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三章 ラビ、再び相棒と歩く(1)
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実際に歩いてみると、アビードの町は土地の広さはそれほどはないものの、建物と店が敷き詰められている場所だった。軽く一回りしてみたものの、人が溢れかえり腰を落ち着けられるような所も見付けられず、遠目から珍しい商品を眺めたりした。
ラビは、帽子を深くかぶってノエルと歩いた。近寄らないで欲しい、という視線を周りから向けられる中、大股で歩き進んで自分の目で町の様子を見た。
何かを買ってみたい、と思うような気持ちは湧いてこなかった。珍しい形をした装飾品や小物が目に留まったが、店を出している男や女に尋ねてみようという意欲も息を潜めていた。盗賊の一件で、少し疲れもあったのかもしれない。
アビードの町は、土地柄や置かれている環境もあってか、珍しい事に手軽に食べられるような商品を売る屋台がない、という特色もあった。そのせいか、ノエルもどこかつまらなそうにしていた。
『周囲一帯は乾燥した大地だ。風で砂が運ばれてくるからだろうな、建物の縁にも砂が積もってる』
「毎日の掃除が大変そうだね」
『こういう町は、大抵一日に二、三回は砂を掃くんだ。だから外に干されている洗濯物も、肌着や内着といった薄い生地がないんだぜ』
それは気付かなかった、とラビは人混みを歩きながら、彼だけに聞こえるように答えた。ロープで下降した際に何枚か、――いや、ヘタをすると何十枚かの洗濯物を巻き込んでしまったが、その辺には注目していなかったからだ。
「ノエルは凄いね。オレ、全然分からなかったよ」
『凄くはねぇさ。……ずっと昔に、似たような場所をいくつも訪れた事があるからな』
どこか思い出す口調で言ったノエルは、話題を終えるように一度口を閉じた。それから、散策を始めた当初の勢いを失った大人しいラビに、こう提案した。
『町の周囲を歩いてみようぜ。人混みを歩くよりもそっちの方が気分が良いだろうし、楽しそうだ。何か面白い発見があるかもしれねぇ』
人混みを歩くよりも、というのはラビも思っていたところだったので、一つ頷いてあっさり進行方向を町の外に変えた。
外から見ると、アビードは建物が密集している事がよく分かった。おおよそ円形状になっていて、区画が整理されておらずごちゃごちゃと建造物が乱立している。害獣対策なのか、周囲一帯に並ぶ砂色の建物の壁には、動物が嫌がる火の色をした電灯が多く吊り下げられていた。
砂地ばかりが続く商業町の外側を、意味もなくぐるりと一周してみた。その間にも陽は傾いていき、最後は適当な場所に腰を下ろして足を休め、カラカラに干からびた地平線の大地に沈む夕日をノエルと見届けた。
日が沈むと、満点の星が頭上を埋め尽した。
夜のアビードの町は、電灯が多く灯って煌々と明るかった。恐らく夜も眠らなずに人々が活動している場所なのだろう。外まで聞こえてくる人々の賑やかさの中には、日中と変わらない客引きの元気な声も多く交じっていた。
ラビは明るい町中からは見られない星空を、長らくノエルと眺めて穏やかな時間を過ごした。ホノワ村とは星の位置が少し違っていて、それがどこか新鮮だった。
「町の電灯が多いせいで、周囲はあったかいね」
『そうだな、比較的寒さはある程度しのげそうだ』
「ノエルの尻尾もすっごくあったか――あ。ねぇ、あそこの星って大輪の花みたいじゃない?」
『場所によっては、群星が川みたいに連なって見えるところもある。不思議と、夜空の光景だけは妖獣世界に少しだけ似てる』
妖獣世界の星空には、光り輝く星に似せた小さな妖獣も交じっているらしい。
ラビは、暇を潰すように語ってくれるノエルはの話に耳を傾けた。そこには昼と夜の二つの時間が存在していて、太陽の代わりに世界を照らし出しているモノが眠りに落ちると、夜がくるのだとか。
「なんだか不思議な世界だなぁ。太陽みたいな光の塊も妖獣なの?」
『一括りに言えば妖獣だが、俺らとはちょっとタイプが違うモノだ。妖獣世界では、役割をもって生まれる存在があってな。そいつらは他に同種族をもたない特徴があって、同じ妖獣の中でも『ちょっと異質な存在』なんだ』
「つまり、たった一人ずつしかいないの?」
でも、それがいなくなってしまったら、どうなるんだろう。
ラビは、つい考えてしまった。人間の場合、家業を継ぐのは子供や弟子だ。この世界に生きる動物だって、子を残して脈々と存在と血が受け継がれているというのに、妖獣は違うのだろうか?
