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第68話 次期魔王計画・ファクシミリ
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ポトリと首が地面に落ちる。
バーサークを付与した聖剣・インペラトルの火力は更に倍増し、キメラとなったセクンドスの体をスパスパと切り落としていった。
「さ、再生が追い付かない!! 何故だ、アウルム、お前にこれほどの剣技が……剣スキルがあったとは……それなのに何故、ギルドを追い出されたんだ」
残った首だけの状態で話しかけてくる。あんな状態になっても会話は可能なのか……本当にバケモノだな。
「さあな。この剣スキルを披露する前にルードスから追い出されたからな……単にタイミングが悪かったんだろう。それより、お前は何故第二勇者を名乗っていた? 今のお前は誰に作られた?」
問いただすと、セクンドスは素直に答えた。
「第二勇者の件は、サフィラス伯爵に騙されていたんだ……私はヤツによって悪魔召喚されたらしい。次期魔王としてな……だから、勇者召喚ではなかった。元から勇者ではなかったんだ、私は。だが、結果として第二勇者として活動し、前の魔王を打ち滅ぼした。しかし……それも伯爵の計画の内だったんだ」
「なんだと、その計画とは何だ」
「そこまでは分からん。だが、サフィラス伯爵には息子がいた。私はその男に――――ぐああああああああああああぁッ…………」
突然、セクンドスの首が燃え上がり、黒い炎に焼かれて炭となった。
「なっ……」
「駄目じゃないか、セクンドス。君はバケモノになってでも、勇者アウルムに復讐をするんじゃなかったのかな。なのに何故、この私を裏切るのか」
森の奥から現れた男。
コイツがセクンドスをキメラ化した張本人か……って、この顔。馬鹿な、ありえねえ……!
「お前……ルードスなのか」
「……フフフ。フハハハハハ……久しぶりだね、アウルム。君と会うのはギルドを追放したあの時以来かな」
ルードス、かつては俺のギルドに所属し、オリエンス、インゲルスと共に魔王打倒の為に世界を巡っていた。だが、ある日突然、俺を裏切りギルドから追放したのだ。ヤツはそれ以来、俺のギルドを乗っ取り……第二勇者を名乗ったセクンドスを仲間に迎え入れていた。
「これはなんの真似だ、ルードス!!」
「あぁ、私も驚いたさ。父……サフィラス伯爵がまさか、魔王代理だったとはな!! 私は腕を失って絶望していた時に知ったのさ」
「腕を?」
「ああ、身勝手なセクンドスの野郎が襲ってきてね。一時期は死の淵に立たされていたが……だが、今となっては逆に感謝しかない。何故なら、アウルム……お前が勇者であるなら、この私が魔王なのだからな!!」
……ルードスが魔王だって?
いや、事実そうなのだろう。
コイツもセクンドスも言っていた。
サフィラス伯爵の魔王代理の、息子だって。
「おい、ルードス。お前も父親に騙されているんじゃないか。あの男は卑怯で卑劣だった……息子であるお前さえも欺いているかもしれんぞ」
俺がそう言い放つと、ルードスは激昂した。
「貴様に何が分かる!! アウルムよ、父は偉大な計画【ファクシミリ】を実行していた……そうだよ、察しているだろう。簡単に言えば次期魔王計画さ。最強の魔王を作り上げるべく、父は奔走していた。勇者ではない……魔王の支配こそ、世界を救うのだとな!」
「世界を救う? ふざけんな、魔王は世界各地を襲い、人々を襲う。そんなヤツを野放しにできるか。俺は勇者だ、人類を守る為に召喚されたんだ。お前が魔王を名乗るのなら、俺にとっての敵だ。倒すしかないッ」
聖槍を生成し、構える。
だが、ルードスは不気味に笑う。
「……ククク。アウルム、お前は根っからの勇者だな。それでは、世界は救えぬ!! お前は間違っている……間違っているぞ!! 正しいのは父だ。父なのだ!! いつか分かる。サフィラス伯爵が正しかったのだとな!!」
「間違っているのはお前だ、馬鹿野郎」
「あぁ……精々、吠えているがいいさ! お前の認識が間違っている限り、私はこの国とやらを攻め続ける……!! 宣言しよう、必ずお前の守るものを破壊し尽くてやる!! 必ずな!!」
踵を返すルードス。逃がすかよ。
『聖槍・プリムスウィクトール!!』
光速で到達した銀の光は、ルードスを――
「なっ……」
ルードスの背後から『闇』が現れ、キメラのセクンドスが盾となった。まさか、あのセクンドス、まだ生きてるのか。いや、魂は抜けているようだが……。
「フ……。アウルムよ、このセクンドスは父の遺書によれば、次期魔王としての実験体だったのだよ。勇者を排除する為のな」
そう言い残し、ルードスは消え去った。
クソ、取り逃がしたか。
ヤツが去って間もなく、フルクが合流した。
「アウルムさん! なかなか帰って来ないから心配しましたよ」
「ごめん。けど、バケモノは排除した……したんだが」
「? どうかしたんですが、顔色が優れないようですが。もし良ければ相談に乗りますし、なんでも仰って下さい」
俺の手を握って優しい瞳を向けてくれる。いかんな、フルクに心配させちゃってる。
「後で話す。今は帰ろう」
「分かりました。でも、アウルムさんを落ち着かせてあげたいので、こちらへ」
樹々の方へ連れていかれ、腰を下ろす。
フルクが膝の上を指さす。
「ま、まさか!?」
「はい、そのまさかです」
そんな笑顔で……。
……そりゃ寝心地最高だろうけど。
「悪いって」
「遠慮しないでください。わたしはアウルムさんのお体が心配なんです。お休みになられないというのなら、わたしの方から抱きついちゃいます」
それはそれでアリな気がするけど……いや、何を考えているんだ俺は。……そ、そうだな、フルクのお言葉に甘えよう。
渋々ながら、俺は横になった。
ふかふかっとした感触が後頭部に。
こ、これが……フルクの膝枕。
視線を上にすると、大きな膨らみが――ぐっ!?
こう間近で見ると、フルクって大きいよな。礼服が邪魔しちゃって遠目だと分かり辛いけど、この至近距離だと……って、いかん……上は見ちゃいかん!
「む、村の防衛を強化しないとなー…。その為にもEXダンジョン第三エリアを攻略しないと……」
誤魔化すように言ってみたが、フルクは眠たそうにポケポケしていた。その度にこちらへ倒れかけてくるので、胸が俺の頭に落ちてきそうだった。
おいおいッ。
やがて……ぽむっと柔らかいモノが落ちてきた。なんと、フルクが前屈みになって眠ってしまっていた。その故、俺の頭部全体は天国によって包まれる。
なんだ、俺よりフルクの方が疲れていたのか。起こすのも悪いし、仕方ない……このまま埋もれているか。
バーサークを付与した聖剣・インペラトルの火力は更に倍増し、キメラとなったセクンドスの体をスパスパと切り落としていった。
「さ、再生が追い付かない!! 何故だ、アウルム、お前にこれほどの剣技が……剣スキルがあったとは……それなのに何故、ギルドを追い出されたんだ」
残った首だけの状態で話しかけてくる。あんな状態になっても会話は可能なのか……本当にバケモノだな。
「さあな。この剣スキルを披露する前にルードスから追い出されたからな……単にタイミングが悪かったんだろう。それより、お前は何故第二勇者を名乗っていた? 今のお前は誰に作られた?」
問いただすと、セクンドスは素直に答えた。
「第二勇者の件は、サフィラス伯爵に騙されていたんだ……私はヤツによって悪魔召喚されたらしい。次期魔王としてな……だから、勇者召喚ではなかった。元から勇者ではなかったんだ、私は。だが、結果として第二勇者として活動し、前の魔王を打ち滅ぼした。しかし……それも伯爵の計画の内だったんだ」
「なんだと、その計画とは何だ」
「そこまでは分からん。だが、サフィラス伯爵には息子がいた。私はその男に――――ぐああああああああああああぁッ…………」
突然、セクンドスの首が燃え上がり、黒い炎に焼かれて炭となった。
「なっ……」
「駄目じゃないか、セクンドス。君はバケモノになってでも、勇者アウルムに復讐をするんじゃなかったのかな。なのに何故、この私を裏切るのか」
森の奥から現れた男。
コイツがセクンドスをキメラ化した張本人か……って、この顔。馬鹿な、ありえねえ……!
「お前……ルードスなのか」
「……フフフ。フハハハハハ……久しぶりだね、アウルム。君と会うのはギルドを追放したあの時以来かな」
ルードス、かつては俺のギルドに所属し、オリエンス、インゲルスと共に魔王打倒の為に世界を巡っていた。だが、ある日突然、俺を裏切りギルドから追放したのだ。ヤツはそれ以来、俺のギルドを乗っ取り……第二勇者を名乗ったセクンドスを仲間に迎え入れていた。
「これはなんの真似だ、ルードス!!」
「あぁ、私も驚いたさ。父……サフィラス伯爵がまさか、魔王代理だったとはな!! 私は腕を失って絶望していた時に知ったのさ」
「腕を?」
「ああ、身勝手なセクンドスの野郎が襲ってきてね。一時期は死の淵に立たされていたが……だが、今となっては逆に感謝しかない。何故なら、アウルム……お前が勇者であるなら、この私が魔王なのだからな!!」
……ルードスが魔王だって?
