというのも、なんだか居心地が悪い。
何かしら、こちらから話しが返ってくるのを待っているのだろうかと考えて、ラビは、横目でそれとなく訊いてみた。
「――そういえば、ルーファスは元気?」
「兄さんなら元気ですよ。今は仕事で忙しくされていますが」
話しかけただけなのに、セドリックが目を和らげて嬉しそうに微笑んだ。
セドリックの兄、ルーファス・ヒューガノーズは、十八歳という若さで王宮騎士団をまとめる重役に就き、二十四歳になった今も華々しく活躍し続ける優秀な男だった。
ラビは四年ほど顔を見る機会がなかったが、ルーファスについては、伯爵や伯爵夫人からたびたび話しを聞かされていた。伯爵の話しによると「ウチの長男は、出来過ぎる美形で立ち周りも上手い。恐ろしいぐらい男女共にモテにモテて大変」なのだそうだ。
「……そういえばさ、伯爵がルーファスのこと、陛下にも気に入られる美しさだとか自慢してたぜ。大丈夫か、お前の親父」
「えッ、いつ話したんですか?」
「うーん、三ヵ月前あたりかな」
ラビは、記憶を辿りながら答えた。
ヒューガノーズ伯爵は、甘党とは思えないほどに若作りでハンサムな男なのだが、自分好みの顔をしている長男を溺愛している変わり者なのである。ラビの金髪についても「眺めていて飽きない」と言い、幼い頃のように伸ばしてくれる事を期待していた。
すると、ユリシスが「なるほど」と理解に至ったような顔で相槌を打った。
「一時期引き取られていた事もあって、今も伯爵家とは交友があるわけですか。ルーファス様とは、最近もお会いしたのですか?」
「ううん、最後に会ったのは四年ぐらい前だし、ルーファスも覚えてないんじゃないかな」
ラビがそれとなく述べると、セドリックが「そんな事はないですよ」と笑った。
「兄さんの口からは、今でもラビの話しが出ますし、末っ子みたいに考えているところもありますから、寂しがっていると思います」
「末っ子ッ? それってセドリックより下って事じゃん! ヤだ!」
「ヤだって、そんなこと言わないで下さいよ。だって、ラビが最年少じゃないですか……」
困り果てるセドリックを見て、ノエルが『お前がしゃきっとしてねぇからだろ』とニヤニヤした。
ラビは心の中で、そういうところは確かに末っ子っぽいよな、と答えた。
「兄さんは、特に家族想いですからね。いずれ本邸に母上も来て頂きたいと考えて、仕事の合間を縫って色々とアプローチをしているようですが、……無理やりつれてくるわけにもいきませんし」
セドリックが「ふぅ」と悩ましげな息を吐いた。
伯爵夫人だって、本当はその気持ちがあると、ラビは知っていた。せっかくの家族が擦れ違うのを見るのは嫌だと感じて、つい幼馴染兄弟に少しだけ教えたくなった。
「きっと大丈夫だって。ちょっと無理に言い聞かせてでも、本邸に戻した方がいいとオレは思うけど。だってさ、伯爵も最近はあまり帰ってこられないから、すごく寂しがってた。王都に行きたいけど、別の事に気がかりがあるみたいで、理由はビアンカにも話――」
話してくれてないんだよな、と続けようとして、ラビは慌てて口をつぐんだ。
ビアンカは、可愛がってくれている伯爵夫人を大事にしていた。ラビが別荘を訪問する際に、どうしたら彼女の溜息の数が減るのか相談してくる事も多かった。
しかし、猫から話を聞いているんです、と正直に説明出来るはずもない。
セドリックが「え、それ本当ですか?」とこちらを覗きこんで来たので、ラビは追及を避けるべく「なんでもないッ」と立ち上がった。すると、彼が慌てて腕を掴んできた。
「ラビ、待って下さい」
「待たない、調査してくる」
「えっと……分かりました。その、母上の事を気にしていてくれて、ありがとうございます」
どうしてか、彼は自分の事のようにはにかむんだので、ラビは思わずジロリと睨みつけてしまった。
「オレじゃなくて、ビアンカに言ってやれよ。夫人が寂しがらないように、いつもそばにいてくれているんだから」