顔に出る彼女の横顔からそれを察し、ノエルは話さなければ良かったな、と少しだけ罰が悪そうに視線をそらした。
『……そいつらだって子は残せる。番(つがい)となる相手と同じ姿になり、自分がいなくなった後のための後継者を作るから、たった一つというその存在が絶える事はないように出来てんだ』
「夫婦になったら変身するの? どうして?」
純粋に心から不思議に思って尋ねられ、ノエルはしばし黙りこんだ。
『人間も、人間という種族以外とは結婚しないだろ。それとおんなじだ』
長い間を置いた後、彼はそうまとめると、そこから論点をそらすように仕方なくもう少しだけ話を続けた。
『生まれる子供は、強い妖獣と全く同じ種族で誕生する。簡単にいえば、結婚してしばらくは、たった一人という種族が二人になるわけだ。違っている事は、親となったそいつが他界しない限り、子は完全な成獣になる事はないってところだな』
「ふうん? つまり、その太陽みたいなモノも実は超大きな妖獣みたいなもので、けど子供が出来ても、太陽は空に一つだけ……?」
『その解釈でだいたい合ってるぜ』
ラビがなんとなく理解した様子を確認して、ノエルは立ち上がった。前足をぐっと前に伸ばし、座りっぱなしだった身体を解す。
『ここまで来たついでだ、俺らも少し情報収集でもするか。人間相手は次男ぼ――……セドリック達に任せて、こっちは動物に話を聞こう』
彼らを名前で呼ぶ習慣はなかったから、ノエルは『慣れないなぁ』と呟いた。
ラビも続いて立ち上がり、尻の砂埃を払い落して彼を見やった。
「戻るにはまだ早い時間だろうし、それがいいね。近くに他の動物がいるの?」
『町のすぐ外に犬と、羽を休めている鳥の群れの気配がある』
鳥が夜の休憩所にするくらい、たっぷりの夜灯りで彩られたザイードは、町中だけでなくその周囲は安全地帯になっているようだ。道理で馬車の馬を休ませる馬小屋も、町の周囲三ヶ所の外側に堂々と設けられているわけである。
ラビはしばし、先導するノエルの後ろを歩いた。吹き抜ける風は涼しく、乾燥した大地は静まり返っており、灯かりがこぼれる町の方から人々の賑わいが遠く聞こえてくるばかりだ。
耳を済ませると、干からびた地面の上を、砂や小さな石が転がり移動する音が聞こえた。満天の星空の下、明かりもない向こうの大地は夜の陰りに包まれている。
人がいないだけで、こんなにも自然な気持ちで歩く事が出来るのだ。
ふと、そんな思いが脳裏を過ぎった。目の前を歩くノエルは、こちらのペースに合わせてくれていて、のんびりと四肢を動かし尻尾を揺らせている。
もし二人で一緒に旅をするとしたら、このような感じなのだろうか。風の音や風景を眺めながら、ふわふわとした居心地の良さで歩く。奇異の視線に肩に力を入れなくてもいいし、いつまでも好きなだけノエルと話し、彼の尻尾を目で追うことだって出来るのだろう。
でもなんだか、何かが少しだけ足りないような、胸の中に隙間風が吹くようなモノを覚えた。笑って抱き締めてくれた母や、時には茶化すように抱き上げて「高いたかい」とやってくれた父の事が、どうしてか懐かしさと共に思い出された。
「ねぇ、ノエル」
『なんだ、ラビ?』
何気なく声をかけたら、彼が足を止めてこちらを振り返った。
「ぎゅっとしてもいい?」
『いきなりだな』
「ついでに耳も触りたい」
『マジかよ。要求がぐっと上がったな』
