拾われた僕の末路

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2、世界の仕組み

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家に着くと、リビングで剥がされた爪の部分を消毒され、軟膏を塗られた。

「いたっ……もっと、優しく……」
「知っているか?あの時、お前の腕を切断するっていう選択もあったんだ。お前にはここがどういう場所なのか、全然説明していないから。……これで済んでよかったと思っておけ。」
指先にガーゼを優しく巻いてくれるが、口調はとてもイライラした様子が伝わってくる。


「……あの、僕……よごれちゃった…」
僕はソファの上で良平さんに向かって脚を拡げ、尻穴から尻尾を引き抜き、痛くない方の指を突っ込んで穴を拡げてみせる。

腹に力を入れると、ドロっと液体が出てくるのがわかる。

「やっぱり、邪魔な両腕は必要なかったかもな。……だいたい、こんな扱いされてなんで逃げようとかしないんだ。」
良平さんは怒気を含んだ声でブツブツと呟きながら、ぐいっとリードを引っ張って僕を立たせると、そのまま風呂場に引っ張っていく。

「どこに行っても、変わんないなら……最初に優しくしてくれたあんたのとこに、いるのがいい。どうせ、1回死んだんだし。」
僕は、不貞腐れながら答える。


「……嫌だろ。痛い目にあって、酷い目にあって。右手は濡れないように、避けておけよ。」
シャワーを頭からかけられ、シャンプーでガシガシと頭を洗われ、身体も丁寧に汚れを落とされる。

新しく張った程よい温かさのお湯に、洋服が濡れるのも構わず抱き抱えられ、優しく入れられる。

浴槽に備え付けられた入浴剤の封を1つあけて、良平さんがお湯にポチャンと入れると、シュワ……と泡が出て、ライムのいい香りが浴室に広がった。


「……ちょっと、食べ物の趣味と性癖がおかしいだけで、なんだかんだ優しいから。今だって、こうやって…。」
良平さんは、僕が首までお湯に浸かって小声で呟くのを、洗い場にしゃがみ込んで、浴槽の縁に腕を組んでその上に頭を乗っけて、目を細めて聞いていた。

「……1回だけ。逃げるなら、今だぞ。いい契約者を紹介する。」

「死ぬ前、僕が悲しんでいても、だれも僕の事を助けてくれなかった。関心も向けてくれなかった。でも、良平さんは、よく分からない僕を家に置いて、大事にして、執着してくれる。僕は、良平さんがいいよ……。」

「………後悔、しても遅いからな。」
僕を見つめる目が、冷たい獣のような光を灯した気がした。


ーーーー
ーー



「大体、俺は大人しくしてろっていわなかったか?粗相をしなかったら、こんなことにはならなかったんだぞ」

地下室の一室、コンクリート張りの小部屋に診察台のようなものがあり、僕はそこにうつ伏せに拘束されていた。

「うぇんああい」
口の中に布を突っ込まれて、その上から棒を噛まされた僕は、謝罪もまともに伝えられない。

「本当は、痛いことなんてお前にはしたくないのに…。お前が悪いんだぞ。……白い綺麗な肌なのに。」


良平さんが腕を軽く振ると、手に持つ細い竹のようなものがしなり、ヒュッと音を立てる

「うー!あういあいああ」
「なに?ちゃんと話せ。聞こえないぞ?」
ヒュッと音がして、背中に激痛が走る

「あああ!!!」
脂汗がブワッと吹き出る


1 2 3 4 5……
ひたすら心の中で数字を数えて、歯を食いしばって耐える。

気が済むまで終わらないんだ。


200回を超えてから、数えるのをやめて耐えていると、ふっと痛みが止まった。

「同じ痛みばかりだと、慣れてきて反省もできないよな?気づかなくてごめんな。」
と言われ、僕は身を捩ってアピールする。

「う!う!!」
「うん、陽斗もそう思うよな。」
ニコッと笑顔を返され、カタカタと震えが走る。


ガタガタと右側に採血用の台みたいな、小さな台を移動させ、高さを調節して右手を載せられる。

ベルトのようなもので指を1本1本固定され、手の甲を上にして手が動かなくなる


「まあ…ベタだけどな。」
良平さんはボソッと呟くと鉄の棒のようなものを持ち、先端をバーナーで炙り始める。

「ん゙ー!!!!」
僕は目を見開いた。

「今更だけど、嫌になった?よそにいくか?」
今ならまだ間に合うとチラつかせてくる。

「うっ……っふ」
僕は、布と棒を思いっきり噛み締めた。

「いい子だ」
声が聞こえたと同時に、右手に痛みが走る。
ジュウッと肉の焦げる臭いがする。


「あー……ちゃんと我慢できて、偉いなあ…」
良平さんは、興奮して上擦った声で僕の腰を掴み、後ろから腹の中を犯してくる。

「痛かっただろ?ごめんな……?」
背中を触られると、ビリビリとした皮膚が敏感になった痛みが触れられた部分から広がっていく

「陽斗が悪いんだからな?他の男に抱かれたりするから……」
グポグポと腹の奥を執拗に責められ、痛みと快感が混ざって蕩ける。


痛い部分に触れられると、勝手に腸壁が収縮して良平さんを楽しませてしまい、苦痛を長引かせることになった。


ーーー
ーー



拷問部屋のような場所から寝室に移されると、良平さんは僕の背中に軟膏を塗ったり、手の甲の火傷を手当してくれたりと、甲斐甲斐しく世話を焼いた。

「数日は熱が出るかもしれないから、栄養があるものをたべよう。」
そう言ってベッドの横に座り林檎を剥いては、僕の口に運ぶ。

「愛情表現がおかしいだけで、世話焼きなんだよな……」
僕は、聞こえないような声で呟く。


「少子高齢化が解消されたっていっても、食料とかはどうなってるんですか?」
僕は、この時代の状況について質問する。

「食料は、AIが全部生産してるよ。魚は養殖が主だな。AIが仕事をするから、人間はその管理だけしていたらいい。核戦争の余波で更地になった土地を活用して、金を稼ぐんだよ。それが終わったらまたどこかで戦争が起きるんだろうな。」

「良平さんは、何でお金を稼いでいるんですか?」

「……聞きたいか?」
聞かない方がいいと思うけどと、呟きながら……

「先刻見たみたいに、《料理》をグルメな人達に届けたり……希望された通りに《玩具》を作ったりしてる。まぁまぁ、いい稼ぎにはなってるよ。趣味と実益を兼ねているしな。」
はい、あーん。と、林檎を差し出しながら、良平さんは話をする。

「そんなことして、警察に、捕まらないんですか?」
「戦争になってから、政府があってないようなもんだからな。転移者に手を付けてるうちは、捕まらないよ。」

「……まさか、僕も…」
そういう対象だったんだろうか?


「陽斗は、たまたま倒れているのを見かけて……。…一目惚れ、みたいなもんだから……別に、そういう対象としては、見てない。」
ゴニョニョ……と、だんだんと声が小さくなる。

「あの、一緒にベッドで寝ませんか?」
赤くなって照れる様子を見て、つい僕はそう声をかけていた。
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