1 / 21
ギルドを追放されちゃった
しおりを挟む
スライムは恐ろしく強敵だ。
この世界のスライムは、とにかく強い。
バケモノのように強く、倒すのにも一苦労。スライムは、レベルが高いわけでも特殊なスキルがあるわけでもない。
ただ、物理的に強かった。
タックルを食らえば、それだけで即死もありえた。初心冒険者には優しくないモンスターだった。
僕は死にかけていた。
幸い、打たれ強さだけはあったから体力ギリギリのレッドラインで耐えた。あと一撃でもダメージを受けたら、僕は死ぬだろう。
「ギャハハ! キエルのヤツ、今日も無様だな」
「ああ、あんなひっくり返ってよ」
「強いとはいえ、スライムの一匹も倒せないでやんの!」
ギルド『砂漠の鷲』に所属していた僕は、ギルドメンバーから馬鹿にされ、助けても貰えなかった。回復アイテムのポーションも、回復魔法のヒールもくれない。完全に見捨てられていた。
「……やれやれ、キエルのゴミステータスじゃダメか」
深い溜息を吐くギルドマスターの『ウィル』は、僕を置き去りにして行った。……どうして助けてくれない。僕はただ、普通の冒険が出来ればそれで良かったのに。
一時間後、僕は何とかスライムから逃げ延び、脱出。ギルドの元へ戻った。ウィルは僕をゴミでも見るような目で見て――それからこう言った。
「キエル、お前はこのギルドから追放する。もういらないよ、お前」
「…………」
「特殊な能力はないし、スライムも満足に倒せない。お前の将来はまったく期待できないんだよ。もう顔も見たくない。とっとと消えてくれ」
僕はギルドを去った。
でも、おかげでずっと隠し持っていたスキル【モンスター撃破ボーナス】の使い方もよく分かったし、これで思う存分使用できる。
僕はさっそくスライムは避け、一番弱いとされるミニスライムを狙った。たまに草原フィールドに転がっているヤツだ。経験値は『1』もないとされている。噂じゃ『0.05』とか聞いた。
ドロップアイテムも無しだったかな。
魔法使いの初級装備『杖』を手に持ち、そこらにいたミニスライムを物理的に殴る。バシッと命中するとミニスライムは、ポヨンと弾けて消えた。
スキル【モンスター撃破ボーナス】はこの瞬間に発動し、経験値とレアアイテムを直接送ってくれた。
[経験値:5000獲得]
[ドロップアイテム:銀貨1枚獲得]
【Lv.1】→【Lv.30】へアップした。
「こ、これが……『モンスター撃破ボーナス』なんだ。すご! 一気に強くなっちゃった……」
この世界のスライムは、とにかく強い。
バケモノのように強く、倒すのにも一苦労。スライムは、レベルが高いわけでも特殊なスキルがあるわけでもない。
ただ、物理的に強かった。
タックルを食らえば、それだけで即死もありえた。初心冒険者には優しくないモンスターだった。
僕は死にかけていた。
幸い、打たれ強さだけはあったから体力ギリギリのレッドラインで耐えた。あと一撃でもダメージを受けたら、僕は死ぬだろう。
「ギャハハ! キエルのヤツ、今日も無様だな」
「ああ、あんなひっくり返ってよ」
「強いとはいえ、スライムの一匹も倒せないでやんの!」
ギルド『砂漠の鷲』に所属していた僕は、ギルドメンバーから馬鹿にされ、助けても貰えなかった。回復アイテムのポーションも、回復魔法のヒールもくれない。完全に見捨てられていた。
「……やれやれ、キエルのゴミステータスじゃダメか」
深い溜息を吐くギルドマスターの『ウィル』は、僕を置き去りにして行った。……どうして助けてくれない。僕はただ、普通の冒険が出来ればそれで良かったのに。
一時間後、僕は何とかスライムから逃げ延び、脱出。ギルドの元へ戻った。ウィルは僕をゴミでも見るような目で見て――それからこう言った。
「キエル、お前はこのギルドから追放する。もういらないよ、お前」
「…………」
「特殊な能力はないし、スライムも満足に倒せない。お前の将来はまったく期待できないんだよ。もう顔も見たくない。とっとと消えてくれ」
僕はギルドを去った。
でも、おかげでずっと隠し持っていたスキル【モンスター撃破ボーナス】の使い方もよく分かったし、これで思う存分使用できる。
僕はさっそくスライムは避け、一番弱いとされるミニスライムを狙った。たまに草原フィールドに転がっているヤツだ。経験値は『1』もないとされている。噂じゃ『0.05』とか聞いた。
ドロップアイテムも無しだったかな。
魔法使いの初級装備『杖』を手に持ち、そこらにいたミニスライムを物理的に殴る。バシッと命中するとミニスライムは、ポヨンと弾けて消えた。
スキル【モンスター撃破ボーナス】はこの瞬間に発動し、経験値とレアアイテムを直接送ってくれた。
[経験値:5000獲得]
[ドロップアイテム:銀貨1枚獲得]
【Lv.1】→【Lv.30】へアップした。
「こ、これが……『モンスター撃破ボーナス』なんだ。すご! 一気に強くなっちゃった……」
1
あなたにおすすめの小説
掃除婦に追いやられた私、城のゴミ山から古代兵器を次々と発掘して国中、世界中?がざわつく
タマ マコト
ファンタジー
王立工房の魔導測量師見習いリーナは、誰にも測れない“失われた魔力波長”を感じ取れるせいで奇人扱いされ、派閥争いのスケープゴートにされて掃除婦として城のゴミ置き場に追いやられる。
最底辺の仕事に落ちた彼女は、ゴミ山の中から自分にだけ見える微かな光を見つけ、それを磨き上げた結果、朽ちた金属片が古代兵器アークレールとして完全復活し、世界の均衡を揺るがす存在としての第一歩を踏み出す。
【完結】国外追放の王女様と辺境開拓。王女様は落ちぶれた国王様から国を買うそうです。異世界転移したらキモデブ!?激ヤセからハーレム生活!