伯爵夫人は、以前は身体が弱かったために療養していたようだが、今では体調に問題はない。
彼女をホノワ村に引きとめている本当の理由は分からないが、ラビとしては、夫や息子達を想ってスコーンを焼き、好きよと伝えるように優しく抱きしめてくれる彼女は、家族と一緒に、穏やかに暮らす姿が一番合っていると思えた。
ビアンカも、ラビも、血の繋がった家族がいないからこそ、それを強く確信しているのだ。
ユリシスが小さく息を吐き、自分とセドリックの分の珈琲を淹れた。セドリックはラビを気にして「飲みますか」と訊いたが、彼女は片手を振って要らない事を伝えた。
人がほとんどいなくなったタイミングで、ノエルが食堂にやって来た。
『一昨日に氷狼の襲撃があったって、外の猫が噂してたぜ』
彼はそう報告しながら、ラビの近くにきて座りこんだ。慣れない土地だというのに、緊張感もなく大きな欠伸をかみしめ、落ち着いた面持ちで優雅に尻尾を揺らせる。
その時、キッチンの奥から出てきた中年女性が、そのままノエルの方へ向って歩いて来た。
彼の尻尾が踏まれてしまうのではないかと感じて、ラビはギョッとした。しかし、ノエルは女に目も向けないまま、器用に尻尾を上げて回避してしまう。
女性の足は、先程までノエルの尻尾があった場所を踏みつけ、擦れ違いざまセドリックとユリシスに「また昼間に」とにこやかに挨拶をして去って行った。二人は女性の挨拶に応えたあと、ラビを挟んで会話を始めたのだが、ラビは左右を飛び交う話しの内容が耳に入らなかった。
ラビの視線を受けとめたノエルが、途端にニヤリとした。
『なんだ、俺の尻尾が踏まれると思ったのか? だから言ったろ、普通の人間には見えないんだから、そいつらにとって俺達はいないのと同然なんだよ』
でもオレは見えているし、だから心配してしまうんだよ。
そう言い返したかったが、ラビは、セドリックとユリシスの存在もあったので黙っていた。
すると、ノエルが小馬鹿にしたように顔を上げて、得意げに目を細めた。ラビの中でドキドキは苛立ちに変わり、今すぐその偉そうな顔に両手を押し付けて、揉みくちゃにしてやりたくなった。
「ラビ、何を見ているんです?」
前触れもなく、眼前にセドリックの顔が現れて、ラビは驚いて目を丸くした。ノエルの姿が、彼の向こうに隠れて見えなくなる。
こちらを見つめるセドリックは、どこか少し拗ねたような、面白くなさそうな顔をしていた。
「僕が隣にいるのに、無視しているんですか?」
「……オレ、何か話しを振られたの?」
ラビが困惑しつつ尋ね返すと、隣にいたユリシスが、「別に話しは振っていませんが」と珈琲カップを持ち上げた。
というより、まずはこの並びがおかしいのでは、とラビは腹の中で呟いた。
ユリシスとセドリックは、間にラビを挟んで座っている。互いに話したいのであれば、隣同士か、向かい側に座ればいいのにと、この席に案内されてからずっと怪訝には思っていた。
ラビは、ひとまず水を飲んで落ち着く事にした。その間もずっと、何故か横顔にセドリックの視線を感じた。
用もなく見られ続けるというのも、なんだか居心地が悪い。
何かしら、こちらから話しが返ってくるのを待っているのだろうかと考えて、ラビは、横目でそれとなく訊いてみた。
「――そういえば、ルーファスは元気?」
「兄さんなら元気ですよ。今は仕事で忙しくされていますが」
話しかけただけなのに、セドリックが目を和らげて嬉しそうに微笑んだ。
セドリックの兄、ルーファス・ヒューガノーズは、十八歳という若さで王宮騎士団をまとめる重役に就き、二十四歳になった今も華々しく活躍し続ける優秀な男だった。
ラビは四年ほど顔を見る機会がなかったが、ルーファスについては、伯爵や伯爵夫人からたびたび話しを聞かされていた。伯爵の話しによると「ウチの長男は、出来過ぎる美形で立ち周りも上手い。恐ろしいぐらい男女共にモテにモテて大変」なのだそうだ。
「……そういえばさ、伯爵がルーファスのこと、陛下にも気に入られる美しさだとか自慢してたぜ。大丈夫か、お前の親父」
「えッ、いつ話したんですか?」
「うーん、三ヵ月前あたりかな」
ラビは、記憶を辿りながら答えた。
ヒューガノーズ伯爵は、甘党とは思えないほどに若作りでハンサムな男なのだが、自分好みの顔をしている長男を溺愛している変わり者なのである。ラビの金髪についても「眺めていて飽きない」と言い、幼い頃のように伸ばしてくれる事を期待していた。
すると、ユリシスが「なるほど」と理解に至ったような顔で相槌を打った。
「一時期引き取られていた事もあって、今も伯爵家とは交友があるわけですか。ルーファス様とは、最近もお会いしたのですか?」
「ううん、最後に会ったのは四年ぐらい前だし、ルーファスも覚えてないんじゃないかな」
ラビがそれとなく述べると、セドリックが「そんな事はないですよ」と笑った。
「兄さんの口からは、今でもラビの話しが出ますし、末っ子みたいに考えているところもありますから、寂しがっていると思います」
「末っ子ッ? それってセドリックより下って事じゃん! ヤだ!」
「ヤだって、そんなこと言わないで下さいよ。だって、ラビが最年少じゃないですか……」
困り果てるセドリックを見て、ノエルが『お前がしゃきっとしてねぇからだろ』とニヤニヤした。
ラビは心の中で、そういうところは確かに末っ子っぽいよな、と答えた。
「兄さんは、特に家族想いですからね。いずれ本邸に母上も来て頂きたいと考えて、仕事の合間を縫って色々とアプローチをしているようですが、……無理やりつれてくるわけにもいきませんし」
セドリックが「ふぅ」と悩ましげな息を吐いた。
伯爵夫人だって、本当はその気持ちがあると、ラビは知っていた。せっかくの家族が擦れ違うのを見るのは嫌だと感じて、つい幼馴染兄弟に少しだけ教えたくなった。
「きっと大丈夫だって。ちょっと無理に言い聞かせてでも、本邸に戻した方がいいとオレは思うけど。だってさ、伯爵も最近はあまり帰ってこられないから、すごく寂しがってた。王都に行きたいけど、別の事に気がかりがあるみたいで、理由はビアンカにも話――」
話してくれてないんだよな、と続けようとして、ラビは慌てて口をつぐんだ。
ビアンカは、可愛がってくれている伯爵夫人を大事にしていた。ラビが別荘を訪問する際に、どうしたら彼女の溜息の数が減るのか相談してくる事も多かった。
しかし、猫から話を聞いているんです、と正直に説明出来るはずもない。
セドリックが「え、それ本当ですか?」とこちらを覗きこんで来たので、ラビは追及を避けるべく「なんでもないッ」と立ち上がった。すると、彼が慌てて腕を掴んできた。
「ラビ、待って下さい」
「待たない、調査してくる」
「えっと……分かりました。その、母上の事を気にしていてくれて、ありがとうございます」
どうしてか、彼は自分の事のようにはにかむんだので、ラビは思わずジロリと睨みつけてしまった。
「オレじゃなくて、ビアンカに言ってやれよ。夫人が寂しがらないように、いつもそばにいてくれているんだから」
伯爵夫人は、以前は身体が弱かったために療養していたようだが、今では体調に問題はない。
彼女をホノワ村に引きとめている本当の理由は分からないが、ラビとしては、夫や息子達を想ってスコーンを焼き、好きよと伝えるように優しく抱きしめてくれる彼女は、家族と一緒に、穏やかに暮らす姿が一番合っていると思えた。
ビアンカも、ラビも、血の繋がった家族がいないからこそ、それを強く確信しているのだ。
あなたにおすすめの小説
行き遅れにされた女騎士団長はやんごとなきお方に愛される
めもぐあい
恋愛
「ババアは、早く辞めたらいいのにな。辞めれる要素がないから無理か? ギャハハ」
ーーおーい。しっかり本人に聞こえてますからねー。今度の遠征の時、覚えてろよ!!
テレーズ・リヴィエ、31歳。騎士団の第4師団長で、テイム担当の魔物の騎士。
『テレーズを陰日向になって守る会』なる組織を、他の師団長達が作っていたらしく、お陰で恋愛経験0。
新人訓練に潜入していた、王弟のマクシムに外堀を埋められ、いつの間にか女性騎士団の団長に祭り上げられ、マクシムとは公認の仲に。
アラサー女騎士が、いつの間にかやんごとなきお方に愛されている話。
男装獣師と妖獣ノエル 2~このたび第三騎士団の専属獣師になりました~
百門一新
恋愛
男装の獣師ラビィは『黒大狼のノエル』と暮らしている。彼は、普通の人間には見えない『妖獣』というモノだった。動物と話せる能力を持っている彼女は、幼馴染で副隊長セドリックの兄、総隊長のせいで第三騎士団の専属獣師になることに…!?
「ノエルが他の人にも見えるようになる……?」
総隊長の話を聞いて行動を開始したところ、新たな妖獣との出会いも!
そろそろ我慢もぷっつんしそうな幼馴染の副隊長と、じゃじゃ馬でやんちゃすぎるチビ獣師のラブ。
※「小説家になろう」「ベリーズカフェ」「ノベマ」「カクヨム」にも掲載しています。
初恋に見切りをつけたら「氷の騎士」が手ぐすね引いて待っていた~それは非常に重い愛でした~
ひとみん
恋愛
メイリフローラは初恋の相手ユアンが大好きだ。振り向いてほしくて会う度求婚するも、困った様にほほ笑まれ受け入れてもらえない。
それが十年続いた。
だから成人した事を機に勝負に出たが惨敗。そして彼女は初恋を捨てた。今までたった 一人しか見ていなかった視野を広げようと。
そう思っていたのに、巷で「氷の騎士」と言われているレイモンドと出会う。
好きな人を追いかけるだけだった令嬢が、両手いっぱいに重い愛を抱えた令息にあっという間に捕まってしまう、そんなお話です。
ツッコミどころ満載の5話完結です。
【完】麗しの桃は攫われる〜狼獣人の番は甘い溺愛に翻弄される〜
こころ ゆい
恋愛
※完結しました!皆様のおかげです!ありがとうございました!
※既に完結しておりますが、番外編②加筆しました!(2025/10/17)
狼獣人、リードネストの番(つがい)として隣国から攫われてきたモモネリア。
突然知らない場所に連れてこられた彼女は、ある事情で生きる気力も失っていた。
だが、リードネストの献身的な愛が、傷付いたモモネリアを包み込み、徐々に二人は心を通わせていく。
そんなとき、二人で訪れた旅先で小さなドワーフ、ローネルに出会う。
共に行くことになったローネルだが、何か秘密があるようで?
自分に向けられる、獣人の深い愛情に翻弄される番を描いた、とろ甘溺愛ラブストーリー。
自己肯定感の低い令嬢が策士な騎士の溺愛に絡め取られるまで
嘉月
恋愛
平凡より少し劣る頭の出来と、ぱっとしない容姿。
誰にも望まれず、夜会ではいつも壁の花になる。
でもそんな事、気にしたこともなかった。だって、人と話すのも目立つのも好きではないのだもの。
このまま実家でのんびりと一生を生きていくのだと信じていた。
そんな拗らせ内気令嬢が策士な騎士の罠に掛かるまでの恋物語
執筆済みで完結確約です。
やけに居心地がいいと思ったら、私のための愛の巣でした。~いつの間にか約束された精霊婚~
小桜
恋愛
ルディエル・アレンフォードは森に住む麗しの精霊守。
そんな彼が、いよいよ伴侶を迎えようと準備を始めているらしい。
幼馴染という関係に甘んじていたネネリア・ソルシェは、密かにショックを受けていた。
そろそろ彼との関係も終わらせなければならないけれど、ルディエルも精霊達もネネリアだけに優しくて――?
「大丈夫。ずっと居たいと思えるような場所にしてみせるから」
鈍感なネネリアと、一途で奥手なルディエル。
精霊に導かれた恋は、本人だけが気づかない。
エリート医務官は女騎士を徹底的に甘やかしたい
鳥花風星
恋愛
女騎士であるニーナには、ガイアという専属魔術医務官がいる。エリートであり甘いルックスで令嬢たちからモテモテのガイアだが、なぜか浮いた話はなく、結婚もしていない。ニーナも結婚に興味がなく、ガイアは一緒いにいて気楽な存在だった。
とある日、ニーナはガイアから女避けのために契約結婚を持ちかけられる。ちょっと口うるさいただの専属魔術医務官だと思っていたのに、契約結婚を受け入れた途端にガイアの態度は日に日に甘くなっていく。