ラビは答えないまま、腹の高さにある彼の頭をぎゅっとした。ふわふわとした漆黒の毛並みは、肌触りがとても良くて、その下は熱がこもっていてとても暖かい。
ノエルが小さく息を吐いて、こちらに頭を寄せてきた。
『お前の中で何が起こったのかは知らねぇが、大丈夫だ。寂しいのも、怖いのもない』
「……そんなんじゃないよ。ただ、なんとなく」
『その抱き締め癖、親とそっくりだぜ』
お前の親父も所構わず、ぎゅっとしていいかって尋ねてたよな、とノエルは落ち着かせるように話した。ラビは「そんな事あったっけ」と、彼の首に顔を押し当てる。
頭上をチラリと見て、ノエルはこう呟いた。
『お前って、昔から寂しがり屋だったもんなぁ』
だから、拒絶される事に対して、そのたび傷ついた。慣れる事なんてずっとなかった。多分、人が恋しい気持ちを捨てられずにいるのだろう。昔はよく泣く子だった――と、そんな事を思い返して口の中に思案を落としてしまう。
その直後、ノエルは回想を止めてピクリと硬直した。しんみりと抱き締めるラビが、そのまま器用にも、長さのある彼の耳をふにふにと触り出したからだ。
『…………お前、ほんと俺の耳好きだよな』
妖獣にとっては弱いところだ。身体の中で一番くすぐったいので勘弁して欲しいのだが……と、ノエルは思わず普段の乱暴さもなくなった口調で、困ったようにそう呟いてしまった。
ラビは、帽子を深くかぶってノエルと歩いた。近寄らないで欲しい、という視線を周りから向けられる中、大股で歩き進んで自分の目で町の様子を見た。
何かを買ってみたい、と思うような気持ちは湧いてこなかった。珍しい形をした装飾品や小物が目に留まったが、店を出している男や女に尋ねてみようという意欲も息を潜めていた。盗賊の一件で、少し疲れもあったのかもしれない。
アビードの町は、土地柄や置かれている環境もあってか、珍しい事に手軽に食べられるような商品を売る屋台がない、という特色もあった。そのせいか、ノエルもどこかつまらなそうにしていた。
『周囲一帯は乾燥した大地だ。風で砂が運ばれてくるからだろうな、建物の縁にも砂が積もってる』
「毎日の掃除が大変そうだね」
『こういう町は、大抵一日に二、三回は砂を掃くんだ。だから外に干されている洗濯物も、肌着や内着といった薄い生地がないんだぜ』
それは気付かなかった、とラビは人混みを歩きながら、彼だけに聞こえるように答えた。ロープで下降した際に何枚か、――いや、ヘタをすると何十枚かの洗濯物を巻き込んでしまったが、その辺には注目していなかったからだ。
「ノエルは凄いね。オレ、全然分からなかったよ」
『凄くはねぇさ。……ずっと昔に、似たような場所をいくつも訪れた事があるからな』
どこか思い出す口調で言ったノエルは、話題を終えるように一度口を閉じた。それから、散策を始めた当初の勢いを失った大人しいラビに、こう提案した。
『町の周囲を歩いてみようぜ。人混みを歩くよりもそっちの方が気分が良いだろうし、楽しそうだ。何か面白い発見があるかもしれねぇ』
人混みを歩くよりも、というのはラビも思っていたところだったので、一つ頷いてあっさり進行方向を町の外に変えた。
外から見ると、アビードは建物が密集している事がよく分かった。おおよそ円形状になっていて、区画が整理されておらずごちゃごちゃと建造物が乱立している。害獣対策なのか、周囲一帯に並ぶ砂色の建物の壁には、動物が嫌がる火の色をした電灯が多く吊り下げられていた。
