60 / 64
第60話 経験値製造スキルの真相
しおりを挟む
リジェクトの創設者にして帝国を裏から崩壊させようとする男……ソルバルト・T・ハークネスを打倒した。
「これで……」
勝利を確信したその時だった。
『フフフフフ……』
血塗れにも関わらず、ソルバルトが立ち上がった。全身真っ赤に染まっているが……その手には『黒いクリスタル』が握られていた。
「ま、まさか……あんた」
「このクリスタルは特注品でね。今までのも私のスキルによるもの……お前の持つ『経験値製造スキル』を入手する為に習得に励んだのだが……失敗に終わった。まさか、教会の人間と繋がりを持つ必要があったとはな。……ルシア、あの女が奇跡を起こすのに必要な存在だったとは……憎らしい女だ」
確かに、ルシアのおかげで俺の製造スキルは変化した。そうか、コイツも経験値製造スキルを欲していたのか。だから、あんな贋作……失敗作を生み続けて――。
「お前、この力が欲しかったのか」
「そうとも……ぐぶっ……。そ、その経験値製造スキルを求めて、私はリジェクトを作り、やがて皇帝になる……予定だった。だが、息子も……お前でさえ、私を裏切った!! どいつもこいつもゴミばかり! 三大騎士も何も分かっておらぬ! 現在の皇帝陛下も無能……! 城の地下にまさか地下都市があるとは思っていなかっただろうなァ。そして、何よりもお前の母親だ」
「母さん?」
「ああ……名をクレスケンスルーナと言った……お前の母親は教会の聖女だった。教会には二人の聖女がいて、お前の母親とファートゥム・アエテルヌムという銀髪の女がいた。二人のどちらでも良い、奇跡を与えられれば『経験値製造スキル』の習得が叶うのだ。私は二人にアプローチしたが、どちらも断られてね……」
「それで逆恨みを……」
「そうだ。叶わぬのなら殺してしまえばいい……仕方がなかった。そのままにしておけば、誰かが『経験値製造スキル』を習得してしまうのだからな。そうなれば、きっと私を阻む存在となる――そして、お前がそうなってしまった、レイジよ」
そうか。
母さんはそんな事で殺されて……。
ファートゥム・アエテルヌムという女性も殺されたのだろう。そして、あくまで推測だがその女性はルシアのお母さんだったのではないだろうか。
俺の母親とルシアのお母さんは知り合い……それ以上の存在だったはず。これが終わったら聞いてみよう。
「ソルバルト……俺は絶対にあんたを許さない。義祖父とも思わない……お前は根っからの邪悪だ。自分勝手に人殺しを行い、欲望のままに帝国転覆を謀った……万死に値する!!」
「……ならば掛かって来い。この特注のクリスタルを使った私にな!!!」
ぐっ……と黒いクリスタルを胸に押し込めるソルバルト。次第に苦しそうに藻掻き始め、発狂した――。
「ギャアアアアアアアアアア、ババババババアバババババ!! ぬあぁぁぁあぁああぁぁぁあぁああ…………ッ!!!」
一気に膨張する体は、黒い肉塊となり――…恐ろしい姿へと変貌した。なんだよこれ……何なんだよこれ。ありえねえ……。
『ググググググッ……。グボボボボボボボボ……』
「もう人間の形を成していないじゃないか」
顔も潰れ、ただあるのは黒い塊。鞭のような手足が生えているだけ。混沌だ……混沌がある。
油断していると、触手が向かってきた。
俺は桜花で防御する。
火花が散って、あまりの威力に驚く。
「ぐっ……なんて力だ!! けどな!! 俺はそれでも諦めねえッ!!」
一閃を放ち、触手を断ち切っていく。
けれども、触手は速攻で再生し襲って来る。
「キリがねぇ……」
周囲も怪物だらけになっている。
でもその度に雷撃が走って、敵を駆逐していた。みんな必死になって頑張っている。俺だって、負けていられない。
「ソルバルト!!」
『グフ、グフフフフフ……レイジ……貴様ヲ、トリコンデ、ヤル……!!』
巨体が走って来る。
なんてスピード。
物理法則に反した俊敏な動き。
なんとか空へ飛び跳ねて回避。
だが、ソルバルトの巨体も飛び跳ねて目の前にやって来る。……馬鹿な。あんな城のような大きさの巨体を持ち上げてくるとか……!
『桜花一閃――――――!!!』
必殺を穿つが、ソルバルトも反撃してきた。
『エンシェント・ソニックブーム……!!!』
さっきとは違う、暴風雨のような……!
まずい、威力が桁違いだ……!
「レイジ、ここは私に任せなさい!!」
タンッと宙へ舞って来るエドウィン!
『ハンドレットエグゼキューション!!』
数百の閃光がソルバルトへ向かって行く。
それだけじゃない……!
『コギト・エルゴ・スム……!!』
サラの途轍もない雷撃もソルバルトへ。
『ウーヌス・プロー・オムニブス・オムネス・プロー・ウーノー……!!』
長い詠唱のようなスキルが飛んでくる。
これの矢は、シャロンさんか――!
それから、ルシア、ラティ、ブレア、パルも姿を現す。ランティさんとアモルさんも無事だった。みんな集合した。
「そうか、ソルバルト以外を倒したんだな……!」
決着をつける……!!
「これで……」
勝利を確信したその時だった。
『フフフフフ……』
血塗れにも関わらず、ソルバルトが立ち上がった。全身真っ赤に染まっているが……その手には『黒いクリスタル』が握られていた。
「ま、まさか……あんた」
「このクリスタルは特注品でね。今までのも私のスキルによるもの……お前の持つ『経験値製造スキル』を入手する為に習得に励んだのだが……失敗に終わった。まさか、教会の人間と繋がりを持つ必要があったとはな。……ルシア、あの女が奇跡を起こすのに必要な存在だったとは……憎らしい女だ」
確かに、ルシアのおかげで俺の製造スキルは変化した。そうか、コイツも経験値製造スキルを欲していたのか。だから、あんな贋作……失敗作を生み続けて――。
「お前、この力が欲しかったのか」
「そうとも……ぐぶっ……。そ、その経験値製造スキルを求めて、私はリジェクトを作り、やがて皇帝になる……予定だった。だが、息子も……お前でさえ、私を裏切った!! どいつもこいつもゴミばかり! 三大騎士も何も分かっておらぬ! 現在の皇帝陛下も無能……! 城の地下にまさか地下都市があるとは思っていなかっただろうなァ。そして、何よりもお前の母親だ」
「母さん?」
「ああ……名をクレスケンスルーナと言った……お前の母親は教会の聖女だった。教会には二人の聖女がいて、お前の母親とファートゥム・アエテルヌムという銀髪の女がいた。二人のどちらでも良い、奇跡を与えられれば『経験値製造スキル』の習得が叶うのだ。私は二人にアプローチしたが、どちらも断られてね……」
「それで逆恨みを……」
「そうだ。叶わぬのなら殺してしまえばいい……仕方がなかった。そのままにしておけば、誰かが『経験値製造スキル』を習得してしまうのだからな。そうなれば、きっと私を阻む存在となる――そして、お前がそうなってしまった、レイジよ」
そうか。
母さんはそんな事で殺されて……。
ファートゥム・アエテルヌムという女性も殺されたのだろう。そして、あくまで推測だがその女性はルシアのお母さんだったのではないだろうか。
俺の母親とルシアのお母さんは知り合い……それ以上の存在だったはず。これが終わったら聞いてみよう。
「ソルバルト……俺は絶対にあんたを許さない。義祖父とも思わない……お前は根っからの邪悪だ。自分勝手に人殺しを行い、欲望のままに帝国転覆を謀った……万死に値する!!」
「……ならば掛かって来い。この特注のクリスタルを使った私にな!!!」
ぐっ……と黒いクリスタルを胸に押し込めるソルバルト。次第に苦しそうに藻掻き始め、発狂した――。
「ギャアアアアアアアアアア、ババババババアバババババ!! ぬあぁぁぁあぁああぁぁぁあぁああ…………ッ!!!」
一気に膨張する体は、黒い肉塊となり――…恐ろしい姿へと変貌した。なんだよこれ……何なんだよこれ。ありえねえ……。
『ググググググッ……。グボボボボボボボボ……』
「もう人間の形を成していないじゃないか」
顔も潰れ、ただあるのは黒い塊。鞭のような手足が生えているだけ。混沌だ……混沌がある。
油断していると、触手が向かってきた。
俺は桜花で防御する。
火花が散って、あまりの威力に驚く。
「ぐっ……なんて力だ!! けどな!! 俺はそれでも諦めねえッ!!」
一閃を放ち、触手を断ち切っていく。
けれども、触手は速攻で再生し襲って来る。
「キリがねぇ……」
周囲も怪物だらけになっている。
でもその度に雷撃が走って、敵を駆逐していた。みんな必死になって頑張っている。俺だって、負けていられない。
「ソルバルト!!」
『グフ、グフフフフフ……レイジ……貴様ヲ、トリコンデ、ヤル……!!』
巨体が走って来る。
なんてスピード。
物理法則に反した俊敏な動き。
なんとか空へ飛び跳ねて回避。
だが、ソルバルトの巨体も飛び跳ねて目の前にやって来る。……馬鹿な。あんな城のような大きさの巨体を持ち上げてくるとか……!
『桜花一閃――――――!!!』
必殺を穿つが、ソルバルトも反撃してきた。
『エンシェント・ソニックブーム……!!!』
さっきとは違う、暴風雨のような……!
まずい、威力が桁違いだ……!
「レイジ、ここは私に任せなさい!!」
タンッと宙へ舞って来るエドウィン!
『ハンドレットエグゼキューション!!』
数百の閃光がソルバルトへ向かって行く。
それだけじゃない……!
『コギト・エルゴ・スム……!!』
サラの途轍もない雷撃もソルバルトへ。
『ウーヌス・プロー・オムニブス・オムネス・プロー・ウーノー……!!』
長い詠唱のようなスキルが飛んでくる。
これの矢は、シャロンさんか――!
それから、ルシア、ラティ、ブレア、パルも姿を現す。ランティさんとアモルさんも無事だった。みんな集合した。
「そうか、ソルバルト以外を倒したんだな……!」
決着をつける……!!
11
あなたにおすすめの小説
友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。
石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。
だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった
何故なら、彼は『転生者』だから…
今度は違う切り口からのアプローチ。
追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。
こうご期待。
竜騎士の俺は勇者達によって無能者とされて王国から追放されました、俺にこんな事をしてきた勇者達はしっかりお返しをしてやります
しまうま弁当
ファンタジー
ホルキス王家に仕えていた竜騎士のジャンはある日大勇者クレシーと大賢者ラズバーによって追放を言い渡されたのだった。
納得できないジャンは必死に勇者クレシーに訴えたが、ジャンの意見は聞き入れられずにそのまま国外追放となってしまう。
ジャンは必ずクレシーとラズバーにこのお返しをすると誓ったのだった。
そしてジャンは国外にでるために国境の町カリーナに向かったのだが、国境の町カリーナが攻撃されてジャンも巻き込まれてしまったのだった。
竜騎士ジャンの無双活劇が今始まります。
掘鑿王(くっさくおう)~ボクしか知らない隠しダンジョンでSSRアイテムばかり掘り出し大金持ち~
テツみン
ファンタジー
『掘削士』エリオットは、ダンジョンの鉱脈から鉱石を掘り出すのが仕事。
しかし、非戦闘職の彼は冒険者仲間から不遇な扱いを受けていた。
ある日、ダンジョンに入ると天災級モンスター、イフリートに遭遇。エリオットは仲間が逃げ出すための囮(おとり)にされてしまう。
「生きて帰るんだ――妹が待つ家へ!」
彼は岩の割れ目につるはしを打ち込み、崩落を誘発させ――
目が覚めると未知の洞窟にいた。
貴重な鉱脈ばかりに興奮するエリオットだったが、特に不思議な形をしたクリスタルが気になり、それを掘り出す。
その中から現れたモノは……
「えっ? 女の子???」
これは、不遇な扱いを受けていた少年が大陸一の大富豪へと成り上がっていく――そんな物語である。
最難関ダンジョンをクリアした成功報酬は勇者パーティーの裏切りでした
新緑あらた
ファンタジー
最難関であるS級ダンジョン最深部の隠し部屋。金銀財宝を前に告げられた言葉は労いでも喜びでもなく、解雇通告だった。
「もうオマエはいらん」
勇者アレクサンダー、癒し手エリーゼ、赤魔道士フェルノに、自身の黒髪黒目を忌避しないことから期待していた俺は大きなショックを受ける。
ヤツらは俺の外見を受け入れていたわけじゃない。ただ仲間と思っていなかっただけ、眼中になかっただけなのだ。
転生者は曾祖父だけどチートは隔世遺伝した「俺」にも受け継がれています。
勇者達は大富豪スタートで貧民窟の住人がゴールです(笑)
【本編45話にて完結】『追放された荷物持ちの俺を「必要だ」と言ってくれたのは、落ちこぼれヒーラーの彼女だけだった。』
ブヒ太郎
ファンタジー
「お前はもう用済みだ」――荷物持ちとして命懸けで尽くしてきた高ランクパーティから、ゼロスは無能の烙印を押され、なんの手切れ金もなく追放された。彼のスキルは【筋力強化(微)】。誰もが最弱と嘲笑う、あまりにも地味な能力。仲間たちは彼の本当の価値に気づくことなく、その存在をゴミのように切り捨てた。
全てを失い、絶望の淵をさまよう彼に手を差し伸べたのは、一人の不遇なヒーラー、アリシアだった。彼女もまた、治癒の力が弱いと誰からも相手にされず、教会からも冒険者仲間からも居場所を奪われ、孤独に耐えてきた。だからこそ、彼女だけはゼロスの瞳の奥に宿る、静かで、しかし折れない闘志の光を見抜いていたのだ。
「私と、パーティを組んでくれませんか?」
これは、社会の評価軸から外れた二人が出会い、互いの傷を癒しながらどん底から這い上がり、やがて世界を驚かせる伝説となるまでの物語。見捨てられた最強の荷物持ちによる、静かで、しかし痛快な逆襲劇が今、幕を開ける!
(完結)魔王討伐後にパーティー追放されたFランク魔法剣士は、超レア能力【全スキル】を覚えてゲスすぎる勇者達をザマアしつつ世界を救います
しまうま弁当
ファンタジー
魔王討伐直後にクリードは勇者ライオスからパーティーから出て行けといわれるのだった。クリードはパーティー内ではつねにFランクと呼ばれ戦闘にも参加させてもらえず場美雑言は当たり前でクリードはもう勇者パーティーから出て行きたいと常々考えていたので、いい機会だと思って出て行く事にした。だがラストダンジョンから脱出に必要なリアーの羽はライオス達は分けてくれなかったので、仕方なく一階層づつ上っていく事を決めたのだった。だがなぜか後ろから勇者パーティー内で唯一のヒロインであるミリーが追いかけてきて一緒に脱出しようと言ってくれたのだった。切羽詰まっていると感じたクリードはミリーと一緒に脱出を図ろうとするが、後ろから追いかけてきたメンバーに石にされてしまったのだった。
さんざん馬鹿にされてきた最弱精霊使いですが、剣一本で魔物を倒し続けたらパートナーが最強の『大精霊』に進化したので逆襲を始めます。
ヒツキノドカ
ファンタジー
誰もがパートナーの精霊を持つウィスティリア王国。
そこでは精霊によって人生が決まり、また身分の高いものほど強い精霊を宿すといわれている。
しかし第二王子シグは最弱の精霊を宿して生まれたために王家を追放されてしまう。
身分を剥奪されたシグは冒険者になり、剣一本で魔物を倒して生計を立てるようになる。しかしそこでも精霊の弱さから見下された。ひどい時は他の冒険者に襲われこともあった。
そんな生活がしばらく続いたある日――今までの苦労が報われ精霊が進化。
姿は美しい白髪の少女に。
伝説の大精霊となり、『天候にまつわる全属性使用可』という規格外の能力を得たクゥは、「今まで育ててくれた恩返しがしたい!」と懐きまくってくる。
最強の相棒を手に入れたシグは、今まで自分を見下してきた人間たちを見返すことを決意するのだった。
ーーーーーー
ーーー
閲覧、お気に入り登録、感想等いつもありがとうございます。とても励みになります!
※2020.6.8お陰様でHOTランキングに載ることができました。ご愛読感謝!
S級パーティを追放された無能扱いの魔法戦士は気ままにギルド職員としてスローライフを送る
神谷ミコト
ファンタジー
【祝!4/6HOTランキング2位獲得】
元貴族の魔法剣士カイン=ポーンは、「誰よりも強くなる。」その決意から最上階と言われる100Fを目指していた。
ついにパーティ「イグニスの槍」は全人未達の90階に迫ろうとしていたが、
理不尽なパーティ追放を機に、思いがけずギルドの職員としての生活を送ることに。
今までのS級パーティとして牽引していた経験を活かし、ギルド業務。ダンジョン攻略。新人育成。そして、学園の臨時講師までそつなくこなす。
様々な経験を糧にカインはどう成長するのか。彼にとっての最強とはなんなのか。
カインが無自覚にモテながら冒険者ギルド職員としてスローライフを送るである。
ハーレム要素多め。
※隔日更新予定です。10話前後での完結予定で構成していましたが、多くの方に見られているため10話以降も製作中です。
よければ、良いね。評価、コメントお願いします。励みになりますorz
他メディアでも掲載中。他サイトにて開始一週間でジャンル別ランキング15位。HOTランキング4位達成。応援ありがとうございます。
たくさんの誤字脱字報告ありがとうございます。すべて適応させていただきます。
物語を楽しむ邪魔をしてしまい申し訳ないですorz
今後とも応援よろしくお願い致します。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる