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ギガントメテオゴーレム

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 素早く後退していくオーガスト。
 右腕を即座に再生していた。

「な、なんだと……」
「この程度の治療は簡単さ。俺はダークエルフだぞ」

 どうやら、ダークエルフとは便利なスキルが色々あるようだな。
 俺は追いついてオーガストに攻撃を加えようとしたが、それどころではなくなった。


「た、大変です、アビスさん! ギガントメテオゴーレムがこっちに!!」
「ローザ! ミランダ! 仕方ない、そっちへ向かう」


 一旦、オーガストから離れていく。
 ヤツは愉快そうに笑った。


「フハハハ! ギガントメテオゴーレムを倒す!? 無理だ。そいつは最強ギルドを壊滅させた最強のボスモンスターだぞ!!」

「そうか、以前のギルドもオーガスト、お前が……!」

「そうさ。ケイオス帝国の辺境伯は、ダークエルフのある秘密に気づいてしまったのさ。だから、このダンジョンへ誘い込み――殺してやった」

「お前……どこまでクズ野郎なんだ」
「なんとでも言え。俺はもうこのダンジョンに用はない! 一足先に脱出する」

「逃げる気か!」

「逃げるぅ? 違う。俺はお前に勝ったのだ。ギガントメテオゴーレムを召喚した瞬間にな!」


 オーガストは、逃げ出そうとワープポータルを開く。……しまった、逃げられる。

 焦っていると、ミランダが魔法攻撃を与えてくれた。ナイス、スプラッシュ!


「逃がしません!!」
「――ぐっ! 貴様はエルフか!」

「事情はよく分かりませんけれど、あなたはアビス様の敵のようですね!」

「邪魔をするな、エルフ!」
「邪魔をさせていただきます!!」

 ミランダは、オーガストを容赦なくスプラッシュで壁際に追い込む。すげぇ、あのまま押さえつけてくれれば助かるな。


「ミランダ、そのままを維持! 俺とローザでギガントメテオゴーレムを撃破する!」
「そ、そんな無茶ですよ~!」

「無茶でもやるんだ。それに、今の俺ならきっと……勝てる。そんな気がするんだ」
「アビス様……はい、わたくしはあの男を押さえつけておきますから!」


 頼んだぞとアムズアップを送り、俺は駆けだしていく。
 ギガントメテオゴーレムは、ローザに襲い掛かろうとしていた。いくら大聖女でも、あの巨人を相手にはできないはず。

 だけど、俺なら――!


「支援魔法・イントロイトゥス! アビスさん、あとはお願いします!!」

「おう、ログボで得たステータス補正がアップするアイテムも全部使っている」

「あと、これもお忘れなく!!」


 くるくる飛んでくる『ダークポーション』。そうだな、これを忘れちゃいけない。ゲロマズだけど、攻撃速度がアップする。

 これで対等になれはずだ。

 俺は、そのままギガントメテオゴーレムの前に立ち、インビジブルアックスで巨大刀を受け止めた。

 流星刀・アランヒルズの巨大版か。

 極端に高い筋力パラメータのおかげか、俺は何とか防御ガードに成功。だが、あまりに衝撃が強すぎて、地面にクレーターが出来ていた。


「なんてパワーだ。だけどな」


 インビジブルアックスでなんとか敵の武器を押し上げ、俺はそのままジャンプ。敵の頭上でインビジブルランスに切り替えて――ブン投げた。


『――ガァァァァァッ!!!』


 巨体が一気に吹き飛び、かなりの距離を飛んでいく。
 その状況にオーガストもぶったまげていた。


「そんなバカな!!」
「オーガスト、お前はひとつ見誤ったようだな」

「な、なに!?」

「俺を強くしすぎたってことさ!! お前は、鍛錬のことを教えてくれたな。あれは言わなきゃよかったんだ」

「く、くそ……お前を信じ込ませる情報が仇となったか」


 でもそれだけではない。
 ローザがくれた無限初回ログインボーナスがもっと俺を強くしたんだ。

 だからこそ、負けられない。

 ギガントメテオゴーレムは、直ぐに体勢を整えて向かってきた。


「ならば、インビジブルアーバレストを食らえッ!!」


 一気に三本を射る。
 ミランダに『矢生成』してもらった『ファイアアロー』に、ローザから貰った『猛毒の矢』の余りを使った。

 ビュンと飛んでいく矢は、ギガントメテオゴーレムに命中。

 燃えるなり、ボディが紫色に変色。
 苦しみだしていた。

 おぉ、効いてる効いてる。

 しかし、ボスモンスターというだけあり、その効果の持続時間もあまりにも短かった。たったの十秒ほどしか持たなかった。

 なんてヤツ!


『ギギギギギ』


 ギガントメテオゴーレムが目の前に現れた。なんて素早い動きだ。あんなに大きいのに……とんでもない移動速度だ。

 横払いの刀が飛んでくる。

 この程度なら、インビジブルソードで十分だ。

 すぐに変形させ、俺は敵の刃を受け止めた。


「へっ、余裕じゃねえか!!」


 ――が、しかし、背後から別の刃の気配があった。


「アビスさん! ギガントメテオゴーレムが流星刀・アランヒルズをもう一本取り出しましたよ! 二刀流のようです!!」


 なんだと……二刀流だと!!
 そんな器用な真似をこのゴーレムがするのかよ。

 俺の背後には、流星刀・アランヒルズの刃が接近していた。このままでは――死ぬ。くそ、ここまでなのか。


「くそおおおお!!」

「諦めないで下さい、アビスさん! 奥義・真剣白刃取り!!」


 ローザが俺の背後にくっつく。
 そして、あの奥義を繰り出したんだ。

 見事に刃をキャッチし、ギリギリで食い止めていた。あと少し遅れていたら、俺は死んでいたな。ローザに感謝だ。


「ローザ、ありがとう」
「礼を言っている場合ではありません。わたし、もう持ちそうにないです……」

「な!」

 そりゃそうか。
 あんな巨大な刀を受け止めている方が奇跡だ。

 このままではローザが……!


『……!!』


 ギガントメテオゴーレムは、全力全開のフルパワーを使ったのだろうか。ローザをの奥義を突破した。


 やべえ!!


「きゃあ!!」


 刃がローザを切り裂く。

 ……そんな。


「ローザ……! くそがあああああああああああ!!」


 インビジブルソードを怒りのまま振って、ギガントメテオゴーレムの腕を叩き切った。ローザを救出して、俺は後退。


「……アビスさん。わたし」
「ローザ、しゃべるな! 血が……こんなに」


「えへへ……失敗しちゃいました」
「失敗なんかじゃない。お前のおかげで俺は何度救われただろうか。いつもお前がいたから、俺は生きていけたんだ」

「うれしい……うれしすぎて涙が止まらない。アビスさん、好きですよ……」

「ああ、知ってるさ。だから、生きて帰ろう」
「……はい、きっと一緒に」


 ――くたっと脱力するローザ。

 まさか……そんな、死んだのか。


 絶望を感じ始めていると、矢が飛んできてローザの脳天に突き刺さった。……な、なんだぁ!?



「回復の矢です!!」

「ちょ! ミランダ! 回復の矢は一本しかなかったんじゃ!?」

「一本と言いましたね、あれは嘘です!! こんなこともあろうかと、二本目を隠し持っていたんです!」

「嘘かーい!」


 死にかけていたローザは、むくっと起き上がり元気になった。


「あれ、わたし……生きていますね!」
「あ、ああ……そうだな。うん、良かった」
「アビスさん、ちょっと冷たくありません!? わたし、死んじゃうところだったんですよぉ!?」


 ……いや、さっき“好き”とか言われて、ローザの顔をまともに見れなくなってしまったとか、恥ずかしくて言えなかった。

 けど、俺も少しは素直になろう。


「ローザ、その……生きていてよかった。俺もローザが――って、うわッ!!」


 告白しようとした瞬間、ギガントメテオゴーレムの二刀流・アランヒルズが降ってきた。

 なんてバケモノ火力だ。
 さすがに二刀流ともなると桁違いのパワーだ。

 焦っていると、ローザが聖属性魔法『ホーリークロス』を放った――が、慌てていたのか俺のインビジブルソードにぶつけてしまった。


「ちょ、ローザ! なにやって……ん?」


 おかしい。
 インビジブルソードが脈打ち、色が変化しはじめていた。俺視点でもほぼ透明色の剣がどんどん色を変えていく。

 それは『黄金の剣』と生まれ変わった。

 透明じゃなくなった!?」


「アビスさん、その剣……」


 聖剣カレトヴルッフ――改め。


【覚醒エクスカリバー】
【レアリティ:EX】
【部位:右手武器/左手武器】
【詳細】
 ExcaliburエクスカリバーOnlineオンラインのゲームマスター専用武器。インビジブルソードの真の姿。
 覚醒した黄金の剣。
 一振りで国を滅ぼせる威力を持つ。

 物理攻撃力ATK:50000。
 魔法攻撃力MATK:50000。

 この武器の持ち主は、全ステータスが10倍となる。一般モンスターに与えるダメージ +50%。ボスモンスターに与えるダメージ +50%。

 この武器は破壊されない。
 この武器は破損しない。
 この武器は武具解除スキルを無効にする。

 持ち主の装備に『インビジブル』系の防具が装備されている場合、ひとつにつき攻撃力 +1000アップ。


「な、なんだこの剣!!」


 俺の剣、めちゃくちゃ強くなったぞ!?
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