ひょうたん神社におまかせを

だわ

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第一章

三話

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 私はがむしゃらに撃ちまくり切り払いまくっていた。身体も装備もボロボロだが喰種は100体以上倒しただろう。そろそろ吸血鬼が現れても不思議じゃない。
 満身創痍とはいえ未だ基地への喰種侵入は阻止できている。でも弾薬が底をつきそうだ。救難信号は他の基地にも届いているはず。せめて他の基地からの援軍が来るまで持ちこたえないと…
 喰種の群れが止まった。空気が急に重くなる。吸血鬼”ボス“のお出ましだ。喰種の群れ上空から飛来した少年のように見えるソレはまっすぐ私の前まで近づいてくる。私の放った鉛玉の雨などまるで羽虫を払うように撃ち落としこう言った。
 『こんばんは可哀想なお嬢ちゃん。どうやらエルドに見捨てられてしまったようだね。彼女はいつも若い子を見殺しにする悪い癖があるようだ。』
 どうやらこちらの状況を把握しているらしい。
 『僕たちも同じだよ。アイツに見捨てられたんだ。僕も昔ココに配属されたんだけど今じゃこのザマさ。』
 この吸血鬼もかつてこの基地に配属された私の先輩だったのだろう。私と同じように見捨てられ吸血鬼に襲われ眷属にされてしまったのだろう。新人つぶしって規模じゃないわ。
 エルド隊長め、吸血鬼を増やす原因になってるじゃないの。
 『だから君も仲間になってアイツに復讐しようよ。』
 彼の囁きは魅力的だった。吸血鬼特有の魅了効果が上乗せされているのは頭では分かっている。このまま彼の言う通り勝ち目のない戦いを止めていっそ寝返ろうか。
 私は自分の頬を叩いた。私こそこの基地で唯一逃げ出さずに大群に立ち向かった勇敢なエクソシストだ。この程度の魅了甘言でこの誇りを捨てられるもんか!私はそういうトコだけは石頭なのよ!
 私はこう言ってやった。
 『私はアンタみたいな腑抜けの貧弱甘ちゃんなんかじゃないわ!誇り高い学園首席よ!もうすぐ援軍が来るわ!そうしたらあんたたちなんて敵じゃないですもの。血吸われすぎて脳細胞喰種になってるんじゃないの?』
 精一杯の強がりだ。援軍が来るかも不明確なのに。
 すると今までニヤニヤ笑っていた彼は急に真顔になった。そして憐れむような視線をこちらに向ける。
 『来ないよ。援軍は来ない。僕の時には来なかった。』
 冷たい声が響いた。
 『あの時もみんな逃げたけど僕だけは戦った。だけど吸血鬼になってから知ったよ。僕が吸血鬼の内通者に仕立てられて基地が内部から侵略されたことになっていたんだ。知ってる?他の基地に救援を要請するともれなく基地総括の首が飛ぶんだよ。そう、アイツのね。だから他所から来たばかりの新人が内通者ということにして要請を出す間もなく壊滅したことにすればアイツの首は繋がったままになる。君もめでたく内通者として汚名を残すことになるだろう。』
 その言葉を聞いた途端、全身から力が抜けた。せっかく誇り高く死のうとここまで耐えてきた緊張の糸がプツリと切れ、その場に座り込んでしまう。
 『そうそう。そうやって抵抗せずに投降してくれると助かるよ。』
 彼が何か言っているようだが、もうどうでもいい。私はそのまま気を失った。
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