黒い箱と白い箱

キユサピ

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第5章:きもちのこうかん会

第18話:涙がこぼれたその理由

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あたたかな午後のひかりが、木々のすきまからこぼれていました。
「きもちのこうかん会」は、ゆっくりと、でも確かに続いています。

今は、だれも話していません。
ただ風がふいて、木の葉がゆれて、それを見ているみんなの顔がありました。

そのとき、ぽたり――と、音がしました。

ルルでした。

草むらのかげから、そっと出てきて、
大きな木のうしろに立っていたルルの頬を、涙がつたっていたのです。

だれかが何かを言う前に、
ルルは、小さな声で、話しはじめました。



「わたし、こわかったんだ……」

森のみんなが、そっと耳をかたむけます。

「“くろいはこ”があるって知られたら、
みんなにきらわれるかもしれないって思ってた。
……がんばって元気なふりして、しろいはこだけ見せてた」

風の音がやみ、森が静かになりました。

「でも……みんなの話、聞いてたら……
なんでかわからないけど、涙が出てきて……
わたし、はじめて“泣いてもいいんだ”って思えたの……」



ルルのことばに、
チクチクも、ミオも、モコも、ソラも、
それぞれの場所で、そっと目を伏せました。

だれもルルを見て笑わなかった。
だれも「だいじょうぶだよ」なんて言わなかった。

けれど、みんなが、そこにいてくれました。

それがルルには、なによりうれしかったのです。



モコがゆっくりと歩いて、ルルのとなりに座りました。
言葉はなくても、その大きな背中が、そっと支えてくれます。

そして、ソラがルルにメモを渡しました。
“となりに いること”

それは、前に母さんからもらった、あの言葉でした。



ルルは、小さく笑って、そしてまた、
ひとしずく、涙をこぼしました。

でもその涙は、すこしだけ――
光をはらんでいました。
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