黒い箱と白い箱

キユサピ

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第4章:はこをひらいて

第15話:森のみんなが参加を決める

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森に、少しずつ春のにおいが混じり始めた頃――
キツネのソラとクマのモコは、小さなメモをいくつも手にして、森を歩いていました。

そのメモには、やわらかい字でこう書かれていました。

「きもちのこうかん会 を ひらきます。
話したい人は話して、聞きたい人は聞いて、ただ そこに いてもいい会です。
だれも ひとりにしません。」

それは、森に住む仲間たちへの、小さなおさそいでした。



最初に出会ったのは、ハリネズミのチクチク。

「えっ……ぼくが? そういうの、ちょっとにがてで……」

そう言って、手足をそわそわ動かしました。

でも、ソラは笑って言いました。

「いいんだよ。話さなくても、聞いてるだけでいい。
“どうしても行きたくない”ってときは、行かなくてもいい」

チクチクは、しばらく考えてから、ゆっくりとメモを受け取りました。

「……じゃあ、ちょっとだけ。うしろの方に座ってもいい?」

「もちろん!」



次に出会ったのは、シカのミオ。

ミオは、メモを読んですぐにうなずきました。

「それ、すてきだね。わたし……誰かの“くろいはこ”の音を聞いてみたかったんだ」

風が枝をゆらすたび、ミオの首の鈴がやさしく鳴りました。



タヌキのコロは、最初ちょっとふざけて、

「えー? コロの話、泣かせちゃうかもよ~?」

と笑いましたが、その目の奥に、ほんの少しだけまじめな光が見えました。

「……でもまあ、行ってみるか。なんか、ちょっとドキドキするね」



ひとり、またひとりと、森の仲間たちが、
「きもちのこうかん会」のことを知り、そっと心をあたためはじめました。



そのころ。
ウサギのルルは、小さな木の陰でひとり、静かに座っていました。

彼女の耳には、まだその知らせは届いていません。

でも――森には、すこしずつ、あたたかい風がふきはじめていました。
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