婚約破棄への旅

のじか

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 ゆっくり、中を確かめるようにリーライの屹立がウィセリアの中に押し入ってくる。

「ひあっ……あ、やあっ……」

 狭い入り口にリーライの熱い杭が打ち付けられて、一瞬の鈍い痛みのあと、ウィセリアは今まで体験したことのない感覚におそわれた。

「……もう、戻れ、ないわ」

 純潔を失ってしまった。自分はもう、何も知らなかった乙女には戻れないのだ。

 ウィセリアが熱に浮かされたように呟くと、リーライが頷いた。

「もう離しはしませんよ、絶対に。あなたは俺のもので、俺はあなたのものだ。言ったでしょう……ウィセリアが俺の傍にいてくれるのなら、他には何も望まない」

 それは契約のようでもあったし、懇願のようでもあった。

 ──いけない人。

 ウィセリアは思った。このひとはいけない人だ。いけない人なのに、どうして、どうして自分はほとんどむりやり結婚前に体を拓かれて、うれしいと感じているのだろう──。

「愛していますよ、ウィセリア」

 リーライはゆっくり、ウィセリアの中を出入りしはじめた。そのたびに、ウィセリアの喉は甲高い甘えたような声を出して、蜜壺は獲物を離すまいときゅうきゅうに締め付ける。絶え間なく打ち付けられる快感に翻弄されて、ウィセリアは息も荒く、あえいだ。

「こんっ、なの、私じゃ、ない、のに……っ!」

 ウィセリアには、リーライの腕の中でみだらに鳴く女が自分だとはとても信じられない。快楽に耽っている自分と、これからどうなるのだろうと言う畏れが入り混じって、どうしようもなく泣きたい気持ちになる。

「あ、ああ……っ…」

「可愛いですよ、ウィセリア……。いいんです、自分をさらけ出して。今日から、俺たちは本当の夫婦になるのですから……」

リーライに甘くささやかれて、ウィセリアは安心しきって、快楽に身をゆだねた。

「あ、だめ、落ちる……っ」

 やがて、ウィセリアのもとに体が放り出されてどこか遠くに行ってしまうような感覚が訪れて、リーライの体にすがりつく。

「……っ、怖がらないで。そのまま、一緒にっ……」

 苦しげなリーライのうめき声と共に熱いものがウィセリアの中に広がり、ウィセリアは脱力感とともに深い息を吐いた。

「ウィセリア……愛しています」

 今までに何度も言われたその言葉も、今ならやっと、素直に受け取る事が出来る。

「私もよ」

「……少し予定が早まりましたがこのまま、新婚旅行を続けましょうか」

 甘い旅の誘いに、ウィセリアは小さく頷いた。
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