20 / 64
第20話 風の加護
しおりを挟む
敵は四体のユピテル。
分が悪すぎるというか、圧倒的に不利。
ハッキリ言って勝算はない。
「それでも、一人くらいなら倒してやるさ」
刀を本体に向けた。
亡霊は無視だ。
「レイジ、お前はここで死ぬがいい……!」
一気に四体が襲って来る。
せめて、本体だけでも刺し違えてやる!
「うぉぉぉぉぉぉぉ……!」
俺のレベルは『40』に到達している。
基本スキルもほぼマックス。
これなら……きっとユピテルに届くはず。
「……レイジ、お前はここでええええッ!」
ユピテルの突きが向かって来る。
姿勢を低くした俺は、それを回避。刀を下から上で振り上げて、剣ごと彼の身体を斬った。
「――――ごふぁァッ!!」
だが、三体の亡霊が俺を貫こうと向かって来る。
――もうだめだ。
ここで、俺は、死ぬ。
さようなら、ルシア。
死を覚悟したその時だった。
稲妻が走って、亡霊を一気に分散させた。……こ、これは魔法スキル。風属性魔法の剣技。つまり、これは――。
「よくぞ、ここまで頑張った。我が友よ。亡霊は私に任せなさい」
「エドウィン……!」
「許してくれ、会議が長引いた!」
黄金の剣を抜くエドウィンは、ほんの一瞬で三体の亡霊を切り捨てた。な、なにも見えなかった……あれ、走ったのか!?
それにしても、そうか。
エドウィンには風の加護があるんだ。属性攻撃になるんだな。
「――こんな所か。そこに倒れているのは……ユピテル分隊長とジョンだね。詳しくは道中で会ったマーカスに聞いた。不穏分子の名は『リジェクト』と」
「そうだ、こいつらは悪そのものだ」
「分かった。逮捕し、監獄に送る。すぐに情報部隊も向かって来るだろう。これでユピテル達は終わりだ」
……助かった、のか。
「ルシア!」
「だ、大丈夫です。レイジさんが助けてくれましたから、怪我はありません。それより、ラティさんです。彼女にヒールします」
「分かった」
ラティは助かった。
ヒールを受けると、すぐに意識を取り戻して謝って来た。
「ご、ごめんなさい……わたくしがいながら、ルシア様をお守りできませんでした」
「ラティの所為じゃないよ。全部、ユピテルとジョンが悪いんだ。あいつらは三大騎士の転覆を狙っていたし、殺人すら犯していた。どうしようもないヤツ等だったよ」
真実が判明すれば、俺はなんて場所に所属していたんだと情けなくなった。雑兵より性質が悪いし、それ以下にも劣る。
それから、情報部隊・マキシマイズが到着。ユピテルとジョンは拘束され、連れて行かれた。この日を境に二人の顔を見ることは二度となかった――。
カイルにも疑いが向けられ、三人は監獄送りとなったようだ。もっとも、カイルは精神崩壊が悪化して、それどころじゃなくなったらしいが。
今や狂人になったと、エドウィンから教えて貰った。
分が悪すぎるというか、圧倒的に不利。
ハッキリ言って勝算はない。
「それでも、一人くらいなら倒してやるさ」
刀を本体に向けた。
亡霊は無視だ。
「レイジ、お前はここで死ぬがいい……!」
一気に四体が襲って来る。
せめて、本体だけでも刺し違えてやる!
「うぉぉぉぉぉぉぉ……!」
俺のレベルは『40』に到達している。
基本スキルもほぼマックス。
これなら……きっとユピテルに届くはず。
「……レイジ、お前はここでええええッ!」
ユピテルの突きが向かって来る。
姿勢を低くした俺は、それを回避。刀を下から上で振り上げて、剣ごと彼の身体を斬った。
「――――ごふぁァッ!!」
だが、三体の亡霊が俺を貫こうと向かって来る。
――もうだめだ。
ここで、俺は、死ぬ。
さようなら、ルシア。
死を覚悟したその時だった。
稲妻が走って、亡霊を一気に分散させた。……こ、これは魔法スキル。風属性魔法の剣技。つまり、これは――。
「よくぞ、ここまで頑張った。我が友よ。亡霊は私に任せなさい」
「エドウィン……!」
「許してくれ、会議が長引いた!」
黄金の剣を抜くエドウィンは、ほんの一瞬で三体の亡霊を切り捨てた。な、なにも見えなかった……あれ、走ったのか!?
それにしても、そうか。
エドウィンには風の加護があるんだ。属性攻撃になるんだな。
「――こんな所か。そこに倒れているのは……ユピテル分隊長とジョンだね。詳しくは道中で会ったマーカスに聞いた。不穏分子の名は『リジェクト』と」
「そうだ、こいつらは悪そのものだ」
「分かった。逮捕し、監獄に送る。すぐに情報部隊も向かって来るだろう。これでユピテル達は終わりだ」
……助かった、のか。
「ルシア!」
「だ、大丈夫です。レイジさんが助けてくれましたから、怪我はありません。それより、ラティさんです。彼女にヒールします」
「分かった」
ラティは助かった。
ヒールを受けると、すぐに意識を取り戻して謝って来た。
「ご、ごめんなさい……わたくしがいながら、ルシア様をお守りできませんでした」
「ラティの所為じゃないよ。全部、ユピテルとジョンが悪いんだ。あいつらは三大騎士の転覆を狙っていたし、殺人すら犯していた。どうしようもないヤツ等だったよ」
真実が判明すれば、俺はなんて場所に所属していたんだと情けなくなった。雑兵より性質が悪いし、それ以下にも劣る。
それから、情報部隊・マキシマイズが到着。ユピテルとジョンは拘束され、連れて行かれた。この日を境に二人の顔を見ることは二度となかった――。
カイルにも疑いが向けられ、三人は監獄送りとなったようだ。もっとも、カイルは精神崩壊が悪化して、それどころじゃなくなったらしいが。
今や狂人になったと、エドウィンから教えて貰った。
25
あなたにおすすめの小説
友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。
石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。
だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった
何故なら、彼は『転生者』だから…
今度は違う切り口からのアプローチ。
追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。
こうご期待。
俺の好きな人は勇者の母で俺の姉さん! パーティ追放から始まる新しい生活
石のやっさん
ファンタジー
主人公のリヒトは勇者パーティを追放されるが別に気にも留めていなかった。
ハーレムパーティ状態だったので元から時期が来たら自分から出て行く予定だったし、三人の幼馴染は確かに可愛いが、リヒトにとって恋愛対象にどうしても見られなかったからだ。
だから、ただ見せつけられても困るだけだった。
何故ならリヒトの好きなタイプの女性は…大人の女性だったから。
この作品の主人公は転生者ですが、精神的に大人なだけでチートは知識も含んでありません。
勿論ヒロインもチートはありません。
他のライトノベルや漫画じゃ主人公にはなれない、背景に居るような主人公やヒロインが、楽しく暮すような話です。
1~2話は何時もの使いまわし。
亀更新になるかも知れません。
他の作品を書く段階で、考えてついたヒロインをメインに純愛で書いていこうと思います。
大器晩成エンチャンター~Sランク冒険者パーティから追放されてしまったが、追放後の成長度合いが凄くて世界最強になる
遠野紫
ファンタジー
「な、なんでだよ……今まで一緒に頑張って来たろ……?」
「頑張って来たのは俺たちだよ……お前はお荷物だ。サザン、お前にはパーティから抜けてもらう」
S級冒険者パーティのエンチャンターであるサザンは或る時、パーティリーダーから追放を言い渡されてしまう。
村の仲良し四人で結成したパーティだったが、サザンだけはなぜか実力が伸びなかったのだ。他のメンバーに追いつくために日々努力を重ねたサザンだったが結局報われることは無く追放されてしまった。
しかしサザンはレアスキル『大器晩成』を持っていたため、ある時突然その強さが解放されたのだった。
とてつもない成長率を手にしたサザンの最強エンチャンターへの道が今始まる。
S級パーティを追放された無能扱いの魔法戦士は気ままにギルド職員としてスローライフを送る
神谷ミコト
ファンタジー
【祝!4/6HOTランキング2位獲得】
元貴族の魔法剣士カイン=ポーンは、「誰よりも強くなる。」その決意から最上階と言われる100Fを目指していた。
ついにパーティ「イグニスの槍」は全人未達の90階に迫ろうとしていたが、
理不尽なパーティ追放を機に、思いがけずギルドの職員としての生活を送ることに。
今までのS級パーティとして牽引していた経験を活かし、ギルド業務。ダンジョン攻略。新人育成。そして、学園の臨時講師までそつなくこなす。
様々な経験を糧にカインはどう成長するのか。彼にとっての最強とはなんなのか。
カインが無自覚にモテながら冒険者ギルド職員としてスローライフを送るである。
ハーレム要素多め。
※隔日更新予定です。10話前後での完結予定で構成していましたが、多くの方に見られているため10話以降も製作中です。
よければ、良いね。評価、コメントお願いします。励みになりますorz
他メディアでも掲載中。他サイトにて開始一週間でジャンル別ランキング15位。HOTランキング4位達成。応援ありがとうございます。
たくさんの誤字脱字報告ありがとうございます。すべて適応させていただきます。
物語を楽しむ邪魔をしてしまい申し訳ないですorz
今後とも応援よろしくお願い致します。
世界最強の賢者、勇者パーティーを追放される~いまさら帰ってこいと言われてももう遅い俺は拾ってくれた最強のお姫様と幸せに過ごす~
aoi
ファンタジー
「なぁ、マギそろそろこのパーティーを抜けてくれないか?」
勇者パーティーに勤めて数年、いきなりパーティーを戦闘ができずに女に守られてばかりだからと追放された賢者マギ。王都で新しい仕事を探すにも勇者パーティーが邪魔をして見つからない。そんな時、とある国のお姫様がマギに声をかけてきて......?
お姫様の為に全力を尽くす賢者マギが無双する!?
スキル間違いの『双剣士』~一族の恥だと追放されたが、追放先でスキルが覚醒。気が付いたら最強双剣士に~
きょろ
ファンタジー
この世界では5歳になる全ての者に『スキル』が与えられる――。
洗礼の儀によってスキル『片手剣』を手にしたグリム・レオハートは、王国で最も有名な名家の長男。
レオハート家は代々、女神様より剣の才能を与えられる事が多い剣聖一族であり、グリムの父は王国最強と謳われる程の剣聖であった。
しかし、そんなレオハート家の長男にも関わらずグリムは全く剣の才能が伸びなかった。
スキルを手にしてから早5年――。
「貴様は一族の恥だ。最早息子でも何でもない」
突如そう父に告げられたグリムは、家族からも王国からも追放され、人が寄り付かない辺境の森へと飛ばされてしまった。
森のモンスターに襲われ絶対絶命の危機に陥ったグリム。ふと辺りを見ると、そこには過去に辺境の森に飛ばされたであろう者達の骨が沢山散らばっていた。
それを見つけたグリムは全てを諦め、最後に潔く己の墓を建てたのだった。
「どうせならこの森で1番派手にしようか――」
そこから更に8年――。
18歳になったグリムは何故か辺境の森で最強の『双剣士』となっていた。
「やべ、また力込め過ぎた……。双剣じゃやっぱ強すぎるな。こりゃ1本は飾りで十分だ」
最強となったグリムの所へ、ある日1体の珍しいモンスターが現れた。
そして、このモンスターとの出会いがグレイの運命を大きく動かす事となる――。
異世界に召喚されたが「間違っちゃった」と身勝手な女神に追放されてしまったので、おまけで貰ったスキルで凡人の俺は頑張って生き残ります!
椿紅颯
ファンタジー
神乃勇人(こうのゆうと)はある日、女神ルミナによって異世界へと転移させられる。
しかしまさかのまさか、それは誤転移ということだった。
身勝手な女神により、たった一人だけ仲間外れにされた挙句の果てに粗雑に扱われ、ほぼ投げ捨てられるようなかたちで異世界の地へと下ろされてしまう。
そんな踏んだり蹴ったりな、凡人主人公がおりなす異世界ファンタジー!
さんざん馬鹿にされてきた最弱精霊使いですが、剣一本で魔物を倒し続けたらパートナーが最強の『大精霊』に進化したので逆襲を始めます。
ヒツキノドカ
ファンタジー
誰もがパートナーの精霊を持つウィスティリア王国。
そこでは精霊によって人生が決まり、また身分の高いものほど強い精霊を宿すといわれている。
しかし第二王子シグは最弱の精霊を宿して生まれたために王家を追放されてしまう。
身分を剥奪されたシグは冒険者になり、剣一本で魔物を倒して生計を立てるようになる。しかしそこでも精霊の弱さから見下された。ひどい時は他の冒険者に襲われこともあった。
そんな生活がしばらく続いたある日――今までの苦労が報われ精霊が進化。
姿は美しい白髪の少女に。
伝説の大精霊となり、『天候にまつわる全属性使用可』という規格外の能力を得たクゥは、「今まで育ててくれた恩返しがしたい!」と懐きまくってくる。
最強の相棒を手に入れたシグは、今まで自分を見下してきた人間たちを見返すことを決意するのだった。
ーーーーーー
ーーー
閲覧、お気に入り登録、感想等いつもありがとうございます。とても励みになります!
※2020.6.8お陰様でHOTランキングに載ることができました。ご愛読感謝!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる