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第8章:つづいていくもの
第29話「しろいはことくろいはこ、それぞれのかたち」
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ある朝、森の広場に、ルルが手紙を置きました。
ちいさな、ふわふわした字で、こう書かれていました。
「しろいはこも くろいはこも、わたしのたいせつなものです。
どっちもあって、わたしなんだって、すこしだけ思えるようになりました。
まだこわい日もあるけれど、話してみたいです──あなたのはこのことも。」
それを見つけたモコは、ゆっくりと手紙にふれました。
「……ルル、すごいな」
小さな声で、そうつぶやきます。
そのあと、みんなでひとつの輪を作って、
自分の“はこ”のことを、少しずつ話していく時間が生まれました。
「ぼくの“しろいはこ”にはね、お母さんと作ったホットケーキのにおいが入ってるんだ」
と、モコ。
「わたしの“くろいはこ”は……前に、大声で怒られたときの気持ち。
そのとき、しゃべるのがこわくなっちゃった」
と、チクチク。
「……ぼくの“はこ”は、まだうまく見分けがつかないけど……
どっちも、ちゃんと“ぼく”なんだよね」
と、ソラは少しはにかみながら言いました。
ルルは、みんなの話をききながら、
胸の中に、あたらしい風がとおるのを感じていました。
(わたしだけじゃ、なかったんだ)
(しろいのも、くろいのも、みんなそれぞれだったんだ)
そして、ルルはそっと、自分の“しろいはこ”を胸に抱えます。
その中には、小さな“ことば”が入っていました。
「いてくれて ありがとう」
それは、ルルがもらった“はじめてのやさしさ”でした。
そして今、やっと自分の言葉として、心の中でつぶやけるようになったのです。
森の空は、やさしく晴れていました。
葉っぱたちがきらきらと光って、
いくつもの“はこ”の色が、すこしずつ透けて見えるような気がしました。
──それぞれの“しろいはこ”と“くろいはこ”が、
だれのものでもなく、“その子のかたち”として、
大切にそこにある──そんな時間が流れていたのです。
ちいさな、ふわふわした字で、こう書かれていました。
「しろいはこも くろいはこも、わたしのたいせつなものです。
どっちもあって、わたしなんだって、すこしだけ思えるようになりました。
まだこわい日もあるけれど、話してみたいです──あなたのはこのことも。」
それを見つけたモコは、ゆっくりと手紙にふれました。
「……ルル、すごいな」
小さな声で、そうつぶやきます。
そのあと、みんなでひとつの輪を作って、
自分の“はこ”のことを、少しずつ話していく時間が生まれました。
「ぼくの“しろいはこ”にはね、お母さんと作ったホットケーキのにおいが入ってるんだ」
と、モコ。
「わたしの“くろいはこ”は……前に、大声で怒られたときの気持ち。
そのとき、しゃべるのがこわくなっちゃった」
と、チクチク。
「……ぼくの“はこ”は、まだうまく見分けがつかないけど……
どっちも、ちゃんと“ぼく”なんだよね」
と、ソラは少しはにかみながら言いました。
ルルは、みんなの話をききながら、
胸の中に、あたらしい風がとおるのを感じていました。
(わたしだけじゃ、なかったんだ)
(しろいのも、くろいのも、みんなそれぞれだったんだ)
そして、ルルはそっと、自分の“しろいはこ”を胸に抱えます。
その中には、小さな“ことば”が入っていました。
「いてくれて ありがとう」
それは、ルルがもらった“はじめてのやさしさ”でした。
そして今、やっと自分の言葉として、心の中でつぶやけるようになったのです。
森の空は、やさしく晴れていました。
葉っぱたちがきらきらと光って、
いくつもの“はこ”の色が、すこしずつ透けて見えるような気がしました。
──それぞれの“しろいはこ”と“くろいはこ”が、
だれのものでもなく、“その子のかたち”として、
大切にそこにある──そんな時間が流れていたのです。
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