辺境伯令嬢は悪逆皇帝でも愛したい

桜井正宗@オートスキル第1巻発売中

文字の大きさ
4 / 7

辺境伯令嬢と皇帝 - 3

しおりを挟む
 帝領伯と話していると、陛下が現れた。

「クレメンタイン、綺麗になったね」
「陛下のおかげです。お風呂を貸していただき、感謝しています」

 わたしは項垂れて感謝を示した。
 陛下のおかげで、わたしは助かった。
 あのままだったら、野垂れ死にだった。

「構わないさ。……それで、フラッド伯爵のことは聞いたかな」
「はい、クライメイト帝領伯がいろいろ教えてくださいました」

「うむ。その通り、伯爵の悪行が明らかになっている。証拠も揃いつつあるのだ。このままいけば明日には潜伏先に兵を向かわせ、捕らえらるだろう」

「もうそこまで進んでいたのですね」

「ああ。ダークマーケットを壊滅できるのなら、非道な手を使っても構わないと思っている」

「理由を聞いてもいいですか?」

「裏組織が売買している違法ポーションは、非常に強力な幻覚作用があるようだ。このまま蔓延れば帝国は、未曽有の危機を迎える。だからこそ、手段は厭わない」

 そんな危険な組織がいたんだ……。
 そこにあのフラッド伯爵が?
 なんてことを……。

 知らなかったとはいえ、わたしにも責任があるかもしれない。

 なら……。

「わたしにも何か協力させてください」
「その言葉を待っていたよ、クレメンタイン」
「というと?」

「君にはフラッド伯爵に復讐する権利がある。そうだろう?」

 そうだ。
 わたしはあの男から捨てられ……裏切られ……全てを奪われた。

 わたしの知らないところで闇の売買もしていた。

 もう許せそうにない。
 許してはならない。


「復讐したいです」
「いいだろう。ならば明朝、伯爵の潜伏先へ向かい……ヤツを捕らえる。この僕、自らが動く」

「へ、陛下が!?」

「帝国に歯向かえばどうなるか分からせる必要がある」
「し、しかし……」
「大丈夫だ。こう見えて僕は強いからね。そうだろう、デレク」


 帝領伯はハッキリと頷く。
 そうだったんだ。
 でも、皇帝自ら出るなんて……大丈夫なのかな。

「本当に良いんですか?」
「ああ。派兵は止め、僕とクレメンタインで向かう。それでいいだろう」

「……分かりました。フラッド伯爵には言いたいことが山のようにありますし、覚悟を決めました」

「良い顔と返事だ。では、今日は休むといい」

 爽やかに微笑む陛下は背を向けて行ってしまった。……清々しい風のよう。本当は帝国の事を誰よりも思っているのね。思わず感心してしまった、わたし。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

初夜に暴言を吐いた夫は後悔し続ける──10年後の償い【完結】

星森 永羽(ほしもりとわ)
恋愛
王命により、辺境伯ロキアのもとへ嫁いだのは、金髪翠眼の美しき公爵令嬢スフィア。 だが、初夜に彼が告げたのは、愛も権限も与えないという冷酷な宣言だった。噂に踊らされ、彼女を「穢れた花嫁」と罵ったロキア。 しかし、わずか一日でスフィアは姿を消し、教会から届いたのは婚姻無効と慰謝料請求の書状──。 王と公爵の怒りを買ったロキアは、爵位も領地も名誉も奪われ、ただの補佐官として生きることに。 そして十年後、運命のいたずらか、彼は被災地で再びスフィアと出会う。 地位も捨て、娘を抱えて生きる彼女の姿に、ロキアの胸に去来するのは、悔恨と赦しを乞う想い──。 ⚠️本作はAIの生成した文章を一部に使用しています。

拝啓、婚約者さま

松本雀
恋愛
――静かな藤棚の令嬢ウィステリア。 婚約破棄を告げられた令嬢は、静かに「そう」と答えるだけだった。その冷静な一言が、後に彼の心を深く抉ることになるとも知らずに。

酔って婚約破棄されましたが本望です!

神々廻
恋愛
「こ...んやく破棄する..........」 偶然、婚約者が友達と一緒にお酒を飲んでいる所に偶然居合わせると何と、私と婚約破棄するなどと言っているではありませんか! それなら婚約破棄してやりますよ!!

捨てられ令嬢は微笑む ——婚約破棄ののち、氷の王太子に独占されるまで——

usako
恋愛
名門侯爵家の令嬢リディアは、婚約者である王太子レオンから突然の婚約破棄を告げられる。理由は「平凡で退屈だから」。 傷心のリディアは領地に引きこもり、静かに暮らすつもりだった。しかし、冷徹と評判の第二王子エリアスが突然現れ、「俺がおまえをもらう」と告げる。 心を閉ざした令嬢と、他人に興味を示さなかった王子――二人の絆が深まるほど、氷の王国に亀裂が走る。 そして、あの婚約破棄の裏に潜む陰謀が暴かれるとき、かつての恋人たちの立場は逆転する。 「退屈? 本当にそう思うなら、見ていればいい」 ──捨てられた令嬢が、王国一の寵愛を手にするまでの物語。

完結 辺境伯様に嫁いで半年、完全に忘れられているようです   

ヴァンドール
恋愛
実家でも忘れられた存在で 嫁いだ辺境伯様にも離れに追いやられ、それすら 忘れ去られて早、半年が過ぎました。

婚約破棄された令嬢は辺境伯に愛されて——氷の騎士が心を溶かすまで

usako
恋愛
社交界で婚約者に裏切られ、家族からも冷遇された令嬢リリアナ。すべてを失った彼女を拾ったのは、恐れられる氷の辺境伯・レオンハルトだった。 最初は契約のはずだったのに、彼の不器用な優しさにリリアナの心は少しずつ溶けていく。 一方で、彼女を切り捨てた元婚約者たちはじわじわと後悔に苛まれ—— ざまぁと溺愛が交差する、最高に甘く痛快な恋物語。

【完結】無口な旦那様は妻が可愛くて仕方ない

ベル
恋愛
旦那様とは政略結婚。 公爵家の次期当主であった旦那様と、領地の経営が悪化し、没落寸前の伯爵令嬢だった私。 旦那様と結婚したおかげで私の家は安定し、今では昔よりも裕福な暮らしができるようになりました。 そんな私は旦那様に感謝しています。 無口で何を考えているか分かりにくい方ですが、とてもお優しい方なのです。 そんな二人の日常を書いてみました。 お読みいただき本当にありがとうございますm(_ _)m 無事完結しました!

義兄のために私ができること

しゃーりん
恋愛
姉が亡くなった。出産時の失血が原因だった。 しかも、子供は義兄の子ではないと罪の告白をして。 入り婿である義兄はどこまで知っている? 姉の子を跡継ぎにすべきか、自分が跡継ぎになるべきか、義兄を解放すべきか。 伯爵家のために、義兄のために最善の道を考え悩む令嬢のお話です。

処理中です...