能力が『勇者をしじする者』の僕なのですが、勇者パーティをクビになりました!

トリノ

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対カイザール?

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「死ねや!」

カイザールがオリトに斬りかかった。以前のオリトであればカイザールの攻撃を回避することはできなかっただろう。オリトがカイザールの剣を避けようとすると

「炎獄!!」

という声とともにカイザールが炎に包まれた。

「あ、あちぃ!!だ、だれか水だ!水をかけろ!」

カイザールがもがき苦しんでいる。

「あなたはしばらくその炎の中で苦しめばいいのよ。どうせ勇者の能力で簡単には死なないんだし。今まで自分のしてきたことを反省しなさい」

「マ、マリーナ!貴様!早く火を消せ!俺に逆らったらどうなるか分かってんだろうな!」

「別にもうあなたとは仲間でもないし、消す義理もないわ」

「くそが!メイア!ネコル!どっちでもいい水を持ってこい!」

今もなお燃え続けているカイザール。すごく可哀想だ。

「ね、ねぇ、マリーナ?もう消してあげた方が…」

「優しいのねオリト。でもね、こいつには少しお灸を据えてやるのが一番いいのよ。少なくとも私がオリトと話している間は燃え続けてもらうわ」

フフフと笑うマリーナ。絶対に敵に回したくない。

「ところでオリト。これからどうするの?」

「ぼく?僕はラーナと一緒に街に行って冒険者になるつもりだよ」

「そう、じゃあ私も同行してもいいかしら?私は自分で言うのもなんだけどそれなりに強いと思うわよ」

「僕は歓迎するけどラーナはどう?」

「……オリトがいいならいいんだけど……」

歯切れが悪いラーナ。

「……ラーナさん?私が同行するのはいや?」

「…そういうわけじゃないけど…」

ラーナの視線がマリーナの一部分に向いていた。それに気づいたマリーナは

「あら、別にオリトはそんなこと気にしないわよ」

「な!なんのことを言ってるの!べ、別に…おっ…のことなんて………もういいわよ、一緒に行きましょう!」

「決定ね!よろしくねオリト、ラーナさん」

こうしてマリーナが仲間になった。(割と強引に)

「じゃあ行きましょう!私たちの新たな旅に!」

「あの、マリーナさん?カイザールの火消してあげようよ…」

「あぁ、忘れてたわ。あまりにも静かだったから」

マリーナが魔法を解除すると炎は消えたが、カイザールはピクリとも動かなくなった。どうやら気絶しているみたいだ。

「あの程度で気絶するなんて…本当に勇者なのかしら」

「いや、マリーナ?あれは…結構燃えてたよ?」

「そうかしら?私イラッとするとついやっちゃうのよね」

「ついって…」

「まぁいいじゃない。カイザールが起きる前に早く行きましょう」

「あ、ああ!ラーナも行こう」

「え、ええ…」

「ところでラーナさっきから自分の胸を押さえてるけどなにかあったの?」

「な、なんでもないわよ!オリト!デリケートなことを聞くのはセクハラよ!」

なぜか涙目で反論するラーナ。僕はなにかしてしまったのだろうか。もしかしたら触れられたくない話題だったのかな…マリーナはフフフと笑いながら前を歩き始める。

「……絶対に負けないんだから……」

ラーナはそう胸に誓った。





「は!俺はなんで倒れてるんだ!オリトはどこに行った?」

目覚めたカイザールは目に入ったメイアに聞いた。

「オリトさんならもう行きましたよ。カイザールさんが気絶している間に」

「はぁ?俺が気絶だと?そんな訳が…あるな!くそ!」

カイザールはマリーナに燃やされていた時のことを思い出した。

「あいつら…絶対に許さねぇ」

「でも今のカイザールにオリトが倒せるのかにゃ?」

「あぁ?ネコル今なんて言った?俺にオリトが倒せないそう言わなかったか?」

「倒せないとまでは言ってないにゃ。でもオリトはパーティにいた時よりも確実に強くなってたにゃ」

「そんなはずがあるか!あいつを追い出してからまだ数日しか経ってないんだぞ?そんないきなり強くなるなんてことがある訳ないだろ!」

「そうなんだけど…」

「あいつが俺よりも強いはずがないんだ!強くあってはならない!なぜなら俺が勇者だからな!分かったなら早くオリトを追いかけるぞ!勇者装備を取り返さなければならないからな!」

そう言ってカイザールは立ち上がり、森を抜けるため歩き始めた。




オリト達が森を抜けた頃にはもう夜になっていた。

「今日はどこか宿に泊まって、明日冒険者ギルドに行きましょう」

「ごめんマリーナ!僕たちお金持ってないんだ!だから宿には泊まれないんだよ…」

「あら、気にしなくてもいいわよ。オリトがお金持ってないこと知ってるし私が出すわよ」

「…ごめんねマリーナ、助かるよ」

「いいわよ、悪いのはカイザールだし…着いたわ」

マリーナは『ホシノ亭』という宿に入った。

「あ、マリーナさん!いらっしゃいませー!」

と女の子がマリーナに声をかける。

「久しぶりね、ホルン。今日部屋は空いているかしら」

「ちょっと待ってね……2人部屋が2部屋と4人部屋が1部屋空いてるよ」

「じゃあ4人部屋でお願いするわ」

「え、マリーナ?僕のこと忘れてない?」

「忘れてないわ。そうね…私は構わないけどラーナさんは困るかしら?」

「こ、困らないわ!私もオリトと一緒がいい!」

「…僕はこま『じゃあ4人部屋でとるねー』…僕の話聞いてもらえませんか?」

「じゃあ部屋に案内するねー!」

ホルンは客室の方に歩いていく。それにマリーナとラーナもついていく。

「……僕の話も聞いてよー!」

オリトの悲痛の叫びがホテルに響いた。
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