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辺境伯からのプレゼント
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悩みに悩んでいると、ノックと共にラルの声が響く。
『キエル、アイル様。これから食堂へ来てくれ』
「分かった、今すぐ行く」
多分、朝食だよね。
「アイル、行こうか」
「分かりました」
部屋を出ると、ラルが待っていた。
なんだか妙な表情で。
「どうしたの、ラル」
「……まあ、悪い話ではないよ。とりあえず、ついて来てくれ」
「ん?」
ラルの背を追っていく。
一階にある食堂へ向かい、中へ入っていくと――そこには、三姉妹ではなく意外な人物がいた。
「あ、貴方は!」
「昨日ぶりだね、キエルくん」
「プリミティブ辺境伯!」
あの豪華な貴族の服に身を包む金髪のオジ様は、間違いない。爽やかな感じは、ラルと同じ。親子だなって理解できる。
「昨日は本当に助かったよ。危うく一族郎党どうなるやらだった。私の貴族としての立場も危うかった。大聖女アイル様を見つけ出して……しかも、直接送り届けてくれるとは、本当にありがとう」
「いえ、当然の事をしたまでです」
「ほう、なんと謙虚な。素晴らしい、そんな君にはプレゼントがある」
「プレゼントですか?」
「うむ。これだ」
手渡される『手紙』。
これはいったい、なんだろう?
「開けても?」
辺境伯は静かに頷く。
僕は手紙を開封して、中身を確認。
そこには『魔法学校』の推薦状と学費があった。これがあれば、入学できる……!?
「ラルから聞いたよ。君は魔法使いだそうだね。上を目指しているとか。ならば、魔法学校へ入学するといい。バーバ・ヤーガに話は通してある」
「バーバ・ヤーガ!? あの大魔女の!?」
「ああ、校長をやっていてね。まあ、直接会ってみれば分かるさ」
それは凄いや!
大魔女に会えるとか、それだけでもテンションが上がる。もちろん、魔法学校への入学も楽しみだ。
でも。
「いいんですか。こんな額のお金まで……」
「なぁに、昨日は首どころか人生を失いかけた。それに比べれば……だからいいんだ。これは受け取ってくれ」
なんという嬉しい誤算。
自分でお金を貯めようとは思ったけど、人助けがこのような良い結果を生むとは。人生、分からないものだな。
――美味しい朝食を戴いた後、僕はさっそく『魔法学校』を目指す事にした。
「行くのか」
屋敷を出る際、ラルが見送ってくれた。
「もうウズウズが止まらなくてね! 今すぐ学校をこの目で見てみたいんだ」
「でも、良かったよ。本来、入学にはかなりの費用が必要だからな。キエル、君ならきっと偉大な魔法使いになれるさ。信じているよ」
「ありがとう、ラル。学校を見に行ったら、後で感想を言うよ」
「おう、土産話を楽しみにしておく」
「うん、じゃあ……アイルも留守番、お願いね」
手を振って別れる。
けれど、アイルの表情は少し寂しそうに見えた。
◆
帝国ジェミニの綺麗な街並みを進んでいく。
今日は、エルフが多いように思えた。
「よく見ると学生か」
制服に身を包むエルフやドワーフ。人型のドラゴン族や猫耳の亜人もチラホラ。凄いなあ、学校っていろんな人達がいるんだ。
門まで進むと白衣の青年に止められた。
「君、見ない顔だね。学生かい?」
「え、はい……校長先生と話があるんです」
「こ、校長に? ちょっと待ってくれ」
ポケットから『囁きの魔石』を取り出す白衣の男性は、誰かと通信を試みていた。そして、直ぐに会話は終わった。
「あの……」
「君、名前は?」
「キエルです」
「……分かった。君を校長室へ連れていく。ついて来てくれ」
ずっと歩いてついていくと、学校の中。
たくさんの人達からジロジロ見られながら廊下を歩いて行った。……こんな多くの視線を浴びるのは人生で初めてだなぁ……緊張する。
居心地の悪さを感じながら進んでいくと、部屋に到着。
「……これが」
「そうだ、校長室だ。さあ、入って」
ノックして扉を開ける。
すると、そこには――
「…………え」
あの人が大魔女のバーバ・ヤーガ!?
『キエル、アイル様。これから食堂へ来てくれ』
「分かった、今すぐ行く」
多分、朝食だよね。
「アイル、行こうか」
「分かりました」
部屋を出ると、ラルが待っていた。
なんだか妙な表情で。
「どうしたの、ラル」
「……まあ、悪い話ではないよ。とりあえず、ついて来てくれ」
「ん?」
ラルの背を追っていく。
一階にある食堂へ向かい、中へ入っていくと――そこには、三姉妹ではなく意外な人物がいた。
「あ、貴方は!」
「昨日ぶりだね、キエルくん」
「プリミティブ辺境伯!」
あの豪華な貴族の服に身を包む金髪のオジ様は、間違いない。爽やかな感じは、ラルと同じ。親子だなって理解できる。
「昨日は本当に助かったよ。危うく一族郎党どうなるやらだった。私の貴族としての立場も危うかった。大聖女アイル様を見つけ出して……しかも、直接送り届けてくれるとは、本当にありがとう」
「いえ、当然の事をしたまでです」
「ほう、なんと謙虚な。素晴らしい、そんな君にはプレゼントがある」
「プレゼントですか?」
「うむ。これだ」
手渡される『手紙』。
これはいったい、なんだろう?
「開けても?」
辺境伯は静かに頷く。
僕は手紙を開封して、中身を確認。
そこには『魔法学校』の推薦状と学費があった。これがあれば、入学できる……!?
「ラルから聞いたよ。君は魔法使いだそうだね。上を目指しているとか。ならば、魔法学校へ入学するといい。バーバ・ヤーガに話は通してある」
「バーバ・ヤーガ!? あの大魔女の!?」
「ああ、校長をやっていてね。まあ、直接会ってみれば分かるさ」
それは凄いや!
大魔女に会えるとか、それだけでもテンションが上がる。もちろん、魔法学校への入学も楽しみだ。
でも。
「いいんですか。こんな額のお金まで……」
「なぁに、昨日は首どころか人生を失いかけた。それに比べれば……だからいいんだ。これは受け取ってくれ」
なんという嬉しい誤算。
自分でお金を貯めようとは思ったけど、人助けがこのような良い結果を生むとは。人生、分からないものだな。
――美味しい朝食を戴いた後、僕はさっそく『魔法学校』を目指す事にした。
「行くのか」
屋敷を出る際、ラルが見送ってくれた。
「もうウズウズが止まらなくてね! 今すぐ学校をこの目で見てみたいんだ」
「でも、良かったよ。本来、入学にはかなりの費用が必要だからな。キエル、君ならきっと偉大な魔法使いになれるさ。信じているよ」
「ありがとう、ラル。学校を見に行ったら、後で感想を言うよ」
「おう、土産話を楽しみにしておく」
「うん、じゃあ……アイルも留守番、お願いね」
手を振って別れる。
けれど、アイルの表情は少し寂しそうに見えた。
◆
帝国ジェミニの綺麗な街並みを進んでいく。
今日は、エルフが多いように思えた。
「よく見ると学生か」
制服に身を包むエルフやドワーフ。人型のドラゴン族や猫耳の亜人もチラホラ。凄いなあ、学校っていろんな人達がいるんだ。
門まで進むと白衣の青年に止められた。
「君、見ない顔だね。学生かい?」
「え、はい……校長先生と話があるんです」
「こ、校長に? ちょっと待ってくれ」
ポケットから『囁きの魔石』を取り出す白衣の男性は、誰かと通信を試みていた。そして、直ぐに会話は終わった。
「あの……」
「君、名前は?」
「キエルです」
「……分かった。君を校長室へ連れていく。ついて来てくれ」
ずっと歩いてついていくと、学校の中。
たくさんの人達からジロジロ見られながら廊下を歩いて行った。……こんな多くの視線を浴びるのは人生で初めてだなぁ……緊張する。
居心地の悪さを感じながら進んでいくと、部屋に到着。
「……これが」
「そうだ、校長室だ。さあ、入って」
ノックして扉を開ける。
すると、そこには――
「…………え」
あの人が大魔女のバーバ・ヤーガ!?
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