22 / 44
(五章)その頃、最強の魔法使いの王子様は
しおりを挟む
※※※
その頃、王宮ではサイラスが苛立ちを放っていた。
魔法部隊の代表として、各軍が集められた会議が長引いて日暮れまで行われた。自室に引き上げる前に、明日のスケジュールを執務室で確認しているところだ。
そのサイラスの手が、いつの間にか止まって、不穏な空気が増す。
居合わせている部下の何人かが、もう気付かないふりもできず、気にしてちらちらと視線を向けた。
「……なんで返事がこないんだ」
舌打ちするようにサイラスの口の中で呟かれる。
聞こえた護衛騎士で副官のコンラッドが、察した様子で彼を見た。
「殿下が、また返事不要という内容で送ったから、ではないですか?」
「返事をしろ、と、ちゃんと書いた」
ぶすっとサイラスは答えた。
リリアが、一週間も王都に足を運ばないのも久しい。社交に積極的に参加する前はよくあったことなのだが、ここ最近は気が気でない。
――妖狐の血が半分流れた、知的で美しい伯爵令嬢。
これまで男性ばかりが目立っていた学院にて、女性の中で群を抜いて成績優秀で、リリアの評価は上がっていた。
好奇の目にさらされても、物怖じしない堂々とした振る舞い。鼻にもかけないと言わんばかりの態度は、彼女がまとう独特の空気感で許されている。
妻として迎えても、十分に務まるだろうと令息達の見方は変わっていた。
――それでいて先日、彼女は『他に結婚相手を探す』と言い放ったのだとか。
「なんでそんなことになっているんですか……」
コンラッドは、胃がきりきりして呟いた。ここにくるまでのサイラスを知っているだけに、理解不能だ。
「再会した際に、ご自覚されたんでしょう? なら、もう観念した方がよろしいかと」
それができていれば苦労もしない。
サイラスは、師としても長く、信頼しているコンラッドを前に黙り込む。
はぁ頭が痛いと、コンラッドが抱えている専門書を戻すべく再び動き出した。サイラスとは対照的に柔和で優しい美貌の上司だ。憧れている部下らも多く、彼の心境を察した様子もなく「今夜も素敵だな」「ああ、そうだな」とこっそり言葉が交わされる。
リリアは妖狐で、成長期の少々特殊な理由で休むことがあった。
熱が出るくらいの『放電期に入った』とは、サイラスは耳にした。
その後、復帰予定がいつからであるだとか、こういう経過なのでいついつ来られそうだとかの、レイド伯爵の報告もないまま一週間以上が経っていた。
――そもそもレイド伯爵自体が、王都に関わるあらゆることを嫌っている節がある。
自分の、一番愛する娘を傷付けたから、と。
三年前、国王陛下との『契約』によって義務の緩和幅も広がった。いちいち細々とした報告をレイド伯爵はしなくてもいいわけで、一方宰相らも催促もできずそわそわしている。
リリアが学院を嫌になって、知らぬうちに妖怪国に移住しました、という展開を心配しているのだ。
彼らは、レイド伯爵から怨みを買った。
妖怪国の領民からの報復を、一番に恐れている。
レイド伯爵にとって大切なのは、リリアだった。彼女がいなくなったとしたら、領地の周りが騒がしくなろうが、躊躇しないだろうことが推測されていた。
「……熱が出て、大丈夫なのか訊いただけなのに」
口にして、サイラスはもやっとした。
彼女が弱った姿なんて、一度だって見たことはない。けれど普段は毅然として誰も頼らないという姿勢なのに、腕を広げただけで、甘んじて執事狐に飛んで行くし。
『ああいう騎士様もいいわよね。かっこよくて』
……あんな顔もできるじゃないか。
先日見た光景を思い出して、サイラスは苛々して執務机の上を指先で叩いた。
熱が出て学院を休むくらいなんて、大丈夫なのか?
あまり、あやかしについては知らない。――妖狐のことだけしか、サイラスは知らない。
「そういえば殿下、エルバレス公から届いた香、どうします?」
「不要だ。欲しいならもっていけ」
「ええぇ、でもこれ、多分殿下のことを慕ってる娘さんのことがあって、彼も贈ってきたものかと」
最後の箱の中を仕分けしていた書記官の男が、えっ、と戸惑いをあらわに言った。別部署から寄越されて手伝っている彼の手元を、魔法部隊軍と、第二王子執務室担当の部下らも覗き込む。
「私が勝手にそんなことをやったら、上司に叱られてしまいます」
「こういう箱に入ってるのは、大丈夫だって、新人」
「これ、結構いい香りなんですけどね。社交界でも人気の一品ですよ」
続けてそう言われたサイラスは、ぶすっとした顔でよそを見ている。
コンラッドが小さく苦笑し、彼らを制した。
「いいんですよ。その香りは、殿下は使いません。〝狐〟が苦手とするタイプの匂いですから」
「へ? 狐、ですか?」
「嫌悪感を覚えて近付かないそうです」
「コンラッド、やめろ」
サイラスが、そこでぴしゃりと口を挟んだ。
学院で一年ぶりの再会となったあと、リリアに避けられまくった。社交の場で二度目に顔を合わせた際も、文句の言葉も面倒になったと言わんばかりに、彼女はやけに去りたがった。
喧嘩の相手にもならないと思われている?
もしくは、一欠けらの関心さえ、なくされてしまったのか――。
三度目の社交の場で顔を合わせた際、一緒にいるのがそんなに嫌なのかと、早々に踵を返したのにカッとなって、売り言葉に買い言葉でリリアを呼び止めた。
そうしたら、振り返った彼女は、初めて見るやや不調そうな表情を浮かべて、鼻をつまんでいた。
『なんか、この果実の匂いがだめなの』
全く気を許していない彼女の口から、初めて、そう苦手なものを伝えられた。
あの時、彼女の目は、真っすぐサイラスを見ていた。
他の令息には警戒心マックスの野生みたいにキリッとしているのに、サイラスにだけは〝普通〟で。
――それがなかったら、もう少し、喧嘩でもいいからそこにいてくれたのか?
サイラスはその後、香料のアクセントとして使われることがあるという高級果実を特定し、それが入っていない香水に変えた。狐が動物であることも考え、匂いが強いものもやめた。
そして今、リリアはサイラスと話してくれている。
その効果には驚いた。先日までの避け具合なんて忘れたかのように、彼女はサイラスのちょっとした言葉にも、きちんとつっかかってきて言いたいだけ文句を言ってきた。
腕を伸ばしたら、届く距離であると気付いていないのだろうか?
十二歳のあの日、父親に連れて離れられていく姿を見送った。学院で再会してみたら、遠目で一瞬だけ睨み返して、終わり。
その彼女が、無視せずサイラスと面と向かって、競い合ってくる。
そんなことを思い返していたら、異動してきたばかりの書記官がなるほどと頷いた。
「ああ、そういえばご婚約されていましたっけ――いてっ」
「おまっ、失礼だろう」
……学院と社交の場を知らない者は、婚約から三年、大きな進展や話題もないせいで、認知度もこんなものだ。
サイラスは唐突に立ち上がった。
コンラッドと部下達が、揃って「うわっ」と驚いて彼の方を見た。
「殿下、いきなりどうされたんですか」
「転移魔法室の、使用許可を取ってくる」
「え? 転移魔法? なんでまた」
「それから、そのスケジュールを広報の方に告げてくる」
「はぁ? あっ、ちょっと殿下お待ちください!」
戸惑う男達をよそに、サイラスが『最強の魔法使い』の称号印が入ったマントを揺らして、すたすたと歩き扉から出て行く。
その後を、軍では副官、王子である彼には護衛騎士であるコンラッドが続いた。
「……広報ってことは、王子として動く予定ってこと……?」
