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第2話 「聖なる都」
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ー5年後ー
ジークは18歳の青年となった。強い力を求めた彼は、激しい鍛錬の末、たくましく成長していた。しかし、左目に残された"力"だけは未だ謎のままだった。
たとえ月日を重ねようと、彼の目から復讐の色が消えることはなかった。彼は仮面の男の行方を追う為、「聖地」と呼ばれるこの街、「聖都エデン」に訪れていた。ここは、人間界の中でも最も大都市で、繁栄の一途を辿っている。多くの高層ビルや施設、店が立ち並び、人々で賑わっている。太古の昔、この街があった場所には元々、アダムとイヴで有名な、本物の楽園"エデン"があったそうだ。そのために、ほとんどの住民が神を信仰する信徒だったり、街の各所に、エデンに関するモニュメントや歴史館、教会等が建てられている。
この街の名所は、高層ビルから覗く美しい霊峰、「ヘブンズ・ゲート」が有名だろう。この山は登れば最後、生きて戻ってこられないという噂があり、頂上には、天界へ通ずる扉があるという噂もあるらしい。現在は登山することは禁止されている。
ジークはそんな街の大通りに面している図書館で、「神話」の本を読みあさっていた。
「これを始めとして、天界と魔界は度々戦争を起こすようになったのであった。その中間にある、人間界を舞台として。人間界に、悪魔に対抗する力は無く、人々は逃げ惑うことしかできなかった...か。」
(やはり、あれが初めてではない。奴らは何度も戦争をしている。)
(それも、大昔からーー。)
神話の本を読むにも理由がある。ジークは推測していることが一つあった。
(仮面の男...奴は恐らく、人間じゃない。)
それは自明のことだった。人間離れした身のこなし、圧倒的な力、そして何より、あの残酷な風貌ーー。
ジークは仮面の男を悪魔だと考えていた。
(もし奴が悪魔だとするならーー悪魔に関連するこの街で手がかりがつかめるかもしれない。)
それが、ジークが「聖地」と呼ばれる街に訪れた理由でもあった。神話のエネルギーに満ち溢れるこの街で、何か手がかりが掴めると感じていた。
ジークは手に持っていた本を閉じ、本棚にしまう。そこに、ふと隣の本の題名が目に入った。
「七英雄?」
聞き慣れない言葉、これが神話となんの関係があるのか。その時だった。図書館の外で人々の悲鳴と共に爆音が聞こえた。
「なんだ!?」
ジークは慌てて図書館の扉を開け、外に出る。そこにあったのはーー。
惨劇だった。大勢の悪魔が押し寄せ、街の人々に襲いかかっていた。人々は悪魔に怯え、逃げ惑っている。
「奴ら、こんなところにまで...!」
ジークは刀を構えると、悪魔に素早く近づき、迫り来る悪魔の一人を一閃した。悪魔たちは、自分たちに対抗できる人間がいたことに動揺した。
ジークは納刀すると、再び居合いの姿勢をとる。
「...俺が相手だ。かかってこい。」
所詮人間一人、潰してしまえと言わんばかりに、悪魔たちが雄叫びをあげ、襲いかかる。ジークは攻撃を避けつつ、華麗に敵を切り裂いていく。彼は数年間、体を鍛えると同時に、各地に現れる悪魔を狩る任務を営んでいた。母親がかつて所属していた組織、「A.E.G.I.S」に、ジークも所属していた。悪魔狩りをしていれば、いつか仮面の男にたどり着くと感じていた。
(今までなら人気のない場所に出没するはずだが...)
(まさかこんな大都市に侵略だと?一体何が...?)
ジークは困惑しながらも、迫り来る小型の悪魔の大群をなぎ倒していく。
ー悪魔達の数が減ってきたところで、中型の悪魔が空から満を持して降りてきた。中型の悪魔が高速で距離を縮め、槍をジークへと伸ばすが、ジークはその動きを見切り、刀を振るう。しかし、悪魔はそれを槍で受け止め、両者お互いに距離を取る。そして、再び素早く近づき、一閃する。
ジークが納刀すると、中型の悪魔は膝から崩れ落ち、消滅していった。
(ーこれでひと段落か?)
そう思った瞬間ー。
ジークはビルの境を飛びながら高速で飛来する"ジェット機"を見つけた。
「なんでこんな所でジェット機が...」
(...ん?)
ジークはそのジェット機の異様な飛び方をすぐに察知した。
(あれは...何かに追われている?)
(!!...まだ残っていたか...!)
ジェット機は複数の小型や中型の悪魔に追われており、そしてそれはだんだんこちらへ向かってきていた。
(くそッ...一か八かだ!)
ジークは最高速度で突っ走って、地面を蹴り、ビルへと飛びかかった。そして、ビルの壁を走りながら、だんだんとジェット機との距離を詰める。
そしてーー。
(届けっ...!)
ジークは、タイミング良くビルの壁を蹴り、目一杯腕を伸ばす。
ーその手はしっかりと、ジェット機の羽をつかんでいた。
???「チクショウッ!なんでこんなことに!!?」
運転手らしき男が叫んでいる。
ジーク「いいから!前向いて運転してろ!」
ジークは尽力してなんとかジェット機の上に這い上がる。そして、刀を構え、悪魔たちと対峙する。
「...いくぞ。」
ジークはジェット機を追っていた悪魔たちと交戦する。襲いかかる悪魔達を次々吹き飛ばした。高速の斬撃が、悪魔達を切り刻んで行く。ジェット機はなんとか平行を保ちながらビルの合間を縫って飛行していた。
すると、遥か前方に大型の悪魔が現れた。大型の悪魔は口を開け、特大の熱線ビームを発射した。
???「くそっ!避けきれねぇ!」
ジーク「くっ!」
このままでは直撃する!そう思い、目を強く瞑ったその瞬間。
ー時が、止まったー
正確には少しずつ動いている。だが、まるでスーパースローの映像のように周囲の時の流れが遅くなっていた。
(なん...だ?これは...?)
(時が...止まっているのか?)
(だが、俺だけが普通に動けている...まさか、俺が時を...?)
ジークは同時に左目の疼きを感じていた。
(ーこれが、奴の言っていた"能力"?)
しかし、今は考えている暇はない。ジークはこのチャンスを逃さず、運転席にいた男を抱え、ジェット機のエンジンを暴発させる。
そして、ジークはジェット機から飛び降りた。
ー時が、動き始めた。
無人のジェット機が猛スピードで悪魔の元へ飛び、直撃、大爆発を起こした。
ー大型の悪魔は大ダメージを負い、すぐさま退却した。それと同時に他の悪魔達もいつのまにか街からいなくなっていた。
to be continued...
ジークは18歳の青年となった。強い力を求めた彼は、激しい鍛錬の末、たくましく成長していた。しかし、左目に残された"力"だけは未だ謎のままだった。
たとえ月日を重ねようと、彼の目から復讐の色が消えることはなかった。彼は仮面の男の行方を追う為、「聖地」と呼ばれるこの街、「聖都エデン」に訪れていた。ここは、人間界の中でも最も大都市で、繁栄の一途を辿っている。多くの高層ビルや施設、店が立ち並び、人々で賑わっている。太古の昔、この街があった場所には元々、アダムとイヴで有名な、本物の楽園"エデン"があったそうだ。そのために、ほとんどの住民が神を信仰する信徒だったり、街の各所に、エデンに関するモニュメントや歴史館、教会等が建てられている。
この街の名所は、高層ビルから覗く美しい霊峰、「ヘブンズ・ゲート」が有名だろう。この山は登れば最後、生きて戻ってこられないという噂があり、頂上には、天界へ通ずる扉があるという噂もあるらしい。現在は登山することは禁止されている。
ジークはそんな街の大通りに面している図書館で、「神話」の本を読みあさっていた。
「これを始めとして、天界と魔界は度々戦争を起こすようになったのであった。その中間にある、人間界を舞台として。人間界に、悪魔に対抗する力は無く、人々は逃げ惑うことしかできなかった...か。」
(やはり、あれが初めてではない。奴らは何度も戦争をしている。)
(それも、大昔からーー。)
神話の本を読むにも理由がある。ジークは推測していることが一つあった。
(仮面の男...奴は恐らく、人間じゃない。)
それは自明のことだった。人間離れした身のこなし、圧倒的な力、そして何より、あの残酷な風貌ーー。
ジークは仮面の男を悪魔だと考えていた。
(もし奴が悪魔だとするならーー悪魔に関連するこの街で手がかりがつかめるかもしれない。)
それが、ジークが「聖地」と呼ばれる街に訪れた理由でもあった。神話のエネルギーに満ち溢れるこの街で、何か手がかりが掴めると感じていた。
ジークは手に持っていた本を閉じ、本棚にしまう。そこに、ふと隣の本の題名が目に入った。
「七英雄?」
聞き慣れない言葉、これが神話となんの関係があるのか。その時だった。図書館の外で人々の悲鳴と共に爆音が聞こえた。
「なんだ!?」
ジークは慌てて図書館の扉を開け、外に出る。そこにあったのはーー。
惨劇だった。大勢の悪魔が押し寄せ、街の人々に襲いかかっていた。人々は悪魔に怯え、逃げ惑っている。
「奴ら、こんなところにまで...!」
ジークは刀を構えると、悪魔に素早く近づき、迫り来る悪魔の一人を一閃した。悪魔たちは、自分たちに対抗できる人間がいたことに動揺した。
ジークは納刀すると、再び居合いの姿勢をとる。
「...俺が相手だ。かかってこい。」
所詮人間一人、潰してしまえと言わんばかりに、悪魔たちが雄叫びをあげ、襲いかかる。ジークは攻撃を避けつつ、華麗に敵を切り裂いていく。彼は数年間、体を鍛えると同時に、各地に現れる悪魔を狩る任務を営んでいた。母親がかつて所属していた組織、「A.E.G.I.S」に、ジークも所属していた。悪魔狩りをしていれば、いつか仮面の男にたどり着くと感じていた。
(今までなら人気のない場所に出没するはずだが...)
(まさかこんな大都市に侵略だと?一体何が...?)
ジークは困惑しながらも、迫り来る小型の悪魔の大群をなぎ倒していく。
ー悪魔達の数が減ってきたところで、中型の悪魔が空から満を持して降りてきた。中型の悪魔が高速で距離を縮め、槍をジークへと伸ばすが、ジークはその動きを見切り、刀を振るう。しかし、悪魔はそれを槍で受け止め、両者お互いに距離を取る。そして、再び素早く近づき、一閃する。
ジークが納刀すると、中型の悪魔は膝から崩れ落ち、消滅していった。
(ーこれでひと段落か?)
そう思った瞬間ー。
ジークはビルの境を飛びながら高速で飛来する"ジェット機"を見つけた。
「なんでこんな所でジェット機が...」
(...ん?)
ジークはそのジェット機の異様な飛び方をすぐに察知した。
(あれは...何かに追われている?)
(!!...まだ残っていたか...!)
ジェット機は複数の小型や中型の悪魔に追われており、そしてそれはだんだんこちらへ向かってきていた。
(くそッ...一か八かだ!)
ジークは最高速度で突っ走って、地面を蹴り、ビルへと飛びかかった。そして、ビルの壁を走りながら、だんだんとジェット機との距離を詰める。
そしてーー。
(届けっ...!)
ジークは、タイミング良くビルの壁を蹴り、目一杯腕を伸ばす。
ーその手はしっかりと、ジェット機の羽をつかんでいた。
???「チクショウッ!なんでこんなことに!!?」
運転手らしき男が叫んでいる。
ジーク「いいから!前向いて運転してろ!」
ジークは尽力してなんとかジェット機の上に這い上がる。そして、刀を構え、悪魔たちと対峙する。
「...いくぞ。」
ジークはジェット機を追っていた悪魔たちと交戦する。襲いかかる悪魔達を次々吹き飛ばした。高速の斬撃が、悪魔達を切り刻んで行く。ジェット機はなんとか平行を保ちながらビルの合間を縫って飛行していた。
すると、遥か前方に大型の悪魔が現れた。大型の悪魔は口を開け、特大の熱線ビームを発射した。
???「くそっ!避けきれねぇ!」
ジーク「くっ!」
このままでは直撃する!そう思い、目を強く瞑ったその瞬間。
ー時が、止まったー
正確には少しずつ動いている。だが、まるでスーパースローの映像のように周囲の時の流れが遅くなっていた。
(なん...だ?これは...?)
(時が...止まっているのか?)
(だが、俺だけが普通に動けている...まさか、俺が時を...?)
ジークは同時に左目の疼きを感じていた。
(ーこれが、奴の言っていた"能力"?)
しかし、今は考えている暇はない。ジークはこのチャンスを逃さず、運転席にいた男を抱え、ジェット機のエンジンを暴発させる。
そして、ジークはジェット機から飛び降りた。
ー時が、動き始めた。
無人のジェット機が猛スピードで悪魔の元へ飛び、直撃、大爆発を起こした。
ー大型の悪魔は大ダメージを負い、すぐさま退却した。それと同時に他の悪魔達もいつのまにか街からいなくなっていた。
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