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第40話 経験値テーブル操作
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――翌日――
「……?」
ベッドから起き上がると異変を感じた。
身体が軽すぎた。
「あれ…………俺、レベルいくつになった?」
昨日のバケモノを倒してから、様子がおかしかった。ふと自分のレベルを確認すると『80』を超えていた。
「なっ!? 嘘だろ」
いつの間にそんなレベルになっていたんだ、俺は。あのバケモノに経験値があったのだろうか。――しかも、新しいスキルを習得していた。おかしい、こんなスキルは覚えていないはず。
なぜか覚えていた『経験値テーブル操作』。どうやら、自身や他人の経験値テーブルを操作し、例えばALL1とかに出来るようだ。つまり、容易にレベル99に出来る、というワケだ。
「……こ、こんなの強すぎじゃないか」
ただし、操作するにクリスタル1000個を媒介にする必要があるらしい。それも、スライムとかゴブリンが対象ではない。クリスタル1個の経験値が3000を超える場合らしい。それが1000個も……これは地味にネックだな。
「となると、ドラゴン系とか強いヤツだな。廃棄場であるかどうか……」
さすがに高レベルモンスターともなると、廃棄されにくい。自ら倒しにいくしか……自らか。そうだな、事件も落ち着いたし、たまにはダンジョンへ行ってみるか。
◆
「ルシア、入るぞ」
ノックして返事があったので、中へ。
「おはようございます」
「おはよ」
いつもの礼服に身を包むルシアは、挨拶をくれると目の前に駆け寄ってきて、笑顔を見せてくれた。
「レイジさん。今日、わたし暇なんです。何処かへ連れていって下さいませんか?」
「丁度いいや、俺も何処かへ行こうと思っていたんだ。ルシア、俺について来てくれるよな」
「もちろんですっ。ラティも連れていきます?」
「いや、ラティは置いて行く。ルシアと一緒がいいんだ」
そう返すと、ルシアは我慢出来なかったのだろう、抱きついて来た。切なそうな上目遣いで見られ、俺も思わず彼女の小さな身体をぎゅっとする。
「このまま抱き合っていてもいいのですよ」
「ル、ルシア……嬉しいよ。でも、その、まだ気持ちをきちんと伝えていないし……」
「もう知ってます。でも、ちゃんと言葉にして欲しいです」
「分かった。ルシア、俺は君の事を……」
その瞬間、扉が開いた。
エドウィンだった。
「あ……こりゃ、すまないね。そういう関係のは知っていたけれど、邪魔しちゃったね。あははは……」
くるっと背を向けて去って行こうとしたが、俺は止めた。
「エドウィン! 待ってくれ……!」
「い、いいのかい。ルシア様をほったらかしにして」
「すぐ終わる。あれだ、昨晩の事だよ。青髪メイドのノンの事だ……すまなかった。バケモノになっちまったとはいえ、俺が斃してしまった」
「……私もその件について話そうと思っていた。……彼女は、ノンは確かにライトニング家に尽くしてくれていた。けれど、リジェクトに加担してしまっていたんだよ。それにね、あの後、マキシマイズから情報提供を受けたんだけどね、彼女には前科があった。殺人のね」
「さ、殺人!?」
「ああ、元彼を惨殺していたらしい。それから世間の目から逃れるため、私の屋敷で働くようになっていた。そうしている内に、私に惚れ込んだようだがね……」
それで今回の騒動か。
なんだかな。
「それでも、すまなかった」
「気にするなとは言えないが、傭兵として良くやってくれた。あのまま放置していれば、犠牲者は増えていただろう。これからも期待しているよ、レイジ」
肩をポンポンとされ、励まされた。
そうだな、気持ちを切り替えていこう。
「ごめん、ルシア」
「ううん、いいんです。その……レイジさん、また誰かに邪魔される前に、わたしから言いますね」
「え……」
赤面するルシアは、瞳を潤ませ……
「わ、わたし……レイジさんの事が――」
――で、また扉が。
「主様~、今日はどうなされ――――あ」
今度はラティが……!
「ラ、ラティ……その、ねえ?」
「あ、あぁ……そういうタイミングでしたか。申し訳ありません!!」
「待って、ラティ」
「え……でも」
「と、とりあえず今日は俺とルシアで出かける。ライトニング家を頼む」
「分かりました……お、お幸せに?」
そう言い残してラティは、慌しく去った。
一応、祝福してくれたようだが……。
「ル、ルシア」
「むぅ~~~! どうして邪魔が入るんですぅ」
「怒らない怒らない。せっかくの美人が台無しだよ。ほら、笑って」
「レイジさん……はい」
告白は、経験値テーブル操作の件が終わってからにしよう。
「……?」
ベッドから起き上がると異変を感じた。
身体が軽すぎた。
「あれ…………俺、レベルいくつになった?」
昨日のバケモノを倒してから、様子がおかしかった。ふと自分のレベルを確認すると『80』を超えていた。
「なっ!? 嘘だろ」
いつの間にそんなレベルになっていたんだ、俺は。あのバケモノに経験値があったのだろうか。――しかも、新しいスキルを習得していた。おかしい、こんなスキルは覚えていないはず。
なぜか覚えていた『経験値テーブル操作』。どうやら、自身や他人の経験値テーブルを操作し、例えばALL1とかに出来るようだ。つまり、容易にレベル99に出来る、というワケだ。
「……こ、こんなの強すぎじゃないか」
ただし、操作するにクリスタル1000個を媒介にする必要があるらしい。それも、スライムとかゴブリンが対象ではない。クリスタル1個の経験値が3000を超える場合らしい。それが1000個も……これは地味にネックだな。
「となると、ドラゴン系とか強いヤツだな。廃棄場であるかどうか……」
さすがに高レベルモンスターともなると、廃棄されにくい。自ら倒しにいくしか……自らか。そうだな、事件も落ち着いたし、たまにはダンジョンへ行ってみるか。
◆
「ルシア、入るぞ」
ノックして返事があったので、中へ。
「おはようございます」
「おはよ」
いつもの礼服に身を包むルシアは、挨拶をくれると目の前に駆け寄ってきて、笑顔を見せてくれた。
「レイジさん。今日、わたし暇なんです。何処かへ連れていって下さいませんか?」
「丁度いいや、俺も何処かへ行こうと思っていたんだ。ルシア、俺について来てくれるよな」
「もちろんですっ。ラティも連れていきます?」
「いや、ラティは置いて行く。ルシアと一緒がいいんだ」
そう返すと、ルシアは我慢出来なかったのだろう、抱きついて来た。切なそうな上目遣いで見られ、俺も思わず彼女の小さな身体をぎゅっとする。
「このまま抱き合っていてもいいのですよ」
「ル、ルシア……嬉しいよ。でも、その、まだ気持ちをきちんと伝えていないし……」
「もう知ってます。でも、ちゃんと言葉にして欲しいです」
「分かった。ルシア、俺は君の事を……」
その瞬間、扉が開いた。
エドウィンだった。
「あ……こりゃ、すまないね。そういう関係のは知っていたけれど、邪魔しちゃったね。あははは……」
くるっと背を向けて去って行こうとしたが、俺は止めた。
「エドウィン! 待ってくれ……!」
「い、いいのかい。ルシア様をほったらかしにして」
「すぐ終わる。あれだ、昨晩の事だよ。青髪メイドのノンの事だ……すまなかった。バケモノになっちまったとはいえ、俺が斃してしまった」
「……私もその件について話そうと思っていた。……彼女は、ノンは確かにライトニング家に尽くしてくれていた。けれど、リジェクトに加担してしまっていたんだよ。それにね、あの後、マキシマイズから情報提供を受けたんだけどね、彼女には前科があった。殺人のね」
「さ、殺人!?」
「ああ、元彼を惨殺していたらしい。それから世間の目から逃れるため、私の屋敷で働くようになっていた。そうしている内に、私に惚れ込んだようだがね……」
それで今回の騒動か。
なんだかな。
「それでも、すまなかった」
「気にするなとは言えないが、傭兵として良くやってくれた。あのまま放置していれば、犠牲者は増えていただろう。これからも期待しているよ、レイジ」
肩をポンポンとされ、励まされた。
そうだな、気持ちを切り替えていこう。
「ごめん、ルシア」
「ううん、いいんです。その……レイジさん、また誰かに邪魔される前に、わたしから言いますね」
「え……」
赤面するルシアは、瞳を潤ませ……
「わ、わたし……レイジさんの事が――」
――で、また扉が。
「主様~、今日はどうなされ――――あ」
今度はラティが……!
「ラ、ラティ……その、ねえ?」
「あ、あぁ……そういうタイミングでしたか。申し訳ありません!!」
「待って、ラティ」
「え……でも」
「と、とりあえず今日は俺とルシアで出かける。ライトニング家を頼む」
「分かりました……お、お幸せに?」
そう言い残してラティは、慌しく去った。
一応、祝福してくれたようだが……。
「ル、ルシア」
「むぅ~~~! どうして邪魔が入るんですぅ」
「怒らない怒らない。せっかくの美人が台無しだよ。ほら、笑って」
「レイジさん……はい」
告白は、経験値テーブル操作の件が終わってからにしよう。
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