残された部下達が、不思議そうに顔を見合わせた。
――その翌日、第二王子殿下が、学院を休んでいる婚約者のお見舞いに行った、という内容が話題に上がることになる。
その頃、王宮ではサイラスが苛立ちを放っていた。
魔法部隊の代表として、各軍が集められた会議が長引いて日暮れまで行われた。自室に引き上げる前に、明日のスケジュールを執務室で確認しているところだ。
そのサイラスの手が、いつの間にか止まって、不穏な空気が増す。
居合わせている部下の何人かが、もう気付かないふりもできず、気にしてちらちらと視線を向けた。
「……なんで返事がこないんだ」
舌打ちするようにサイラスの口の中で呟かれる。
聞こえた護衛騎士で副官のコンラッドが、察した様子で彼を見た。
「殿下が、また返事不要という内容で送ったから、ではないですか?」
「返事をしろ、と、ちゃんと書いた」
ぶすっとサイラスは答えた。
リリアが、一週間も王都に足を運ばないのも久しい。社交に積極的に参加する前はよくあったことなのだが、ここ最近は気が気でない。
――妖狐の血が半分流れた、知的で美しい伯爵令嬢。
これまで男性ばかりが目立っていた学院にて、女性の中で群を抜いて成績優秀で、リリアの評価は上がっていた。
好奇の目にさらされても、物怖じしない堂々とした振る舞い。鼻にもかけないと言わんばかりの態度は、彼女がまとう独特の空気感で許されている。
妻として迎えても、十分に務まるだろうと令息達の見方は変わっていた。
――それでいて先日、彼女は『他に結婚相手を探す』と言い放ったのだとか。
「なんでそんなことになっているんですか……」
コンラッドは、胃がきりきりして呟いた。ここにくるまでのサイラスを知っているだけに、理解不能だ。
「再会した際に、ご自覚されたんでしょう? なら、もう観念した方がよろしいかと」
それができていれば苦労もしない。
サイラスは、師としても長く、信頼しているコンラッドを前に黙り込む。
はぁ頭が痛いと、コンラッドが抱えている専門書を戻すべく再び動き出した。サイラスとは対照的に柔和で優しい美貌の上司だ。憧れている部下らも多く、彼の心境を察した様子もなく「今夜も素敵だな」「ああ、そうだな」とこっそり言葉が交わされる。
リリアは妖狐で、成長期の少々特殊な理由で休むことがあった。
熱が出るくらいの『放電期に入った』とは、サイラスは耳にした。
その後、復帰予定がいつからであるだとか、こういう経過なのでいついつ来られそうだとかの、レイド伯爵の報告もないまま一週間以上が経っていた。
――そもそもレイド伯爵自体が、王都に関わるあらゆることを嫌っている節がある。
自分の、一番愛する娘を傷付けたから、と。
三年前、国王陛下との『契約』によって義務の緩和幅も広がった。いちいち細々とした報告をレイド伯爵はしなくてもいいわけで、一方宰相らも催促もできずそわそわしている。
リリアが学院を嫌になって、知らぬうちに妖怪国に移住しました、という展開を心配しているのだ。
彼らは、レイド伯爵から怨みを買った。
妖怪国の領民からの報復を、一番に恐れている。
レイド伯爵にとって大切なのは、リリアだった。彼女がいなくなったとしたら、領地の周りが騒がしくなろうが、躊躇しないだろうことが推測されていた。
「……熱が出て、大丈夫なのか訊いただけなのに」
口にして、サイラスはもやっとした。
彼女が弱った姿なんて、一度だって見たことはない。けれど普段は毅然として誰も頼らないという姿勢なのに、腕を広げただけで、甘んじて執事狐に飛んで行くし。
『ああいう騎士様もいいわよね。かっこよくて』
……あんな顔もできるじゃないか。
先日見た光景を思い出して、サイラスは苛々して執務机の上を指先で叩いた。
熱が出て学院を休むくらいなんて、大丈夫なのか?
あまり、あやかしについては知らない。――妖狐のことだけしか、サイラスは知らない。
「そういえば殿下、エルバレス公から届いた香、どうします?」
「不要だ。欲しいならもっていけ」
「ええぇ、でもこれ、多分殿下のことを慕ってる娘さんのことがあって、彼も贈ってきたものかと」
最後の箱の中を仕分けしていた書記官の男が、えっ、と戸惑いをあらわに言った。別部署から寄越されて手伝っている彼の手元を、魔法部隊軍と、第二王子執務室担当の部下らも覗き込む。
「私が勝手にそんなことをやったら、上司に叱られてしまいます」
「こういう箱に入ってるのは、大丈夫だって、新人」
「これ、結構いい香りなんですけどね。社交界でも人気の一品ですよ」
続けてそう言われたサイラスは、ぶすっとした顔でよそを見ている。
コンラッドが小さく苦笑し、彼らを制した。
「いいんですよ。その香りは、殿下は使いません。〝狐〟が苦手とするタイプの匂いですから」
「へ? 狐、ですか?」
「嫌悪感を覚えて近付かないそうです」
「コンラッド、やめろ」
サイラスが、そこでぴしゃりと口を挟んだ。
学院で一年ぶりの再会となったあと、リリアに避けられまくった。社交の場で二度目に顔を合わせた際も、文句の言葉も面倒になったと言わんばかりに、彼女はやけに去りたがった。
喧嘩の相手にもならないと思われている?
もしくは、一欠けらの関心さえ、なくされてしまったのか――。
三度目の社交の場で顔を合わせた際、一緒にいるのがそんなに嫌なのかと、早々に踵を返したのにカッとなって、売り言葉に買い言葉でリリアを呼び止めた。
そうしたら、振り返った彼女は、初めて見るやや不調そうな表情を浮かべて、鼻をつまんでいた。
『なんか、この果実の匂いがだめなの』
全く気を許していない彼女の口から、初めて、そう苦手なものを伝えられた。
あの時、彼女の目は、真っすぐサイラスを見ていた。
他の令息には警戒心マックスの野生みたいにキリッとしているのに、サイラスにだけは〝普通〟で。
――それがなかったら、もう少し、喧嘩でもいいからそこにいてくれたのか?
サイラスはその後、香料のアクセントとして使われることがあるという高級果実を特定し、それが入っていない香水に変えた。狐が動物であることも考え、匂いが強いものもやめた。
そして今、リリアはサイラスと話してくれている。
その効果には驚いた。先日までの避け具合なんて忘れたかのように、彼女はサイラスのちょっとした言葉にも、きちんとつっかかってきて言いたいだけ文句を言ってきた。
腕を伸ばしたら、届く距離であると気付いていないのだろうか?
十二歳のあの日、父親に連れて離れられていく姿を見送った。学院で再会してみたら、遠目で一瞬だけ睨み返して、終わり。
その彼女が、無視せずサイラスと面と向かって、競い合ってくる。
そんなことを思い返していたら、異動してきたばかりの書記官がなるほどと頷いた。
「ああ、そういえばご婚約されていましたっけ――いてっ」
「おまっ、失礼だろう」
……学院と社交の場を知らない者は、婚約から三年、大きな進展や話題もないせいで、認知度もこんなものだ。
サイラスは唐突に立ち上がった。
コンラッドと部下達が、揃って「うわっ」と驚いて彼の方を見た。
「殿下、いきなりどうされたんですか」
「転移魔法室の、使用許可を取ってくる」
「え? 転移魔法? なんでまた」
「それから、そのスケジュールを広報の方に告げてくる」
「はぁ? あっ、ちょっと殿下お待ちください!」
戸惑う男達をよそに、サイラスが『最強の魔法使い』の称号印が入ったマントを揺らして、すたすたと歩き扉から出て行く。
その後を、軍では副官、王子である彼には護衛騎士であるコンラッドが続いた。
「……広報ってことは、王子として動く予定ってこと……?」
残された部下達が、不思議そうに顔を見合わせた。
――その翌日、第二王子殿下が、学院を休んでいる婚約者のお見舞いに行った、という内容が話題に上がることになる。
50
あなたにおすすめの小説
悪役令嬢に転生したと気付いたら、咄嗟に婚約者の記憶を失くしたフリをしてしまった。
ねーさん
恋愛
あ、私、悪役令嬢だ。
クリスティナは婚約者であるアレクシス王子に近付くフローラを階段から落とそうとして、誤って自分が落ちてしまう。
気を失ったクリスティナの頭に前世で読んだ小説のストーリーが甦る。自分がその小説の悪役令嬢に転生したと気付いたクリスティナは、目が覚めた時「貴方は誰?」と咄嗟に記憶を失くしたフリをしてしまって──…
悪役令嬢は調理場に左遷されましたが、激ウマご飯で氷の魔公爵様を餌付けしてしまったようです~「もう離さない」って、胃袋の話ですか?~
咲月ねむと
恋愛
「君のような地味な女は、王太子妃にふさわしくない。辺境の『魔公爵』のもとへ嫁げ!」
卒業パーティーで婚約破棄を突きつけられた悪役令嬢レティシア。
しかし、前世で日本人調理師だった彼女にとって、堅苦しい王妃教育から解放されることはご褒美でしかなかった。
「これで好きな料理が作れる!」
ウキウキで辺境へ向かった彼女を待っていたのは、荒れ果てた別邸と「氷の魔公爵」と恐れられるジルベール公爵。
冷酷無慈悲と噂される彼だったが――その正体は、ただの「極度の偏食家で、常に空腹で不機嫌なだけ」だった!?
レティシアが作る『肉汁溢れるハンバーグ』『とろとろオムライス』『伝説のプリン』に公爵の胃袋は即陥落。
「君の料理なしでは生きられない」
「一生そばにいてくれ」
と求愛されるが、色気より食い気のレティシアは「最高の就職先ゲット!」と勘違いして……?
一方、レティシアを追放した王太子たちは、王宮の食事が不味くなりすぎて絶望の淵に。今さら「戻ってきてくれ」と言われても、もう遅いです!
美味しいご飯で幸せを掴む、空腹厳禁の異世界クッキング・ファンタジー!
私を選ばなかったくせに~推しの悪役令嬢になってしまったので、本物以上に悪役らしい振る舞いをして婚約破棄してやりますわ、ザマア~
あさぎかな@コミカライズ決定
恋愛
乙女ゲーム《時の思い出(クロノス・メモリー)》の世界、しかも推しである悪役令嬢ルーシャに転生してしまったクレハ。
「貴方は一度だって私の話に耳を傾けたことがなかった。誤魔化して、逃げて、時より甘い言葉や、贈り物を贈れば満足だと思っていたのでしょう。――どんな時だって、私を選ばなかったくせに」と言って化物になる悪役令嬢ルーシャの未来を変えるため、いちルーシャファンとして、婚約者であり全ての元凶とである第五王子ベルンハルト(放蕩者)に婚約破棄を求めるのだが――?
【完結】辺境に飛ばされた子爵令嬢、前世の経営知識で大商会を作ったら王都がひれ伏したし、隣国のハイスペ王子とも結婚できました
いっぺいちゃん
ファンタジー
婚約破棄、そして辺境送り――。
子爵令嬢マリエールの運命は、結婚式直前に無惨にも断ち切られた。
「辺境の館で余生を送れ。もうお前は必要ない」
冷酷に告げた婚約者により、社交界から追放された彼女。
しかし、マリエールには秘密があった。
――前世の彼女は、一流企業で辣腕を振るった経営コンサルタント。
未開拓の農産物、眠る鉱山資源、誠実で働き者の人々。
「必要ない」と切り捨てられた辺境には、未来を切り拓く力があった。
物流網を整え、作物をブランド化し、やがて「大商会」を設立!
数年で辺境は“商業帝国”と呼ばれるまでに発展していく。
さらに隣国の完璧王子から熱烈な求婚を受け、愛も手に入れるマリエール。
一方で、税収激減に苦しむ王都は彼女に救いを求めて――
「必要ないとおっしゃったのは、そちらでしょう?」
これは、追放令嬢が“経営知識”で国を動かし、
ざまぁと恋と繁栄を手に入れる逆転サクセスストーリー!
※表紙のイラストは画像生成AIによって作られたものです。
お掃除侍女ですが、婚約破棄されたので辺境で「浄化」スキルを極めたら、氷の騎士様が「綺麗すぎて目が離せない」と溺愛してきます
咲月ねむと
恋愛
王宮で侍女として働く私、アリシアは、前世の記憶を持つ転生者。清掃員だった前世の知識を活かし、お掃除に情熱を燃やす日々を送っていた。その情熱はいつしか「浄化」というユニークスキルにまで開花!…したことに本人は全く気づいていない。
そんなある日、婚約者である第二王子から「お前の周りだけ綺麗すぎて不気味だ!俺の完璧な美貌が霞む!」という理不尽な理由で婚約破棄され、瘴気が漂うという辺境の地へ追放されてしまう。
しかし、アリシアはへこたれない。「これで思う存分お掃除ができる!」と目を輝かせ、意気揚々と辺境へ。そこで出会ったのは、「氷の騎士」と恐れられるほど冷徹で、実は極度の綺麗好きである辺境伯カイだった。
アリシアがただただ夢中で掃除をすると、瘴気に汚染された土地は浄化され、作物も豊かに実り始める。呪われた森は聖域に変わり、魔物さえも彼女に懐いてしまう。本人はただ掃除をしているだけなのに、周囲からは「伝説の浄化の聖女様」と崇められていく。
一方、カイはアリシアの完璧な仕事ぶり(浄化スキル)に心酔。「君の磨き上げた床は宝石よりも美しい。君こそ私の女神だ」と、猛烈なアタックを開始。アリシアは「お掃除道具をたくさんくれるなんて、なんて良いご主人様!」と、これまた盛大に勘違い。
これは、お掃除大好き侍女が、無自覚な浄化スキルで辺境をピカピカに改革し、綺麗好きなハイスペックヒーローに溺愛される、勘違いから始まる心温まる異世界ラブコメディ。
【12月末日公開終了】これは裏切りですか?
たぬきち25番
恋愛
転生してすぐに婚約破棄をされたアリシアは、嫁ぎ先を失い、実家に戻ることになった。
だが、実家戻ると『婚約破棄をされた娘』と噂され、家族の迷惑になっているので出て行く必要がある。
そんな時、母から住み込みの仕事を紹介されたアリシアは……?
ワンチャンあるかな、って転生先で推しにアタックしてるのがこちらの令嬢です
山口三
恋愛
恋愛ゲームの世界に転生した主人公。中世異世界のアカデミーを中心に繰り広げられるゲームだが、大好きな推しを目の前にして、ついつい欲が出てしまう。「私が転生したキャラは主人公じゃなくて、たたのモブ悪役。どうせ攻略対象の相手にはフラれて婚約破棄されるんだから・・・」
ひょんな事からクラスメイトのアロイスと協力して、主人公は推し様と、アロイスはゲームの主人公である聖女様との相思相愛を目指すが・・・。
転生令嬢の涙 〜泣き虫な悪役令嬢は強気なヒロインと張り合えないので代わりに王子様が罠を仕掛けます〜
矢口愛留
恋愛
【タイトル変えました】
公爵令嬢エミリア・ブラウンは、突然前世の記憶を思い出す。
この世界は前世で読んだ小説の世界で、泣き虫の日本人だった私はエミリアに転生していたのだ。
小説によるとエミリアは悪役令嬢で、婚約者である王太子ラインハルトをヒロインのプリシラに奪われて嫉妬し、悪行の限りを尽くした挙句に断罪される運命なのである。
だが、記憶が蘇ったことで、エミリアは悪役令嬢らしからぬ泣き虫っぷりを発揮し、周囲を翻弄する。
どうしてもヒロインを排斥できないエミリアに代わって、実はエミリアを溺愛していた王子と、その側近がヒロインに罠を仕掛けていく。
それに気づかず小説通りに王子を籠絡しようとするヒロインと、その涙で全てをかき乱してしまう悪役令嬢と、間に挟まれる王子様の学園生活、その意外な結末とは――?
*異世界ものということで、文化や文明度の設定が緩めですがご容赦下さい。
*「小説家になろう」様、「カクヨム」様にも掲載しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる