無限初回ログインボーナスを貰い続けて三年 ~辺境伯となり辺境領地生活~

桜井正宗

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敵を倒して経験値大量獲得!

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「アビスさん。彼らを助けます?」
「いや、大丈夫だろ。他のパーティが彼らを助けようとしているし」
「そうですね。あの四人パーティの知り合いかもしれません」

 俺等のでる幕はなさそうだ。
 そもそも、アイツ等はローザを突き飛ばし、アイアンゴーレムをなすり付けてきやがった。助けるメリットはあんまりない。というか、そんな義理がない。

 今はとにかく先へ進む。
 レベルも上げていかなければならないし。

「そういえば、俺のレベルっていくつなんだ? どこで見ればいいんだ……」
「あ~、それですか。人類のレベルは『非公開・・・』なんです。なぜかモンスターのレベルは分かるんですが、我々のは不明なんですよ」

「そうだったのか。道理で『Lv.』って項目がないと思った」

「ええ、わたしもレベルについては疑問です。まあ、運営のお決めになったことなので……」

「ん? 運営?」

「――はっ。いえ、なんでもありません! それより、先を急ぎましょう。アイアンゴーレムを倒して、ステータスを底上げ作戦です」


 ローザのヤツ、途中で何かを言いかけて話題をらしたような。なんだか慌てていたし、怪しいなあ。


 今は気にしないことにした。
 最優先はレベルアップ。
 どのみち、ボスモンスターに挑むとなるなら力をつけておかないとな。少しでも優位に立てるようにステータスを強化だ。

 今のところ経験値EXPは『7,150』入手している。けど、ローザとパーティを組んでいるため“経験値公平分配”という設定になっていた。

 どうやら、パーティの人数に応じて分け与えられるようだけど、人数が多ければ『パーティボーナス』もあるようだ。


「パーティは人数が多い方が有利なんだな」
「そうですよ、アビスさん。二人なら『+1%』、三人なら『+2%』と順に増えていくんです。だから、十人いれば『+10%』のボーナス経験値が入るわけです」

「ほぉ、効率よくモンスターを狩ればパーティの方がいいわけか」

「はい。しかも、ギルドボーナスもありますからね。ギルドに所属して尚且なおかつ、パーティを結成すればもっと多くの経験値が得られますよ」


 となると、本当はパーティ人数を増やしたり、ギルドに所属した方が得なんだろうなぁと俺は思った。

 その方がメリットは遥かに多い。
 ――けれど。

「今は二人でがんばろう」
「えっ……アビスさん、それって」

「どうした、そんな意外そうな顔をして」
「意外だったからです。てっきり、胸の大きい美人エルフとか、えっちなお姉さん魔術師ウィザードとか、やらしい踊り子ジプシーとか仲間にすると思ったのですが」

「それでは俺がハーレムを作るみたいじゃないか。却下だ」

「作らないんですか!?」
「なんでそんな驚くんだよぉ!?」

 ていうか、今ローザの言った人物像って一纏ひとまとめに出来そうな気がするけどな。エルフといえば、魔法を使うし、踊り子もいるようだし。

「ひとりくらい迎え入れてもいいと思いますけれど」

 まあ、ひとりくらいは仲間を増やしたいな。いつか、そのうち。


「考えておく。それより、アイアンゴーレムを狩るぞ」
「分かりました。支援はお任せください!」


 話を終え、前方に集中。
 俺はインビジブルアックスを構えた。
 周辺をウロウロしているアイアンゴーレムを討伐しまくる。まずは、それからだ。


「よし、三階を目指しつつ向かうぞ」


 ▼△▼△▼△


 透明な斧でアイアンゴーレムを粉砕ふんさいしていく。SSS級武器インビジブルスクエアには、四種類の武器モードがあるが“斧”が一番、物理攻撃力ATKも高く、追加の『アースクエイク Lv.5』の魔法攻撃が非常に強力だった。

 これはクセになってしまうな。

 でも、そろそろ『剣』とか『弓』も使ってみたいな。

 けど、今はアックスで十分だ。
 次々にアイアンゴーレムを倒し、三十、四十、五十と討伐数を増やしていった。がんばった甲斐かいあって大量の経験値EXPを獲得。体感的にかなりレベルアップした。


「――ふぅ、かなり倒したぞ」
「あぅ……わたし、足が痛くなってしまいました」


 あれから数時間。
 ずっと二階をぐるぐる回り、三階へ降りた。どうやら、四~五階まではゴーレムとアイアンゴーレムのゾーンらしく、その二種しかいなかった。

 さくっと『五階』まで降りて“セイフティゾーン”へ入った。

 どうやら、階層タイプのダンジョンには、モンスターが絶対に侵入してこない『安全地帯』があるようだった。多くの冒険者が地面に座って休息の一時を過ごしていた。

 中には、露店を出している商人、破損した武器の修理を請け負っている鍛冶屋ブラックスミスもいた。


「少し休もう。ほら、レッドポーション改を飲め。疲労も回復するぞ」
「ありがとうございます、アビスさん」


 くたくたになっているローザは、赤い液体の入ったポーションを飲んだ。少しは回復したようで元気を取り戻した。

 しかし、今までの戦闘でポーションもかなり消費してしまったな。

 80個近くあったレッドポーション改は、今や30個。ローザには、回復魔法もあるようだけど大量の魔力を消費するようだし、何度も使えるスキルではない。


 そう思考を巡らせていると――。


「やあ、僕はセイン。君たちは二人かい?」


 さわやかな顔をした男に話しかけられた。
 なんだこの人。
 身なりからして……貴族かな。


「ああ、俺とローザはペアだが」
「そうなのかい。なんだか、君の服装はゴブリンの腰ミノのようにボロボロだね」

「服を買う金が惜しくてね」

「そうかい。それなのに、そんな銀髪の美少女を連れ歩いていると――。うん、君に相応しくないね。どうやら、その子はかなりのハイレベルにして上位職らしいし」


 とまあ、貴族っぽい男はローザを見つめた。けど、まゆを吊り上げるローザはあっさりとこう言い返した。


「パーティの引き抜きなら結構です。わたしは、アビスさんと運命を共にすると誓ったので、他のパーティとかギルドに入るつもりはありません」

 おぉ、よくぞ言ったローザ。
 誓いを立てられた記憶はないけど。
 だが、セインは食い下がる。

「そう言わずにさ。そんな不衛生なヤツと一緒にいると、君の品位を疑われてしまうよ? そら、こっちに来るといい。僕は、ケイオス帝国の男爵だ。臨時だけどパーティも七人いてね、リーダーをやってる。だから不便はさせないよ」

 セインとかいうヤツは、ローザに触れようとした。――ので、俺は男の手を払い、阻止そしした。

「勝手に触れるな」

 デカイ溜息ためいきを吐くセインは、俺をにらむ。

「はぁ……君、まさかと思うけど僕に勝てると思っているのか? 見たところ、君のまともな装備と言えばアクセサリーくらいだ。それでよく五階まで来れたものだ。地下六階以降は、もっと難易度も上がるし、その装備ではとても彼女を守れないぞ」

「余計なお世話だ。もう俺たちに構うな」

「そうはいかない。ローザ……彼女をパーティに迎える。だから君、僕と『決闘PvP』をしたまえ!」

「なんだその“ぴーぶいぴー”って」

「はは、あははは! お前は決闘も知らないのか! 人間同士が一対一サシで戦うんだよ。ベル、レアアイテム、優秀な人材を賭けてな」


 そういうことか。
 自分の財産を賭けた戦いってわけだな。

 様子を伺っていると、俺の目の前に――



【セインさんから“決闘PvP”の申し込みがありました】
【ルール】
 ①一対一サシ
 ②相手を戦闘不能にする
 ③武器破壊は戦闘不能と同じ扱いとする
 ④リタイアは認められない
 ⑤敗者は、ベル、所持アイテム、仲間を勝者に差し出さなければならない。これに従わない場合、差し押さえの強制執行ペナルティを受ける

【この勝負を受けますか?】
【受諾 / 拒否】



 これが『決闘PvP』か。
 仕方ないな。この力をあんまり他の冒険者に見せつけるつもりはなかったんだが、ローザを奪われるわけにはいかない。

 それを他の冒険者にも理解させなければ。ナンパ野郎が面倒だからな。
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