花咲一樹
ファンタジー
【錬聖スキルで美少女達と辺境開拓国造り。地面を掘ったら凄い物が出てきたよ!国外追放された王女様は、落ちぶれた国王様゛から国を買うそうです】
《異世界転移.キモデブ.激ヤセ.モテモテハーレムからの辺境建国物語》
天野川冬馬は、階段から落ちて異世界の若者と魂の交換転移をしてしまった。冬馬が目覚めると、そこは異世界の学院。そしてキモデブの体になっていた。
キモデブことリオン(冬馬)は婚活の神様の天啓で三人の美少女が婚約者になった。
一方、キモデブの婚約者となった王女ルミアーナ。国王である兄から婚約破棄を言い渡されるが、それを断り国外追放となってしまう。
キモデブのリオン、国外追放王女のルミアーナ、義妹のシルフィ、無双少女のクスノハの四人に、神様から降ったクエストは辺境の森の開拓だった。
辺境の森でのんびりとスローライフと思いきや、ルミアーナには大きな野望があった。
辺境の森の小さな家から始まる秘密国家。
国王の悪政により借金まみれで、沈みかけている母国。
リオンとルミアーナは母国を救う事が出来るのか。
※激しいバトルは有りませんので、ご注意下さい
カクヨムにてフォローワー2500人越えの人気作
青い鳥と 日記 〜コウタとディック 幸せを詰め込んで〜
Yokoちー
ファンタジー
もふもふと優しい大人達に温かく見守られて育つコウタの幸せ日記です。コウタの成長を一緒に楽しみませんか?
(長編になります。閑話ですと登場人物が少なくて読みやすいかもしれません)
地球で生まれた小さな魂。あまりの輝きに見合った器(身体)が見つからない。そこで新米女神の星で生を受けることになる。
小さな身体に何でも吸収する大きな器。だが、運命の日を迎え、両親との幸せな日々はたった三年で終わりを告げる。
辺境伯に拾われたコウタ。神鳥ソラと温かな家族を巻き込んで今日もほのぼのマイペース。置かれた場所で精一杯に生きていく。
「小説家になろう」「カクヨム」でも投稿しています。
婚約者を奪った妹と縁を切ったので、家から離れ“辺境領”を継ぎました。 すると勇者一行までついてきたので、領地が最強になったようです
藤原遊
ファンタジー
婚約発表の場で、妹に婚約者を奪われた。
家族にも教会にも見放され、聖女である私・エリシアは “不要” と切り捨てられる。
その“褒賞”として押しつけられたのは――
魔物と瘴気に覆われた、滅びかけの辺境領だった。
けれど私は、絶望しなかった。
むしろ、生まれて初めて「自由」になれたのだ。
そして、予想外の出来事が起きる。
――かつて共に魔王を倒した“勇者一行”が、次々と押しかけてきた。
「君をひとりで行かせるわけがない」
そう言って微笑む勇者レオン。
村を守るため剣を抜く騎士。
魔導具を抱えて駆けつける天才魔法使い。
物陰から見守る斥候は、相変わらず不器用で優しい。
彼らと力を合わせ、私は土地を浄化し、村を癒し、辺境の地に息を吹き返す。
気づけば、魔物巣窟は制圧され、泉は澄み渡り、鉱山もダンジョンも豊かに開き――
いつの間にか領地は、“どの国よりも最強の地”になっていた。
もう、誰にも振り回されない。
ここが私の新しい居場所。
そして、隣には――かつての仲間たちがいる。
捨てられた聖女が、仲間と共に辺境を立て直す。
これは、そんな私の第二の人生の物語。
私はもう必要ないらしいので、国を護る秘術を解くことにした〜気づいた頃には、もう遅いですよ?〜
AK
ファンタジー
ランドロール公爵家は、数百年前に王国を大地震の脅威から護った『要の巫女』の子孫として王国に名を残している。
そして15歳になったリシア・ランドロールも一族の慣しに従って『要の巫女』の座を受け継ぐこととなる。
さらに王太子がリシアを婚約者に選んだことで二人は婚約を結ぶことが決定した。
しかし本物の巫女としての力を持っていたのは初代のみで、それ以降はただ形式上の祈りを捧げる名ばかりの巫女ばかりであった。
それ故に時代とともにランドロール公爵家を敬う者は減っていき、遂に王太子アストラはリシアとの婚約破棄を宣言すると共にランドロール家の爵位を剥奪する事を決定してしまう。
だが彼らは知らなかった。リシアこそが初代『要の巫女』の生まれ変わりであり、これから王国で発生する大地震を予兆し鎮めていたと言う事実を。
そして「もう私は必要ないんですよね?」と、そっと術を解き、リシアは国を後にする決意をするのだった。
※小説家になろう・カクヨムにも同タイトルで投稿しています。
田舎農家の俺、拾ったトカゲが『始祖竜』だった件〜女神がくれたスキル【絶対飼育】で育てたら、魔王がコスメ欲しさに竜王が胃薬借りに通い詰めだした
月神世一
ファンタジー
「くそっ、魔王はまたトカゲの抜け殻を美容液にしようとしてるし、女神は酒のつまみばかり要求してくる! 俺はただ静かに農業がしたいだけなのに!」
ブラック企業で過労死した日本人、カイト。
彼の願いはただ一つ、「誰にも邪魔されない静かな場所で農業をすること」。
女神ルチアナからチートスキル【絶対飼育】を貰い、異世界マンルシア大陸の辺境で念願の農場を開いたカイトだったが、ある日、庭から虹色の卵を発掘してしまう。
孵化したのは、可愛らしいトカゲ……ではなく、神話の時代に世界を滅亡させた『始祖竜』の幼体だった!
しかし、カイトはスキル【絶対飼育】のおかげで、その破壊神を「ポチ」と名付けたペットとして完璧に飼い慣らしてしまう。
ポチのくしゃみ一発で、敵の軍勢は老衰で塵に!?
ポチの抜け殻は、魔王が喉から手が出るほど欲しがる究極の美容成分に!?
世界を滅ぼすほどの力を持つポチと、その魔素を浴びて育った規格外の農作物を求め、理知的で美人の魔王、疲労困憊の竜王、いい加減な女神が次々にカイトの家に押しかけてくる!
「世界の管理者」すら手が出せない最強の農場主、カイト。
これは、世界の運命と、美味しい野菜と、ペットの散歩に追われる、史上最も騒がしいスローライフ物語である!
【完結】政略婚約された令嬢ですが、記録と魔法で頑張って、現世と違って人生好転させます
なみゆき
ファンタジー
典子、アラフィフ独身女性。 結婚も恋愛も経験せず、気づけば父の介護と職場の理不尽に追われる日々。 兄姉からは、都合よく扱われ、父からは暴言を浴びせられ、職場では責任を押しつけられる。 人生のほとんどを“搾取される側”として生きてきた。
過労で倒れた彼女が目を覚ますと、そこは異世界。 7歳の伯爵令嬢セレナとして転生していた。 前世の記憶を持つ彼女は、今度こそ“誰かの犠牲”ではなく、“誰かの支え”として生きることを決意する。
魔法と貴族社会が息づくこの世界で、セレナは前世の知識を活かし、友人達と交流を深める。
そこに割り込む怪しい聖女ー語彙力もなく、ワンパターンの行動なのに攻略対象ぽい人たちは次々と籠絡されていく。
これはシナリオなのかバグなのか?
その原因を突き止めるため、全ての証拠を記録し始めた。
【☆応援やブクマありがとうございます☆大変励みになりますm(_ _)m】
第5皇子に転生した俺は前世の医学と知識や魔法を使い世界を変える。
黒ハット
ファンタジー
前世は予防医学の専門の医者が飛行機事故で結婚したばかりの妻と亡くなり異世界の帝国の皇帝の5番目の子供に転生する。子供の生存率50%という文明の遅れた世界に転生した主人公が前世の知識と魔法を使い乱世の世界を戦いながら前世の奥さんと巡り合い世界を変えて行く。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる