めんどくさいが口ぐせになった令嬢らしからぬわたくしを、いいかげん婚約破棄してくださいませ。

hoo

文字の大きさ
20 / 23

ヒロイン、エステに行く③ 【ヒロインサイドストーリー(おまけ)】

しおりを挟む

 「私よ、私。わかるでしょ」
 
 いや分かりません。オレオレ詐欺か。
 
 「あなたが来たせいで追いやられた元ドロボーニャよ」
 
 うへ?!
 
 「頭の中にいるのよ」
 
 マジすか?本気で怖いんですけどーーー?!
 
 「いいからまず早く出なさい」
 
 「お客様、お待たせいたしました」
 
 げ、店員来ちゃったよ!
 
 「当店は初めてでいらっしゃいますか?」
 
 「は、はいいい初めてですそして間違えました!帰ります!!」
 
 わたしは回れ右して窓をめざした。
 
 だって出入口から出ようとしたって、怖いお兄さんたちが出てきて捕まりそうだから。
 
 「お客様、お帰りでしたらそちらは出口ではございません」
 
 「え」
 
 もしかして、帰してくれるの?わたし無事に帰還できるの?
 
 「またのお越しをお待ちしております」
 
 あれ。
 
 
 
 無事に外に出たわたしは、拍子抜けしていた。
 
 ……あのさ。今の店って、ほんとに麻薬の店だったの?
 
 「そのはずよ!私、お父様と麻薬の取引現場に行ったことあるもの。あのにおいと同じだったわ」
 
 は?
 はああ?
 それ、うちの貿易商、非合法ってことだよね?
 
 「内緒よ」
 
 ちょ。
 だめでしょ。それ絶対やばいでしょ!?
 
 なんでヒロインの実家が密売組織なのよ?!
 
 「イケメン様、お元気かしら…」
 
 なに突然。
 
 「いいなずけよ。近々会うんでしょ」
 
 イケメン様って、へーやっぱイケ男子なんだー。
 
 「違うわよ、御名前よ」 
 そのままイケメン君ってことかい?!
 
 「そうよ」
 
 ………うわーさすがにキラキラお星さまネームだよね……急にイケてない男子くさいイメージになったわー……はー……
 
 「大丈夫よ、キラキラ男子よ」
 
 不安しかないです。
 
 「あの店なんてどう?」
 
 あんた、話バンバン変えるよね。
 
 「いらっしゃいませー」
 「よさそうじゃない」
 
 ねえいいかげん、わかりづらいから頭に響いてる声は『』にしてよ作者。
 
 『いちいちうるさいわ』
 
 今の作者だよな?
 
 『見て見て、どのコースももれなくスイーツ土産つきって書いてあるわ』
 
 おお?!
 
 「当店は初めてでいらっしゃいますか」
 
 「はい、初めてです」
 あ、これわたしの発言ね。やっと「」でしゃべれたわ。
 
 「では、こちらのコースなどおすすめですわ。初めての方限定のサービスでございますの」
 
 ふむふむ。
 足浴、リンパマッサージ、デコルテケアが無料でついてて、うんいいじゃん、オプションは次からお選びください…ハンドケア、スカルプケア、ツボ押し、どれも麻薬オイル使用……って、ふええ?!
 
 『あら、いやだ』
 
 なにこれ、堂々と書いてるとかありえんの?!
 
 「あの……この麻薬オイルって……」
 
 恐る恐る尋ねたわたしに、店員さんは、うふっと微笑んだ。
 
 「はい。当店自慢のおすすめオイルでございます!」
 
 
 
 
 
 窓から逃げてきたわたしは、乱れた衣服を整える暇もなく目についたカフェへ飛び込んだ。
 
 もうエステは諦めて、この空腹をなんとかすることにしたのだ。
 
 『抹緑パフェがいいわ』
 
 おまえが決めるな。
 
 『私の体だわ』
 
 う。そうですけど。
 
 『だいたいあなた、私らしくないのよ』
 
 ごめんなさい。
 ついでだから詳しく教えてください。ドロボーニャはどんなキャラなんですか。
 
 『もちろんおしとやかで清楚で、立てばなんとか座ればなんとかに例えられるような深窓のれいjy』
 いくらなんでも信憑性がないね。密売組織の娘じゃんか。
 
 元ドロボーニャの声を遮ったわたしは、想像した。すくなくても、くすんキャラは嘘だわと。こやつ、ぜったい親の前でネコかぶってたタイプだわ。
 
 『聞こえてるんですけど』
 
 「抹緑パンケーキお願いします」
 無視して注文するわたしの腹は、もうグウグウ鳴っている。
 「お飲み物は」
 『コーヒー』
 「紅茶を」
 「かしこまりました」
 
 『パンケーキにはコーヒーですわ!』
 わたしは紅茶派なの!
 『私の体のっとっておいて、好き勝手してんじゃないわよ!』
 残念でしたー!実際の声を出せるのはわたしなんですう。
 『もうなんでこうなったのよ?!出ていきなさいよ!!』
 無理でしょ。だってゲームだし。
 『げーむげーむってあなた時々言ってるけど、いったい何なのよそれ?!』
 何なのよと言われると、わたしもよくわかんないけどさー
 とりあえずこの乙ゲーの世界にわたしは転生した…ちがうか、転移?とにかくここはわたしが前世でプレイしてた乙ゲーの世界なのね。
 『何言ってるのか全然わからないわよ』
 そうは言われてもねー
 
 「お待たせいたしました」
 
 目の前に置かれた抹緑パンケーキは、青緑色でした。
 
 いままでマトモナコに取り寄せさせてたのって他国のスイーツばっかで、このいにしえの都の抹緑のたべものはまだ食べたことなかったけどさ……前世で大好きだった抹茶パンケーキをイメージしていたわたしは、鮮やかな青緑に発色している抹緑パンケーキをぽかんと見つめるしかなかったわけね。
 
 『何してんのよ、早く食べなさいよ』
 
 ごめんなさい、すこぶるマズそうなんですけど。
 
 『美味しいわよ。食べたことないの?』
 
 もちろんないです。
 
 読者さんに説明するとね、ここの世界のたべものは、けっこう前世のたべものと酷似してるんだよね。だから時々こうやって突然変異みたいなたべものに出くわすと心臓に悪いわけね。
 
 『あなた、今の世界のほうが良いっていつも叫んでるくせに』
 そうだけど、だってパンケーキだよ?こんがり茶色の焦げ目が魅力のパンケーキだよ?どうするとこんな色になるの。
 
 『紫芋よ!抹緑パンケーキといえば紫芋に決まってるじゃない!』
 
 え?
 
 『早く食べてよ!おなかくうくうよ!』
 
 紫芋でどうするとこんな色になるのか不思議なままだけど、紫芋と聞いてちょっと安心したわたしは、ひとくち食べてみた。
 
 うまい!?
 
 『やっぱり美味しいわー!』
 
 体のっとってるはずなのに、味覚は共有なのか。腹へったとか言ってるし。あとどれとどれは共有なんだ?なんかよく分かんないなー。
 
 まいっか、ゲームだし。
 
 『あなたいつもそれね』
 
 処世術と言って。
 
 
しおりを挟む
感想 11

あなたにおすすめの小説

オバサンが転生しましたが何も持ってないので何もできません!

みさちぃ
恋愛
50歳近くのおばさんが異世界転生した! 転生したら普通チートじゃない?何もありませんがっ!! 前世で苦しい思いをしたのでもう一人で生きて行こうかと思います。 とにかく目指すは自由気ままなスローライフ。 森で調合師して暮らすこと! ひとまず読み漁った小説に沿って悪役令嬢から国外追放を目指しますが… 無理そうです…… 更に隣で笑う幼なじみが気になります… 完結済みです。 なろう様にも掲載しています。 副題に*がついているものはアルファポリス様のみになります。 エピローグで完結です。 番外編になります。 ※完結設定してしまい新しい話が追加できませんので、以後番外編載せる場合は別に設けるかなろう様のみになります。

悪役令嬢のはずですが、年上王子が幼い頃から私を甘やかす気でいました

ria_alphapolis
恋愛
私は、悪役令嬢なのかもしれない。 王子の婚約者としては少し我儘で、周囲からは気が強いと思われている―― そんな自分に気づいた日から、私は“断罪される未来”を恐れるようになった。 婚約者である年上の王子は、今日も変わらず優しい。 けれどその優しさが、義務なのか、同情なのか、私にはわからない。 距離を取ろうとする私と、何も言わずに見守る王子。 両思いなのに、想いはすれ違っていく。 けれど彼は知っている。 五歳下の婚約者が「我儘だ」と言われていた幼い頃から、 そのすべてが可愛くて仕方なかったことを。 ――我儘でいい。 そう決めたのは、ずっと昔のことだった。 悪役令嬢だと勘違いしている少女と、 溺愛を隠し続ける年上王子の、すれ違い恋愛ファンタジー。 ※溺愛保証/王子視点あり/幼少期エピソードあり

【完結】ゲーム序盤に殺されるモブに転生したのに、黒幕と契約結婚することになりました〜ここまで愛が重いのは聞いていない〜

紅城えりす☆VTuber
恋愛
激甘、重すぎる溺愛ストーリー! 主人公は推理ゲームの序盤に殺される悪徳令嬢シータに転生してしまうが――。 「黒幕の侯爵は悪徳貴族しか狙わないじゃない。つまり、清く正しく生きていれば殺されないでしょ!」  本人は全く気にしていなかった。  そのままシータは、前世知識を駆使しながら令嬢ライフをエンジョイすることを決意。  しかし、主人公を待っていたのは、シータを政略結婚の道具としか考えていない両親と暮らす地獄と呼ぶべき生活だった。  ある日シータは舞踏会にて、黒幕であるセシル侯爵と遭遇。 「一つゲームをしましょう。もし、貴方が勝てばご褒美をあげます」  さらに、その『ご褒美』とは彼と『契約結婚』をすることで――。 ┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈ もし「続きが読みたい!」「スカッとした」「面白い!」と思って頂けたエピソードがありましたら、♥コメントで反応していただけると嬉しいです。 読者様から頂いた反応は、今後の執筆活動にて参考にさせていただきます。

ヒロインしか愛さないはずの公爵様が、なぜか悪女の私を手放さない

魚谷
恋愛
伯爵令嬢イザベラは多くの男性と浮名を流す悪女。 そんな彼女に公爵家当主のジークベルトとの縁談が持ち上がった。 ジークベルトと対面した瞬間、前世の記憶がよみがえり、この世界が乙女ゲームであることを自覚する。 イザベラは、主要攻略キャラのジークベルトの裏の顔を知ってしまったがために、冒頭で殺されてしまうモブキャラ。 ゲーム知識を頼りに、どうにか冒頭死を回避したイザベラは最弱魔法と言われる付与魔法と前世の知識を頼りに便利グッズを発明し、離婚にそなえて資金を確保する。 いよいよジークベルトが、乙女ゲームのヒロインと出会う。 離婚を切り出されることを待っていたイザベラだったが、ジークベルトは平然としていて。 「どうして俺がお前以外の女を愛さなければならないんだ?」 予想外の溺愛が始まってしまう! (世界の平和のためにも)ヒロインに惚れてください、公爵様!!

不機嫌な悪役令嬢〜王子は最強の悪役令嬢を溺愛する?〜

晴行
恋愛
 乙女ゲームの貴族令嬢リリアーナに転生したわたしは、大きな屋敷の小さな部屋の中で窓のそばに腰掛けてため息ばかり。  見目麗しく深窓の令嬢なんて噂されるほどには容姿が優れているらしいけど、わたしは知っている。  これは主人公であるアリシアの物語。  わたしはその当て馬にされるだけの、悪役令嬢リリアーナでしかない。  窓の外を眺めて、次の転生は鳥になりたいと真剣に考えているの。 「つまらないわ」  わたしはいつも不機嫌。  どんなに努力しても運命が変えられないのなら、わたしがこの世界に転生した意味がない。  あーあ、もうやめた。  なにか他のことをしよう。お料理とか、お裁縫とか、魔法がある世界だからそれを勉強してもいいわ。  このお屋敷にはなんでも揃っていますし、わたしには才能がありますもの。  仕方がないので、ゲームのストーリーが始まるまで悪役令嬢らしく不機嫌に日々を過ごしましょう。  __それもカイル王子に裏切られて婚約を破棄され、大きな屋敷も貴族の称号もすべてを失い終わりなのだけど。  頑張ったことが全部無駄になるなんて、ほんとうにつまらないわ。  の、はずだったのだけれど。  アリシアが現れても、王子は彼女に興味がない様子。  ストーリーがなかなか始まらない。  これじゃ二人の仲を引き裂く悪役令嬢になれないわ。  カイル王子、間違ってます。わたしはアリシアではないですよ。いつもツンとしている?  それは当たり前です。貴方こそなぜわたしの家にやってくるのですか?  わたしの料理が食べたい? そんなのアリシアに作らせればいいでしょう?  毎日つくれ? ふざけるな。  ……カイル王子、そろそろ帰ってくれません?

悪役令嬢ってもっとハイスペックだと思ってた

nionea
恋愛
 ブラック企業勤めの日本人女性ミキ、享年二十五歳は、   死んだ  と、思ったら目が覚めて、  悪役令嬢に転生してざまぁされる方向まっしぐらだった。   ぽっちゃり(控えめな表現です)   うっかり (婉曲的な表現です)   マイペース(モノはいいようです)    略してPUMな侯爵令嬢ファランに転生してしまったミキは、  「デブでバカでワガママって救いようねぇわ」  と、落ち込んでばかりもいられない。  今後の人生がかかっている。  果たして彼女は身に覚えはないが散々やらかしちゃった今までの人生を精算し、生き抜く事はできるのか。  ※恋愛のスタートまでがだいぶ長いです。 ’20.3.17 追記  更新ミスがありました。  3.16公開の77の本文が78の内容になっていました。  本日78を公開するにあたって気付きましたので、77を正規の内容に変え、78を公開しました。  大変失礼いたしました。77から再度お読みいただくと話がちゃんとつながります。  ご迷惑をおかけして申し訳ありませんでした。

完璧(変態)王子は悪役(天然)令嬢を今日も愛でたい

咲桜りおな
恋愛
 オルプルート王国第一王子アルスト殿下の婚約者である公爵令嬢のティアナ・ローゼンは、自分の事を何故か初対面から溺愛してくる殿下が苦手。 見た目は完璧な美少年王子様なのに匂いをクンカクンカ嗅がれたり、ティアナの使用済み食器を欲しがったりと何だか変態ちっく!  殿下を好きだというピンク髪の男爵令嬢から恋のキューピッド役を頼まれてしまい、自分も殿下をお慕いしていたと気付くが時既に遅し。不本意ながらも婚約破棄を目指す事となってしまう。 ※糖度甘め。イチャコラしております。  第一章は完結しております。只今第二章を更新中。 本作のスピンオフ作品「モブ令嬢はシスコン騎士様にロックオンされたようです~妹が悪役令嬢なんて困ります~」も公開しています。宜しければご一緒にどうぞ。 本作とスピンオフ作品の番外編集も別にUPしてます。 「小説家になろう」でも公開しています。

王子好きすぎ拗らせ転生悪役令嬢は、王子の溺愛に気づかない

エヌ
恋愛
私の前世の記憶によると、どうやら私は悪役令嬢ポジションにいるらしい 最後はもしかしたら全財産を失ってどこかに飛ばされるかもしれない。 でも大好きな王子には、幸せになってほしいと思う。

処理中です...