いや、事実そうなのだろう。
コイツもセクンドスも言っていた。
サフィラス伯爵の魔王代理の、息子だって。
「おい、ルードス。お前も父親に騙されているんじゃないか。あの男は卑怯で卑劣だった……息子であるお前さえも欺いているかもしれんぞ」
俺がそう言い放つと、ルードスは激昂した。
「貴様に何が分かる!! アウルムよ、父は偉大な計画【ファクシミリ】を実行していた……そうだよ、察しているだろう。簡単に言えば次期魔王計画さ。最強の魔王を作り上げるべく、父は奔走していた。勇者ではない……魔王の支配こそ、世界を救うのだとな!」
「世界を救う? ふざけんな、魔王は世界各地を襲い、人々を襲う。そんなヤツを野放しにできるか。俺は勇者だ、人類を守る為に召喚されたんだ。お前が魔王を名乗るのなら、俺にとっての敵だ。倒すしかないッ」
聖槍を生成し、構える。
だが、ルードスは不気味に笑う。
「……ククク。アウルム、お前は根っからの勇者だな。それでは、世界は救えぬ!! お前は間違っている……間違っているぞ!! 正しいのは父だ。父なのだ!! いつか分かる。サフィラス伯爵が正しかったのだとな!!」
「間違っているのはお前だ、馬鹿野郎」
「あぁ……精々、吠えているがいいさ! お前の認識が間違っている限り、私はこの国とやらを攻め続ける……!! 宣言しよう、必ずお前の守るものを破壊し尽くてやる!! 必ずな!!」
踵を返すルードス。逃がすかよ。
『聖槍・プリムスウィクトール!!』
光速で到達した銀の光は、ルードスを――
「なっ……」
ルードスの背後から『闇』が現れ、キメラのセクンドスが盾となった。まさか、あのセクンドス、まだ生きてるのか。いや、魂は抜けているようだが……。
「フ……。アウルムよ、このセクンドスは父の遺書によれば、次期魔王としての実験体だったのだよ。勇者を排除する為のな」
そう言い残し、ルードスは消え去った。
クソ、取り逃がしたか。
ヤツが去って間もなく、フルクが合流した。
「アウルムさん! なかなか帰って来ないから心配しましたよ」
「ごめん。けど、バケモノは排除した……したんだが」
「? どうかしたんですが、顔色が優れないようですが。もし良ければ相談に乗りますし、なんでも仰って下さい」
俺の手を握って優しい瞳を向けてくれる。いかんな、フルクに心配させちゃってる。
「後で話す。今は帰ろう」
「分かりました。でも、アウルムさんを落ち着かせてあげたいので、こちらへ」
樹々の方へ連れていかれ、腰を下ろす。
フルクが膝の上を指さす。
「ま、まさか!?」
「はい、そのまさかです」
そんな笑顔で……。
……そりゃ寝心地最高だろうけど。
「悪いって」
「遠慮しないでください。わたしはアウルムさんのお体が心配なんです。お休みになられないというのなら、わたしの方から抱きついちゃいます」
それはそれでアリな気がするけど……いや、何を考えているんだ俺は。……そ、そうだな、フルクのお言葉に甘えよう。
渋々ながら、俺は横になった。
ふかふかっとした感触が後頭部に。
こ、これが……フルクの膝枕。
視線を上にすると、大きな膨らみが――ぐっ!?
こう間近で見ると、フルクって大きいよな。礼服が邪魔しちゃって遠目だと分かり辛いけど、この至近距離だと……って、いかん……上は見ちゃいかん!
「む、村の防衛を強化しないとなー…。その為にもEXダンジョン第三エリアを攻略しないと……」
誤魔化すように言ってみたが、フルクは眠たそうにポケポケしていた。その度にこちらへ倒れかけてくるので、胸が俺の頭に落ちてきそうだった。
おいおいッ。
やがて……ぽむっと柔らかいモノが落ちてきた。なんと、フルクが前屈みになって眠ってしまっていた。その故、俺の頭部全体は天国によって包まれる。
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