砂地ばかりが続く商業町の外側を、意味もなくぐるりと一周してみた。その間にも陽は傾いていき、最後は適当な場所に腰を下ろして足を休め、カラカラに干からびた地平線の大地に沈む夕日をノエルと見届けた。
日が沈むと、満点の星が頭上を埋め尽した。
夜のアビードの町は、電灯が多く灯って煌々と明るかった。恐らく夜も眠らなずに人々が活動している場所なのだろう。外まで聞こえてくる人々の賑やかさの中には、日中と変わらない客引きの元気な声も多く交じっていた。
ラビは明るい町中からは見られない星空を、長らくノエルと眺めて穏やかな時間を過ごした。ホノワ村とは星の位置が少し違っていて、それがどこか新鮮だった。
「町の電灯が多いせいで、周囲はあったかいね」
『そうだな、比較的寒さはある程度しのげそうだ』
「ノエルの尻尾もすっごくあったか――あ。ねぇ、あそこの星って大輪の花みたいじゃない?」
『場所によっては、群星が川みたいに連なって見えるところもある。不思議と、夜空の光景だけは妖獣世界に少しだけ似てる』
妖獣世界の星空には、光り輝く星に似せた小さな妖獣も交じっているらしい。
ラビは、暇を潰すように語ってくれるノエルはの話に耳を傾けた。そこには昼と夜の二つの時間が存在していて、太陽の代わりに世界を照らし出しているモノが眠りに落ちると、夜がくるのだとか。
「なんだか不思議な世界だなぁ。太陽みたいな光の塊も妖獣なの?」
『一括りに言えば妖獣だが、俺らとはちょっとタイプが違うモノだ。妖獣世界では、役割をもって生まれる存在があってな。そいつらは他に同種族をもたない特徴があって、同じ妖獣の中でも『ちょっと異質な存在』なんだ』
「つまり、たった一人ずつしかいないの?」
でも、それがいなくなってしまったら、どうなるんだろう。
ラビは、つい考えてしまった。人間の場合、家業を継ぐのは子供や弟子だ。この世界に生きる動物だって、子を残して脈々と存在と血が受け継がれているというのに、妖獣は違うのだろうか?
顔に出る彼女の横顔からそれを察し、ノエルは話さなければ良かったな、と少しだけ罰が悪そうに視線をそらした。
『……そいつらだって子は残せる。番(つがい)となる相手と同じ姿になり、自分がいなくなった後のための後継者を作るから、たった一つというその存在が絶える事はないように出来てんだ』
「夫婦になったら変身するの? どうして?」
純粋に心から不思議に思って尋ねられ、ノエルはしばし黙りこんだ。
『人間も、人間という種族以外とは結婚しないだろ。それとおんなじだ』
長い間を置いた後、彼はそうまとめると、そこから論点をそらすように仕方なくもう少しだけ話を続けた。
『生まれる子供は、強い妖獣と全く同じ種族で誕生する。簡単にいえば、結婚してしばらくは、たった一人という種族が二人になるわけだ。違っている事は、親となったそいつが他界しない限り、子は完全な成獣になる事はないってところだな』
「ふうん? つまり、その太陽みたいなモノも実は超大きな妖獣みたいなもので、けど子供が出来ても、太陽は空に一つだけ……?」
『その解釈でだいたい合ってるぜ』
ラビがなんとなく理解した様子を確認して、ノエルは立ち上がった。前足をぐっと前に伸ばし、座りっぱなしだった身体を解す。
『ここまで来たついでだ、俺らも少し情報収集でもするか。人間相手は次男ぼ――……セドリック達に任せて、こっちは動物に話を聞こう』
彼らを名前で呼ぶ習慣はなかったから、ノエルは『慣れないなぁ』と呟いた。
ラビも続いて立ち上がり、尻の砂埃を払い落して彼を見やった。
「戻るにはまだ早い時間だろうし、それがいいね。近くに他の動物がいるの?」
『町のすぐ外に犬と、羽を休めている鳥の群れの気配がある』
鳥が夜の休憩所にするくらい、たっぷりの夜灯りで彩られたザイードは、町中だけでなくその周囲は安全地帯になっているようだ。道理で馬車の馬を休ませる馬小屋も、町の周囲三ヶ所の外側に堂々と設けられているわけである。
ラビはしばし、先導するノエルの後ろを歩いた。吹き抜ける風は涼しく、乾燥した大地は静まり返っており、灯かりがこぼれる町の方から人々の賑わいが遠く聞こえてくるばかりだ。
耳を済ませると、干からびた地面の上を、砂や小さな石が転がり移動する音が聞こえた。満天の星空の下、明かりもない向こうの大地は夜の陰りに包まれている。
人がいないだけで、こんなにも自然な気持ちで歩く事が出来るのだ。
ふと、そんな思いが脳裏を過ぎった。目の前を歩くノエルは、こちらのペースに合わせてくれていて、のんびりと四肢を動かし尻尾を揺らせている。
もし二人で一緒に旅をするとしたら、このような感じなのだろうか。風の音や風景を眺めながら、ふわふわとした居心地の良さで歩く。奇異の視線に肩に力を入れなくてもいいし、いつまでも好きなだけノエルと話し、彼の尻尾を目で追うことだって出来るのだろう。
でもなんだか、何かが少しだけ足りないような、胸の中に隙間風が吹くようなモノを覚えた。笑って抱き締めてくれた母や、時には茶化すように抱き上げて「高いたかい」とやってくれた父の事が、どうしてか懐かしさと共に思い出された。
「ねぇ、ノエル」
『なんだ、ラビ?』
何気なく声をかけたら、彼が足を止めてこちらを振り返った。
「ぎゅっとしてもいい?」
『いきなりだな』
「ついでに耳も触りたい」
『マジかよ。要求がぐっと上がったな』
ラビは答えないまま、腹の高さにある彼の頭をぎゅっとした。ふわふわとした漆黒の毛並みは、肌触りがとても良くて、その下は熱がこもっていてとても暖かい。
ノエルが小さく息を吐いて、こちらに頭を寄せてきた。
『お前の中で何が起こったのかは知らねぇが、大丈夫だ。寂しいのも、怖いのもない』
「……そんなんじゃないよ。ただ、なんとなく」
『その抱き締め癖、親とそっくりだぜ』
お前の親父も所構わず、ぎゅっとしていいかって尋ねてたよな、とノエルは落ち着かせるように話した。ラビは「そんな事あったっけ」と、彼の首に顔を押し当てる。
頭上をチラリと見て、ノエルはこう呟いた。
『お前って、昔から寂しがり屋だったもんなぁ』
だから、拒絶される事に対して、そのたび傷ついた。慣れる事なんてずっとなかった。多分、人が恋しい気持ちを捨てられずにいるのだろう。昔はよく泣く子だった――と、そんな事を思い返して口の中に思案を落としてしまう。
その直後、ノエルは回想を止めてピクリと硬直した。しんみりと抱き締めるラビが、そのまま器用にも、長さのある彼の耳をふにふにと触り出したからだ。
『…………お前、ほんと俺の耳好きだよな』
妖獣にとっては弱いところだ。身体の中で一番くすぐったいので勘弁して欲しいのだが……と、ノエルは思わず普段の乱暴さもなくなった口調で、困ったようにそう呟いてしまった。
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